【はじめに】
近年、カーボンニュートラル (炭素循環)とPM2.5(微小粒子状物質)削減が世界的に叫ばれて、ガス燃料や液体燃料の使用を制限する運動が盛んになっています。この運動は、「原油、天然ガス、石炭の使用量を減らせ!」と言っているのと同じです。
原油から生産されるのは、ガス燃料と液体燃料だけでは有りません。原油は、私達の生活に不可欠な種々の製品の原料でも有ります。先週、原油を牛肉にたとえました。ガソリンを『肩ロース』、軽油を『サーロイン』、重油を『リブロース』、プロパンを『ヒレ』・・・これらの部位の需要だけが急激に減少したらどうなりますか? 肩ロース、サーロイン、リブロース、ヒレは廃棄するのですか?!
今回は、原油から生産される『物』を列記しました。 皆さんに、私達の身近な物の多くが、原油から生産されている事を認識して頂きたいので、面白い記事では有りませんが敢えて書きました。ザット目を通して頂ければ幸いです。
【❶ ガス燃料】
都市ガスとして使用されている液化天然ガス(主成分はメタン)はガス田から得られますが、ブタンやプロパンは、原油の精製プラントで生産されます。
★ ブタン
★ イソブタン
★ プロパン
【❷ 二酸化炭素】
ドライアイスは二酸化炭素を固体化した物です。二酸化炭素は色々な所で使用されています。その一部は石油化学プラントで生産されています。
【❸ 液体燃料】
原油から製造される液体燃料を列記します。
★ ナフサ →→ガソリン、航空ガソリン
★ ケロシン→→灯油、ジェット燃料
★ 軽油、A重油
★ B重油、C重油
【❹ ナフサ】
ナフサは、原油を蒸留分離して製造する液体の炭化水素の混合物の総称です。
★ 軽質ナフサ :エチレン等の原料
★ 重質ナフサ :ガソリン、芳香族炭化水素の原料
【❺ 切削油】
金属などの切削加工を行う時、冷却と摩擦低減の目的で液体の切削油を噴射します。現在は、数値制御工作機械(NC工作機械)が中小企業でも沢山導入されており、殆どのNC工作機械で切削油が使用されています。 機械加工すると加工対象物(ワーク)の温度が上昇して膨張します。ワークを常温まで冷却した後に寸法を測定します。加工中と検査時の寸法の差が小さくなる様に、ワークを切削油で冷却しているのです。
私は、チタンを超精密加工してもらった事が有りますが、切削油を掛けないと発火する恐れが有ると教えられました。
【❻ 潤滑剤】
潤滑油やグリースにもJISやJALOS(潤滑油協会)などの規格が有ります。大抵は規格の番号で購入しても大丈夫ですが、デリケートな機械ではメーカーと銘柄が指定されています。
★ 潤滑油
★ グリース
(余談 :潤滑油の泡立ち) 私が大昔に担当していたガスタービンでは、軸受部と減速機部を強制潤滑して、潤滑油を空冷の冷却器を経由して油タンクに戻す様になっていました。使用出来る潤滑油として、世界的な大手石油メーカー数社を指定していました。 このリストに入っていない大手石油メーカーが、「リストに加えてくれ」と言ってきました。
メーカーの技術者立ち合いのもとで、実機テストを始めました。油タンクには通気用の穴を設けていたのですが、1時間程運転すると穴からブクブクと多量の泡が出て来ました。とても使える品物では有りませんでした。
(余談 :私とグリース) 私は機械の設計/開発/研究に携わってきました。特殊なグリースが必要になると日本オイルシール工業(現在の社名はNOK)に相談しました。現在は国産化している様ですが、ドイツのクリューバー社が製造する超高価ですが、超高性能のグリースを輸入販売していました。 最高級の物は、1kg入り缶が100万円ほどしたと記憶しています。
【❼ パラフィン】
原油から種々のパラフィン(石蝋)が生産されています。パラフィンは安全な物質で、ベビーオイルとしても使用されています。
★ パラフィンワックス :固形 ;ローソク、クレヨン
★ 流動パラフィン :ベビーオイル、化粧品、シャンプー、リンス、医療用パラフィン、・・・などなど
【❽ アスファルト】
