さて、ついに最終話となりました。最初から続けて読んで見たい方は、左のカテゴリ「スピリチュアル小説」から入っていただくと、これだけ読めるようになってますので。
読んでいただいた皆様、お付き合いありがとうございました。
まあ、こう言う感じで「小説風」には私も書きやすいので。この比良坂ヒーリングサロンシリーズは書こうと思えばいくらでも展開できそうですけどね。
ただし、これを読んでくれる人がいるかどうか、ってことになりますが。
同人誌にでもして売るか。
という展開もありかもしれませんけどね。
さて、一応ライトノベル風に書いてますので、ちょっと表現があっさりしてますが。こんな感じで、この二人の関係はどうなるのか。
アメリカのドラマのように、2部からいきなり新恋人が登場したり、前回の主役がいきなり死んだりしたりはしないとは思いますが。
すでに第2話は頭にあるのですが、いつ表に出てくるかはわかりませんが。
今度は妹がメインになるかな、という感じです。レトリーバル、あの世、幽霊、囚われ領域。そっちの話になる感じですかね。
さて、以前mixiに載せてた時に書いた桜火のイラストありますので、最終話にして「こんな感じの人」、というのを上げておきますね。

それでは、最終話をお楽しみください。
ご意見、ご感想お待ちしております。
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帰りは外葉の質問攻撃。駅まで歩く間にいろいろ話すことになった。
どういうふうだったの?とか祐一君は何を見たの?とか。
大体のことを答えて、自分達が兄妹であったことを話すと、外葉は笑って、
「良かったわ、今の生では兄妹じゃないから。」
と言った。
「なんで?」
祐一が聞くと
「兄妹だと、恋人にはなれないじゃない?」
と嬉しそうに笑った。
その笑顔に夕日が反射して。眩しくて祐一は外葉を見ていることができなくなった。
そして、心の動揺を隠そうとしてすっと顔を背けてしまった。
「ねぇ、御飯たべに行きましょうか?」
外葉はそう言うと祐一の手を自然に取った。
一駅先のファストフード店で二人は食事をしていた。一応、同じ高校の生徒がい無さそうな場所をチョイスしてある。
ポテトと、サラダと、サンドイッチ、などがテーブルに並び、話の内容はさっきのヒーリング中の事。
「殺されたり、兄弟だったり、過去生というか人の縁というのはいろいろあるのね。」
しみじみと外葉はそう言ってコーラを一口飲んだ。
こういう世界は見えないと理解できない世界であり。
それが存在すると証明はできないけれど、あると信じる人々にとっては真実であるのだから。
だから、この手法が必要な人もたくさんいる。
その人たちのために、自分はヒーラーとして比良坂ヒーリングサロンを開いているのだ。
と八坂は言っていた。
確かに、俺はそれで救われているのだから。
複雑な人の縁、そういうものは過去生からのつながりもあって。
それを解決するために今ココに生きているのかもしれない。
そんなことを思ってしまった。
母親と自分と、母親の彼との過去生での関係を聞いて、外葉は
「そんないろんな関係を打ち切るために、今があるのね。」
と力強く言っていた。
「及ばずながら、俺も手を貸すさ。」
「そうね、でも、もうその約束は果たされたかもしれないわね。」
そう言って笑う顔が、祐一にはなぜかまともに見れなかった。
心臓の鼓動が早まってしまうのだ。
これはなんだろうな、過去世を解放した際、意識のつながりが、きちんと切れてなかったか?
ファストフード店から外葉は母親と連絡が取れたので、今日の正也と祐一の一件を話していた。ついでに今までに母親の見ていないところでこっそり体を触られていたという話もしていた。
かなり心配していたようだったが、
最後に、電話口で
「大丈夫、私にはちゃんと守ってくれるナイトがいてくれるから。」
そう言って祐一を見てニッコリと笑った。
駅でわかれる際、外葉が手を差し出してきた。
「ありがとう、あの時手を握ってくれていて。
祐一君の手から、とても暖かい気持ちが流れて来るのがわかったの。私はそれで最後に涙が出てきたの。
私はちゃんと守られているんだな、って思って。それはガイドのメッセージかと思っていたけど、祐一君の心だったのかもしれないわね。」
祐一はその手を握り返しながら、
「過去生からの重なってきた気持ち、かな。」
「今の生は?」
「今は、今も、守ってあげるさ。」
「じゃあ、祐一君も私のガイドさんね。」
そう言って、外葉は微笑んだ。
駅からは自分一人で帰れるからと言われ、桜火も大丈夫だということを教えてくれたので
祐一はそのまま後ろ姿を見送っていた。なんとなく右手の感覚を確かめるように左手で手のひらをそっと触っていた。
「家に帰るまでに一人で考える時間も必要なんですよ。」
と桜火。
薄暗い街には街灯も灯り始め。
黄昏の中にその後ろ姿が消えるまで、祐一はしばらく見送っていた。
