踊子草の茂みの中にチューリップが1輪咲いていた。

チューリップは100本か200本か植えてたのだけど、ほったらかしにしてたら次第に少なくなって、これが最後の1本になってしまった。
今年でこの農園から消えるかもしれない。
チューリップはその大きな整った花の形がいかにも園芸種風であまり好きではない。
それで移植もしないでほったらかしにしていたのだ。
在来種ならばほったらかしでもいいのだけど、外来種だとそう行かない。
それで原則チューリップは球根を毎年掘り上げて植え替えないと増えない。
もっとも水仙も外来種だけど、こちらは日本に来た歴史が古いので、すっかり日本になじんでいる。
それでほったらかしでも、こぼれ種からも増えていく。

チューリップの原産地をオランダだと思っている人がいるようだけど、それは間違い。
原産地は中近東。
原生種はもっと小さく可憐な花で、球根は食用にしていた。
ペルシャの詩人オマル・ハイヤームのルバイヤートにもよく出てくる。
きっと野原に普通に咲いていたのだろう。
川の岸辺にはえいでたあの草の葉は
美女の唇から芽を吹いたため息か
ひと茎の草でも蔑んで踏んではならぬ
そのかみの乙女の身から咲いた花
