7月23日 (月曜日) 晴れ
天は人に2つの耳と1つの口を与えた。

「だから話すことの2倍だけ聞かねばならない」と、
古代ギリシャの言葉にある。
巷間にあふれる格言や名言も、
「話す」ことより「聞く」ことに重きを置いたものが多い。
▼口は自分の声を外側に押し出すもの、
耳は他人の声を内側に受け入れるもの。
耳の使い方はそれゆえ難しい。

利害の反する2人を前に、片方
そんな故実は枚挙にいとまがない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
▼東京で5歳の女児が親の虐待を受けて亡くなった事件は、
耳の使い方を誤った痛恨の事例だった。

児童相談所の職員は自宅を訪れながら、
立ち入りを拒む親の言い分をのんで引き下がっている。
暖房もない部屋で、寒さに震え続けた女児の声を聞くことはなかった。
▼「ゆるしてください おねがいします」。
覚えたての平仮名でつづった女児は、
許しを請いながら短い命を閉じた。
どれほど酷薄な親であれ、それでもすがるしかないのが虐待を受ける子供の現実だろう。
親が閉ざした厚い扉は、周りの大人がこじ開けるほかない。

▼この事件を教訓に、政府は児相の児童福祉司を今後4年間で2千人増やすという。
安全確認のための立ち入り調査もルール化されたが、
頭数の多寡だけで片付けてはなるまい。
幼い命を救うという使命感を、新たに加わる職員一人一人が共有しなければ意味はない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
▼谷川俊太郎さんの詩
『みみをすます』の一節にある。
〈ひとつのおとに
/ひとつのこえに
/みみをすますことが
/もうひとつのおとに
/もうひとつのこえに
/みみをふさぐことに
/ならないように〉。
今もどこかで幼い命が泣いていないか。
耳を澄ますべき声は扉の向こうにある。
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天は人に2つの耳と1つの口を与えた。


「だから話すことの2倍だけ聞かねばならない」と、
古代ギリシャの言葉にある。

巷間にあふれる格言や名言も、
「話す」ことより「聞く」ことに重きを置いたものが多い。

▼口は自分の声を外側に押し出すもの、
耳は他人の声を内側に受け入れるもの。
耳の使い方はそれゆえ難しい。


利害の反する2人を前に、片方
そんな故実は枚挙にいとまがない。

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▼東京で5歳の女児が親の虐待を受けて亡くなった事件は、
耳の使い方を誤った痛恨の事例だった。


児童相談所の職員は自宅を訪れながら、
立ち入りを拒む親の言い分をのんで引き下がっている。
暖房もない部屋で、寒さに震え続けた女児の声を聞くことはなかった。
▼「ゆるしてください おねがいします」。

覚えたての平仮名でつづった女児は、
許しを請いながら短い命を閉じた。
どれほど酷薄な親であれ、それでもすがるしかないのが虐待を受ける子供の現実だろう。
親が閉ざした厚い扉は、周りの大人がこじ開けるほかない。


▼この事件を教訓に、政府は児相の児童福祉司を今後4年間で2千人増やすという。
安全確認のための立ち入り調査もルール化されたが、
頭数の多寡だけで片付けてはなるまい。
幼い命を救うという使命感を、新たに加わる職員一人一人が共有しなければ意味はない。
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▼谷川俊太郎さんの詩

『みみをすます』の一節にある。
〈ひとつのおとに
/ひとつのこえに
/みみをすますことが
/もうひとつのおとに
/もうひとつのこえに
/みみをふさぐことに
/ならないように〉。
今もどこかで幼い命が泣いていないか。
耳を澄ますべき声は扉の向こうにある。

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