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中国の古典編―漢詩を読んでみよう(11)漢代(3)司馬相如-楽しい読書297号

2021-07-01 | 本・読書
 ―第295号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2021(令和3)年6月30日号(No.297)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(11)漢代(3)司馬相如」


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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2021(令和3)年6月30日号(No.297)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(11)漢代(3)司馬相如」
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 「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」の10回目。

今回も引き続き、漢代の英傑たちの作品から紹介します。

 今回は漢代の英傑、二大文化人の一人・司馬相如の作品から。

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◆ 楚調の歌 ◆
 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(11)漢代(3)
  漢代の英傑たち
  ~ 司馬相如 琴歌二首 ~
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今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社
「三、楚調の歌――漢代の英傑たち」より


(画像:書影(タイトル部分)『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』(江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20))

 ●漢の武帝全盛時代の二大文化人の一人・司馬相如

(略)

 ●司馬相如「琴歌二首」

「琴歌 二首」

  其一 鳳兮鳳兮  其(そ)の一(いち) 鳳兮(ほうや)鳳兮(ほうや)

 鳳兮鳳兮帰故郷  鳳(ほう)や 鳳(ほう)や
           故郷(こきょう)に帰(かえ)る
 遨遊四海求其鳳  四海(しかい)に遨遊(ごうゆう)して
           其(そ)の鳳(ほう)を求(もと)む
 時未通遇無所将  時(とき) 未(いま)だ通遇(つうぐう)せず
           将(ひき)ゐる所(ところ)無(な)し
 何悟今夕升斯堂  何(なん)ぞ悟(さと)らん 今夕(こんせき)
           斯(こ)の堂(どう)に升(のぼ)り
 有艶淑女在此房  艶(えん)たる淑女(しゅくじょ)有(あ)り
           此(こ)の房(ぼう)に在(あ)らんとは
 室邇人遐毒我腸  室(しつ)邇(ちか)く 人(ひと)遐(ちか)く 
           我(わ)が腸(はらわた)を毒(どく)す
 何縁交頸為鴛鴦  何(なに)に縁(よ)つて 頸(くび)を交(まじ)へて
           鴛鴦(えんおう)と為(な)らんや 

冒頭の三句では、「伴侶がいなくて困っている」と自分の現状を述べ、
後ろの四句では、「伴侶となる人が見つかった」と喜びを述べます。

 私は鳳(おおとり)だ、鳳だぞ。今こそ故郷に帰ってきたのだ。
 今まで広い世の中、
 四方八方をさまよい歩いて伴侶となる雌の鳳を探し求めていたが、
 まだ出会いの時に達せず、連れて来る相手はいなかった。

 思いもよらないことに、今夜この広間に入ったところ、
 うるわしい乙女が部屋におられたのだ。
 二人の距離は近いのに、あなたの存在は遙かに遠く、
 私の胸を焦がし、痛めつける。
 私はどうやってあなたと親しくなり、
 鴛鴦(おしどり)のような仲のよい夫婦になれるのでしょうか。

「鳳凰」は、想像上のおめでたい鳥のことで、「鳳」は雄、「凰」は雌。


  其二 皇兮皇兮   其(そ)の二(に) 皇兮(おうや)皇兮(おうや)

 皇兮皇兮従我棲  皇(おう)や 皇(おう)や
           我(われ)に従(したが)って棲()すまん
 得託孳尾永為妃  孳尾(じび)を託(たく)するを得(え)て
           永(なが)く妃(ひ)と為(な)らん
 交情通体心和諧  情(じょう)を交(まじ)へ 体(たい)を通じて
           心(こころ)和諧(わかい)せん
 中夜相従知者誰  中夜(ちゅうや) 相(あ)い従(したが)はん
           知(し)る者(もの)は誰(た)ぞ
 双興倶起翻高飛  双(なら)び興(お)き 倶(とも)に起(た)ちて
           翻(ひるがへ)って高(たか)く飛(と)ばん
 無感我心使予悲  我(わ)が心(こころ)に感(かん)ずる無(な)くんば
           予(われ)をして悲(かな)しましむ

前半三句が直接の愛情告白で、
後半三句は「じゃあどうするか」という具体的な提案です。

 凰よ、凰よ、あなたもおおとりだ。
 私について来て、一緒に暮らそうよ。
 あなたに育児やお産を頼むことができて、
 いつまでも女房どのになって頂くことができたらなあ。
 仲よく共に暮らせば、二人とも心が安らぎ、くつろぐだろう。
 さっそく今日、真夜中に連れ立って行こうよ。
 それに気づく者はだれか、誰も気づきはしないさ。
 夜中に共に目覚め、一緒に出かけて、
 さあ、ひらりと舞い上がって高く飛んで行こう。
 この気持ちに応じてくれないのなら、私を悲しませることになるよ。

