星くず雑記

日々の出来事は煌めく星くずのように…

令和7年2月銀座博品館劇場 OSK『三銃士』

2025年03月02日 06時42分56秒 | OSK・宝塚(OG含む)

ネタバレ(アニメ三銃士、原作を含む)を

前提としています。



 

【あらすじ】

(第1幕)

教会でダルタニアンが、アンヌ王妃の下女である人妻コンスタンスへの恋慕を懺悔している。

ダルタニアンと三銃士は、既に友情で結ばれた仲。

コンスタンスが現れ、この教会で王妃と英国のバッキンガム公が面会することを告げる。

公は王妃を愛するが、王妃は立場を重んじてその思いを受け入れない(つまりプラトニックなまま)。その代わり、国王ルイ13世から送られた首飾りを形見に贈る。リシュリュー枢機卿もまた王妃を恋慕し、国王に王妃の不定疑惑を焚き付ける。

首飾りを巡る一件は、ダルタニアン&三銃士の活躍により、リシュリューとミレディの策略は失敗し王妃の名誉は保たれる。コンスタンスはダルタニアンに愛を告白され有頂天となるが、リシュリュー一派に誘拐される。

 

(第2幕)

バッキンガム公が主導し、英国がフランスに侵攻する。リシュリューはミレディを責め立て、公やコンスタンスの謀殺を図る。

危機を察知したダルタニアン&三銃士は、アンヌ王妃を通じて公を助けようとするが寸前で間に合わなかった。王妃側はコンスタンスを救出して修道院で保護するが、ミレディが言葉巧みに修道院に侵入して殺害する。コンスタンスはダルタニアンの腕の中で絶命する。ダルタニアン達に、ミレディの罪が暴かれ死刑にされるが、彼女の策謀が徒となって、ダルタニアン達は罪に問われなかった。しかし、三銃士は喪失感などから銃士隊を去る。

10年後、ルイ14世の御代で、一人残ったダルタニアンは銃士隊長として、フロンドの乱が起こる中、アンヌ皇太后と幼い王を守るため、消極的にマザラン枢機卿側についていた。ダルタニアンはまずポルトスに復帰を求める。二人の前に、フロンド派についたアトスとアラミスが現れ剣を交えるが、四人は友情を確かめ合い、意気投合する。

 

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【感想ほか】

『ダルタニアン物語』シリーズ三部作のうち、

日本では第1部『三銃士』がよく知られています。

児童向けの翻案・抄訳では、ミレディ(ミラディ)とコンスタンスの死、

ダルタニアンが正式に銃士隊副隊長になり三銃士はそれぞれの道へ、

と第1部のみで終わることが多いです。

 

本作は、設定を少し変えたとは言え、

第2部『二十年後』の内容に触れていてビックリしました(未読、概要のみ知ってた)。

 

OGはやみ甲氏の演出だけに、

心情やドラマ性をダンスで表現するシーンも多く、

ダンスのOSKの面目躍如で満足度は高いです。(同じコロスでも、歌主体の宝塚とは異なる趣で、非常に良い)

久々に『アニメ三銃士(アニ三)』観たくなりました。

 

OSKは子供料金を設定しているため、高校生以下がかなり多かったように思います。

舞台にのめり込む余り背をつけない子が私の周囲だけでも結構いて、

観客から指摘されてた(すぐ直してトラブルにはなってなかった)ので、

子供料金を設定する公演では、

開演前にマナーをレクチャーするのがよろしいかと思います。

 

それにしても、満員御礼で嬉しい限り!

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翼さんは若々しい熱血漢の役作り。

千咲さん演ずる、恋の喜びを知る、若き人妻コンスタンスとの同期カップルが尊すぎる…

照れ臭さすぎて、私は正視できませんでしたよ…

 

三銃士の面々はキャラクターの違いが鮮明ながら、

『アニ三』を彷彿とさせる(アトス=黒髪長髪、アラミス=金髪くせ毛)のが嬉しい。

みな期別では翼さんより下のはずが、先輩銃士に見える。すごい。

 

若手もモブ含め二役どころか何役やってるか分からないが、

ちゃんと違うキャラに見える。すごい。

 

中でも、大柄ではないが顔が小さく、まだ癖のない(素直な印象)の男役さんが

陽向さんですね。これからどんな男役になるか楽しみです。

顔立ちが柊さんとよく似ていて、柊さんがモブ男役も?と思ってしまいました。

 

アンヌ王妃役の柊さんは、史実に近い、若い王妃の恋の喜びと、

王族としての覚悟が滲み出て、大好演。

 

桜乃さんは、リシュリューの密偵として、

照明が当たらない時の目配せや仕草までもが印象的。

 

そして助演女優賞というか闇のヒロインは、

何と言っても妖婦ミレディ役羽那さん

共演の娘役が華奢で可憐な方々(千咲さん、柊さん、桜乃さん)なこともあり、

女性的な体型で表情豊かな羽那さんの、

魔性の女っぷり&存在感&ド迫力が際立っていました。

 

 

【もやもやポイント】

勧善懲悪ものとして、リシュリューとがそのままなのがモヤッとします。

原作通りと言えばその通りですが。

 

コンスタンスの人妻設定を弱めた分、

経済的事情で愛のない結婚をした悲しみが薄れていました。

 

OSKの厳しい衣装事情は理解しますし、

近い時期に『ドラキュラ』(19世紀末&中世のコスチュームもの)を控えているのも分かりますが、

17世紀フランスを舞台としたコスチュームものとしては、

衣装がかなり苦しかった……です(悲

 

ダルタニアン&三銃士、リシュリューはファンタジー風味の創作ですが、

あとはバラバラで統一感がなくて残念です。

 

特にアンヌ王妃は、10年後の短い場面のもの深緑のドレスの方が

重厚で良かったなあ、と思います。

せめて、アンヌ王妃がそうだったように、

男役も娘役もバロック様式の広襟(重ね襟)を着けるとかですね、

時代感を出す工夫をして欲しかったなあ。

 

とは言え、一応15年来のファンとしては、

劇団の懐事情は察するにあまりありますし、

あまり要望を押しつけても宝塚同様、劇団の自腹問題にも関わるのも分かります。

 

例えば、オペラや演劇の前衛的な演出のように、

割り切ってシンプルな配色の現代の衣装にしてしまうとか、

工夫して欲しいと思いました。

 

さらに言えば、時代ものですが言葉遣いがカジュアルな現代語が多く気になります。

例えばミレディが(元夫で因縁のある)アトスに「超タイプ」とか、

アラミスの好みの女性が「ボン、キュッ、ボンの熟女」とか。

悪いという意味ではなく、作品全体の方向性として、

衣装含めた前衛的な娯楽作に振り切っても良かったかも知れません。

 

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…海外ドラマ『マスケティアーズ パリの四銃士』、

録画だけして放置してたので、ちゃんと観るか。

(これも大胆な改作で、今回の銃士隊の衣装は、このドラマにインスパイアされたような気がします)

 

最後に、(退団して一般人なので)お名前は出しませんが、

OGの方々が何人もいらしていて、お元気そうで嬉しかったです。

 

 

来週(つまり今)は『ドラキュラ』で、2週連続でOSKを東京で観られて嬉しいです。

コメント
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