今宵の一枚はDuke Jordanの「危険な関係」。録音は1962年1月、レーベルはEgmont。言わずと知れたフランス映画「危険な関係」のサウンドトラックである。tpとtsの印象的な冒頭の旋律は、幾度となく繰り返されるフレーズ、とにかく耳に残る。A面2曲目のArt Taylorが奏でるdsのフレーズも、原初的なリズムが想起され引き込まれる。Dukeのpianoは例によって朴訥で一音一音確かめるが如く、弾かれる。彼の演奏だと一聴して判明。特異なのだ。勝手なことを言わせてもらうと、映画とサウンドトラックがまったく合っていない。どうしてもこの音からあの映画の思いだせない。ハッキリ言って場違いな感さえある。同じジャンヌ・モローが演じた「死刑台のエレベーター」とはえらい違いだ。後者は映像と音楽がこれ以上ないほどマッチし、Milesのtpを聴くと瞬時に映画のワンシーンが浮かぶ。渾然一体といっても過言ではあるまい。ロジェ・ヴァディムはどうも音楽のセンスが悪いようだ。ルイ・マルは完璧。
オーディオ的には素晴らしい録音。とりわけ左右に綺麗に分離する定位が秀逸。クリアーでリアルな響きも魅力的でラッパ類が輝いている。
A side
A1 No Problem (Part 1)
A2 No Problem (Part 2)
A3 No Problem (Part 3)
B side
B1 Jazz Vendor
B2 Subway Inn
B3 The Feeling Of Love
B4 The Feeling Of Love (Part 2)
personnel
Duke Jordan (Piano, Composed)
Eddie Kahn(bass)
Art Taylor(drums)
Charlie Rouse(ts)
Sonny Cohn(tp)