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「吟遊詩人・オルペウス」

2010-07-18 11:40:46 | ギリシャ神話

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 「愛のために、黄泉の国へ赴く男」


 「黄泉の国から、きっとエウリュディケーを連れ戻してみせる―― 」


 決意の血の涙(……か、どうかは定かではありませんが)を拭きさり、神話上、最高の詩人オルペウスの旅がはじまった。


 事の次第はこうだ。エウリュディケーは彼の最愛の妻であり、新婚の二人はこれから幸福の人生を歩んでいくはずだった。
 しかし、運命の悪戯か、美しいエウリュディケーに懸想した男がいた。その抱擁から逃れようとした彼女は誤って毒蛇を踏み、咬まれて殺されてしまう。
 可哀相なエウリュディケー。いいや、愛する妻にこんな形で先立たれ、残った夫の悲しみはいかばかりなのか。
 そうして、愛に燃えるオルペウスは決心したのだった。


 本来、生身の人間は、黄泉の国には入れないのが定めだ(そりゃそうです)。ところが、そこは天才詩人音楽家。なんたって彼が歌い、竪琴を奏でると、野獣・山川・草木・石に至るまで、その素晴らしさに聞き惚れて彼の周りに集って仲良く耳を傾けた、と言うほどなのだ。


 オルペウスの奏でる音色を前にして、三途の川の渡し守・金の亡者であるカローンは渡し賃を取るのも忘れ、かの地獄の番犬ケルベロスまで飼い犬同然、地獄の魔物どもも、襲うどころか、すっかり聞き入ってしまった。
 そうして、とうとう彼は冥界の王ハーデースと、その妃ペルセポネーの前に立つ。


 「愛する妻を返して下さい…… 」


 切々と訴える哀切の調べに、ペルセポネーは大きく心を動かされた。実はハーデースは乗る気がしなかったが、妃の口添えにやむなく心を動かす。


 「 ……わかった。ただ一つだけ守ってもらうことがある。お前はエウリュディケーの前を常に歩き、地上に帰り着くまで決して後ろを振り向いてはならん。よいか、決して振り向くな」と条件を出して許した。


 当然ながら、喜び勇んだオルペウスは、地上に向かって歩き始める。やがて彼の目に地上の光が差し込んできた。


 「やったぞ、わが妻よ!」


 地上に出て、振り向いた彼の後ろに悲しみの表情を浮かべたエウリュディケーがいた。


 「ああ、あなた……っ、さよなら…… 」


 なんと、早すぎた。エウリュディケーの足は半歩、まだ冥界にあったのだ。目の前でかき消されていく愛妻。
 同じ手は二度と効かず、こうしてオルペウスはすっかり厭世的になったとも、また川に身を投げて死んでしまったとも伝えられている。



「美しき熊少女・アタランテー」

2010-07-17 15:24:58 | ギリシャ神話

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 「欲望の快速ランナー、愛もほどほどに」


 アタランテーは純潔神アルテミスと同じく、女狩人。父親は、男の子を望んでいたために失望して彼女を捨ててしまう(おいおい)。
 可哀相に、アタランテーは牝熊に育てられ、子熊たちが彼女の兄弟姉妹だった。狼少年ならぬ熊少女というわけだ。


 アタランテーは、やがて猟師に拾われて養育される。そのため成人した彼女は狩猟を好み、またそれが上手で足も大変速くて腕っ節も強い、とてもワイルドな美女だった(当たり前か)。
 そんなものだから結婚にも、女性としてたしなみも関心を示すことがなかった。


 しかし、そんな美しくもワイルドな彼女を愛した人物がいる。自分に向けられた激しい愛に前に、心動かされないに女性はいないようで。
 その人は、メレアグロス。彼は見事彼女の心を射止めた。共に狩りをして得たイノシシの皮を、メレアグロスはアタランテーに与えるが、なんと、その皮をメレアグロスの母の兄弟が横取りしてしまったのだ。
 怒ったメレアグロスは、彼らを殺すが、メレアグロス自身も母親に殺されてしまう(この母親は、息子より兄弟の方が大事なのね……)。


 結局アタランテーの結婚はお流れに―― 。唯一愛したメレアグロスを失い、以前にも増して結婚の意志をなくした彼女だが、美女であるがゆえに周りが放っておかなかった。それ程までに美しかったのである。


