ちなみに、小説書いていて声のイメージもあるのですが。
長のイメージは池田昌子さん(銀河鉄道999のメーテルとか)。これしかない!という感じで勝手に思っております。
ちなみにヤッシュは中田譲治さん(戦闘妖精雪風のブッカー少佐のイメージなんです)イメージで書いてます。
という勝手な作者解釈も入れつつの、アトランティス中期、お楽しみに。
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次の日の朝、昼近くまで寝ていたのに、珍しくシャレは家に来なかった。
そうか、無理をしないようになってきたかな。
と思うも、少し寂しくもあったが。
議場に行くと、俺の机の上には3つのボードが並んでいた。
俺がシャレを見ると、
「そのボードの右から、今日の朝に行う事、中央は今日メインの仕事。左は午後からの仕事です。目を通してくださいね。」
と明るく言う。
そうか、こう言う事か。
つい、ニヤッとしてしまう。
資料を見ると、明らかに今までの内容と変化している。
シャレは、あの後神殿に向かったのだろう。そこで情報粒子を使う練習をして、神殿の図書から情報を得てきているし、俺の残している情報網からも情報を引き出して来ているようだ。資料の内容も、俺の意図を正確に受け入れている。
この資料を作るのに時間がかかって。だから、朝早く俺の家に来ることができなかったのか。
さすがに長には会っていないようだが、現場の役人とはやり取りしているのだろう。
まったく、この行動力、秘書にしておくのはもったいない。
そして、朝から仕事を行い、昼食は相変わらずシャレの手製弁当で済ませて。
夜になって議場へと戻って来た。
食事は議場の部屋に出前(のようなもの)を頼んでそれで済ませる。
「さて、明日の事だが。明日。明後日は特に打ち合わせも何もない。どうする?シャレは休日にするか?」
俺がそう言うと、シャレは
「議長が働くなら私も働きます。休まれるなら、私も休みます。」
と返してきた。
「しかし、君は両親も心配するだろう。若い娘が毎日朝から晩まで仕事して、おかしいと思われるんじゃないか?」
そう言うと、シャレは笑って
「良いんです。私の両親は議長の役に立ってこい、ってそれを毎日言ってますから。」
「それはありがたいが。娘の幸せについては考えないのか?」
「娘の幸せ?」
「将来の事いろいろあるだろう。」
「それ以上言うと、セクハラですよ。」
「まだ言ってないだろう。」
「だいたい、年上の男性の言う事は決まってます。すぐに結婚とかそういう事言うんですから。おじさんになったしょうこですよ。それって。」
「そうかい?」
「仕事仕事で、議長の方がお休み必要なんじゃないですか?」
「しかし、なんか仕事していないと落ち着かないのもあるしなぁ。」
「では、こうしましょう。明日は二人とも一切仕事を忘れて休んで、明後日からまた働くようにしませんか?」
「そう言いながら、君はこっそり仕事していたりしてそうだがな。」
「それは私が議長に言いたいセリフです。いいえ、そうできない方法もあります。」
「それは?」
「一緒に行動するんです!」
「は?」
「明日は朝から、仕事忘れて二人で行動していれば、二人とも休んだ事になりますよ。」
「それは、同じ面子だから仕事の延長になりそうな気がするが・・・。それに、今の状況で休んで遊んでたら、他の人に悪い気がする。」
「ならば、こうすればいいんです。」
と言って、明日の議員予定表に書きこんだ
『観光地視察』
「これなら、公共のギャロットも使い放題ですし。」
「悪知恵働くね。」
呆れて言うと。
「現状でお休みとるには、これが一番いい方法です。」
と言う事で。翌日は仕事という表向きの休日になる事になった。
・・・・・・・・・・・・・・・・長・・・・・・・・・・・
「今日はなぜお会いにならなかったのです?」
金髪の直轄役人が長に尋ねる。ここは丸いテーブルのある、いつもの部屋。
長は中央の椅子に座って、正面にあるモニターを見つめたまま
「時間が取れなかった、ただそれだけです。」
長は中央へと、今ヤッシュたちが行っている仕事の内容を報告し、それについての意見交換をしているところだった。
中央はそのやり方を新しい動きと感じ、かなり期待している様子を示してくる。そのまま引き続き計画の遂行に手助けをするように、という事だが。
「長は、この方向性に反対のようですね?」
直轄役人がそういうと、
「このままでは、融合が加速されてしまいます。それが恐ろしいのです。」
「そう、私たちの役割は、融合を加速させて行くこと。それになんの問題がありますか?」