外国には天然アスファルトを産出する地域が有りますが、日本で道路の舗装に使用されるのは原油から生産された物です。
【❾ ピッチ】
ピッチは粘度が非常に高いので個体の様な物質です。原油から得られる物を『ピッチ』、石炭から得られる物は『コールタールピッチ』、植物《樺(かば)等)》の樹液なから得た物を『ロジン』と呼びます。『ピッチ』の一部は、加工されてアスファルトになります。
ピッチは、粘結剤や防錆塗料として使用されています。大昔は、木造船や樽の防水材として使用していました。
【❿ 合成樹脂】
原油を蒸留して得られる『ナフサ』から、種々の合成樹脂が製造されています。それぞれの特徴を生かして、種々の製品がつくられています。シート、糸、容器などに加工されています。
★ フェノール樹脂(PF)
★ メラミン樹脂(MF)
★ 尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)
★ エポキシ樹脂(EP)
★ 不飽和エポキシ樹脂(UP)
★ ポリウレタン(PUR)
★ ポリエチレン(PE) :レジ袋
★ 高密度ポリエチレン(HDPEまたはPE-HD) :スーパー ロール ビニール 袋・・・スーパー等に置いている、非常に薄い袋の原料です。 ポリバケツ、ビール瓶のケース(ビールクレート)、パイプ、灯油タンク・・・
★ ポリプロピレン :レジ袋
★ アクリル樹脂
★ ポリカーボネート
★ ポリエチレンテレフタレート(PET) :ペットボトル
【⓫ 合成繊維】
私が着用している下着からコートまで、大半は合成繊維製です。ドンドン良質の合成繊維が作られる様になっています。 ナイロン、ポリエステル及びアクリル繊維を三大合成繊維と言います。
★ ポリアミド系 :ナイロン(ナイロン6、ナイロン66など)
★ ポリエステル系 :ポリエステル(テトロンなど)
★ ポリウレタン系 :ポリウレタン
★ ポリビニルアルコール系 :ビニロン
★ ポリアクリロニトリル系 :アクリル繊維 ;エクスラン、カシミロンなど
★ ポリ塩化ビニル系 :テビロン、エンビロンなど
★ ポリプロピレン系 : パイレンなど
★ ポリエチレン系 : ポリエチレン
★ ポリスチレン系 :ポリスチレン
参考資料 :ウイキペディアの『合成繊維』
(余談 :紡糸用ノズル) 合成繊維を作る最初の段階は、液状の合成樹脂を小さな穴(ノズル)から押し出して、糸を作る工程です。 紡糸用ノズルの製造で最高の技術を持った会社が、世界に3社有る様です。その内の2社は兵庫県に有ります。その1社に私は昔、硬い金属に直径0.5mmの穴を開けてもらった事が有ります。現在、紡糸用ノズルでは直径0.03mmの穴加工が出来る様です。 因みに、髪の毛の太さは50~100µm(0.05~0.01mm)です。小さな穴を開けるのは難しいですが、開けた穴の直径を正確に測定(検査)するのは、もっと難しいです。
【⓬ 炭素繊維】
炭素繊維(カーボンファイバー)と言う夢の様な繊維が実用化されています。質量が鉄の『1/4』しかなく、強度が『10倍』で、弾性率(変形のしにくさ)が『7倍』も高いのです。ドンドン用途が拡大してきています。 最大の問題は『価格』です。
炭素繊維は、戦後、アメリカで発明されましたが、1961年に進藤昭男氏がPAN系炭素繊維を、63年に大谷杉郎氏がピッチ系炭素繊維を発明しました。以来、この分野では日本のシェアは高いのです。 東レ、帝人、三菱ケミカル、クレハ、大阪ガスケミカル、日本グラファイトファイバーが頑張っています。
2010年頃に、某社から高速で回転させる特殊なロールの試作依頼が有り、数か月間勉強/検討/見学した事が有ります。残念ながら、事情が有って試作は断念しました。
★ PAN系炭素繊維
★ ピッチ系炭素繊維
【⓭ 合成ゴム】
自動車やバイクのタイヤは、天然ゴムと原油から作った合成ゴムを混合して製造されています。原油から(下に列記する様に)種々のゴムが製造されています。 O-リングの多くは『ニトリルゴム(NBR)』製ですが、私は『フッ素ゴム(FKM)』や『シリコーンゴム(Q)』製のO-リングも採用した事が有ります。