そして、翌日。
朝から二人は職員室に呼び出された。
当たり前である。あれだけの大立ち回りを生徒が多数見守る中でやってしまったのだから。これが桜火の言う「お仕置き」である。
二人は正直に、今回の男が現れてからのいきさつを話したが、先生の言いたいことは大立ち回りについてではなくて。
「公衆の面前で、二人が付き合っているかのような言動はいかがなものか。」ということであったので。
祐一が
「あれは、その場で宇垣さんを助けるための方便です。」
と言い切ることでその場を回避した。
こういう時は、変に言い逃れとかいうよりも堂々と正直に言ったほうが得策。と八坂からのメールに助言が書いてあったりした。。
八坂はこうなる事態を想定していたようで。メールにはその対応策のようなことも書かれていた。
男と外葉のお母さんとの関係。
今回は嘘をついて学校へ外葉を迎えに来ていたこと。
気づいた、祐一が気を効かせてその場をうまく切り抜けたこと。
それらを語ることで大丈夫。というような内容であったが。
この一件は外葉の母親にも連絡が行っていて。
昨日の夜は結構大変だったらしい。
とは外葉の後日談。
職員室から教室に戻ってくると、
まあ、盛り上がる盛り上がる。
外葉の友人たちが「比良坂君はね、外葉をさらいにきたストーカー男に真正面からこういったのよ「俺は外葉の彼氏だから。お前には渡さない!」って、もうね、しびれちゃった、かっこよくて。そのあとは手に手をとっての逃亡劇。まるでドラマみたいだった。」
などと勝手に、尾ひれもついて話を盛り上げてくれていたせいで。
外葉も祐一も、すでに「付き合っている」という既成事実が出来上がってしまったようなものだった。
「こいつ、いつの間にそんな関係に、イヤラシイやつめ! で、本当に隠れ巨乳のEカップだったのか?」
と容姿端麗の変態、井出も祐一に迫ってきた。
「そんなん知るか!」
と答えつつも、まだ携帯番号も実は知らない、とは言えなかった。
それからしばらくは「時の人」扱いだったが。
それ以上特になにもないと人は飽きてくるもので。一週間くらいでこのブームは過ぎ去ってしまった。祐一の特性「なんでも普通にしてしまう」エナジーでわりと盛り上がらないまま衰退していった感じだった。
ただ、数日間はそのせいで祐一は外葉とちゃんと会話すら出来ていなかったが、
久々に駅で会うことが出来て、その間の話を聞くことができた。
どうやら、お母さんはあのあとすぐに正也に電話を入れて、電話口で。
「嘘ついて娘に何かしようなんんて。そんな男は要らないわ!」
とすっぱり切り捨てたらしい。
その後も何度も家に来たらしいが、ストーカーが、ということで警察に連絡したら案外すぐに対応してくれて。次の日に家の近辺をうろうろしていた正也の身柄を確保してもらったらしい。
すると、正也の隠していた罪状、未成年をわいせつ目的で働かせていたり、未成年が出てくるAVの製造販売などしていたり、海外の子供を斡旋していたり。と結構な罪が表に出てきて、そのまま逮捕されて連れていかれてしまったらしい。ということだった。
「あまりにも急展開で、私たちのほうがびっくりしたわ。」
この件で外葉の母親の沙織は自分の男を見る目の無さにかなり愕然としたようで。
しばらくは一人で仕事を頑張ると宣言していたらしい。
「外葉にも彼氏できたしね。」
という事で。自分が彼を作る目的も今のところ無くなった、ということらしい。
なんだ、俺の出番ないじゃないか。
八坂が言っていたことを気にしていたが、ちゃんとそっちで解決しているじゃないか。ということで。
「祐一君が関わってくれたから、こういうふうになれたのよ。あなたが私達親子を救ってくれたことには変わりないの。だから、本当にありがとう。」
改めてそう言われるとくすぐったいものがある。
「そうそう、お母さんがね、早く彼氏を紹介しろ、だって。急にそんなこというんだから。」
そう言って嬉しそうに笑っていた。
「だから、今度家に来て。日曜とかどう?」
「ちょ、ちょっとまって。彼氏と紹介していいのか、俺で。」
そう言うと、外葉はメガネごしに上目づかいで
「あれ、あの時ははっきり言ってくれたじゃない「お母様から許可をもらってます」って。」
と言ってイタズラっぽくクスクス笑った。
そんなこと言ったかな。あの時は半分勢いで喋っていたので、内容までは覚えていない。
「あなたのせいでこういう事態になったんだから、ちゃんと責任は最後までとってもらうから、とりあえずお母さんに会ってちょうだいね。それに、まだけじめ付けてもらってないんだから。」
その楽しそうな表情は、祐一の中にあった過去世の約束を思い出させた。
そうか、そういうことかな。
光の扉の向こうで、楽しそうに走り回る、自分の妹としての外葉の表情。
それが重なっていった。
「・・・ということなんだが、どうしたらいいだろうか?」
祐一は八坂のところに、相談に来ていた。
