この日は思いがけずスペイン色の濃い食事となってしまった(ムール貝を楽しみしていたのに)。前菜もメインコースも特に珍しくないが、デザートのガトー・バスク(バスク地方のケーキ)だけは初めて。名前はときどき耳にするが、これまで試してみたことがなかった。要するにアーモンドタルトのことのようである。中にクリーム状のものが入っているが、ペーストリーにアーモンドが入っているのか、クリームがアーモンド味なのかちょっと判別がつかなかった。(このプラスチックの皿には、ドミとモーモーが怒るのも当然でしょう?)
今日は
日曜日に毎年恒例(らしい)の近所のバー常連のお食事会があった。このバーはフランスによくあるおやじバーの典型で、ブルーノのレストランが閉鎖した後、わが村で唯一のバーとなっている。この日は、朝から晴天で、気温も30度近くまで上る暑さ。バーテンダーで経営者のジャン・ピエールが世話役となり、バーの常連とその配偶者たち、総勢20名がデュエラ水車敷地内にあるレストランで昼食を共にした。
22ユーロの定食メニューは、テリーヌ・魚のスープ・ムール貝のいずれかの前菜、パエリャかステーキかのメインコースにデザートということであった。が、実際に行ってみたら、魚のスープもムール貝もなくなっていて(まだ午後1時だというのに)、代わりにトルティーリャ(スペイン風オムレツ)か生ハムとメロンということだった。
わたしたちはイギリス人カップル2組と一緒にドミニック(ドミ)とその妻モーモー(フランス人の愛称にはこの手のものが多いらしくて、バー常連の中にはジージーとドゥードゥーという人もいる)の近くに座った。ドミとモーモーはフランス国境近くのスペインに別荘を持っていて、スペインびいきでスペイン語を話す。ドミは長距離トラックの運転手でイギリスに行くことも多く、英語も多少話す。というわけで、フランス語とスペイン語と英語が入り混じり、何語を話しているのかよくわからなくなることがしばしばだ。こうなると1つの言語に波長を合わせることができなくて、聞き取るのがさらに難しい。
個性豊かなフランス人たちと傍若無人のイギリス人1人(ピーターのこと)がいると、注文をとるのはやさしくない。経験のなさそうな若い男の子が注文を取りにきたが、すっかり客に圧倒されて、いいようにされていた。特にドミとモーモーの迫力は普通ではない。なんでフランス人がフランス人にスペイン語で話すの?
なかなか飲み物も食べ物も出てこないし、料理はプラスチックの皿に出てきたというので、メインコースが始まる前くらいから、ドミとモーモーがウェイトレスに文句を言い始めた。お粗末なサービスに満足しないのは、すばらしい根性だと思う。イギリス人たちも感心していた。日本人やイギリス人だったら、絶対に黙ってお粗末なサービスに甘んじていただろう。
モーモーのもう1つの不満は、定食はチーズとデザートの両方が普通なのに、チーズはなくてデザートだけだったこと。おまけにそのデザートも、2種類のケーキだけで、アイスクリームは売り切れということだった(でも、隣のテーブルにアイスクリームが行くのをわたしは見た)。かわいそうに、パンやペーストリーの嫌いなメリルはデザート無しだ。
コーヒーはセットメニューに含まれていないかったのだが(水のように薄いワインも含まれていない)、みんなが不満を述べ立てたら、店側が妥協して、コーヒーはただになった。
お勘定の段になると、1人27ユーロ50サンチームだと言う。プラスチックの皿で、ラ・ショミエールより高いのはとんでもないと再び不満爆発。ドミはこんな粗末なサービスと食事に金は払わないという。シェフ兼マネージャーが出てきて、経営者ではない自分には権限がないので、交渉には応じられないということだった。結局、食い逃げするわけにもいかないので、15ユーロが適当であろうというドミとモーモーにしたがって、われわれも15ユーロだけ払うことにした。ドミはレストランの持ち主と火曜日に会って話をつけると言う。
このレストランの建物と敷地はわが村に帰属するそうだ。それをレストランの持ち主にリースしているということである。だから、村民はかなり強気なのかもしれない。この日バーの常連とは別にレストランに来ていた女性はモーモーの友達のようだったが、彼女は村長の秘書だということである。
そのほかの人たちはというと、何人かは飲み物代だけ払ったり、ジャン・ピエールを含め数人は全額27ユーロ50サンチームを払ったそうである。このへんのばらばら加減がいかにもフランス人らしいような気がした。日本人だったら、たぶん大勢にしたがっていただろうし、イギリス人だったら協議の上、統一した行動に出ていただろう(そうでないと抗議の意味がない)。というわけで、思い思いの行動を取り、お開きとなった。それでも、相互間に敵対関係とか苦い感情はないようである。ただ単にサービスに対して自分が適当と思われる対価を払ったというだけのことのようだ。ただ1つだけ共通するのは、誰ももう2度とこのレストランには行かないだろうということだ。