★ イソプレンゴム(IR)
★ ブタジエンゴム(BR)
★ スチレン・ブタジエンゴム(SBR)
★ クロロプレンゴム(CR)
★ ニトリルゴム(NBR) :O-リング
★ ポリイソブチレン(ブチルゴム IIR) :コンクリートの継ぎ目材(エラスタイ)
★ エチレンプロピレンゴム(EPM, EPDM)
★ クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)
★ アクリルゴム(ACM)
★ フッ素ゴム(FKM)
★ エピクロルヒドリンゴム(CO, ECO)
★ ウレタンゴム(U)
★ シリコーンゴム(Q)
参考資料 :ウイキペディアの『ゴム』
(余談 :天然ゴムの臭い) 屋内に設置した私の実験装置の横で、T氏のチームが天然ゴムに磁性鉄粉を混合する実験を始めました。 彼らは必要以上に天然ゴム(ラテックス)を買い込んでいました。天然ゴムの臭いは強烈です! 彼らの実験装置とレシピ―はお粗末で、反面教師としては打って付けでした。当時、私は国立大学の修士卒の若い社員を二人あずかっていました。
二人に天然ゴムの実験を観察してもらって、改善案を考えてもらいました。良さそうなアイディアが幾つも出ましたが、T氏には教えませんでした。天然ゴムの臭いから一刻も早く解放されたかった為です。
【⓮ 合成皮革】
菜食主義者などが「動物の皮の使用反対」を叫ぶので合成皮革と人工皮革が増加しています。→→『皮』の需要が減って→→一部が廃棄される時代になっています。(本末転倒の様に思います!)
★ 合成皮革 :天然の布に合成樹脂を塗布する。
★ 人工皮革 :不織布などに合成樹脂を含侵させる。・・・衣類や靴
【⓯ 塗料】
塗料の開発は地味ですが、多分日本の技術は国際競争力が有ると思います。ステルス戦闘機の開発の初期は、高層ビルによる電磁波問題対策として日本で開発された『電磁波を吸収する塗料』の使用が検討されたと記憶しています。
・・・ 塗料に使用される樹脂 ・・・
★ アルキド樹脂
★ 不飽和ポリエステル樹脂
★ メラミン樹脂・尿素樹脂(アミノ樹脂)
★ フェノール樹脂
★ エポキシ樹脂
★ 塩化ビニル樹脂
★ アクリル樹脂
★ アクリルウレタン樹脂
★ ウレタン樹脂
★ シリコーン樹脂 :耐用年数≒10年~13年
★ アクリルシリコーン樹脂
★ フッ素樹脂 :耐用年数≒13年~15年
参考資料 :ウイキペディアの『塗料』
【⓰ 発泡プラスチック】
原油から製造した合成樹脂から種々の『発泡プラスチック』が作られています。代表的なのが『発泡スチロール』です。 台所で食器を洗う時に使うスポンジも発泡プラスチックです。 高速道路の工事現場を見学した事が有りますが、分厚い発泡スチロールを多量に敷いて→→その上に鉄筋を組んで→→コンクリートを流し込んでいました。
★ 発泡スチロール :気泡を含ませたポリスチレン(PS)
★ 軟質ポリウレタンフォーム(軟質PUF) ・・・台所で使っているスポンジ
★ 硬質ポリウレタンフォーム(硬質PUF)
★ ポリスチレンフォーム(PSフォーム)
★ ポリエチレンフォーム
★ ポリプロピレンフォーム(PPフォーム)
近年、カーボンニュートラル (炭素循環)とPM2.5(微小粒子状物質)削減が世界的に叫ばれて、ガス燃料や液体燃料の使用を制限する運動が盛んになっています。この運動は、「原油、天然ガス、石炭の使用量を減らせ!」と言っているのと同じです。
原油から生産されるのは、ガス燃料と液体燃料だけでは有りません。原油は、私達の生活に不可欠な種々の製品の原料でも有ります。先週、原油を牛肉にたとえました。ガソリンを『肩ロース』、軽油を『サーロイン』、重油を『リブロース』、プロパンを『ヒレ』・・・これらの部位の需要だけが急激に減少したらどうなりますか? 肩ロース、サーロイン、リブロース、ヒレは廃棄するのですか?!