お母さんと会うときはどういう服装がいいのだろうか?とかなんかガイド的にメッセージはないのか?とか。
八坂は
「今の自分の、そのままの姿で十分だよ。何を気取る必要があるのかい?」
と言ってゆったりと紅茶を飲んでいる。
今日は牛乳で茶葉を煮込んで、シナモンで味付けしたチャイだ。
その隣には丙も現れ
「良かったではないか、お主には釣り合わぬ器量の良い女子とつがいになれたのじゃから。」
と言う。
「釣り合わないってなんだよそれ。それにつがいって、鳥じゃあるまいし。」
「事実をそのまま言うただけじゃ。」
丙の突き放したような言葉に八坂は苦笑して。
「お母さんとも縁があるんだから。今の自分をそこで表現できれば問題ないさ。桜火ちゃんと相談してきめたら?」
と八坂は言った。
ガイドと相談して。
これは最近必ずしているのだが。ガイドに頼りすぎたらダメじゃないのか?と一度聞いたことがあったら、
「ガイドも自分なんだから。自分と対話しているってことだよ。」
ということを言われて。
それからは桜火との対話も気軽になったのだった。
「それにしても、まさかこういう展開になるとは思わなかったな。右手の痛みから。」
と空を見ながらつぶやくと、ふと八坂のメール内容、そしてヒーリングの際の言動、
それが全てパズルのようにつながっていった。
「もしかして、八坂さんは最初から俺と外葉とのつながりに気づいていたのか?こうなることを知っていたのか?」
すると、八坂は少し笑って。
「ぼくは万能じゃない。流れは見えるけど、それが実際にそうなるかまでは分からない。
わかる範囲でしか知ることはできない。
でも、今回のことは僕のわかる範囲だったからね。」
と言って細い目を更に細くした。
「そんなふうに、先がわかるくらいになるにはどうすればいいのかな?」
祐一が聞くと、八坂は
「そのために、今の人生での経験を積み重ねていくことだよ。君は今、その時期なんだから。だから、彼女のお母さんと会う、という試練も楽しんでやっておいで。」
祐一は少し考えるような顔をして、そして八坂に真剣に聞いてきた。」
「俺と外葉は、付き合っているのかな?」
その顔を見て、八坂は笑い出した。
「笑い事じゃないだろう、俺にはそれが重要なんだよ。」
「い、いや、すまない。まさか、そこが引っかかっていたとは。そんなことは今更いうことじゃ無いだろう。僕がびっくりしたよ。」
「で、どう思う?」
「それは宇垣さん本人にちゃんと聞いてごらん。」
そう言って、八坂はまだ笑っていた。
次の日曜の午後、もう梅雨に入る頃だが、空は清々しく晴れていた。。
「お兄ちゃん、今日どこ行くの?」
ポニーテールを揺らしながら、兄とは似つかない、クリッとした目のかわいらしい顔立ちの中学生の妹、沙里が玄関先で祐一に聞いてきた。
どうやら、普段見ないようにキッチリとした服で出かける兄が珍しいらしい。
靴を履きおわると、沙里に向かって祐一は一言。
「彼女のお母さんに会いに行く。」
と言って、出て行った。
沙里はしばし呆然として見送ったあと、
「お母さん!お母さん、大変、お兄ちゃんが変なこと言って外に出て行ったよ!」
と叫びながら奥へと走り去っていった。
待ち合わせはいつもの駅。
そこに祐一が行くと、いつもの三つ編みをほどいた姿で外葉が立っていた。水色のワンピースに、背中まである黒髪がゆたかに波打っていて、あどけない顔立ちにとても似合っていた。
「お人形さんみたいだな。」
祐一は小さくつぶやいた。
そして、今日はメガネをかけてないことに気づいた。
メガネを外したその姿にしばし見とれていると、
祐一の姿に気づいた外葉が手を振る。
「外葉、お待たせ。その・・・今日、メガネは?」
「メガネは、もう卒業するつもり。だけど・・・変かな?」
その少し恥じらうような仕草に心拍数が一気に上がる。
「いいや、とてもいいよ。可愛いし、その、びっくりしたけど。」
祐一は赤くなりながらも、なんとか答えた。
その答えを聞いて、外葉は笑顔を見せた。
その笑顔は、これまでのどの笑顔よりも素直でステキな笑顔だった。
すると囁くような声が聞こえてきた。
「今日は私はこれでお暇します。」
祐一が意識をそちらに向けると、桜火だった。
「若い二人の邪魔をしては、野暮というものでしょう?
二人の時間を大切にして下さいね。」
そう言って微笑んで、祐一の前髪を跳ね上げた。
そんな祐一の様子を見て外葉が、
「ガイドさんが来たの?」
と聞いてきた。その顔を見て、祐一は笑いながら
「ああ、今日は邪魔はしないってさ。」
それをきいて、外葉ままたおかしそうに笑う。
こんなに笑う子だったんだな。
祐一はこの笑顔にすっかり心奪われていた。
「じゃあ、家に来て、お母さん待っているから。」
外葉はそう言って、祐一の手を握った。
その感覚を祐一はなぜかとても懐かしく感じていた。
終
ありがとうございました
数年前から気の治療、今年の秋からヘミシンクをはじめているので
とても勉強になりました。続きも楽しみにしています(^^)