ママラボ➕(ぷらす)

摂食障害からの回復を目指して 月一zoomで12ステップミーティングをしています 次回は2021年9月26日

「原点に戻る」

2022-12-07 23:20:00 | 傷を愛せるか
p210
…「トラウマ研究はいつから、戦っても傷つかない人間を増やすための学問になったのだろう」…


p222
「何にもならないのはわかるよ。何にもならないことの証としてでも巻いていこうよ」…包帯クラブの活動で、なぜだめなのか。

傷として名づけること。
手当された風景を残すこと。
それでも「何にもならないこと」もあるという事実を認め、その「証」を残すこと。

「手当された風景」3.

2022-12-06 11:54:00 | 傷を愛せるか
p216

そうやって、他者の傷や痛みを知ることで、彼女たちの世界は広がっていく。自分の傷つきや繊細さにのみとらわれて、こわばっていた内面が、ゆっくりとほぐれていく。
けれど、やがて…「何も変わらずにがっかりした」「かえって腹が立った」「結局わたしの傷で遊んだだけでしょ」…

ワラは学校で事情聴取を受ける。そこで彼女は「自分たちではない」と堂々と否定する。

自分たちが巻いたのは、「薄汚れた布」ではなくて真っ白な包帯であり、自分たちが残したのは「いちじるしく汚れた景観」ではなくて、〈手当てされた風景〉なのだという確信があったからだ。

「手当された風景」2.

2022-12-05 15:51:00 | 傷を愛せるか
p215
迷いもある。打ち明けられた相談は正直なものか、と疑う。…

自分が万引きしたせいで文具店がつぶれたんじゃないかと悔やむ子のメールが来る。要望に応じたら、万引きした人間を許すことになってしまわないかと疑問が出るが、

「でも、うちらが、人を裁くこともできないよ」

と話し合って、考え直す。



「手当された風景」1.

2022-12-04 20:39:00 | 傷を愛せるか
p214
傷の記憶が抹消されていく流れに、もっとささやかなレベルでだが抵抗し、景観を聖別・選別しようとする動きを描いた作品がある。天童荒太作『包帯クラブ』である。…傷ついた人からの相談をネットで募って、傷ついた場所に包帯を巻きに行き、〈手当された風景〉をデジタルカメラで撮影し、相手のアドレスに送るという活動を始めるのだ。

p215
彼女たちは包帯を巻くことで、すべての傷を癒せるわけではないことを知っている。
「巻けます、効きます。人によります。」
いろんな傷がある。傷つけられた傷だけでなく、傷つけてしまった傷、友人が傷つけているのに気づかず追いつめてしまった傷、傍観者としてなにもできずに見ているしかなかった傷など…