「私の個人的な感情では、まだ受け入れられないのです。」
その言葉を聞いて、金髪の直轄役人はやさしい微笑みを浮かべて、
「それは人として仕方のないもの。その感情は大切にしてください。
ただ、その感情が今なのか、過去からのものなのか、それはご自分で判断して、受け入れていただくしかありません。
その時間を、ゆっくりと取っていきましょうか?」
その言葉に、一瞬ハッと役人を見たあと、長は目を伏せて
「そうですね。私の感情と同じように、人は大切な感情を持って生活しているのですから。
それも大切にしないといけませんね。」
と、つぶやいた
中央と各町での長どうしのやりとりも活性化し。今はこの町のやり方についての意見交換とその進め方に対しての期待度が多く語られている。
もう方向が決まりつつある。
そのなかで、私はまだ何を迷っているのでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・ヤッシュ・・・・・・・・・・・・・・
朝。家の前にギャロットがやって来た。
そこから降り立つのは、夏の軽い服を着たシャレ。
「なんだ、視察扱いなのに、そんなに砕けた服着ていいのか?」
と俺が言うと、
「観光地なのに、正装でいるほうが目立ちます!そもそも、議長はその服でいいんですか?だらしなくないですか?」
と逆に言われてしまった。
俺は普通に普段着で居るだけなのだが。おれは普段着と議長用の服しか持ってないので。その中間が無いのだ。
「まあ、いいです。観光地で正装で居られるよりはマシですか。服でも一緒に買いに行きます?」
「そこまですると、完全に遊んでいるようにしか見えないから却下。」
「今日は表向きは仕事ですけど、休日なんですから。もっと気負わずに行きましょう。」
ということで。仕事のギャロットを使って丘の公園に向かう。なんか、微妙な罪悪感を感じるが、シャレにはそういうものは無いのだろうか。
「ほら、今日もお弁当作ってきましたよ。今回は、いつものあり合わせでなくてちゃんと材料から買いに行ったんですから。」
とにこにこ楽しそうにしている。まあ、シャレが楽しいならそれでいいか。
丘の公園、と呼んでいるが、ここは神殿の近くにある草原地帯。
そこには家族で休憩できるような建物とか。夏の間だけ宿泊できる建物などがあって、人々が遊びに来るところではある。
だが、今は高潮で被害を受けた人が臨時で暮らしている場所でもあるので。
そう気楽に遊んでも居られないが。
と思いながら、ちょっと商品を売っているところなどを視察(物色)していると、
「あ、ヤッシュ議長!」という声が聞こえてきた。
そちらを向くと、少年が一人走ってきている。
「ヤッシュ議長、本物だ、なんでここに居るの?」と跳びはねんばかりに聞いてくる。
「今日はこういうところを視察に来ているんだよ。」と俺がなんとなく横目でシャレを見ながら言うと、なぜか周りに人だかりができているのに気付く。
しまった、俺が歩くとこうなるからなぁ。
特に、今は避難してきた人がここに多く来ている、それだけに、俺の高潮対策に期待している声が聞こえてくる。
そういう声を直接聞いて。それに対応して。
臨時人民会みたいになってしまったが、俺にとっては直接話ができたのでかなり収穫はあった。
丘の公園では、観光というか。何か慰問訪問したような気分になってギャロットに戻って来た。
「さすがです、議長。大人気ですね。」
そう言って、冷たいお茶(のようなもの)をシャレが差し出してくれた。
それを飲みほして。
「ここで暮らしている人々は、基本的に元の土地に戻りたいと言っている。高潮対策にある移住というところをもう少し見直す必要があるかな。」
と俺がついボードを取り出そうとすると、横からシャレに取り上げられた。
「今日は休日です。その考えは明日まとめて下さい。」
「そう言ってもなあ、忘れないうちにメモしておかないと」
「大丈夫です、秘書の私が覚えてますから。」
あ、そう。と言う感じで。
「そうか、議長はどこに行っても人が居るとそこで仕事の話になってしまうんですよね。」
「そうだな、人民に選ばれて議長しているのだから。人民との会話も仕事にはいるかな。」
「それじゃあ、確かに休めませんね。」
「休日は家でごろごろしておくに限る」
「じゃあ、今日はすみませんでした。私と一緒に出歩くと逆にお疲れでしょう?」
「そうでもないさ。今までとは違う視点で街を見る事が出来るようになる。たまにはこういうサボりもいいものさ。」
俺がそう言うと、シャレはニコッと笑った。
「それでは、人の居ないところでお昼ご飯食べますか。」
と言って、シャレはギャロットの運転手に何か場所を伝えている。
