まちとも こころのおもむくままに

==ボランティア時々写真撮影==
日々の暮らしの中で感じたこと、時々撮る写真などを綴っていきます。

相談支援に完成形はない

2023-05-18 21:10:08 | 社会福祉専門職
相談支援に完成形はないと先日書きました。
50年間、福祉支援に関する相談支援に携わってきて、率直に感じていることです。
相談支援の原則はあります。人間としての尊厳を重視すること、バイスティックの7原則といわれるソーシャルワークの基本原則、各職能団体の倫理綱領など、それらを個別の相談においてどのように活かしてきたのか、その都度反省し積み重ねていく、これが今考えていることです。

退職が一つの節目でした。
退職した時、それまでを振り返り、改めて相談支援について学び整理しようと、専門職大学院で学びなおすこととしました。日々何気なく取り組んできた相談支援、それぞれを振り返ってみると課題が多々目につきました。実践を振り返りながら原則を学び、そこからさらに前進していくために何が求められるのか、原則に基づき振り返ることの大切さを学びました。以後12年間そこで得たものは、一部を専門職の養成に生かし、一部は地域福祉の実践に生かしてきました。

研修会で話す内容は、当初、50年間のエピソードのいくつかをピックアップしようとおもっていました。しかし、それだけでは自慢話に終わってしまうので、エピソードに含まれている相談支援の姿勢を伝えていくことが必要だと考えるようになりました。1万余字の実践記録を整理し直して、その中のいくつかからエキスを抽出し、伝えていくことができるよう奮闘中です。



写真は、加茂荘花鳥園に咲いていたヤマボウシ。



   

支援を通して学ぶ

2021-11-10 20:43:00 | 社会福祉専門職
地域福祉関係の団体の機関紙への投稿依頼があり、やっと原稿を書き上げました。
一部修正してここにも掲載します。

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自宅の近くに空き地になっている土地があります。ここで暮らしていた家族とは30年ほど前から関わりがあり、多くのことを学ばせてもらいました。そこを通るたびに学びを思い返します。

私が精神障害者支援に従事していた時、ある方から相談を受けました。「自分が病気で余命半年と宣告され、夫は施設に入所、息子は障害がありボランティアの支援で一人暮らし。娘(A)には障害があり、自分がいなくなると娘一人での生活が困難なので支援してほしい。」との訴えでした。

その後、近所の方から「両親が相次いで亡くなりAさん一人で生活が破たんしている」と連絡をもらい、Aさんへの支援に対応しました。当時は今のような支援制度は皆無で、必要な支援を一から始めなければなりません。ホームヘルプ制度もなく、ボランティアに対応してもらいました。普及が始まったケアマネジメントの手法が役に立ち、Aさんの事例を通してケアマネジメントを学び、それを活用してホームヘルプをはじめいくつかの支援策を構築することができました。Aさんは、新たに制度化された支援サービスなどを利用して10数年一人暮らしを続けましたが、今は施設に入所しています。暮らしていた家も、成年後見制度を利用して処分できました。

Aさんとの関わりで学んだケアマネジメントは、実践例として報告し、そこから新たな学びを得ることもできました。大学院に通っていた時の公開講座での事例としても取り上げられ、そこでも支援者の姿勢について多くを学ぶことができました。支援業務に当たっていた25年間で相談に対応した件数は2千件を超え、それぞれから自分では体験し得ない生きざまを聞き、その関わりの中で支援内容や支援の姿勢などを学び、より豊かな自分になってきたと感じています。

今もボランティアとして、24時間支援が必要な方がサービスを利用しながら一人暮らしを続けているのを見守り、その生き方から困難があっても人としての尊厳を失いたくないという強い意志を学びました。

様々な人との関わりが自分自身を豊かにしていくことにつながり、今の役割をうれしく思っています。


レポート添削から学ぶ

2021-10-17 18:07:07 | 社会福祉専門職
以前書いたように今、通信教育のレポート添削に明け暮れています。
今回のレポートの課題の一つに、テキストに書かれているコラムを読んで考えたことを書くというものがあります。
コラムには様々な立場の方が、自分の精神障害者支援にかかわるエピソードを書かれています。
受講者のみなさんも、そこから学ばれることが多く、それを読むことでまちともの体験の振り返りもでき、自分自身が学ぶことが多くあります。

あるコラムは、地域に障害者施設を作ることで、その地域の理解拡大につながったというもの。
これを読んだ受講者が、当たり前にそこにあり、当たり前に活動しているが、そこに至るまでの苦労や、施設があることが地域の理解拡大につながることがわかったと書かれていました。
その通り!と思わず言いたくなるようなレポートが多くあり、レポートを読むことが楽しく、また新たな気づきが生じます。

