【はじめに】
自動車と関連産業は、今後10年~15年で想像を絶する様な変化をすると私は予想しています。「『自動車革命』の時代に突入しているのだ!」と私は考えています。
自動車産業は日本にとって極めて重要です。自動車革命に日本の自動車産業が生き残る為には官民一体になって頑張る以外に道は有りません。
【EV化の一番目の問題 :先行する中国対策です!】
中国には『禍(か)を転じて福と為す』と言う慣用句が有ります。 昔から『黄砂』と言う大気汚染問題が有りましたが、工業が発展して→→国民が豊かになり→→人口が増加して→→暖房設備が増加して→→自動車が急激に増加して来たために→→PM2.5(微小粒子状物質)が大幅に増加して→→大気汚染問題が深刻になって来ました。
中国政府は、2016年から大気汚対策としてEVの普及に取り組んできました。中国は共産党一党独裁の国ですから、国が決めた事には素早く対応します。特に『EV』については、川上から川下までキメ細かく検討し、それぞれの課題解決に向けて対応しています。「世界のEV大国になってやる!」と意気込んでいる様に見えます。
・・・ 中国が国家を挙げての取り組んでいること ・・・
① 電気自動車(EV)の開発、製造体制、他国への拡販
② リチュウム電池の開発と製造体制
③ リチュウム電池に必要な資源の確保
④ 自前技術による原子力発電所の建設 :EVの普及に伴う電力需要の増加に対応。
《EVの生産台数》 中国のEV生産台数は、2021年≒58.9万台→→22年≒485.7万台にまで驚異的な増加をしています。 この数字には、テスラ、フォルクスワーゲン、本田、MG(イギリス)の中国に有る工場で生産されて分を含んでいます。・・・出典 :MARKLINES『自動車生産台数 中国 2022年』
現在、中国で最大のEVメーカーは、BYD Auto(比亜迪自動車)です。日本でも販売しています。
《リチュウム電池の生産》 EV用電池の最大のメーカーは中国の『CATL』で、世界の1/3以上も製造しています。ベスト10に中国の会社が6社入っており、6社の世界シェアは『56.4%』も有ります。
・・・EV用電池メーカー・ベスト10 ・・・ 2022年上半期
① CATL(寧徳時代新能源科技) :シェア≒34.8% ・・・中国の会社
② LGエナジーソリューション :シェア≒14.4% ・・・韓国の会社
③ BYD(比亜迪股份) :シェア≒11.8% ・・・中国の会社
④ パナソニック :シェア≒ 9.6% ・・・日本の会社
⑤ SK On :シェア≒ 6.5% ・・・韓国の会社
⑥ サムソンSDI :シェア≒ 4.9% ・・・韓国の会社
⑦ CALB(寧徳時代新能源科技) :シェア≒ 4.1% ・・・中国の会社
⑧ グオンシェン・ハイテク(国軒高科股分) :シェア≒ 2.9% ・・・中国の会社
⑨ サンウォーダ(欣旺達電子股分) :シェア≒ 1.5% ・・・中国の会社
⑩ SVOLTエナジー(蜂巣能源科技) :シェア≒ 1.3% ・・・中国の会社
⑪ その他 :シェア≒ 8.2%
出典 :GL,OBAL.X ディロン・ジャゴーリ『中国が変える世界のリチウム産業』
《地下資源の確保》 中国は国家として、リチュウム電池の製造に必要な地下資源を確保する政策を進めています。2022年12月24日に投稿した『自動車業界(その2)』を読んで見て下さい。
・・・ コバルト(Co)の埋蔵量と鉱石生産量 ・・・ 2017年
❶ コンゴ :埋蔵量≒3,480千トン、鉱石生産量≒63.8千トン ・・・中国が抑えています。
❷ オーストラリア :埋蔵量≒710千トン、鉱石生産量≒5.5千トン
❸ キューバ :埋蔵量≒500千トン、鉱石生産量≒4.4千トン
❹ フィリピン :埋蔵量≒280千トン、鉱石生産量≒4.0千トン
❺ ザンビア :埋蔵量≒280千トン、鉱石生産量≒2.9千トン
❻ その他 :埋蔵量≒1,350千トン、鉱石生産量≒29.4千トン