「これからどこに?」
「私のお気に入りの場所です。」
そう言って連れてこられたのは、神殿のさらに上にある草原
ふもとにギャロットを止めて、20分(くらい)歩く事で頂上に到着した。
すっかり息が切れている俺を、腰に手を当ててシャレが見ている、
「だらしないですね。議長はまだ若いんだから。これくらい普通に登らないと。」
「最近歩いてないからな。久々の運動は疲れる。」
「でも、それだけの価値がある風景だと思いますよ。」
そう言って、シャレが周りを指し示す。
そこは高台になっていて、街のすべてを見下ろす事が出来た。
海から続く田畑と家々。そして、山と森。
議場も下に見えて、その上に神殿も見える。
神殿よりも上に来た事がなかったので、この風景は初めてだ。
シャレの軽やかな服が夏の風に揺らされて、海の青と服の白がコントラストで美しく際立つ。
そして、山向こうにある東の街、も微かに見える。
「ここは、どうして見つけたんだ、とても良い場所じゃないか。」
シャレの横に立って言うと、俺を見上げて、
「ここ、あれがあるんです。」
そう言って、後ろを指差した。
そこには、巨大なクリスタルがあった。
俺の背丈の倍くらいあって、クリスタルには台座が付いていたようだが、それは風化して傾いている。
多少植物に巻かれてはいるが、巨大なクリスタルがそこにあった。
思わず近寄ってみる。
「このクリスタルは、昔街と街を結んでいた連絡用のやつか!」
はるか昔、この大陸にはあらゆる情報網が存在していて。それらはすべて情報粒子で管理されていて。その情報粒子はあらゆる人々が共通で使う事が出来た。
その時、町と町の間では、情報粒子の内容をクリスタルで総福させて送りこむということをしていたらしい。
その、連絡用クリスタル、というものが現在も大陸の何処かしこに存在しているらしいが。
資料で見たことはあっても本物は初めて見た。
「なんでこれを見つけたんだ?」
シャレに聞くと、
「いつも私の家から、夕方になると山が光ってみえていたから。それである時に登ってみたらこれを見つけたんです。」
「誰かに話したりしてないのか?」
「私の秘密の場所にしたかったから、誰にも話してません。議長が初めてですよ、ここに一緒に来た人は。」
「それはそれは、光栄なのかな。」
と、その瞬間、ある場面がふと浮かんだ。
一人の少女を前に、自分が何かを言っている。
銀の髪と緑の目の少女。
この場面は何だ?
「ここは秘密の場所なんだから」
そういう事を言っている。
これは、いつの記憶だ?
「・・・議長、ヤッシュ議長!」
シャレの声でハッと意識が戻る。
「どうしたんですか?急に眼の焦点合わなくなってたから心配しました。」
目の前には黒髪のシャレがいる。
あ、そうか。今日はシャレと休日を過ごしていたんだった。
「いや、なんでもない。この水晶の事を考えていただけだから。」
「そうですか?ならいいですけど。とりあえず、この風景を見ながらお弁当しましょう。」
そう言ってシャレは景色のいい場所にシートを広げ始めた。
この水晶と、さっきの見ていたものはなんだったのか?
食事も終わり、
次の場所へと移動中のギャロットで、
先ほど見えたイメージを思い出していた。
どう見ても今の人々の服装ではないし。あの銀色の髪も見た記憶はない。
いや、「長」の髪は銀色っぽいか。しかし目は青色だし。
長のイメージを思い出してしまう少女であったが。
あれはなんだろうか?
「議長?また仕事の事考えてます?」
とシャレが聞いてきた。いや、そうではないが。と答えて顔を見ると、ちょっと心配げな表情になっている。
「もしかして、私と居ると楽しくないですか?」
「いいや、さっきの水晶でちょっと気になるところがあったんだ。それでね。」
「水晶?何があったんですか?」
「うーん、まあ、ちょっと調べてみる必要がありそうな事。」
「私には秘密ですか?」
「まだ確実じゃないから。ハッキリしたら君にもお願するとは思う。」
そこで、シャレはちょっと上を見上げて。
「議長は、なんでも仕事の事につなげてしまうんですね。」
「それしか能が無いからな。」
「それで結婚できないんですか?」
「逆セクハラ。」
「でも、仕事もできない男よりはよっぽどいいですよ。それに、人々の役に立てるなんで。素晴らしいと思います。」
「ほめても何もないよ。」
「その仕事に、少しでもお手伝いできれば、それで十分です。」
という会話をしていると、ギャロットが目的地に到着した。
そこは海であるが、一般の人々は入れない場所である。
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