今回は、原油から生産される『物』を列記しました。 皆さんに、私達の身近な物の多くが、原油から生産されている事を認識して頂きたいので、面白い記事では有りませんが敢えて書きました。ザット目を通して頂ければ幸いです。
【❶ ガス燃料】
都市ガスとして使用されている液化天然ガス(主成分はメタン)はガス田から得られますが、ブタンやプロパンは、原油の精製プラントで生産されます。
★ ブタン
★ イソブタン
★ プロパン
【❷ 二酸化炭素】
ドライアイスは二酸化炭素を固体化した物です。二酸化炭素は色々な所で使用されています。その一部は石油化学プラントで生産されています。
【❸ 液体燃料】
原油から製造される液体燃料を列記します。
★ ナフサ →→ガソリン、航空ガソリン
★ ケロシン→→灯油、ジェット燃料
★ 軽油、A重油
★ B重油、C重油
【❹ ナフサ】
ナフサは、原油を蒸留分離して製造する液体の炭化水素の混合物の総称です。
★ 軽質ナフサ :エチレン等の原料
★ 重質ナフサ :ガソリン、芳香族炭化水素の原料
【❺ 切削油】
金属などの切削加工を行う時、冷却と摩擦低減の目的で液体の切削油を噴射します。現在は、数値制御工作機械(NC工作機械)が中小企業でも沢山導入されており、殆どのNC工作機械で切削油が使用されています。 機械加工すると加工対象物(ワーク)の温度が上昇して膨張します。ワークを常温まで冷却した後に寸法を測定します。加工中と検査時の寸法の差が小さくなる様に、ワークを切削油で冷却しているのです。
私は、チタンを超精密加工してもらった事が有りますが、切削油を掛けないと発火する恐れが有ると教えられました。
【❻ 潤滑剤】
潤滑油やグリースにもJISやJALOS(潤滑油協会)などの規格が有ります。大抵は規格の番号で購入しても大丈夫ですが、デリケートな機械ではメーカーと銘柄が指定されています。
★ 潤滑油
★ グリース
(余談 :潤滑油の泡立ち) 私が大昔に担当していたガスタービンでは、軸受部と減速機部を強制潤滑して、潤滑油を空冷の冷却器を経由して油タンクに戻す様になっていました。使用出来る潤滑油として、世界的な大手石油メーカー数社を指定していました。 このリストに入っていない大手石油メーカーが、「リストに加えてくれ」と言ってきました。
メーカーの技術者立ち合いのもとで、実機テストを始めました。油タンクには通気用の穴を設けていたのですが、1時間程運転すると穴からブクブクと多量の泡が出て来ました。とても使える品物では有りませんでした。
(余談 :私とグリース) 私は機械の設計/開発/研究に携わってきました。特殊なグリースが必要になると日本オイルシール工業(現在の社名はNOK)に相談しました。現在は国産化している様ですが、ドイツのクリューバー社が製造する超高価ですが、超高性能のグリースを輸入販売していました。 最高級の物は、1kg入り缶が100万円ほどしたと記憶しています。
【❼ パラフィン】
原油から種々のパラフィン(石蝋)が生産されています。パラフィンは安全な物質で、ベビーオイルとしても使用されています。
★ パラフィンワックス :固形 ;ローソク、クレヨン
★ 流動パラフィン :ベビーオイル、化粧品、シャンプー、リンス、医療用パラフィン、・・・などなど
【❽ アスファルト】
外国には天然アスファルトを産出する地域が有りますが、日本で道路の舗装に使用されるのは原油から生産された物です。
【❾ ピッチ】