出典 :①鉱物資源マテリアルフロー 2018 11.コバルト(Co)、②ウイキペディア『コバルト』
《電力需要の増大対策》 中国はEVの普及による電力需要の増大に、原子力発電所を増設して対応しようとしています。中国は自前の原発技術を開発する事が昔からの夢でしたが、なかなか実現しませんでした。その為、欧米の企業が中国に原発を建設しました。フランスが中国に建設した原発を参考にして、自前の技術を確立した様です。その技術を『華竜1号』と呼んでおり、2021年に1台操業を開始しています。
日本では原発用地を確保するのが極めて難しく、地元住民を説得する為に→→地元自治体に多額の支援金を出し→→地元世論を操作する為に『森山栄治氏』の様な人物に金を渡す事になります。従って、計画を初めて建設に着手するまでに10年とか20年の時間が必要になります。
中国の土地は全て国有です。国が、「原発を建設するから、住民は○○年✕✕月までに立ち退け」と命令して、立ち退き料を支払えば用地が確保出来ます。 近年の中国は、「原発建設を年に6件ほど認可する方針である」と言う報道が有りました。 兎にも角にも、『やる』と決めたら、モタモタしないのが中国です。
《人材の流動性》 中国の技術革新は目覚ましいです。兵器、旅客機、原子力発電などなどが自前の技術で製造/建設出来る様になっています。中国共産党には優秀な技術者が沢山いる様です。彼ら/彼女達は政府の指示で職場を変わります。「EVの開発と量産体制の確立に、共産党が優秀な技術者を集めたのでは?」と想像します。
《戦略的投資》 中国の銀行の多くは国立か公立ですから、政府が重点志向した分野には、短期間に巨額の資金が投入されます。その効果で、EVが2021年からの飛躍的に増産出来る様になったのだと思います。
【EV化の二番目の問題 :多様なニーズに対応出来るか?】
世界には色々な国が有り、それぞれが種々の問題を抱えています。欧米諸国は電気自動車(EV)化に取り組んでいますが、「全ての国でEV化が喫緊(きっきん)の課題だ」とは思えません。
日本の自動車メーカーは、ガソリン車、ハイブリッド車を生産しながら、国際競争力の有るEVを開発し→→拡販する必要が有ります。超高価なスポーツカーから安価な小型車まで多種多用な自動車が販売される様になると、私は予想しています。 今後、自動車メーカーが、一社で全てのニーズに対応する事は不可能だと考えます。自動車メーカーは舵取りが一段と難しくなりそうです!
・・・ EV化と各国の事情 ・・・
(1)日本 :日本は大気汚染はそれ程深刻な問題では有りません。 (大気汚染よりも、針葉樹の花粉飛散の方が問題です。)
★日本の問題❶ :日本は電力不足が深刻な問題です。EVが増えると電力需要は確実に増加します。 一方、電力自由化によって、電力の供給義務を電力会社に負わせるのを止めました。従って、国(経済産業省)が電力の供給義務を負う事になっていますが、岸田総理と西村康稔大臣には義務を全うする意識は全く見られません。
2021年の発電は、化石燃料が『73%』でした。 化石燃料はほぼ全て輸入しているので、日本は効率の高い車(例えば、ハイブリッド車)が必要な国です。「EVの普及速度に見合った発電能力の増強が出来るか?」私は心配しています。
今から発電所を建設しようとしても、原発は10年~20年後でないと発電できません。太陽光と風力発電では、近年、環境問題で反対運動が起こっており、段々新設が難しくなって来ています。
★日本の問題❷ :日本はEVよりもレベル4の自動運転自動車が必要です。 (A)高齢化した過疎地では自動車が必需品ですが、高齢のために手放さざるを得ない家が増加しています。 (B)2024年からトラック運転手の労働時間規制が厳しくなり→→「物流に支障が出るのでは?」と危惧されています。 レベル4の自動運転自動車が普及したら(A)と(B)の問題はほぼ解決出来ます。