また、あるコラムでは、長期入院していた方の退院に至る経過と退院してからの体験が書かれています。
受講者からは、その人に合った支援の難しさと大切さを学んだという内容のレポートがありました。
まちとも自身も40年前から長期入院の方の退院に関わり、グループホームを通じて数百人の方の支援をしてきました。
そんな自身の支援を思い起こしながら、レポートへのコメントを書いています。

これから支援者になろうという人たちに、自身の経験から学んだことを伝えていくことが大切だと思いながら添削を進めています。

写真は吉田公園の桜紅葉




最後のレポート添削

2021-10-12 21:30:01 | 社会福祉専門職
精神保健福祉士の国家試験の受験資格を得るための通信教育、その一部の科目を担当して11年になります。
非常勤講師も年齢制限が設けられ、今年でお役御免、最後のレポート添削をしています。
最初はレポートそのものが送られてきていましたが、いつからかオンラインで添削するようになりました。
11年も担当していれば業務の進め方も変わるものですね。

科目の担当教員は変わらないので、レポート課題はずっと同じ、評価の要領も心得て最初のころよりも時間をかけないで添削できるようになりました。
たまにテキスト丸写しの内容があったり、どこかのサイトの文章をコピペしたようなものがあったりと不心得者もいましたが、そのような文章は読んでいてだいたいわかりますね。
それらは自分で考えた痕跡がない文章になります。
また中には、制限文字数以下で提出しているものもありました。
わざわざ再提出になることがわかっていて出すというのは、期限までに間に合わないためとりあえず提出して時間を稼ぐという作戦だったのかもしれません。

ほとんどの方が仕事をしながら通信教育を受講しているので、レポートを書く時間を確保するのも大変です。
私自身も20数年前に社会福祉士の受験資格を得るために通信教育を受講しました。
仕事が終わった後の1時間はテキストを読む時間にしていました。
そんな経験から受講者の苦労もわかりますが、資格取得をめざす以上、自分の頭で考える時間を作ることが大切ですね。

最後に落とし穴が。
最後のレポート添削に取り掛かり、1人目、書かれている内容は自分で考えたものになっていますが「課題」から外れています。
再提出の判定。
2人目もやはり「課題」から外れた内容。
何かおかしいなと思い、とりあえず評価しないで何人か読んでみても、みな「課題」から外れたものでした。
専任教員に連絡したところ、講師に送られてきた「課題」は以前のもので、今回は課題を変えたけど、以前のものを送ってしまったと訂正の課題が送られてきました。
納得、改めて新しい課題に基づき評価に取り組んでいます。

10月末までに60人余のレポートを評価します。
最後の仕事、がんばります。

静岡県営吉田公園のコスモス。




コロナ禍の病院実習

2020-10-17 21:14:08 | 社会福祉専門職
先日、通信教育課程の学生の精神科病院での実習の指導に行ってきました。
精神保健福祉士の受験資格に、精神科での業務経験のない人には精神科病院での実習が必須となっています。
そのため、精神保健福祉士養成の通信教育課程の学生の多くが病院実習を行います。
毎年、近くの病院で実習する何人かの学生の指導を行っています。
今年も一人の学生が実習を行い、その指導に行きました。

今年は、コロナ禍で実習の内容が様変わりしています。
通常、病棟に入って入院している方と接しながら、病気のこと、治療の状況、接し方などを学ぶのですが、今年は病棟での実習ができません。
看護学生も同様に病院実習ができないで困っているという話を聞いています。
結果的に、本来2週間の実習が1週間に短縮になってしまいました。
不足分については、学校で専任教員が対応することになっています。

病院実習のメリットは、普段の生活では接することがない症状の出ている患者さんと直接対応できることです。
症状の出ている時に、どのように話しかけ対応したらよいのか学びます。
これができないわけですから、病院実習の意味が半減します。
ここを少しでもカバーできるよう、実習指導の教員の役割も重要になります。
顔見知りの病院の担当者から実習内容の話を聞き、初めて会う実習生から実習の感想などを聞き、不足していること、重点的に学んでほしいことなどを伝えていきます。
不足部分は、他の実習生とゼミ形式で相互学習を行うようです。

実習指導の大変なことは、実習生とは初対面であり、その指導の中で人物像を把握し、実習の到達度を見極めていくということを短時間で行わなければならないことです。
通常の相談も、初めて話を聞きながら、必要な方向性を考えていくわけですから同じようなものですが、実習生との対応は「指導」という側面を持っていますので、こちらから伝える内容も通常の相談とは違ったものになってきます。
今回は、実習期間が短縮されたので、通常2回行う指導も、1回だけです。
伝えきれなかった部分に後で気が付き、再度伝えに行くということもありました。

コロナ禍での病院実習、受け入れ病院も大変、実習生も不完全な実習内容になり、指導者も不足部分をどう学んでもらうのか困惑するという状況を生んでいます。

城北公園横を通りかかったら、キンモクセイがきれいに咲いていました。
周囲には芳香が漂っています。