ピッチは粘度が非常に高いので個体の様な物質です。原油から得られる物を『ピッチ』、石炭から得られる物は『コールタールピッチ』、植物《樺(かば)等)》の樹液なから得た物を『ロジン』と呼びます。『ピッチ』の一部は、加工されてアスファルトになります。
ピッチは、粘結剤や防錆塗料として使用されています。大昔は、木造船や樽の防水材として使用していました。
【❿ 合成樹脂】
原油を蒸留して得られる『ナフサ』から、種々の合成樹脂が製造されています。それぞれの特徴を生かして、種々の製品がつくられています。シート、糸、容器などに加工されています。
★ フェノール樹脂(PF)
★ メラミン樹脂(MF)
★ 尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)
★ エポキシ樹脂(EP)
★ 不飽和エポキシ樹脂(UP)
★ ポリウレタン(PUR)
★ ポリエチレン(PE) :レジ袋
★ 高密度ポリエチレン(HDPEまたはPE-HD) :スーパー ロール ビニール 袋・・・スーパー等に置いている、非常に薄い袋の原料です。 ポリバケツ、ビール瓶のケース(ビールクレート)、パイプ、灯油タンク・・・
★ ポリプロピレン :レジ袋
★ アクリル樹脂
★ ポリカーボネート
★ ポリエチレンテレフタレート(PET) :ペットボトル
【⓫ 合成繊維】
私が着用している下着からコートまで、大半は合成繊維製です。ドンドン良質の合成繊維が作られる様になっています。 ナイロン、ポリエステル及びアクリル繊維を三大合成繊維と言います。
★ ポリアミド系 :ナイロン(ナイロン6、ナイロン66など)
★ ポリエステル系 :ポリエステル(テトロンなど)
★ ポリウレタン系 :ポリウレタン
★ ポリビニルアルコール系 :ビニロン
★ ポリアクリロニトリル系 :アクリル繊維 ;エクスラン、カシミロンなど
★ ポリ塩化ビニル系 :テビロン、エンビロンなど
★ ポリプロピレン系 : パイレンなど
★ ポリエチレン系 : ポリエチレン
★ ポリスチレン系 :ポリスチレン
参考資料 :ウイキペディアの『合成繊維』
(余談 :紡糸用ノズル) 合成繊維を作る最初の段階は、液状の合成樹脂を小さな穴(ノズル)から押し出して、糸を作る工程です。 紡糸用ノズルの製造で最高の技術を持った会社が、世界に3社有る様です。その内の2社は兵庫県に有ります。その1社に私は昔、硬い金属に直径0.5mmの穴を開けてもらった事が有ります。現在、紡糸用ノズルでは直径0.03mmの穴加工が出来る様です。 因みに、髪の毛の太さは50~100µm(0.05~0.01mm)です。小さな穴を開けるのは難しいですが、開けた穴の直径を正確に測定(検査)するのは、もっと難しいです。
【⓬ 炭素繊維】
炭素繊維(カーボンファイバー)と言う夢の様な繊維が実用化されています。質量が鉄の『1/4』しかなく、強度が『10倍』で、弾性率(変形のしにくさ)が『7倍』も高いのです。ドンドン用途が拡大してきています。 最大の問題は『価格』です。
炭素繊維は、戦後、アメリカで発明されましたが、1961年に進藤昭男氏がPAN系炭素繊維を、63年に大谷杉郎氏がピッチ系炭素繊維を発明しました。以来、この分野では日本のシェアは高いのです。 東レ、帝人、三菱ケミカル、クレハ、大阪ガスケミカル、日本グラファイトファイバーが頑張っています。
2010年頃に、某社から高速で回転させる特殊なロールの試作依頼が有り、数か月間勉強/検討/見学した事が有ります。残念ながら、事情が有って試作は断念しました。
★ PAN系炭素繊維
★ ピッチ系炭素繊維