(2)ヨーロッパ諸国 :ヨーロッパでは、(A)カーボンニュートラル、(B)大気汚染軽減、(C)騒音低減に取り組んでいます。この三つの課題を解決する為に電気自動車(EV)を普及させようとしていますが、各国とも発電能力に十分な余裕があるとは思えません。自動車産業はヨーロッパ諸国でも重要ですが、EVについては電池の生産も含め中国が先行しているので、各国がバラバラでEVに取り組んでも中国には勝てないと思います。(2022年から中国のEVメーカーがヨーロッパ市場に注力し始めています。)
(3)アメリカ :2022年8月にカリフォルニア州が、「35年までに、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)とプラグインハイブリッド車(PHV)以外の販売を禁止する」と発表しました。まだ国家としては動きが見られませんンが、追随する州が増えて来ると予想します。
(4)中国 :都市部の大気汚染問題が深刻ですから、EV化を進めると予想します。「 ”あわよくば”EVの輸出大国になってやろう!」と目論んでいる様に見えます。
(5)インド :インドも都市部の大気汚染が深刻ですから、安価で/小型/シンプルなEVの実用車が普及すると予想します。
(6)石油産出国 :石油産出国の富裕層は(スタイルの素晴らしい高価な)EVを買う可能性が高いですが、一般庶民はガソリン車で我慢するのでは?と予想します。
(7)貧しい国、電力事情の悪い国、内戦の続く国、酷い砂嵐が発生する国 :これらの国で、急激にEV化が進むとは考えられません。
【EV化の三番目の問題 :総理大臣の能力です!】
自動車産業は日本にとって『自動車は国家なり』と言えるほど重要です。沢山の雇用を抱える重要な産業なのです。大手自動車会社の従業員だけで無く、その協力会社、修理工場、ガソリンスタンドなどなどの従業員の生活を支えています。
日本は、地下資源に乏しい国で、食糧も自給出来ない国ですから、『物』を作って外貨を稼ぐ必要が有ります。自動車産業だけで無く、物を作る企業と労働者を大切にする必要が有ります。
特に日本は、『自動車は国家なり』の状況ですから、自動車産業を衰退させては絶対にダメです。 中国は国を挙げて電気自動車(EV)に取り組んでいます。「トヨタを始めとした企業が、単独で中国に立ち向かえるか?」心もとないです!
今後の政治家には、科学や工学の知識が絶対に必要です! 特に、総理大臣、経済産業大臣、防衛大臣、文部科学大臣、国土交通大臣、環境大臣、農林水産大臣、厚生労働大臣には科学や工学の知識が必要不可欠です。「2位じゃダメなんでしょうか?」などと言う政治家に投票するのは止めましょう!
『工業立国』と言う言葉は死語になってしまった様ですが、日本が発展するためには産業(特に工業)の発展に官民協力して取り組む必要が有ります。
(余談 :お手上げの上司) 私が勤務した会社は『派閥』で上層部の人事が決まっていました。実力が有っても、胡麻を摺って有力派閥に入らないと重役にはなれませんでした。逆にアンポンタンでも、胡麻摺が上手だと重役になれました。現在の自民党に良く似ていました。
横浜国大の工学部卒の上司(T氏)がいました。私がT氏に口頭で報告したり、報告書を提出する時、「僕は高卒の知識しか無い、専門用語は使用するな」と何回も言いました。T氏と一緒に東大工学部卒の重役(S氏)に何回か報告に行きました。T氏が、「S重役は中学卒程度の知識しか無いから、分かり安い説明が必要だ!」と言いました。一応、S重役は私の説明を最後まで聞いてくれるのですが、何時も、とんでもなく頓珍漢な質問をしました。私が答えに窮していると、何時もT氏が噓八百の説明をしました。S重役は何時も納得してくれました。
麻生太郎氏から、「電気自動車(EV)の問題点と、国が実施すべき施策について説明しに来い」と命令されたとします。私はギブアップですが、皆さんはどうですか?
