「人類がとうに忘れてしまった秘密の伝承が記された書物。暗澹たる不気味な神話、邪悪かつ深遠な呪文、儀式、典礼の集大成」
・「The Book of Eibon(エイボンの書)」は、「Hyperborea(ハイパーボリア)」大陸の北方の半島であるムー・トゥーランに黒片麻岩造りの館を構え、その地の住民の間で普く名声と威信を得ていた悪名高い魔道士エイボンにより、「Hyperborea(ハイパーボリア)」の言語で記述された魔術書である。
・翻訳に継ぐ翻訳を重ねて現在に伝わったため、数多くの言語で記述された写本や手稿などが現存し、不完全な断片の幾つかがミスカトニック大学附属図書館に収蔵されている。
・現存する写本の中には、元々は猿の皮で装丁されていたものを悪魔崇拝者が、キリスト教の典礼書に使われる羊皮に取り替えたものである。
・刊行物としては、9世紀のカイアス・フィリパス・フェイバーによるラテン語版、13世紀アヴェロワーニュの魔道士ガスパール・ドォ・ノイドによる中世フランス語版がよく知られていて、15世紀には、英語版も発行されているが、誤訳が多いため信頼性は低いらしい。
・著者であるエイボンの出自のためか、巨大な白蛆の邪神ルリム・シャイコースの「Hyperborea(ハイパーボリア)」来襲や、エイボン自身が崇拝していた「Great Old One(旧支配者)」の「Tsathogggua(ツァトゥグァ)」などの「Hyperborea(ハイパーボリア)」大陸にまつわる詳しい記述が特徴的である。
・「Outer Gods(外なる神)」や「Great Old One(旧支配者)」について言及されている部分では、「NECRONOMICON(死霊秘法)」と対応している箇所が多いことが知られている。
・さらに「Abdul Alharzed(アブドゥル・アルハザード)」さえ知らなかった、もしくは故意に削除したか、翻訳過程で作為的に削られた禁断の知識、太古の呪文が記載されているとされ、神秘学者の間では「NECRONOMICON(死霊秘法)」と並び、第一級の書物と称されている。