チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」抜粋
バレエ音楽「眠れる森の美女」抜粋
バレエ音楽「くるみ割り人形」抜粋
指揮:エフレム・クルツ
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団
LP:東芝EMI(SERAPHIM) EAC-30029
このLPレコードは、チャイコフスキーの三大バレエ曲「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」からの抜粋を、エフレム・クルツ指揮フィルハーモニア管弦楽団が演奏したもの。第1曲目の「白鳥の湖」は、モスクワのボリショイ劇場からの依頼により作曲した4幕の作品で、初演は1877年。①第2幕から情景:月光を浴びた夜の湖畔、このバレエの中で最も美しい場面で、白鳥のテーマをオーボエが奏でる。②ワルツ:ワルツを踊って王子の成年式を祝う。③グラン・パ・ド・ドゥ:白鳥の王女と王子の踊り④4羽の白鳥たちの踊り:オーボエ二重奏の調べに合せて、白鳥の侍女4人が腕を組んで踊る。次の第2曲目の「眠れる森の美女」は、ロシア帝室劇場の依頼で、17世紀のフランスの童話作家シャルル・ペローの童話「眠れる森の美女」を基にして書いた3幕・4場の曲。①序奏ーリラの精:リラの精は、オーロラ姫の眠りを覚まさせる役。②パ・ダクシオン:バラのアダージョとヴァリアシオンの踊り。③ヴァルス:オーロラ姫の16歳を祝って集まった村人のワルツ。そして第3曲目の「くるみ割り人形」は、ホフマンの童話を基に、1892年に作曲された2幕・3場の作品で、毎年、クリスマスの季節に上演されることが多い曲。①小序曲②行進曲③金平糖の精の踊り④チョコレートの精の踊り⑤アラビア・コーヒーの精の踊り⑥お茶の精の踊り⑦葦笛の踊り、と楽しい踊りが続き、最後に華やかな⑧花のワルツで締めくくられる。これらのチャイコフスキーの三大バレエ音楽を指揮するが“バレエ音楽のスペシャリスト”と言われたエフレム・クルツ(1900年―1995年)。クルツは、ロシアのサンクトペテルブルクに生まれ、ペテルスブルグ音楽学校およびドイツのベルリン音楽学校で学んだ。1932年から10年間、モンテカルロ・ロシア・バレエ団の常任指揮者として欧米各地で演奏旅行を行った。1944年にアメリカの市民権を取得。カンザスシティ・フィルハーモニー管弦楽団やヒューストン交響楽団で指揮した。その後、イギリスにわたりロイヤル・バレエ団の指揮者としても活躍。日本にも三度来演している。このLPレコードでのクルツの指揮は、“バレエ音楽のスペシャリスト”らしく、全曲を通して軽快な踊りの軽やかさが響き渡る。この軽快さは、交響曲や管弦楽曲を得意とる指揮者では、到底出すことが不可能な領域まで達している。これは、やはり、エフレム・クルツは“バレエ音楽のスペシャリスト”だったことを再認識させられるLPレコードだ。(LPC)