T氏は頑固一徹の性格だったので、有力派閥には入れて貰えなかった様です。日頃の言動から重役になる事が『夢』だったと思いましたが、実現しませんでした。「会社が現在でも低迷しているのは、『派閥』の横行が最大の原因だ!」と私は見ています。
自動車と関連産業は、今後10年~15年で想像を絶する様な変化をすると私は予想しています。「『自動車革命』の時代に突入しているのだ!」と私は考えています。
自動車産業は日本にとって極めて重要です。自動車革命に日本の自動車産業が生き残る為には官民一体になって頑張る以外に道は有りません。
【EV化の一番目の問題 :先行する中国対策です!】
中国には『禍(か)を転じて福と為す』と言う慣用句が有ります。 昔から『黄砂』と言う大気汚染問題が有りましたが、工業が発展して→→国民が豊かになり→→人口が増加して→→暖房設備が増加して→→自動車が急激に増加して来たために→→PM2.5(微小粒子状物質)が大幅に増加して→→大気汚染問題が深刻になって来ました。
中国政府は、2016年から大気汚対策としてEVの普及に取り組んできました。中国は共産党一党独裁の国ですから、国が決めた事には素早く対応します。特に『EV』については、川上から川下までキメ細かく検討し、それぞれの課題解決に向けて対応しています。「世界のEV大国になってやる!」と意気込んでいる様に見えます。
・・・ 中国が国家を挙げての取り組んでいること ・・・
① 電気自動車(EV)の開発、製造体制、他国への拡販
② リチュウム電池の開発と製造体制
③ リチュウム電池に必要な資源の確保
④ 自前技術による原子力発電所の建設 :EVの普及に伴う電力需要の増加に対応。
《EVの生産台数》 中国のEV生産台数は、2021年≒58.9万台→→22年≒485.7万台にまで驚異的な増加をしています。 この数字には、テスラ、フォルクスワーゲン、本田、MG(イギリス)の中国に有る工場で生産されて分を含んでいます。・・・出典 :MARKLINES『自動車生産台数 中国 2022年』
現在、中国で最大のEVメーカーは、BYD Auto(比亜迪自動車)です。日本でも販売しています。
《リチュウム電池の生産》 EV用電池の最大のメーカーは中国の『CATL』で、世界の1/3以上も製造しています。ベスト10に中国の会社が6社入っており、6社の世界シェアは『56.4%』も有ります。
・・・EV用電池メーカー・ベスト10 ・・・ 2022年上半期
① CATL(寧徳時代新能源科技) :シェア≒34.8% ・・・中国の会社
② LGエナジーソリューション :シェア≒14.4% ・・・韓国の会社
③ BYD(比亜迪股份) :シェア≒11.8% ・・・中国の会社
④ パナソニック :シェア≒ 9.6% ・・・日本の会社
⑤ SK On :シェア≒ 6.5% ・・・韓国の会社
⑥ サムソンSDI :シェア≒ 4.9% ・・・韓国の会社
⑦ CALB(寧徳時代新能源科技) :シェア≒ 4.1% ・・・中国の会社
⑧ グオンシェン・ハイテク(国軒高科股分) :シェア≒ 2.9% ・・・中国の会社
⑨ サンウォーダ(欣旺達電子股分) :シェア≒ 1.5% ・・・中国の会社
⑩ SVOLTエナジー(蜂巣能源科技) :シェア≒ 1.3% ・・・中国の会社
⑪ その他 :シェア≒ 8.2%
出典 :GL,OBAL.X ディロン・ジャゴーリ『中国が変える世界のリチウム産業』
《地下資源の確保》 中国は国家として、リチュウム電池の製造に必要な地下資源を確保する政策を進めています。2022年12月24日に投稿した『自動車業界(その2)』を読んで見て下さい。
・・・ コバルト(Co)の埋蔵量と鉱石生産量 ・・・ 2017年
❶ コンゴ :埋蔵量≒3,480千トン、鉱石生産量≒63.8千トン ・・・中国が抑えています。
❷ オーストラリア :埋蔵量≒710千トン、鉱石生産量≒5.5千トン
❸ キューバ :埋蔵量≒500千トン、鉱石生産量≒4.4千トン
❹ フィリピン :埋蔵量≒280千トン、鉱石生産量≒4.0千トン