【⓭ 合成ゴム】
自動車やバイクのタイヤは、天然ゴムと原油から作った合成ゴムを混合して製造されています。原油から(下に列記する様に)種々のゴムが製造されています。 O-リングの多くは『ニトリルゴム(NBR)』製ですが、私は『フッ素ゴム(FKM)』や『シリコーンゴム(Q)』製のO-リングも採用した事が有ります。
★ イソプレンゴム(IR)
★ ブタジエンゴム(BR)
★ スチレン・ブタジエンゴム(SBR)
★ クロロプレンゴム(CR)
★ ニトリルゴム(NBR) :O-リング
★ ポリイソブチレン(ブチルゴム IIR) :コンクリートの継ぎ目材(エラスタイ)
★ エチレンプロピレンゴム(EPM, EPDM)
★ クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)
★ アクリルゴム(ACM)
★ フッ素ゴム(FKM)
★ エピクロルヒドリンゴム(CO, ECO)
★ ウレタンゴム(U)
★ シリコーンゴム(Q)
参考資料 :ウイキペディアの『ゴム』
(余談 :天然ゴムの臭い) 屋内に設置した私の実験装置の横で、T氏のチームが天然ゴムに磁性鉄粉を混合する実験を始めました。 彼らは必要以上に天然ゴム(ラテックス)を買い込んでいました。天然ゴムの臭いは強烈です! 彼らの実験装置とレシピ―はお粗末で、反面教師としては打って付けでした。当時、私は国立大学の修士卒の若い社員を二人あずかっていました。
二人に天然ゴムの実験を観察してもらって、改善案を考えてもらいました。良さそうなアイディアが幾つも出ましたが、T氏には教えませんでした。天然ゴムの臭いから一刻も早く解放されたかった為です。
【⓮ 合成皮革】
菜食主義者などが「動物の皮の使用反対」を叫ぶので合成皮革と人工皮革が増加しています。→→『皮』の需要が減って→→一部が廃棄される時代になっています。(本末転倒の様に思います!)
★ 合成皮革 :天然の布に合成樹脂を塗布する。
★ 人工皮革 :不織布などに合成樹脂を含侵させる。・・・衣類や靴
【⓯ 塗料】
塗料の開発は地味ですが、多分日本の技術は国際競争力が有ると思います。ステルス戦闘機の開発の初期は、高層ビルによる電磁波問題対策として日本で開発された『電磁波を吸収する塗料』の使用が検討されたと記憶しています。
・・・ 塗料に使用される樹脂 ・・・
★ アルキド樹脂
★ 不飽和ポリエステル樹脂
★ メラミン樹脂・尿素樹脂(アミノ樹脂)
★ フェノール樹脂
★ エポキシ樹脂
★ 塩化ビニル樹脂
★ アクリル樹脂
★ アクリルウレタン樹脂
★ ウレタン樹脂
★ シリコーン樹脂 :耐用年数≒10年~13年
★ アクリルシリコーン樹脂
★ フッ素樹脂 :耐用年数≒13年~15年
参考資料 :ウイキペディアの『塗料』
【⓰ 発泡プラスチック】
原油から製造した合成樹脂から種々の『発泡プラスチック』が作られています。代表的なのが『発泡スチロール』です。 台所で食器を洗う時に使うスポンジも発泡プラスチックです。 高速道路の工事現場を見学した事が有りますが、分厚い発泡スチロールを多量に敷いて→→その上に鉄筋を組んで→→コンクリートを流し込んでいました。
★ 発泡スチロール :気泡を含ませたポリスチレン(PS)
★ 軟質ポリウレタンフォーム(軟質PUF) ・・・台所で使っているスポンジ
★ 硬質ポリウレタンフォーム(硬質PUF)
★ ポリスチレンフォーム(PSフォーム)
★ ポリエチレンフォーム
★ ポリプロピレンフォーム(PPフォーム)