星くず雑記

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OSK100周年『春のおどり』と歌舞伎『新三国志』①

2022年03月28日 20時57分20秒 | OSK・宝塚(OG含む)
OSK100周年『春のおどり』と歌舞伎『新三国志』
を観てきました。
 
私自身、感激が久しぶりなこともあり
どちらの公演でも、感動で最後に泣いてしまいました。
共通点も多く、二つを連続して観た感想を書きたいと思います。
 
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『春のおどり』
・第1部 光
 
コロナ対策なのか、演出なのか
日本髪のカツラが無い!メイクも洋風!
なのは驚き半分、残念半分でした。
でもその分、衣装が本当に豪華でした。
 
第1章:花の巻の「三番叟」は、
トップスターの楊琳が豪華で色も鮮やかな衣装で
スピーディーに舞い踊り、これぞ女性歌劇の和物!
と思いました。(カラフルな刺繍でしたよね?)
 
第2章:夢の巻は、歌舞伎風の演出で
さすが和物を大切にするOSK!
と思いました。
虹架の早変わり、遥花の花魁も良かったけれど、
愛瀬・華月の剣術シーンは素晴らしかったです。
(宝塚では(日本物が激減してるので)技術面、(長期公演故に)体力面でできないでしょう)
アクロバットや見得の切り方は、歌舞伎を見ているようでした。
若手モブの役名も「若い者」とのことで、歌舞伎を意識したのが分かります。
 
写楽役で目立つのが、男役ホープの翼和希。
花魁との絡みは妖艶だけれども、哀しさ儚さと相まって実に幻想的。
ここで、今回、日本髪のカツラを使わなかったことが活きます
突然、花魁(白夜大夫)の唯城ありすがドレスに。
そして琥珀大夫のが燕尾服に。観客席は戸惑いと驚きで、どよめきました。
(私も、パンフを見て気付いていましたが、やはり驚きです)
ここで洋舞と日舞の不思議な融合があり、
まるで、モネの『ラ・ジャポネーズ』を見るようでした。
 
そして第3章:月の巻は、内容は全く違うのに、
どうしても暗い舞台×黒系の着物×月モチーフ
なので、2021年宝塚月組『Welcome to Takarazuka』(演出:植田紳爾
を想起させてしまい、もったいない感じはあります。
ちなみに、演出の山村友五郎氏は、植田センセの息子です(笑)
 
さておき、この月の巻の楊の着物がとにかく豪華でした。
(螺鈿細工のような…)
彼女を中心に、男役たちの一糸乱れぬ舞から
現代演劇のようなセリフ、力強く壮大な舞踊、セリや照明の大胆さ…
OSKのあの(2004年の)復活劇を想起させる歌詞はどこにもありませんが
何度でも立ち上がる「凛とした」逞しさを感じさせました。
 
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・第2部 INFINITY
 
プロローグは期せずして、ウクライナカラーのラテン衣装。
この歌姫は誰?と思ったら遥花ここでした。
写真のイメージや私の記憶とも違っていて、びっくり。
 
アルルの女~ファランドールは
楊だけ軍服風で、周りが白燕尾の衣装が意味不明。
南仏~スペインの雰囲気なら、楊・舞美の雰囲気に合わせるべきでは。
 
パリ・パナムは、冒頭の舞美の黒燕尾も良かったし
全体の流麗な雰囲気がOSKらしくて非常に良かったし
OSKの歴史と言う意味で、途中で登場した歌手の千咲
傘を差すのも良かった。OSKの傘回しのルーツですからね。
でも独りだけ差すのは、どうしても千咲に視線が行ってしまい違和感。
傘回し以外に、傘を使うダンスを取り入れても良かったのでは。
特別専科の朝香の立ち位置も違和感。
ところで、この階段と桜のセットをフィナーレでも使うかと思ってました。
舞美さんは、90周年南座の『グラン・ジュテ』で、
ピョンピョン飛び回る少女役が印象的でしたから、
ふっくらとした(※体型ではなく雰囲気のこと)素敵なお姉さんになったなあと思います。
 
ここから、花の馬車に乗っては、実花さん大活躍!
日本歌劇団時代の団歌ですが、初めて聞きました。
小さな馬車も可愛らしいし、軽妙なラインダンスも良かった。
(OSKはもっと高速ラインダンスもできますが、
今回はこの位の、ゆるふわっと可愛らしい感じが合うと思います)
 
続く、大人のタップやジャズシーンは、桐生朝香が中心。
この場と言い、ラテンの黒と言い、ビターな場面は長身の城月が似合う。
(『娘役トップスター』が明確化されたため、城月の扱い方が残念である)
 
ジャストダンス、は見覚えがあるというか、
いつものOSKと言うか、新鮮味はなかったです。
 
鳩の場面は、やはり期待の翼に目立つパートを与えます。
昨年の女神と死にゆく戦士のシーンと、既視感。
雰囲気は好きですが、荻田先生の好みなのでしょうか?
 
そしてフィナーレは、わずかに楊・舞美のデュエット(リフト有)
があってからの群舞。
いくらトップコンビと言う概念が希薄とは言え、
もうちょっと時間を取ってほしかったです。
舞美千咲のダブルデュエットになるかと期待してしまいました。
 
虹色の彼方へ、はプログラム上「パレード」となっていますが
非常に斬新!
 
宝塚もOSKも階段を、スターが序列順に中央から降りてくる
というのが基本ですが、群舞の流れから
テーマソングを歌い継ぎ、要所要所でスターが出てくるというスタイルでした。
最後に中央から楊。宝塚風の丸い羽は背負いません(これ重要)。
てっきりパリ・パナムの階段セットを再利用すると予想していたので
全く新しいスタイルなのを歓迎します。
 
最後にカーテンコールで、楊の挨拶、桜咲く国で締め。
(私は『桜咲く国』の3番で泣きました)
 
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全体を通じ、100周年記念として
『伝統・定番』ではなく『全く新しいもの』を
創始したい意欲を強く感じ、見応えがありました。
今回は「今回」として良かったのですが、
やはりオーソドックスでクラシカルな日舞・洋舞レビューも
また観たいです。どちらも大切にして欲しいと思います。
 
また、スターの扱い方も宝塚とは全く異なり、
宝塚でいうところの「路線」を基軸とした起用ではなく
中堅以上の団員に満遍なく見せ場を与えているのも、
女性歌劇のあり方として良いと思いました。
観客としては、OSKは人数が少ない分、
一人一人の団員に思い入れが出てきます。
なので、それぞれに活躍の場があることは嬉しいです。
 
その上で、楊、舞美、千咲に加え、翼と唯城を
主力スターとして明確にしているのは
女性歌劇の文化として、必要なことだと思います。
 
今回、唯一物足りなかったのは、
OSKと宝塚の決定的な違いである、娘役の地位。
「娘役だけの場面」「娘役が男役を率いる」といった
力強い娘役シーンが少なかったことが残念でした。
 
久々のOSK生観劇でした。
楊さんは歌の上手いイメージは無かったのですが、
とにかく声が高く透明で美しく、魅力的でした。
(宝塚の男役のように、(煙草などで)不自然に声を潰していない印象)

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