・三幕二場
前場と同じく宮殿内、マクベス夫人が従者を引き連れて登場する。
彼女も夫と同じように、バンクォーの存在が自分たちの運命の享楽に影を落としていると感じていた。
'Nought's had, all's spent, Where our desire is got without content: 'Tis safe to be that which we destroy, Than, by destruction, dwell in doubtful joy.' (望みは達せられても、 満ち足りた安らぎが得られなければ、 何もならない、全てが無駄になってしまう。 一層殺された方が、まだ気楽です、 殺しておいて、あやふやな喜びの中で暮らすよりは)
悔恨の情は、マクベスより彼女の方に起こりやすく、とかく二人が一緒にいる時は、快活な顔を見せるのは夫人である。
ダンカン国王殺害以来、マクベス夫妻は少しずつ心が離れていく。バンクォーに対する陰謀も、マクベスは妻に相談することなしに企てた。
それどころか、彼は故意に彼女から隠している。バンクォーに対する接待について、陰謀を企てているのに優待するように言う。
マクベスは黙っているつもりだったが、用心しながら、これから起こるであろう事件(バンクォー親子の暗殺)のことについて話し始めてしまう。
'Let your remembrance apply to Banquo; Present him eminence, both with eye and tongue.' (バンクォーの前では、十分に気をつけて 目も口も敬意を忘れぬようにしてくれ)
マクベスは黙っているつもりだったが、用心しながら、これから起こるであろう事件(バンクォー親子の暗殺)のことについて話し始めてしまう。
妻は、それを聞いて驚くが、その驚きをマクベスは、彼の賢さと決断に対する賛美と受け取るのだった。
'Thou marvellest at my words: but hoid thee still; Things bad begun make strong themselves by ill.' (お前は俺の言葉に驚いているな、大丈夫だ、安心しろ。 一度悪事に手を着けたら、最後の仕上げも悪の手に委ねることだ)
目的のためには手段を選ばない。
彼の幸運は、尽きておらず、ダンカンは彼の居城に訪れ、杜撰な殺人の計画は成功し、マルカムとドナルベインは逃亡して国王殺害の嫌疑を掛けられた。
バンクォー親子は遠乗りに出掛け、陰謀のチャンスを与えられたのだ。これらはマクベスが運命の寵児であることを現わしていた。
・三幕三場
宮殿近くの森の中、坂道は宮殿に続いていたが、宮殿からは少し離れている。
三人の刺客たちがバンクォー親子を待ち伏せをしていた。
刺客たちの予想通り、バンクォーと息子のフリーランスは、馬から降りて徒歩で城へと向かう。
バンクォーと、松明を持ったフリーランスが、坂道に差し掛かった時、攻撃が加えられた。
バンクォーと、松明を持ったフリーランスが、坂道に差し掛かった時、攻撃が加えられた。
バンクォーは刺客たちの手によって殺害されるが、幸か不幸か、刺客の一人が松明の明かりを消してしまったため、フリーランスを取り逃がしてしまったのだった。
マクベスの思惑は、半ば成功し、半ば失敗した。
'Banquo is down, Fleance is fled.' (バンクォーは斃(たお)れ、フリーランスは逃げ延びた)
マクベスの思惑は、半ば成功し、半ば失敗した。
これはマクベスの手落ちではない。彼は万全を期するため刺客の数を増やし三人でバンクォー親子を襲わせたのだが、第一の刺客のへまにより、フリーランスを取り逃がしてしまう。
しかし、これこそが運命の寵児であったマクベスの運命の変わり目であったのだ。
しかし、これこそが運命の寵児であったマクベスの運命の変わり目であったのだ。