まるの日<へミシンクとミディアムな暮らし> まるの日圭(真名圭史)の公式サイト

ネコ20匹を世話するため、本を書いたりバイク乗ったり。見えない世界ととその狭間を見ながら日常を生活する一人の男の物語。

レムリアの記憶 第一章 <1 話>

2013-05-13 08:03:34 | 『日常』

えー、そういえば「レムリアの話も」と前回アトランティスの時に書いてましたが。
こちらにも改訂版を連載していくかな、という事でレムリアの小説も書き足しながらこっちにアップしていこうかと思ってます。
基本的にその国の生活様式を書くので、物語てきに第一章は「学園もの?」となりそうですが。
レムリアンシードを握った時にみえてきた風景を元にこの物語は描かれてますので。
創作というよりも、レムリアンシードの記憶、と書いたほうがかっこいいかもしれませんけど。
ひとつの物語、として楽しんでいただけましたら。
書き足しながらなんで、ぼちぼち書いていきます。

<<<<<<<<<>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


新章 レムリアンシードの記憶。

それは豊かでおおらかな。
そんな国の物語。


僕は洗面台で顔を洗って、温風で乾燥が終わるのと同時に母親の声を後ろに聞きながらすぐに外に飛び出した。
すでに寝坊しているからだ。
朝食を食べないのかとか言っているが、この状態ですでに食べられるはずが無い。

必要なものはたいてい学校に置きっぱなしなのでそんなに持ち歩くものも無いし。端末の入った軽い肩掛けカバンをひっかけて、
外にあるデシックル(自転車のようなもの。前輪一輪だけがあって、本体は空中に浮いている。動きは脳波と微細な筋肉反応で出力調整がされるので、スピードはそれほどでない。前輪は、方向を決めるための存在している。)に飛び乗った。
すると、横から何かが飛んできたので反射的に受け取ると、それは赤い果物だった。
窓のところに姉がいた。真っ赤な長い髪の毛を後ろに縛って、目鼻がハッキリとした顔立ちなので、うちの近所では目立つ容姿である。真っ赤な髪は父親譲りなのだ。
僕と目が会うと、
「ほら、それくらい持っていきな。」
と言ってにやっと笑う。これからの作業機械の整備に行くようで、まったく色気もない作業服を着ている。
食事を取っていない僕に、ありがたい心遣い。
姉に感謝して、僕はそのままデシックルで突っ走っていった。

家は10世帯くらいの小さな集落の一部にあって。
その集落を出ると、学校のある町まではひたすら畑が広がる。家は丸いドーム型をしていて、太陽光を季節によっては反射したり透過したりするような素材でできていて、周りの景色を外壁に映し出している。なので、遠くから見ると家は光をゆらゆらと跳ね返す透明な泡の集まりのようにも見えてしまう。

一面に広がる金色の畑。
山がこの地域には無いので、地平線のむこうまで畑が広がっている。

もうじきこれも刈り取りだな。
と思い、姉にもらった果物をかじりながら疾走する。他にデシックルもデシロックル(車みたいなもの)も走って無いくらい人の居ない田舎なのだ。

特に、今の時間帯は通学時間帯なので、デシロックルがあえて通学路付近を走らないようにしているのもある。

ここは広い農業地域。ここから学校までは、デシックルでだいたい15分。
しかし、今日はこれを8分(時間は、だいたいの感じで地球時間に合わせて描いております)で行かねば間に合わないのだ。

どこまでも広がる畑を見ながら、遠くに見える街の学校へと向かっていった。
秋の気配が空にも出ていて、羊のような雲が空に浮かんでいる。
この季節の空の色は好きなんだけど、今日はゆっくりとそれを見ている時間はない。

食べ終わった果物の芯をそのへんに放りやって、そして今までの記録を打ち破るスピードで疾走した。

街、は近くの30近くある集落の人たちが集まる、「仕事」と「学習」の場所。
集落では畑の管理やその地区の仕事をする女性とその子供達がいて、この街にはその仕事を取りまとめる人たちと、周囲の集落の流通や行政を司る場所でもあって。この穀倉地帯全体をまとめるために存在している場所だ。
だから、今の時間は仕事に来る大人や僕らのような学生が一気に集まってくる。

そんな人たちを避けながら息を切らして街の入口に入る。
町中にはデシックルやデシロックルは入れないのだ。
移動は全て移動する道か徒歩。

急いで外にあるデシックル止めにそれを入れて、学校までは自動で動く道に乗り換える。

そこには学校に向かう僕らのような学生、仕事場に向かう外の集落から来た大人の人なんかが乗り込んでいるので、結構混雑している。学生は学生特有の、焦げ茶色の上着を羽織っているから、遠目にもすぐわかる。
外にいるときは上着を羽織っていて、しかもそれが茶色なんで地味だけど。その分、したには派手な服を着ていたりするので、学校について上着を脱いでからは一気に教室のなかが賑やかになる。
この上着は特殊な繊維で出来ていて、雨が降っても大丈夫だし、多少の衝撃を吸収するので、デシックルで転んでも怪我をしなかったりする。
学生の安全を守るために外では着用を義務付けられているものだ。
粒子という技術を応用して作られている、と言われているけど仕組みはよくわからない。

そんな混雑した動く道を走っていては目立つし、そんな事をするとすぐに学校に連絡が入ってしまう。
個人端末からすぐに特定されてしまうので、公衆道徳に反することをするとすぐに見つかってしまう。あとで呼び出しくらうのも嫌なので、外の畑を走る間に時間を短縮しておかないといけなかったのだ。

