今宵の一枚はマイルスのThe man with the horn。レーベルはCBS SONY、録音は1981年2月、3月。6年の沈黙を破ってリリースされたアルバム。非常に複雑というか参加メンバーが多く、2組の組み合わせがあり1枚にまとめるには、無理があるようで、聴いていて統一感が乏しい。A面のマイルスはあまり元気がなく、正直印象が薄い。ギターが音が耳につく。B面はタイトル通りで、マイルスが吹きまくっている。お勧めというか、他の5曲とは別格の音質のB面最後の、URSULAがこのアルバムの価値を決定している気がする。マイルス以外ではアル・フォスターのドラムが出色。音が点ではなく面で独特のウネリを伴って紡がれ、切れ間がなくヒタヒタと押し寄せてくる。それでいて、他の楽器とのバランスが絶妙で、浮き上がることなくグループ全体のリズムを支えている。
以前にも書いたが、1950年代の音質の良いモノーラル版ばかり聴いているので、薄味でマルチモノーラル録音の粗が見えてしまう。ステレオ録音はたしかに画期的ではあるが、あまり多重録音されすぎ、新しくなればなればなるほど演奏の熱気が聴けなくなってくるのは残念な限り。クルマもオートマチックが当たり前になり、7、8段ミッションが普通になり省エネで小排気量ターボが全盛の今日、マニュアルミッションでステアリングを握るほうがどれほど、運転が楽しいか改めて感じる。運転は楽だが、大事なものが殺がれてしまった。
最近はより古典的なキャブ仕様の車に魅せられている。
技術の進歩て人間にとって本当に幸せなことなのかな。便利になった反面失ったものも多い。smartphoneやtabletなんて、なくても生きていける。
side A
1.Fat time
2.Back seat betty
3.Shout
side B
1.Aida
2.The man with the horn
3.Ursula
(personnel)
Miles Davis(tp)
Bill Evans(ss)
Randy Hall(3/5)(key,vocal,guitar)
Robert Irving III(3/5)(key)
Mike Stern(1)/Barry Finnerty(guitar)
Marcus Miller/Felton Crews(3/5)(bass)
Al Foster/Vince Wilburn(3/5)(drums)
Sammy Figuer(perc)