❺ ザンビア :埋蔵量≒280千トン、鉱石生産量≒2.9千トン
❻ その他 :埋蔵量≒1,350千トン、鉱石生産量≒29.4千トン
出典 :①鉱物資源マテリアルフロー 2018 11.コバルト(Co)、②ウイキペディア『コバルト』
《電力需要の増大対策》 中国はEVの普及による電力需要の増大に、原子力発電所を増設して対応しようとしています。中国は自前の原発技術を開発する事が昔からの夢でしたが、なかなか実現しませんでした。その為、欧米の企業が中国に原発を建設しました。フランスが中国に建設した原発を参考にして、自前の技術を確立した様です。その技術を『華竜1号』と呼んでおり、2021年に1台操業を開始しています。
日本では原発用地を確保するのが極めて難しく、地元住民を説得する為に→→地元自治体に多額の支援金を出し→→地元世論を操作する為に『森山栄治氏』の様な人物に金を渡す事になります。従って、計画を初めて建設に着手するまでに10年とか20年の時間が必要になります。
中国の土地は全て国有です。国が、「原発を建設するから、住民は○○年✕✕月までに立ち退け」と命令して、立ち退き料を支払えば用地が確保出来ます。 近年の中国は、「原発建設を年に6件ほど認可する方針である」と言う報道が有りました。 兎にも角にも、『やる』と決めたら、モタモタしないのが中国です。
《人材の流動性》 中国の技術革新は目覚ましいです。兵器、旅客機、原子力発電などなどが自前の技術で製造/建設出来る様になっています。中国共産党には優秀な技術者が沢山いる様です。彼ら/彼女達は政府の指示で職場を変わります。「EVの開発と量産体制の確立に、共産党が優秀な技術者を集めたのでは?」と想像します。
《戦略的投資》 中国の銀行の多くは国立か公立ですから、政府が重点志向した分野には、短期間に巨額の資金が投入されます。その効果で、EVが2021年からの飛躍的に増産出来る様になったのだと思います。
【EV化の二番目の問題 :多様なニーズに対応出来るか?】
世界には色々な国が有り、それぞれが種々の問題を抱えています。欧米諸国は電気自動車(EV)化に取り組んでいますが、「全ての国でEV化が喫緊(きっきん)の課題だ」とは思えません。
日本の自動車メーカーは、ガソリン車、ハイブリッド車を生産しながら、国際競争力の有るEVを開発し→→拡販する必要が有ります。超高価なスポーツカーから安価な小型車まで多種多用な自動車が販売される様になると、私は予想しています。 今後、自動車メーカーが、一社で全てのニーズに対応する事は不可能だと考えます。自動車メーカーは舵取りが一段と難しくなりそうです!
・・・ EV化と各国の事情 ・・・
(1)日本 :日本は大気汚染はそれ程深刻な問題では有りません。 (大気汚染よりも、針葉樹の花粉飛散の方が問題です。)
★日本の問題❶ :日本は電力不足が深刻な問題です。EVが増えると電力需要は確実に増加します。 一方、電力自由化によって、電力の供給義務を電力会社に負わせるのを止めました。従って、国(経済産業省)が電力の供給義務を負う事になっていますが、岸田総理と西村康稔大臣には義務を全うする意識は全く見られません。
2021年の発電は、化石燃料が『73%』でした。 化石燃料はほぼ全て輸入しているので、日本は効率の高い車(例えば、ハイブリッド車)が必要な国です。「EVの普及速度に見合った発電能力の増強が出来るか?」私は心配しています。
今から発電所を建設しようとしても、原発は10年~20年後でないと発電できません。太陽光と風力発電では、近年、環境問題で反対運動が起こっており、段々新設が難しくなって来ています。
★日本の問題❷ :日本はEVよりもレベル4の自動運転自動車が必要です。 (A)高齢化した過疎地では自動車が必需品ですが、高齢のために手放さざるを得ない家が増加しています。 (B)2024年からトラック運転手の労働時間規制が厳しくなり→→「物流に支障が出るのでは?」と危惧されています。 レベル4の自動運転自動車が普及したら(A)と(B)の問題はほぼ解決出来ます。
