10月に入ってようやく秋らしくなり、隠者も一息ついている。
これは今年が特別なのでは無くこの先終生続く訳で、もう毎年5月から9月末までは真夏だと覚悟して生きて行くべきだろう。
秋気満ちる朝、我家の猫神様が野辺の散歩を御所望なのでお供した。
(木彫猫神像 江戸時代)
草木や小動物にとって今年の酷暑は人間以上に辛かったろう。
その中でも露草は可憐に涼しげな色で秋の散歩路を彩ってくれる。
まだ酷暑の8月から咲いていて、このように10月まで咲き続けるのは珍しい。
我が谷戸ではよく見かける花だが今年は暑い日が多く散歩の機会も激減していて、秋らしい気温となった今週ようやく露草の散歩路を心から楽しむ事が出来た。
きっと猫神様も満足してくれただろう。
ーーー露草の路の行方の細さかなーーー
猫の本なら夏目漱石を避けては通れないだろう。
(吾輩は猫である 普及版 夏目漱石)
漱石の「吾輩は猫である」の初版上中下3冊揃いは100万円以上もするので、私は明治44年に出たこの普及版で満足している。
普及版と言えども天金クロス装丁の可愛らしい小型本で、表紙や挿絵の猫の絵も気が利いている豪華な物だ。
元は高浜虚子の俳句雑誌「ホトトギス」に連載されたのが初出だから、単行本の初版より「ホトトギス」を狙うのも良いかもしれない。
そして猫の本の真打ちは誰が何と言おうと「綿の国星」だ。
(綿の国星 大島弓子)
我が国の少女コミック史上に燦然と輝く猫漫画の不朽の名作「綿の国星」は、出た頃は私の周囲でも知らない人はいないくらい大ヒットしていた。
隠者はその後の詩歌小説や美術のジャンルまで含めても猫物ではこれが最高傑作だと思っている。
猫に犬蓼は無いだろうから写真の草は赤まんまと呼んで欲しい。
この赤い穂も秋の散歩路にノスタルジックな風情を加えてくれる。
我が荒庭にもちょこっと咲いているが、切るとすぐにしなだれてしまうので活け花には難しい。
私は来年から正月に暦を買ったら真っ先に8月の立秋を酷暑と書き直し、10月の寒露をもって立秋とする事に決めた。
鎌倉は10、11、12月が秋で冬は1月だけ。
2、3、4月が春だ。
予めそう決めていれば愚痴も出なくなるだろう。
そして8月9月は季節の句歌は一切作らず、猫物のライトノベルでも書いて過ごすのが良い。
©️甲士三郎