ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

沈黙の行列(3)

2005-03-27 01:17:21 | 異文化・風俗・習慣
今回の行列で気がついたのは、山車には車輪のついた脚がついていることだ。行列が停まっているときには、担ぎ手たちは肩を休めることができる。あるいはこの山車だけなのかもしれないが。

今日の行列はたいへん小規模なものだった。ブラスバンドもなく、旗持ち・ナサレロ・鼓手・山車という簡素な構成である。お菓子を配る子供たちもいない。しかし、街頭が消えて真っ暗になったときにはちょっと不気味なくらい、厳かな行列だった。キリストの受刑を翌日に控えた木曜日にふさわしい行列だったように思う。山車を担ぐ男性たちのしぐさは、キリストが自らの十字架を担いでゴルゴダの丘に登って行った姿にも似ていると言う人もいる。この行列の最後、山車の後を多くの一般の人たちが従って歩いて行った。

というわけで、今回は山車は細い横道を通って行ったので、あまりいい写真が撮れなかった。わたしは行列の先回りをし、もう少し写真を撮り直したかったのであるが、連れの3人が早くバーに生きたそうだったので、断念した。それもそのはず、3人ともトイレに行きたくてたまらなかったのだ。入ったバーはスペイン人の若い男の子と女の子のたむろするバーだった。エレクトロニック・スコアボード付きのダーツ板などもあったりして、ちょっと変わったバーだった。帰り道にもう1軒、今度はイギリスのバーに立ち寄って、家に帰る。

沈黙の行列(2)

2005-03-27 00:58:23 | 異文化・風俗・習慣
こうして陣取った場所は肉眼で見るのには絶好の場所だったのだが、写真を撮るにはちょっと近すぎた。写真中央の男性は鼓手の一人である。単調かつ厳かなリズムを刻むドラマーたちに先導され、山車がやってくる。このドラマーたちは、年齢的には3歳から19歳くらいまでの男の子たち。3歳の先頭鼓手はほとんどやる気がない。沿道からお母さんが出てきて、シャツのすそをズボンにたくし込んだり、いろいろと世話を焼いていた。

写真中央に見える竿のようなものは、道路に張り渡された電線を持ち上げるためのものである。山車が電線に引っかかるのを防ぐため。

ちょうど教会裏に行列が差しかかったところで、街頭が一斉に消えた。辺りは真っ暗になり、山車の上に飾られた十字架上のキリストの姿だけが暗闇の中に浮かび上がる。

沈黙の行列(1)

2005-03-27 00:47:55 | 異文化・風俗・習慣
一昨日(3月24日)、またピラール・デ・ラ・オラダーダに復活祭の行列を見に行く。この日は、「沈黙の行列」の日であった。名前からして、あまり華やかそうなパレードではない。本当は、火曜日か水曜日が多くの山車が出て、よさそうだったのだが、火曜日は連夜の外出で疲れていたし、水曜日は現在はまっているテレビ番組とかちあうので、行列見物を見送った。この町では、聖週間の始まりの日曜日から1週間、月曜日を除く毎日、行列が行われている。毎日異なった同一教会員団体(日本の祭りで言うと、町内会に当たるのではないか)がそれぞれ山車を出し、異なったルートを通って、最後に教会前広場で全部の山車が集まるというパターンのようである。

この日は、近所に住むイギリス人男性・リッキーと彼のいとこで、イギリスからこの日到着したばかりのミシェルも行列を見に行くことになった。行列の始まりは午後10時半ということだったのだが、早めに行って、行列ルートを確認し、バーで飲む。10時25分頃になると、バーのプロジェクタのスクリーンが下りてきた。フットボールの試合でも見せるのかと思ったら、なんと行列の模様を映し出した。もう行列が始まっている。時間にはおおまかなスペインのことだから、予定通り10時半には始まるまいと油断していたわたしたちは、急いでビールを飲み干して、町庁舎に向かう。ここにはもう誰もいなくて、早足で教会前広場を目指す。太鼓の音が聞こえてきた。横道を通って、行列の前に回る。

今夜のナサレロは、一様にエンジに黒の衣装を身に着けている。ナサレロとは、山車に付き添う人たちを指し、自分の犯した罪を悔い、神の許しを請う人たちがこの役を務めたそうである。自分の正体を隠すために、目のところだけ穴の開いたとんがり帽の覆面をかぶったと言う。今でも、この伝統は受け継がれているのか、あるいは町内会で役を振り当てるのか?この役はもっぱら女性ばかりのようなので、たぶん町内会で決められたのだろう。貸し衣装屋のウィンドウに、マンティーリャの行列の時のナサレロの衣装が飾ってあった。