日曜日に毎年恒例(らしい)の近所のバー常連のお食事会があった。このバーはフランスによくあるおやじバーの典型で、ブルーノのレストランが閉鎖した後、わが村で唯一のバーとなっている。この日は、朝から晴天で、気温も30度近くまで上る暑さ。バーテンダーで経営者のジャン・ピエールが世話役となり、バーの常連とその配偶者たち、総勢20名がデュエラ水車敷地内にあるレストランで昼食を共にした。
22ユーロの定食メニューは、テリーヌ・魚のスープ・ムール貝のいずれかの前菜、パエリャかステーキかのメインコースにデザートということであった。が、実際に行ってみたら、魚のスープもムール貝もなくなっていて(まだ午後1時だというのに)、代わりにトルティーリャ(スペイン風オムレツ)か生ハムとメロンということだった。
わたしたちはイギリス人カップル2組と一緒にドミニック(ドミ)とその妻モーモー(フランス人の愛称にはこの手のものが多いらしくて、バー常連の中にはジージーとドゥードゥーという人もいる)の近くに座った。ドミとモーモーはフランス国境近くのスペインに別荘を持っていて、スペインびいきでスペイン語を話す。ドミは長距離トラックの運転手でイギリスに行くことも多く、英語も多少話す。というわけで、フランス語とスペイン語と英語が入り混じり、何語を話しているのかよくわからなくなることがしばしばだ。こうなると1つの言語に波長を合わせることができなくて、聞き取るのがさらに難しい。
個性豊かなフランス人たちと傍若無人のイギリス人1人(ピーターのこと)がいると、注文をとるのはやさしくない。経験のなさそうな若い男の子が注文を取りにきたが、すっかり客に圧倒されて、いいようにされていた。特にドミとモーモーの迫力は普通ではない。なんでフランス人がフランス人にスペイン語で話すの?
なかなか飲み物も食べ物も出てこないし、料理はプラスチックの皿に出てきたというので、メインコースが始まる前くらいから、ドミとモーモーがウェイトレスに文句を言い始めた。お粗末なサービスに満足しないのは、すばらしい根性だと思う。イギリス人たちも感心していた。日本人やイギリス人だったら、絶対に黙ってお粗末なサービスに甘んじていただろう。
モーモーのもう1つの不満は、定食はチーズとデザートの両方が普通なのに、チーズはなくてデザートだけだったこと。おまけにそのデザートも、2種類のケーキだけで、アイスクリームは売り切れということだった(でも、隣のテーブルにアイスクリームが行くのをわたしは見た)。かわいそうに、パンやペーストリーの嫌いなメリルはデザート無しだ。
コーヒーはセットメニューに含まれていないかったのだが(水のように薄いワインも含まれていない)、みんなが不満を述べ立てたら、店側が妥協して、コーヒーはただになった。
お勘定の段になると、1人27ユーロ50サンチームだと言う。プラスチックの皿で、ラ・ショミエールより高いのはとんでもないと再び不満爆発。ドミはこんな粗末なサービスと食事に金は払わないという。シェフ兼マネージャーが出てきて、経営者ではない自分には権限がないので、交渉には応じられないということだった。結局、食い逃げするわけにもいかないので、15ユーロが適当であろうというドミとモーモーにしたがって、われわれも15ユーロだけ払うことにした。ドミはレストランの持ち主と火曜日に会って話をつけると言う。
このレストランの建物と敷地はわが村に帰属するそうだ。それをレストランの持ち主にリースしているということである。だから、村民はかなり強気なのかもしれない。この日バーの常連とは別にレストランに来ていた女性はモーモーの友達のようだったが、彼女は村長の秘書だということである。
そのほかの人たちはというと、何人かは飲み物代だけ払ったり、ジャン・ピエールを含め数人は全額27ユーロ50サンチームを払ったそうである。このへんのばらばら加減がいかにもフランス人らしいような気がした。日本人だったら、たぶん大勢にしたがっていただろうし、イギリス人だったら協議の上、統一した行動に出ていただろう(そうでないと抗議の意味がない)。というわけで、思い思いの行動を取り、お開きとなった。それでも、相互間に敵対関係とか苦い感情はないようである。ただ単にサービスに対して自分が適当と思われる対価を払ったというだけのことのようだ。ただ1つだけ共通するのは、誰ももう2度とこのレストランには行かないだろうということだ。