星くず雑記

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映画『BEST GUY』感想

2011年02月22日 16時30分47秒 | テレビ・映画
BEST GUY<ベストガイ> [DVD]
(1990年公開、東映、村川透監督)

ちょっと、思い立ったので観賞してみた。

<あらすじ>
千歳基地に、やんちゃな梶谷(ゴクウ)がやって来た。
トップガンの名高(イマジン)にも引けを取らない腕前だが、
班長の吉永とは、パイロットだった兄の死をめぐる確執があった。

二班に分かれて模擬戦を行う、特別強化訓練が始まった。
基地に取材に来たビデオディレクターの深雪との交流とともに、
梶谷は過去と現実に向き合うことになる…

(以下ネタバレを含む)


<感想>
何かを勘違いした映画だと思う。
とりあえず、戦闘機と洋楽をセットにしたらカッコいいんじゃね?w
という安直さが透けて見えるようだった。
つまり、この映画にリアリティは無く、
ひたすら現実離れした、アメリカ風の格好良さだけが目立つ。
例えば、F15墜落させたら、日本では
タダでは済まないでしょうに、深刻さは微塵も感じられない

かと思いきや、ソ連の偵察機・戦闘機が領空侵犯すると言う
リアルな設定も持ち込まれている。
(※本家『トップガン』は、国籍不明のミグ)

やはり、『トップガン』を意識しすぎたため
主人公:梶谷の軽薄なキャラクターが日本的ではなく不自然だ。
ライバル:名高の真面目で誠実な人物像の方が
はるかに好感が持てる。私は晶子さんが好きです。

主人公の成長ストーリーにしても、
梶谷の性格が、もっと心を閉ざしたように陰鬱で
作中の出来事を経て、明るく開かれていく……
とした方が、日本的で自然じゃないかなあ。どうかなあ。
すると、主人公は名高か吉永の方が、ドラマチックだ。

『トップガン』をこんなに意識せず、
日本的な爽やかな青春ストーリーにした方が
正解だったように思われる。

あと、目玉の航空シーンだが、
これは本家に勝る、かなり良い出来映え。
はしゃいだ梶谷がロール(横回転)したり。
これを特撮と組み合わせさえしなければ……
と残念でなりませぬorz

織田裕二は若いが、この時点では「それだけ」。
バブル時代の、ケバケバしさ・痛々しさが見られ
ある時代を切り取った作品としても興味深い。

梶谷と深雪が再会するホテルは、トマムのツインタワー。
地上の池のようなところは、
安藤忠雄設計の『水の教会』(1988年)だそうだ。
ということで、この二人の結婚を想起させるが
どちらもあまり好きではないキャラクターだし、
なんというか、その、安直だよね(苦笑)

ところで、桃色吐息楼さん(脚本の高田純氏?)にて、
BEST GUYのシナリオが公開されている。
実際の映画とは、細部だけでなく結末も異なっているが、
「あっち=新千歳空港」と「こっち=千歳基地」の
対比が、実に切なく大人っぽいラストになっている。

そうだ、映画に足りないのは、自衛官と民間人との対比だ。

1990年には、「マドンナのごとく」と
「ネイビー・ロック・ウォー 撃破せよ!」
でそれぞれ陸自・海自が協力したそうで、
自衛隊の外部露出の転換点になった一年でもあります。

コメント
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