(2)ヨーロッパ諸国 :ヨーロッパでは、(A)カーボンニュートラル、(B)大気汚染軽減、(C)騒音低減に取り組んでいます。この三つの課題を解決する為に電気自動車(EV)を普及させようとしていますが、各国とも発電能力に十分な余裕があるとは思えません。自動車産業はヨーロッパ諸国でも重要ですが、EVについては電池の生産も含め中国が先行しているので、各国がバラバラでEVに取り組んでも中国には勝てないと思います。(2022年から中国のEVメーカーがヨーロッパ市場に注力し始めています。)
(3)アメリカ :2022年8月にカリフォルニア州が、「35年までに、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)とプラグインハイブリッド車(PHV)以外の販売を禁止する」と発表しました。まだ国家としては動きが見られませんンが、追随する州が増えて来ると予想します。
(4)中国 :都市部の大気汚染問題が深刻ですから、EV化を進めると予想します。「 ”あわよくば”EVの輸出大国になってやろう!」と目論んでいる様に見えます。
(5)インド :インドも都市部の大気汚染が深刻ですから、安価で/小型/シンプルなEVの実用車が普及すると予想します。
(6)石油産出国 :石油産出国の富裕層は(スタイルの素晴らしい高価な)EVを買う可能性が高いですが、一般庶民はガソリン車で我慢するのでは?と予想します。
(7)貧しい国、電力事情の悪い国、内戦の続く国、酷い砂嵐が発生する国 :これらの国で、急激にEV化が進むとは考えられません。
【EV化の三番目の問題 :総理大臣の能力です!】
自動車産業は日本にとって『自動車は国家なり』と言えるほど重要です。沢山の雇用を抱える重要な産業なのです。大手自動車会社の従業員だけで無く、その協力会社、修理工場、ガソリンスタンドなどなどの従業員の生活を支えています。
日本は、地下資源に乏しい国で、食糧も自給出来ない国ですから、『物』を作って外貨を稼ぐ必要が有ります。自動車産業だけで無く、物を作る企業と労働者を大切にする必要が有ります。
特に日本は、『自動車は国家なり』の状況ですから、自動車産業を衰退させては絶対にダメです。 中国は国を挙げて電気自動車(EV)に取り組んでいます。「トヨタを始めとした企業が、単独で中国に立ち向かえるか?」心もとないです!
今後の政治家には、科学や工学の知識が絶対に必要です! 特に、総理大臣、経済産業大臣、防衛大臣、文部科学大臣、国土交通大臣、環境大臣、農林水産大臣、厚生労働大臣には科学や工学の知識が必要不可欠です。「2位じゃダメなんでしょうか?」などと言う政治家に投票するのは止めましょう!
『工業立国』と言う言葉は死語になってしまった様ですが、日本が発展するためには産業(特に工業)の発展に官民協力して取り組む必要が有ります。
(余談 :お手上げの上司) 私が勤務した会社は『派閥』で上層部の人事が決まっていました。実力が有っても、胡麻を摺って有力派閥に入らないと重役にはなれませんでした。逆にアンポンタンでも、胡麻摺が上手だと重役になれました。現在の自民党に良く似ていました。
横浜国大の工学部卒の上司(T氏)がいました。私がT氏に口頭で報告したり、報告書を提出する時、「僕は高卒の知識しか無い、専門用語は使用するな」と何回も言いました。T氏と一緒に東大工学部卒の重役(S氏)に何回か報告に行きました。T氏が、「S重役は中学卒程度の知識しか無いから、分かり安い説明が必要だ!」と言いました。一応、S重役は私の説明を最後まで聞いてくれるのですが、何時も、とんでもなく頓珍漢な質問をしました。私が答えに窮していると、何時もT氏が噓八百の説明をしました。S重役は何時も納得してくれました。
麻生太郎氏から、「電気自動車(EV)の問題点と、国が実施すべき施策について説明しに来い」と命令されたとします。私はギブアップですが、皆さんはどうですか?
T氏は頑固一徹の性格だったので、有力派閥には入れて貰えなかった様です。日頃の言動から重役になる事が『夢』だったと思いましたが、実現しませんでした。「会社が現在でも低迷しているのは、『派閥』の横行が最大の原因だ!」と私は見ています。