ママラボ➕(ぷらす)

摂食障害からの回復を目指して 月一zoomで12ステップミーティングをしています 次回は2021年9月26日

「本当の非日常の話」1.

2022-11-27 10:36:00 | 傷を愛せるか
p188 
「だれだ。飛び込みやがった奴は!」…ショックだった。「人身事故」と聞いても、同情より舌打ちをしたくなるような心理状態に東京の人々がなっていることはわかっていた。けれども、それを言葉に出すことだけは、みんなかろうじて踏みとどまってきたのではないか。


p189
車の中でさっきの若者のことを思い出し、ふと考え直した。ひょっとして彼自身、電車に飛び込みたい気持ちを抱えているのではないか、…
どこで読んだかは忘れたが、だれかに非常に腹が立つときは、自分がやりたいのにできないでいることをその人がしているからだという。

p190
我慢強い人は、我慢しない人には我慢がならないのだ。

2022-11-25 11:37:00 | 傷を愛せるか
p168
わたしはすこし離れたところから、蛇を見張ることにした。蛇がいること自体こわいが、その蛇が家のなかのどこにいるかわからないのは、もっとこわい。

p170
家に蛇が現れるのは幸運の印なんだよと、この話をした誰もがいう。
父もあのとき、こわくてたまらなかったのだろうということだ。…父親なんだから、蛇なんてやっつけられるのは当然だと、思い込んでいたのだ。

p171
『多桑 A BORROWED LIFE 』(台湾の映画)

Y字路

2022-11-24 12:41:00 | 傷を愛せるか
p162
Y字路がおもしろいのは、どちらを選んでもあまり変わりがないはずなのに、ながくあるきつづけるうちに、確実に違う方向へ向かって離れて行ってしまうことである。
軽く「じゃあ、また!」とあいさつしたら、それが一生の別れになることもある。

ただ、Y字路のもう一つの面白さは、たとえば十字路で左右に分かれたはずの友人と、その後それぞれがY字路をなん度も進んでいるうちに、いつの間にか似たようなところにたどり着いたり、思いがけない場所でばったり鉢合わせしたりするところである。

p165
人生の軌跡を長い目で見れば、ジグザグのように見えて一直線の場合もあり、まっすぐ迷わず進んできたはずなのに大きく湾曲していることもある。

それでも行きたいと思っていた方向にいつか人生は収束していくのだと、どこかで深く信じていたい。