人間の北側

p236

もう誰からみてもまったく反省していないという人ほど更生していくってな。

p238

南側は太陽があって、みんな元気いいの。北側はお日様のあたりが少ないから本当の姿を見せるのさ。

発見

p212

彼女の「罪悪感の研究」で私がいちばんおもしろかったのは、精神科医をはじめ看護者の必至の治療やケアをいちおうは受け入れながらも、じつは彼女自身が「治りたがっていなかった」ということを発見したことである。

農薬と脳薬

p210より

「抗精神病薬の処方についての国際比較研究」によると、抗精神病薬の使用量と農薬使用量(2002年、OECDのデータ)の国際順位は見事に一致する。日本がどちらもダントツ一位、二位が韓国。

…患者というリンゴは、そのデリケートさからたくさんの"脳薬"を処方され、それによって余計に生きづらさが増すという悪循環に悩まされてきた。

良い人ばかりでは場は成り立たない

p198

ここで大切なのは、その場の肯定的な雰囲気を構成する人たちが、決して良き理解者の集合体ではないことである。無理解な人たちも含めて、いろいろな人がいるということが不可欠なのだ。

生命という制約

p195

過酷な競争を勝ち抜いた強い精子を受け継ぐことが、男性を絶やさないための必須の条件ならば、戦うことを好むオスの性質は、生物学的に規定された哀しい本能なのかもしれない。その番組を見て私は、日常的には自覚することのできない生命という悠久の営みの制約を人は生きていると感じずにはいられなかった。