しがないハナシ。

日常で感じたことを、ぽつぽつと更新中。

冷血

2015-06-28 15:26:14 | 
がっつりした本が読みたくて
ノンフィクション・ノベルを

言わずと知れた、トルーマン・カポーティの『冷血
2006年に出版された新訳版


アメリカ、カンザスの田舎で起きた
一家4名惨殺事件の取材を元に書かれたノンフィクション小説。
5年の歳月をかけて行った取材を元に書かれているだけあって、かなり骨太。
こんなん書きあげたら燃え尽き症候群になってまうわ。

被害者達がどのような家族で、どのような暮らしをしていたのか、
犯人の生い立ちから犯行に至るまで、そして刑が執行されるまでを
ノンフィクションのように淡々を書き綴ってます。
私は、元の事件を知らないので、どこが脚色されているのか分かりませんが、
犯人の罪の意識の薄さのようなものが、気味悪い感じでした。

台所で読んでいたら、
父が「お、新訳でないか」と言っていた。

アグルーカの行方

2015-04-12 15:18:50 | 
「アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極/角幡唯介」を読んだ。
以前、本ブログでも取り上げたが、本作品は2013年講談社ノンフィクション賞を受賞している。



表紙をめくって、北極点を中心に地図を見ると、
「北極圏て、こんな形になってるんだな」と思った。


1845年 英国フランクリン隊は、ヨーロッパとアジアを結ぶ
北西航路を探し求めて航海に出た。
(当時、アフリカの喜望峰はポルトガル、南米のマゼラン海峡はスペインに、
中東を通る陸路はトルコ系商人に抑えられていたため高い関税を支払う必要があった)
フランクリン隊の派遣はかなり大きな国家事業だったが、129名全員が死亡。
帰還者がいない、残った記録が非常に少ないこともあって、
この航海は大きな謎となっている。

著者は北極バカの相棒と供に、フランクリン隊の足跡を辿る3ヶ月の冒険に出た。
21世紀の地図上の空白が失われた現代、
アプローチの方法を変えることで『探検』に挑む。
しかし、この時代にこんな冒険をしてる人間がいるなんて!
その精神力の1%でもいいから分けて貰いたい。

本書を2/3くらいまで読み進めたところで、気付いた。
文章の構成は、自分の旅と先人のそれを引き合いに出しながら物語を紡ぐ、
という角幡スタイルだが、上手い、文章が上手すぎるのだ。何この安定感。
しかし、著者は、もうこのスタイルを手放したいそうなので、
次の作品はまた雰囲気が変わるかもしれませんね。


大きな旅にはタイミングが必要になってくる。

そう、その通りなのだ。
世界情勢、感染症、環境の変化、自分の気持の変化など、
次に行きたい!と思ったときに、そこへ行けるかどうかは分からないのだ。
と、いうことで、次の渡航先を決めた。
この本を読んだ後だと、とっても平凡な旅のように感じるけれど、
同じく言わせてもらいたい。

旅は今しかできないものなのだ。

雪男は向こうからやってきた

2014-09-23 22:14:37 | 
最近、めっきり読書ペースが落ち気味。
読書の秋ということで、
読書量を増やしたいところだ。


『雪男は向こうからやってきた/角幡唯介』を読んだ。
雪男という、なんとも微妙な生き物をテーマにしているが
立派なドキュメンタリーなんである。

雪男、いたら面白いよな~、
くらいの気持ちで読み始めたが、
登場人物たちの、人生と命を懸けた
雪男捜索への熱に充てられ、
雪男が実在するかのような錯覚に陥ってしまった。

その正体を知りたいような、
知らない方がいいような。


あと、本文の中で、『栄光の岩壁/新田次郎』の
モデルになった芳野満彦の話がでてきた。
先日滞在した、山小屋で同行者の山男が
『栄光の岩壁』について、
熱く語っていたことを思い出した。
自分の日常のささいな出来事が、
読んでる本にリンクしてたりするのは嬉しい。

そちらは、なかなか、読むのにかなり
体力と気力を使いそうな超骨太作品なので、
そのときが来たら読みたいと思う。

叫びと祈り

2014-05-16 19:57:26 | 
旅行記の前に、旅行中に読んだ本について。

文庫化されるんだろうか…?
と待ち続けて3年。

梓崎 優氏デビュー作のミステリ短編集『叫びと祈り

「砂漠を走る船の道」と「叫び」が良かった。
というか、個人的に設定というか、
話の舞台がどストライクすぎた。

「砂漠を走る船の道」は
ダナキル砂漠の塩のキャラバンを彷彿と
「叫び」はアマゾンに分布する少数民族、
ヤノマミやピダハンを思い出した。
(何コレ!?、私が読むために書かれたのか!と思った)

舞台と事件とその動機、あと文化が
良い具合に織り交ざっているミステリ2本。

但し、他の3本の短編は、
物足りない感じだったのが残念かな。


さて、今から旅行の日記を書きます。
何から書こうかしら…?

観光

2013-12-30 23:35:14 | 
ようやくクリスマスの飾りを撤去しました
さよなら、また来年



ボーっとしていたら、あっという間に今年が終わりそうです。

ゆるりまいさんの『わたしのウチにはなんにもない。』を読んで、
おもむろに部屋の掃除を始めてしまいました。
明日中に終わるんだろうか…

とりあえず本棚の整理を実施。
かなり定期的に入れ替えをしてるんだが
何故すぐにいっぱいになるのか。

今年は、旅行のガイドブックもたくさん処理。
しかし、アート系の大型本の整理にはなかなか踏み込めず。

そんな中、今年私が出会った小説No.1は
ラッタウット・ラープチャルーンサップの『観光』
出版自体は2010年だけど、今年読んだので。


こいつはすごいです。
著者はタイ系アメリカ人なので、いわゆる移民文学ですが。
アメリカを通してタイをみると、こんな感じなのかな?と。
翻訳モノですが、透明感がすごいです。
アジアの空気感を感じつつ、みずみずしい文章で、
なおかつ、ヒリヒリと痛い。
翻訳も素晴らしいのだろうね。
マイ・ベストの棚に、追加です。

あと、東南アジアが舞台だからか、
トラン・アン・ユンの映画『夏至』を思い出しました。


さて、明日はクローゼットの整理
着る服無くなってしまうかもしれん。