暗闇検校の埼玉県の城館跡

このブログは、主に、私が1980年代に探訪した中近世城館跡について、当時の写真を交えながらお話しするブログです。

噂に誘われ、行き当たりばったり無鉄砲旅① 成田氏館(熊谷市)

2017-09-01 23:53:37 | 城館跡探訪
昨日、河上氏館の記事をアップした時、わたしが最初に行った城館跡がどこだったのか思い出しました。

それが今日紹介する成田氏館です。

たしか、1982年8月2日・・・熊谷が一番暑くなる季節です。

といっても、当時の熊谷はまだ暑さ控えめで、おそらく、32度くらいだったように思います。

しかし、日差しは十分すぎるほど強かった。

当日は、10時ころに家を出て、参考知識もろくに頭に入れないまま、「案内板くらいあるだろう」と、

やみくもに、成田地区方面に自転車で突っ走りました。

成田氏の菩提寺龍淵寺というのがあり、これが、熊谷では見られないような、断崖の上にあり、

周囲は深い川、そして竜の伝説を持つ淵が背後にある、豪快なお寺でしたが、

ここには城跡がないことを知って唖然としました。

寺・神社=城館跡という、漠然とした印象を持っていたのですが、初の城館跡探訪は

早くも暗礁に乗り上げてしまいました。

ここからが、暑かった。

ロクにお金も持たずに家を出た私は水分補給もままならないまま、

炎天下の水田地帯をさまよい続けました。

龍淵寺の周囲をさまようこと2時間。

たまたま、立ち寄った自販機の傍にいたお年寄り(お爺さんだったような気がしますがはっきり思い出せない)

に「成田氏館ってどこでしょうか?」と聞くと、「バイパス渡って向うのほう」って感じで遠くを指さされました。

若干、水分を補給して元気になった私がたどり着いたのは、畜舎と一面の桑畑でした。そこに・・・・。



成田・・・というよりも星宮地区に近いという気がしました。

当時、土塁はありませんでしたが、申し訳程度の深さでしたが水堀が残っていて、それがずっと向うの方に

続いていました。

写真でもおわかりなると思いますが、クワの勢いがものすごかったです。

しかし、水堀の囲んでいる範囲はかなり広いもののように思いました。

恥ずかしい話ですが、写真を撮影した時は、暑さにやられ、かなりもうろうとしていた記憶があります。

この件でも懲りず、同じような見切り発車的突撃による失敗を2度ほど繰り返したあと、

ようやく私は、住宅地図を使って、下調べをするようになったのです。

しかしあの時の暑さ・・・・今だったら確実にぶっ倒れているでしょうね。


住宅地図で城跡探し③ 河上氏館跡(熊谷市)

2017-09-01 00:19:39 | 城館跡探訪
熊谷の北東部は、利根川の氾濫原で広く水田が広がっています。

熊谷市北東部には自然堤防を利用した城館勢喜が散在しています。

今日ご紹介するのは、河上氏館跡です。

この河上氏館跡も、住宅地図がなければ発見が難航したと思います。

この辺りは熊谷市上之という地域ですが、ここはバイパスが通っており、横断に苦労しました。

真夏の日差しの下、つばめ型のハンドルの自転車に乗り、

日差しを遮るものが無い水田地帯を延々と走るのは、苦痛以外の何物でもありませんでした。



さて、この写真、決してナス畑を撮影したものではなく、河上氏館を撮影したものです。

目的の集落に到着し、畑で農作業をしているおじいさんとおばあさんに、

「すみません。この辺りでお城の跡があると聞いたのですが」と声をかけると、

「そりゃあ、ここだぁ」と教えられてびっくりしました。お二人はこのナス畑・・・もとい、

河上氏館の地主さんだったのです。

「お堀が残っていると聞いたのですが・・・」と尋ねると、

「そりゃあ、これだ」と指さしたのは、畑の水はけをよくするためにある明渠にしか見えないもので、

写真奥の屋敷林に沿って直線的に延びており、深さは20センチもないような溝でした。

私はその他の土塁などの遺構の存在について尋ねましたが、「そういうのはもうないな」と言われたのです。

どう写真を撮ったらよいか・・・悩んだ挙句撮影したのがこの一枚でした。

現在のようにデジタルカメラがあれば、バンバン写真を撮れるのですが、当時のわたしは中学生。

フィルム代や現像代と相談しながら、この一枚で館跡と水堀を撮影したつもりだったのです。

自由研究発表の時、級友が大笑いしたのは言うまでもありません。

「ナス畑じゃん!ナス畑じゃん!」

結局、地主のおじいさん、おばあさんには、お茶を一杯ふるまわれ、恐縮して逃げるように

家路についたのを覚えています。

現在、上之にはもう一本のバイパスが敷設され、スポーツ施設建設をはじめ住宅開発が進み、

古い農家も現代風の住宅に建て替えられ、道も拡幅されて景色が一変してしまいました。

正直言って、今ここに案内しろと言われたら、かなり困ることでしょう。