 「メレアグロスは、もういない! チャンスだっ」


 求婚者は山となす。仕方なしにアタランテーは、こう言った。


 「あたしと徒競走をして勝った方と結婚しますわ。でも…… 負けたら、その首を頂戴しますから」(なんか格好良いぞ~)


 今度は敗者の首が山となす。


 「普通にやったら勝てない」


 青年ヒッポメネースは、アプロディーテーに助けを請うて一計を案じ、女神自らもいだ三つの黄金のリンゴを手に入れる。
 彼は、そのリンゴをアタランテーに追いつかれそうになると転がした。アタランテーは、黄金のリンゴが欲しかったのか、いや、彼を勝たせたかったのかもしれないが、その度にリンゴを拾って、ついに負けてしまうのだ、徒競走に、ではなく、彼の愛に(でもこの話、日本の昔話に似てませんか?)。


 さあ、結婚だ。ところがこの二人。家に帰る途中、アプロディーテーの神殿で結ばれた。家まで我慢できなかったんだねぇ…… (何をだっ!)。


 「わたくしの神殿で何をなさっているのよっ!」


 怒ったアプロディーテーは(そりゃ怒るよな……)、二人をライオンに変えてしまう。
 当時のギリシャでは、ライオン同士は交わることなく、ライオンは豹とだけ交わると信じられていた。
 つまり、二人は永遠の貞潔を強いられたというわけ。愚かということなかれ、若気の至りだね、これは…… 。



「美少年の代名詞・アドーニス」

2010-07-17 07:02:01 | ギリシャ神話

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 「愛の女神に愛された箱入り息子」


 アドーニス、愛の女神アプロディーテーに人生を翻弄された人。彼の両親は、フェニキアの王女ミュラとその父キニュラス(何ですと!)だった。
 ミュラがアプロディーテーの祭礼を怠ったために、愛の女神は恐ろしくも忌まわしい罰を彼女に与えたのだ。
 あのエロースを使って、父親を愛するように仕向けた。もちろん、これは禁断の愛―― 。激しい慕情にミュラは苦しんだ。


 追い討ちをかけるように、アプロディーテーの罰は続く。
 愛の女神は王キニュラスをだましてミュラの乳母に手引きされた婦人と共に一夜を過ごさせる。しかし、この婦人はミュラだったのだ。
 キニュラスは、その婦人が娘とは知らずに…… 。そうしてミュラは、アドーニスを身ごもった。
 自分の所業を知ったキニュラスは、ミュラを殺そうとするが、神々はミュラを木に変えて逃がしてやる。
 やがて、その木にイノシシが衝突して、その裂け目からアドーニスが生まれたのだ(自然に樹皮が割れて生まれたという説もある)。


 こうして生まれたアドーニスは、それはそれは美しい子供だった。なんたって“美少年”の代名詞―― 。アプロディーテーは一目で気に入ってしまった(やれやれ)。
 彼女はアドーニスを箱に入れてペルセポネーに渡し、養育を頼んだ。
 ところが、これがいけなかった。アドーニスのあまりの美しさにペルセポネーも魅入られてしまい、アプロディーテーに返そうとしなかったのだ。
 激しい女の、じゃあなくて…… 女神たちの争いが始まる。これは怖い。愛の女神アプロディーテーと黄泉の国の女王ペルセポネーの争いだ。
 見るに見かねたゼウスは、二人を仲裁する。判定によると、アドーニスは一年の三分の一ずつ、それぞれの女神と共に過ごし、残る三分の一を自由に過ごしていいとのこと。


 アドーニスは自分の自由に任された期間もアプロディーテーと過ごしたそうな。そこのあなた、羨ましい? まあまあ、話はまだ続く。


 アドーニスは狩猟が大好きだった。アプロディーテーが止めるのも聞かずに危険な狩猟をしつづけた彼は、ある日イノシシに襲われ、鋭い牙で突き殺されてしまう。アプロディーテーは悲嘆し、その傷から流れた血から、赤く綺麗なアネモネの花を咲かすようにしたのだった。
 花は、今でも毎春、レバノン山の山腹を美しく覆っている。


 ちなみに件のイノシシ、誰かがアドーニスを亡きものにするために送られて来たとも言われている。
 容疑者はアプロディーテーの夫ヘーパイストス、恋人のアレース、ふしだらな愛を嫌った純潔神アルテミスなどなど…… 。


