鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

220 落葉の食卓

2021-11-18 13:09:00 | 日記

近年は我が門前の銀杏がいくら散ろうとも落葉掃きもせず、疫病禍で客も無いので無為に自然に任せている。


今日はそんな落葉を食卓に敷いて初冬の彩りとしてみよう。

銀杏の色に合わせて、器は古色の出た西洋アンティークの真鍮を主に使おう。


料理は出来合いの物に一手間加えるくらいだが、減塩のためスープだけはちゃんと自作している。

銀杏落葉の暖かな色味が思った以上に効果があり、心豊かな食卓となった。

もっとも私の食べられる量はこの内3割ほどでしか無い。

ーーー食細き病者の卓を燭の色 落葉の色に染めて温もるーーー


食後の珈琲は明治大正頃を思わせる茶器で。


小さな黒猫は如何にも大正浪漫風の造形で、古赤絵のポットの草花模様と共に野の景となる。

コーヒーカップは志野の筒茶碗。

当時ハイカラだった洋式茶にも、鎌倉文士風に句歌など嗜むのが隠者の暮しだ。

今日の買物散歩時の句も仕上がった。

ーーー残菊の家が最初に灯る路地ーーー


ついでに今日の写真も仕上げておこう。


これまでたびたび出て来た、我家の隣の大塔宮首塚山。

オールドレンズのやや褪せた柔らかな色調が、地味な鎌倉の晩秋には丁度良い。

ーーー小魚は秋陽の底で向き向きにーーー


温暖な鎌倉の寺社は12月が紅葉の見頃で、その根元にはもう水仙が咲いていたりする。

温暖化の影響も大きいが、一年中花の絶えない楽園と思えばそれも諾うしかなかろう。


©️甲士三郎