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「結婚と母性、貞節を司る神・ヘーラー」

2009-11-02 14:54:38 | ギリシャ神話

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 「世にも美しい美貌の持ち主で全能の母、而してその実体は、必殺トラブル・メーカー」


 クロノスとレアーの娘であり、弟のゼウスがオリュムポスに主神として君臨すると、その妻になった(近親相姦なんて、野暮はなし。何せ神話の世界だから)。


 しかし、この正しく姉さん女房は、底知れぬ焼きもち焼きだったのだ。数々あるギリシャ神話には、ほとんど彼女の嫉妬が一枚絡んでいるといっても過言じゃあない。


 雰囲気として、いつも嫉妬で胸を焦がしているので、夫婦生活に疲れた暗い中年おばさんをイメージするけど、実は神々の女王として、さすがゼウスに選ばれただけの永遠の美女なのだ。


 永遠の美女とは、言葉の彩だけじゃあなくて、正に永遠なのだ。毎年春になると彼女は、アルゴスに近いカナトスの泉で水浴びをするんだけど、すると、その一年間に鬱積した全ての苛立ちは洗い流されて、なんと若返るんだ。しかも処女性まで取り戻しちゃうほどの効き目(世の全ての女性が渇望する垂涎もののアイテム)なのだ。


 さすがの極楽トンボ・ゼウスもこの時ばかりは、ヘーラーの元へ戻ってきたという。そしてこの上もなくロマンティックな演出をして、愛を求めたといわれているんだよ。


 ヘーラーの方もゼウスの浮気に腹を立てて家出なんかするんだけど、結局、ゼウスの元に返って来るんだ。つまり、なんだかんだと言っても二人はお互いにベタってわけだよ。


 まあ、夫婦喧嘩は犬も食わないって言うけども、はた迷惑もいいところだよ。ヘーラーの嫉妬の被害にあった人々は数知れないんだから。しかも致命的なまでの被害を……


 そんな一人が、かの有名なヘーラクレースなのさ。アルゴズの王女アルクメーネーの息子なんだけど、ヘーラーの嫉妬の標的となった。ヘーラーのヘーラクレースに対する悪意というよりは、殺意に近いかも…… は、生れたばかりのヘーラクレースにそれと知らずお乳を飲ませてしまったヘーラーは、気がつくや否や、いわゆる乳飲み子のヘーラクレースを地面に叩きつけたほどだったんだ。


 まあ、赤ん坊のヘーラクレースも生後8ヶ月で牛も飲み込むほどの大蛇を絞め殺しちゃうんだけどね(だから、心配するほどのこともなかったかも…… )。


 「12の難事」といわれるヘーラクレースの冒険譚は、ヘーラーがヘーラクレースをいたぶるために科したんだ。最もそれを克服することでヘーラクレースは世に並ぶものなしといわれる英雄になるんだけどね。(ヘーラクレースという名前は「ヘーラーの栄光」という意味があるんだよ)


 そうしてみると、ヘーラーの嫉妬は、ゼウスの息子である英雄たちを育て上げるための教育ともいえるかもしれない。だとすれば、スパルタ教育というやつだね。だから、ヘーラーは「全能の母」(教育ママ)ともいえる。



用而示之不用

2009-11-02 10:29:12 | 孫子
 「用而示之不用」


 (用うるもこれに用いざるを示せ)【始計篇】


 「使っても使ってないふりをしろ」ということ。これも詭道の一つ。
要は、「軽々しく手を内を見せるな」であって、どんなに優れた戦略・戦術であっても頻繁に見せてしまったら効果がなくなる。よって必要最小限にすべきであると、言っているのだ。


 常勝という名をほしいままにしていたナポレオンが戦いの後期において敗れてしまったのは、彼の戦術が広く知られてしまい、研究され尽くしたからともいえるわけで、自分の手の内を相手が知らないということが最大の利点であり、武器であるのだ。


 野球だってピッチャーがどんなボールを投げてくるか、予め分かっていたらバッターは打ちやすいってことだ。