http://hunter-investigate.jp/news/2016/01/post-816.htmlより転載
“疑惑まみれ”島尻沖縄担当相側が事実上の取材拒否
2016年1月20日 08:35
政治家失格と言うしかない。存在しない後援会の名称を使い、活動実態と異なる政治資金収支報告を行ったり、地元FM局のラジオ番組を利用して自民党関係者ばかりを登場させるなど、放送法に抵触するとしか思えない内容の番組を流していた島尻安伊子沖縄担当相に、さらなる政治資金疑惑が浮上した。
新たに分かったのは、島尻氏が支部長を務める「自由民主党沖縄県参議院第二選挙区支部」による選挙区内への寄附の疑い。県内の建設業者に対する祝儀名目の支出や歌謡ショーへの広告代支出、さらにはオスプレイ配備反対集会への支出など不透明なものばかり。HUNTERの問い合わせに対し、島尻氏の事務所は事実上の取材拒否を通している。
(右は島尻氏の公式ブログの画面)
選挙区内への「寄附」 常態化の可能性も
疑念が持たれる同支部の政治資金支出を列挙してみたい。下は、同支部が沖縄県選挙管理委員会に提出した平成24年分の政治資金収支報告書の記載。7月27日に、名護市内に本社を置く建設土木業者に、「祝儀代」として30,000円を支出している。(以下、報告書にある赤いアンダーラインと矢印はHUNTER編集部)
次は、平成26年9月17日の「ぎのわん歌謡友の会」に対する「広告代」20,000円。ぎのわん歌謡友の会は、宜野湾市内の歌謡愛好家団体で、毎年チャリティ歌謡ショーを行っている。島尻氏はほとんど毎回祝辞を贈り、これが歌謡ショーのプログラムで紹介されていた。
以上2例の支出について、次の疑念が生じている。
- 建設業者への「祝儀代」は、公職選挙法で禁止された“寄附”ではなかったのか?
- 歌謡ショーへの広告代は、事実上の寄附ではなかったのか?そもそも、島尻氏の名前を明示した広告なら、違法ではないのか?
公職選挙法は、政治家側による選挙区内への寄附や、挨拶を目的とした有料広告を禁じており、名目をごまかしても実態が寄附や広告なら違法。島尻氏側が説明を拒んでいるためはっきりしていないが、周辺取材や収支報告書の記載状況からみて、同支部の支出は不適切なものだった可能性が高い。
島尻氏の自民支部では、祝儀や陣中見舞いといった選挙区内への寄附が常態化していた疑いもある。下に示したのは、平成24年と25年の収支報告書にあった「祝儀代」と2件の「陣中見舞い」。それぞれ選挙内の個人と企業に対する支出で、修正して“なかったこと”にしてあるが、金銭の動きがあったと考えるのが普通。前出の建設土木業者に対する「祝儀代」30,000円は、報告書の消し忘れだったと見ることも可能だ。
杜撰な政治資金処理
これまでに島尻氏の自民支部が提出した政治資金収支報告書は、いずれの年も修正が多く、杜撰な政治資金処理を行われてきたことは明らかだ。不透明な形のまま処理された支出も少なくない。下が、その収支報告書の該当部分だ。
同支部は平成24年に2回、「オスプレイ配備反対県民大会」に「会費」を支出している。ここに出てくる大会とは、同年9月に宜野湾海浜公園で開催された「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」のこと。県議会各会派をはじめ県内の主要団体が、実行委員会を組織して開かれた大規模集会だった。
島尻氏の自民支部が支払った「会費」がどのような性質のものだったのか判然としないが、7月4日に30,000円、11月9日には50,000円を支払っている。問題は支出先。7月分は支出先の住所を『那覇市泉崎1‐2‐3‐302号』と明記しており、これは沖縄県議会内に置かれた事務局の住所。一方、11月の会費の支出先住所には、『沖縄県以下不明』――。一体どの団体への会費支出なのかが明らかにされていない状態だ。“政党支部に「会費」を支払う義務があったのか”、という疑問も残る。監査を経ているはずの国会議員の政治資金収支報告書にしては、珍しい杜撰さである。
説明責任放棄
一連の支出に生じた疑念について、島尻氏側に聞こうと連絡したのが今月10日。応対した同氏の秘書が「質問事項を文書で送れ」というので、作成した質問書を即日FAXしたが、それから何度回答を催促しても「選挙(宜野湾市長選)で多忙」「調査中」。やむなく19日を期限としていたが、ついに回答は来なかった。事実上の取材拒否。不誠実と言うしかない。そもそも、宜野湾市長選と自身に向けられた疑惑には、何の関係もないはずだ。
ちなみに、島尻氏の事務所に対する質問事項は以下の通りである。
1、「島尻あい子後援会」もしくは「島尻安伊子後援会」という名称の政治団体が存在しているか?
2、島尻議員の関連政治団体は、「自由民主党沖縄県参議院第二選挙区支部」と「ちゅらの会」の2団体で間違いないか?
3、毎年1月に島尻議員の後援会主催という形で「島尻あい子 新春の集い」を開催しているが、会場費支出はいずれの団体が、どこに、いくら支払っているか?
4、「島尻あい子 新春の集い」の会場費支出について確認するが、これまで沖縄県選管に提出された政治資金収支報告書に不記載となっている事実はないか?
5、自由民主党沖縄県参議院第二選挙区支部の政治資金収支報告書には、平成26年8月と9月に、株式会社FM21に対し「放送番組代」として計3回の支出が認められる。この支出内容について、番組の買い取り代なのか広告代なのか、回答いただきたい。
6、同支部は、同年9月17日に、「ぎのわん歌謡友の会」に、広告代として20,000円を支出しているが、広告の内容について回答願いたい。
7、同支部は、平成24年7月27日に、「株式会社東開発」に対し「祝儀代」として30,000円を支出しているが、これは何のお祝いか?
まともな政治資金処理を行っていれば、回答に何日もかかるような質問ではあるまい。島尻氏の自民支部には政党助成金が公布されており、税金を使って政治活動を行っているのが現状。交付金の原資が税金である以上、説明責任を放棄することはできないはずだ。説明できないのであれば、国会議員を辞めるしかあるまい。
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