「皇」は「凰」と同じで、雌のおおとり。
「孳尾」は、子供をたくさん産んで育てること。

(略)

 ●「白頭吟」伝・卓文君

白頭吟  白頭吟(はくとうぎん) 伝 卓文君(たくぶんくん)

 皚如山上雪  皚(がい)たること
         山上(さんじょう)の雪(ゆき)の如(ごと)く
 皎若雲間月  皎(きょう)たること
         雲間(うんかん)の月(つき)の若(ごと)し
 聞君有両意  聞(き)く 君(きみ) 両意(りょうい)有(あ)りと
 故来相決絶  故(ことさら)に来(きた)りて相(あひ)決絶(けつぜつ)す

 今日斗酒会  今日(こんにち) 斗酒(としゅ)の会(かい)
 明旦溝水頭  明旦(めいたん) 溝水(こうすい)の頭(ほとり)
 躞蹀()御溝上  御溝(ぎょこう)の上に躞蹀(しょうちょう)すれば
 溝水東西流  溝水(こうすい) 東西(とうざい)に流(なが)る

 淒淒復淒淒  淒淒(せいせい) 復(ま)た淒淒(せいせい)
 嫁娶不須啼  嫁娶(かしゅ)に啼(な)くを須(もち)ひず
 願得一心人  願(ねが)はくは一心(いっしん)の人(ひと)を得(え)て
 白頭不相離  白頭(はくとう)まで相(あひ)離(はな)れざらん

 竹竿何嫋嫋  竹竿(ちくかん) 何(なん)ぞ嫋嫋(じょうじょう)たる
 魚尾何簁簁()  魚尾(ぎょび) 何(なん)ぞ簁簁(しし)たる
 男兒重意気  男兒(だんじ) 意気(いき)を重(おも)んず
 何用銭刀為  何(なん)ぞ銭刀(せんとう)を用(もち)ふるを為(な)さん


四句ごとの段落で、
第一段は「自分は強い決意をもってここにきた」とはっきり伝えます。

 私の潔白なこと、あの山の頂の雪のように真っ白です。
 私の心が澄み切っていること、雲間から射す月の光のようです。
 最近聞いたところでは、あなたは浮気心を起こされたそうですね。
 そこで私は思いきって、お別れしに参りました。
 
「両意」は、二つの心、私と別の女性、その両方を愛する心、浮気心。

第二段は、別れの面会の場面で、
お酒を飲みながら話し合い、外を散歩した。

 今日ここで別れの杯を交わし、
 明日の朝、お堀の側でお別れしましょう。
 お堀の側をとぼとぼと歩いておりますと、
 その水は東と西に分かれて流れて行きます。

第三段は、自分の心を、未練があるようにほのめかす。

 私は寒さが身にしみます。
 いま私たちが二人で歩いているのが
 嫁入りや嫁迎えにかかわることならば、
 私は泣いたりする必要はないのですが。
 それにつけても誠実なお方を伴侶にして、
 白髪になるまでご一緒したいものです。

最後の第四段は、相如に対するからかいと戒めです。

 竹の釣竿は魚に引っ張られて、
 まあなんとしなしなとしなっていることでしょう。
 釣り上げられた魚の尻尾は、
 なんとまあびくびくと跳びはねていることでしょう。
 男性というものは心と心の通い合いこそを重んじるものでしょう。
 どうしてお金なんかを使って事を有利に運ぼうとするのですか。


ここでは『詩経』の影響が見られるといいます。
『詩経』で、魚を釣るといえば、男性が女性の愛情を求めるたとえで、
それを利用して「あなたはその魚に振り回されてしなっている」と
滑稽味のある表現です。

最後に、「金を積んで女性を引きようせようなんて、
あなたはなさいませんよね」とダメを押し、釘を刺している、
と解説されています。

(略)

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 ● 漢詩の入門書等を読む

★『漢詩入門』一海知義/著 岩波ジュニア新書 1998.6.22


▲★『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
―漢詩の歴史をたどるシリーズ全4巻。第1巻は『詩経』から屈原の
 『楚辞』、漢や三国時代を経て東晋の陶淵明まで。
 俳優・声優の江原正士が専門家の宇野直人を相手に、代表的な詩
 を対話形式でわかりやすく読み解く。


★『漢詩入門』入谷仙介/著 日中出版 1979/01
―漢詩の有名作をたどりながら、その歴史と構造を解く漢詩入門。


 ▲マークは、本文で取り上げた本
 ★マークは、筆者のおすすめ本です。本選びの参考にどうぞ。
 (基本的に、筆者が“偶然”手にしたものを取り上げています。)

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(11)漢代(3)司馬相如」をお届けしています。

今回は、男女の恋歌の紹介です。
詩の部分のみ紹介しています。

それ以外の解説等は本誌をご覧ください。

 ・・・

では、詳細は本誌で!

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(11)漢代(3)司馬相如-楽しい読書297号
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