町の中には時計台がいくつもあって。そこには大きなクリスタルの結晶が入った透明なまるい時計がある。
この時計台は時間を示す以外にも街の情報ネットワークと僕らの端末情報とを常にリンクさせる仕事もしている。
なので、大人達で時間に余裕のある人たちは時計の下に集まって端末を操作していたりするのだけど。
別に真下にいたからってそれだけ情報を得るのが早くなるものでもない。今はこの時計のネットワークが街中に整備されているのでたいていどこの路地裏に行っても問題なくリンク出来るようになっている。
昔はアンテナの近くでないとリンクできなかったことが多かったというから、その時の名残だって誰か言っていたかな。

時計の時間は光のラインで示されていて、それを確認すると、なんとか間に合いそうな時間に到達できたのでホッと一安心していると、
「おはよう!」
と後ろから声が聞こえてきた。振り返ると、それは同じ学年のセティファムだ。
濃い肌の色に、白っぽい髪の毛の色だから、一目で分かる。
僕らの居る地域は基本的に黒髪の人が多いので、白っぽい髪の毛のように、色の違うの髪の毛の人達は遠目でも目立ってしまう。
それが美人だったりすると、さらに目立ってしまうというものだ。
北の地域に特有の、青い目にスッと通った鼻筋。姉と違って、全体的に顔の作りに品がある感じなのだ。

セティファムは僕と目が合うと、ニッコリと笑って横に移動してきた。
「すっごい勢いでデシックル置き場に突っ込んできたね。」
そう言ってにこにこと笑っている。
なぜかこのセティファムとは変なところで気が合うところがあるので。
別に恋人と言うわけではないけど、仲良くしているところがある。
学校の行事で、たまたま同じチームになったときに。そこで創作ダンスを行う事になった。
その同じチーム内でなぜかセティファムと僕がその振付などを行う事になって。
しかも、それが妙に受けが良くて学校の発表会でも評価されるくらいになってしまって。

と言う事があり、それからなんとなくつながりを持っていたりする。

これだけ美人だと他の男子も放っておかないものだが。
やはり僕と気が合うということで、結構「変わっている」女の子なので。
なかなか気を引くのは難しそうだ。

学校は、「第1学校」では男女同じ空間で基本的な学びを行って、僕らの居る「第2学校」では男女別の建物でそれぞれの学びをおこなう。しかし、授業ごとに共同で行う事も多いので、そんなに分かれている感じはしないけど。
第2学校の3年間は、ここで男女わかれて、次の「第3学校」ではまた同じように一緒の空間で、学ぶ事になる。

「第一学校」は各集落内にある小さな感じなんだけど、この第2学校からこの町にあるので、いろんな集落からみんな集まってきていた。

中央に「町」があって、その周囲に農業地帯が広がって。
その途中途中に集落が点在し、それぞれにまとまって生活している。
セティファムの集落は僕らの集落と町を挟んで反対にあるので、これまで行った事の無い集落の1つでもある。

何度か、セティファムにも遊びに来ないかと誘われてはいるのだが。
学校でいろいろと噂になるのも何なので。今のところそれを実行した事は無い。

「今日のグループ協議のネタは仕入れてきた?」
セティファムは隣で肩にかけていたカバンから端末を引っ張り出して聞いてきた。
僕は端末が入るくらいの小さなカバンだが、セティファムのは一泊2日くらいの旅行にいけそうなくらいの大きさがある。女子は荷物が多くなるのだと前聞いたことはあるが。

今日の授業で、同じ学年(この時代は年齢ではなくて、その人の意識度合いで学年を設定している。なので、年齢という概念はそれほど重要視されていない。この場合、地球年齢で言うと僕は17歳セティファムは15歳。くらいに相当する。)の男女を集めて、そこで社会に起こっている出来事に対してグループで意見を出し合ってまとめて行く、というものがあるのだけど。
それでセティファムと同じグループなので(グループ分けは、個人の任意の場合と学校側から設定される場合もあるが、今回は個人の任意でグループ分けされている)、そのネタを用意しておかないといけないのだ。

僕も端末を引っ張り出して、今日の協議内容についての概要を引っ張ってくる。

今、自分たちの国以外で、とても不安定になっている地域があるようで。
そこからの変化が自分たちの国に与える影響とか。
そのあたりに注目したらどうだろうか。
という事をテーマにあげられていたので。
僕は特に
「食べ物」に対してどのような影響がでそうなのか?
それを討議の材料にしようと思っていたのだったが。

セティファムの端末を見ると、同じような事が書いてあって。
二人で顔を見合わせて笑ってしまった。

どうやら、基本的な脳内構造は同じようなところらしい。

この場合、政治的に与える影響、とか軍事的に与える影響、とかそういうテーマが多いのだけど。
そんなものを討議したって今の僕らにはあまり関係ないから。
もっと身近なテーマの方が議論が白熱するかな。と思って食べ物にしていたりする。

その後、ちょこちょこっと端末のデータを交換して。

そうやっていると学校の姿が見えてきた。
この動く道を挟んで、右と左で男女が分かれている。
「じゃぁ、後で」
セティファムはそう言って、女子の方へと軽やかに移動して行った。
まっすぐで長く白い髪をなびかせて。

僕はそれを見送って自分の男子の方へと降りて行った。








コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日は熊本帰宅 | トップ | 子供達と過ごす日 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (miu)
2013-05-13 17:59:34
レイ・ブラッドベリや竹宮恵子の「テラへ」なんかを彷彿とさせますね。とても生き生きしていて、匂いまで感じられそう。この小説?を読んで各人が思い描く風景をのぞいて見たい気がします。あ、でもヘミシンクしてたら皆さんの脳内舞台?はとても似ているのかな・・・。
返信する

コメントを投稿

『日常』」カテゴリの最新記事