 こうしてみると、アプロディーテーの愛を受けるだけで呪われていると言えるのかもしれないですねぇ。



「恋の名射手・エロース」

2010-07-16 05:59:31 | ギリシャ神話

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 「恋の仕掛け人、アプロディーテーと組めば愛憎のゴールデンコンビだ」


 その名もズバリ、“愛”の神さま、“愛”代名詞。ローマ神話ではクピード、英語読みでキューピットとくれば思い当たる人もいることでしょう。


 エロースのつがえる魔法の弓矢は金と鉛の二種類あって、金の矢で射られると、人間・神さま・老若男女、誰であろうと彼の選んだ相手を激しく恋するようになる。
 鉛の矢はその逆で、激しい憎しみを抱くようになる。


 このとんでもない弓矢を持った神さま・エロースは愛の女神アプロディーテーの息子とされている。常に彼女に仕え、彼女はエロースを、報酬と報復のため自分の手先として用いた。
 “悪戯好き”と称されるエロース。彼は喜んでアプロディーテーの要求に応えたのだ。


 幸か不幸か、この“愛憎のゴールデンコンビ”のおかげで、神や人間に恋や憎しみが数多く生まれた。
 あの太陽神アポローンや母親のアプロディーテーですら、エロースの矢には逆らえない。
 アポローンで思い出したけど、どういうわけかエロースは同性愛の守護神だったこともあるらしい(だからどうしたと言われましても…… )。


 ところでエロース、誕生には幾つもの説があって、一番古いのが、世界が成立する時、カオスから、タルタロスやガイヤと共に生まれ、原初の父母であるウラノスとガイヤの結婚をもたらし、神々や、やがて人間たちの恋や結婚を司った、という説。
 愛は美しいものを見ると自然に起こる感情なので、エロースは絶世の美青年であるにもかかわらず、この世の最も古い神さまの一人として生まれた、というのだ。
 そう考えると、愛の女神アプロディーテーより大先輩だといえるのだが、時代が経つにつれ、彼女の息子というポジションに落ち着くのだ。
 ちなみに父親はゼウス(あのヒヒ爺!)ともアレースともいわれている。


 そのエロースにも一世一代の恋があった。しかも、原因は他ならぬ自分の矢だというから世の中は皮肉だ。
 相手は美少女プシューケー。彼女の美しさはアプロディーテーを凌ぐとまで讃えられていた。
 ところが、そんなことをあの女神さまがお許しになるわけがない。


 「やっておしまい!」アプロディーテーの鶴のひと声―― 。


 プシューケーが怪物か醜男を恋するように矢をつがえろと、エロースに命じた。


 「アイアイサ~ 、あっ、しまった!」(サルも木から落ちる、というやつですか!?)


しかし、エロースは金の矢でプシューケーを射ろうとしたが、ドジを踏みその矢で自分を傷つけてしまったのだ。
 当然の如く、エロースはプシューケーを恋する羽目になった。


 そして、二人はアプロディーテーの猛烈な反対をものともせず、結婚することになるという、 ――愛は愛の神より強し―― なんてエピソードが残されている。



「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」<下>

2010-07-15 22:14:46 | リチャード・アダムス

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 『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』下、リチャード アダムズ著、神宮輝夫訳、評論社


<あらすじ>
 新天地のウォーターシップ・ダウンにたどり着いたヘイズルたち十一匹のうさぎたちは、このうさぎ村を発展させるため、様々な困難に知恵と勇気と友情で立ち向かっていく。


 村には一匹の牝もいません。これでは一代限りで、村は滅んでしまいます。そこで隣のうさぎ村であるエフラファへ赴き、うさぎの移住を持ちかけに行くのですが、そこには独裁者のウンドワート将軍が立ちはだかり、ヘイズルたちも自らの支配化に治めようとするのです。


 はたしてヘイズルたちは、この難局をどのように乗り切っていくのでしょうか―― 。




<感想>
 この物語のウサギたちは、典型的な架空の動物物語に比べると、あまり擬人化されておらず、習性や身体的能力は現実のうさぎに近い形で描かれています。
 しかし、それとは反対に精神的な面においては、彼らは高い知性を持ち、独特の言語やことわざ、さらには詩歌や神話といった高度な文化まで持つ存在になっています。
 ある意味、イソップ童話のような動物のお話とは全く種類の異なった生粋の英雄物語のような味わいをもったファンタジーです。
 最後のエピローグは、ちょっぴり感動してしまいました。