スペースシードの集積地に到着した。
スペースシードは収穫される前の作物から回収される。
だから僕らが食べる穀物部分はもう少しあとで収穫にになるけど、スペースシードは今が収穫期。
植物はスペースシードを濃縮するのだけど、そのなかでもさらに効率の良い品種が、この穀倉地帯で生産されている。
通常の穀物の3倍は収穫できるのだそうだ。
宇宙から降ってくるなら、宇宙で回収すればいいのに。
と思うのだけれど、それだと希薄すぎて集められないんだとか。
金や銀なんかは、実は膨大な量が海に溶けているけど、それを回収するには大きなエネルギーが必要になるのと同じで、その物質を濃縮してくれる存在を置いておくほうが効率がいいんだとか。
しかし、惑星の一部でそんなに豊富に集められるのかな?
と思って端末を見ながら施設の見学を行っていく。
スペースシードの収穫は、穀物畑の上空を低空飛行する飛行隊から数百本ものチューブを垂らして、それで作物から回収する感じ。
見た目は巨大イカの襲撃みたいに見えるけど。
イカの足の部分が作物からスペースシードを回収する部分で、上の頭のところがそれを保管するタンクみたいな感じ。
一杯になるとイカは地上にある巨大なデシロックルに戻ってきて、そこに集めたスペースシードを保管して、また回収に向かう。
まるでミツバチが蜜を集めるようなかんじで、みていると面白い。
イカは人口知能で動いているらしいのだが、なかなか個性があって。
サボるのもいれば、一生懸命働くのもいる。
こんな、機械の中にもいろいろ性格が出てくるんだな。と妙なところに関心してしまった。
そうやって回収されたスペースシードは、そのまま濃縮施設に運ばれてそこでキューブといわれる形に保管されていく。
単に見た目の入れ物が四角いのでキューブと呼んでいるけど、宇宙人には宇宙人なりの呼び方があるらしい。
その現物を見せてもらった。
キューブ自体は片手で持てるくらいの大きさで、重さも軽い。
「この中に、でも300万体のデリュフス星人が満足できるくらいのスペースシードが入っているのよ。」
と先生が言う。
こんな小さなものに。
宇宙の技術というのはすごいものだ。
こうやって完成したキューブを、惑星直通の異空間ライナーに載せて送り出す。
異空間ライナーは宇宙人でも非物質世界とこちらを行き来している存在が使うもので。僕らはそれは使うことができない。
僕らは肉体とのつながりが強い種族だから。この星で生活することが基本的な生存理由になっているんだし。
スペースシードこれからしばらく回収され続けて、それで500の星の存在たちが一年暮らせるくらいの量になるらしい。
もともと、個体数が少ないというのもあるし、そんなに食べないというのもあるんだろうけど。
そんなに多くの存在がこの穀倉地帯に命を預けているのかと思うと、この場所の大切な意味が理解できてくる。
こんな田舎の畑耕していてもねぇ。とどこかで思っていたけど、
母や姉がここに暮らしているのも、これを知っているからなんだろうな。
だから、この地域に住んでいる人たちはあまり移動をしない。
この場所を守ることに誇りを持っている。
そういうことを、先生が教えてくれた。
次に連れてこられたのは、そのキューブを運び出す場所、つまり宇宙の港。
宇宙へと物質を送り届ける方法は物理的に運ぶ場合と、物質を変換して運ぶ場合とがあって、それぞれの宇宙人ごとにそれは異なっていると言う事。
地球では物質っぽくしていても、本星では非物質の存在も多くいるみたいで。
そういう人達は、キューブを運搬するときはその物質情報を転送するようなやり方を行う。
この場合、コピーではなくて、転送。
非物質的存在は、情報ですべてを交換しているので、キューブにあるエネルギーそのモノをダイレクトに使うというよりは、そのキューブにあるエネルギーの波動を使って純粋な情報交換に使っていると言う感じか。
概念が僕らと基本的に違うので、説明もなにかイメージ的な感じになってしまう。
僕らには今一つ理解できないけど、何か凄い事しているのは分かる。
こういう存在は宇宙船みたいなものは使わずに「ポンプ」と呼ばれる装置を使う。
転送装置と言えばそこまでだけど。
だから、宇宙港までわざわざ来なくてもいいような気もするけど、ある程度集めてなんでも動かした方が効率が良いので、キューブを使ったり、宇宙人の移動なんかは宇宙港ですべて行う事になっている。
この非物質型の宇宙人のところはあまり面白く無かった。地味だし。
やはり、宇宙港と言えば宇宙船。
と言う事で、次に連れてこられたのは肉体を持った、僕らと同じような肉体メインの宇宙人の移動する船が発着する場所へと連れてこられた。
皆窓に駈けよる。
広い宇宙港には、巨大な船がゆっくりと降り立ち。
そして物資を運び込んだり、その周りでいろいろな人達が働いている姿が見える。
白い船、銀色の船。
形は丸い形、三角の形が多い。それは、大気に下りてくるときに都合がいいからその形になっていると言う事。
そんな船の中で僕の目に入ったのは、空にそそり立つような巨大な白い船。
端末で見ると、それは500光年先の星から来た船だという。
宇宙での航行は肉体を持ってそのまま移動する場合、時間というものに縛られてしまうけど、この人達は次元を抜ける事で時間を気にせずに旅をしているらしい。
その仕組みは良く分からないけど、肉体をその瞬間は失くすとか、なんか、読んでいると凄そうな事が書いてある。
これは、後でじっくり調べる必要あるかな。
端末にメモをしておいた。
宇宙港は後日自由行動の時にまた来るから、その時に調べてもいいし。
今見ているのは宇宙港の陸地側。施設などが密集している場所で、ここだけでも1つの街くらいの大きさあるけど、
宇宙船は海側から出入りするので、宇宙船の発着場は海になる。
そちら側の地域も含めると、広大な地域が宇宙人との交流に用意されているという事になる。
こういうのがいくつも大陸にあるというのが凄い。
建物の向こう、遠い海の方で、何かが動いているのが見える。
これから飛び立つ宇宙船が移動しているところなのだとか。
重力を使う技術なので、一気に加速しなくても上に上がって行く。
丸い船がふわっとゆっくりと、空に浮かんで行く様は何か遠くで誰かが手放した風船が浮いているようにも見えてくる。
宇宙船の発着場は自由行動の時に見に行く予定なので、そっちでゆっくり見ようかな。
近くで見ると、もっと迫力あるかもしれないし。
あの遠くに風船見たいに見える船も、長さ5キロくらいあるって事らしい。
そして、次は宇宙人との対話になる。
今回の研修旅行で楽しみにしていたイベントの一つだ。
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