ロサンゼルスにあるTLCの店を訪れてからこの8月で10年の歳月が過ぎる。今では彼の店も移転して拡張し、彼のブランドであるICONは定着して業界のアイコン的な存在となった。彼の業績は彼がユーチューブ等で紹介する車両に表れており彼の思考(指向)は形となって表現され続けている。10年に渡る彼の実績を時間の幅を意識して捉えてみると、彼が四駆に対し求める姿勢には一貫性がある事が理解出来る。おそらく、彼の手掛けるクルマが人々を惹きつける最大の魅力はここにあると思う。現在、TLCに仕事を依頼すると少なくとも3年は待たされる状態。更に、ICON の製作時間はそこから18ヶ月の時間が掛かる。そのスケジュールもアイコンの人気を表している。
この夏、ENGAGE という新しい四駆雑誌が創刊された。この創刊誌の表紙を飾っているのがジョナサンワードが手掛けたアーリーブロンコであり、彼の事が紙面で紹介されている。彼に対する記事が示唆に富んでいるので一部紹介したいと思う。
彼が若い頃の経験。アフリカのケニヤにおいて駆っていたランドローバーがぬかるみでスタックした。周りには野生動物が徘徊し腹を空かしたライオンの群れが我々に関心を寄せていた時にランドクルーザーが現れてぬかるみからランドローバーを引き上げてくれた。命が助かって、御蔭で無事にロサンゼルスの自宅に戻る事が出来た。その時からランドクルーザーの虜となった。彼はアフリカやアジア及びオーストラリアを旅してランドクルーザーが過酷な環境の中で活用されている事を実感した。ランドクルーザーはクルマのクオリティが異なり、生と死を分ける様な境地でこそ選ばれ活用されていた。1996年にTLCを創業した時はこのランドクルーザーの持つ本質を追求し、ビンテージランドクルーザーのパーツ、サービス、レストレーションが主流’の業務であった。そこには、あのケニアのブッシュで境地から救い出してくれたランドクルーザーの存在があった。創業してから10年の歳月を経過して、ランドクルーザーのレストレーションから展開してきたのが現在のICONである。ビジネスの規模は大きくなり創造性を駆使した斬新なクルマを手掛ける現在でも、ジョナサンワードの心の底にはケニアでのランドクルーザー(おそらく40系)の記憶が生き続けている。