時事解説「ディストピア」

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案の定、ウクライナ問題で肝心なことを書かない池上彰氏

2014-11-03 22:39:34 | マスコミ批判
池上氏の近著を書店で読んだ。

案の定、ウクライナ問題では肝心なことが書かれていなかった。

つまり、ドネツク・ルガンスク方面では住民投票を行った上で、
独立を宣言したのに対して、キエフ政権は断固としてこれを拒否し、
いもしないテロを撲滅すると主張して連日の如く爆撃を行っていることを。


http://www.youtube.com/watch?v=67RKxlyeRFk

モザイクなしの遺体が映っているので注意してほしいが、
先日、上の動画(ウクライナ軍の犯罪を告発する動画)がアップロードされた。


犠牲者は大半が戦闘力のない一般市民である。
要するに、テロやロシア軍ではなく同じ国民を殺していることを暴露したもので、
「皆さんは戦犯者に投票する用意がありますか?」と問いかけて終わっている。



池上氏の「現地ではウクライナ軍と武装派(つまりテロ)が戦っている」という
解説は明らかに説明不足かつ虚偽が混じった(混じりすぎた)ものだ。

なお、同氏は未だに真相が判明しないマレーシア機撃墜事件も、
下手人が東ウクライナの「武装組織」の仕業にしている。

徹頭徹尾、キエフ政権の言い分を
そっくりそのまま伝えている池上氏。



これが日本有数のジャーナリストと自他共に認めているのだから、
本当に日本のジャーナリズムはおかしいと思う。


ドネツク・ルガンスクでは現在、選挙を行っている最中だ。

特にルガンスク地方の
投票率は約70%であり、コジヤコフ委員長は、
有権者102万7012人のうち投票できたのは69万9000人だけだったと言及している。

ちなみに、この投票率は前回の日本の衆院選のそれよりも高い。

こういう動きを見るだけでも、池上氏が頭の中で描いている
ウクライナ軍とテロとの衝突というイメージが嘘っぱちであることがわかるだろう。


何も知らない素人相手に、いい加減であり、なおかつ安倍政権が得をする情報を
植え付け、知らず知らずの内に日本会議の信者を増やすような真似をする池上彰。

それをこれといって批判しない既存の左翼(共産党も含めて)。

ゲッペルスを野放しにするような行為をよくできるものだと
正直、そしてある意味、驚いている。

本当の敵はわかりやすい保守ではなく、
彼のように中立を装う極右だと私は思うのだが……

池上彰氏、中国に朝貢貿易を要請

2014-11-03 21:15:16 | マスコミ批判
文化の日。昼間から池上彰氏の洗脳番組がテレビ朝日で流されていた。

27年間、世界史を高校で教えているという増田ユリヤ氏と
中国の海外戦略について説明していた……が、

勘の良い読者なら、どうせろくでもない内容なんだろうと予想がつくだろう。


しかり。

池上氏ほど、知識が多い割に肝心な内容がつかめていない人はいないと思う。


同氏は、明の時代の鄭和の遠征と現在の中国のインド洋沿岸の諸国家への
海外戦略を比較し、「鄭和は友好的な態度をもって外交を行った。中国は
日本に歴史を学べとよく言うが、私に言わせれば中国こそ鄭和を見習えと言いたい
と述べていたが……マジか?と失笑してしまった。


鎌倉~室町時代にあたる明王朝の時代、永楽帝は鄭和という武将に船団を与え、
東南アジア~インド~中東の諸国家へと向かわせた。俗にいう「鄭和の大遠征」である。


この遠征によって、大規模な経済圏が形成されたわけだが、
これは商人が自由に貿易圏を拡大させた宋のそれとは対照的だった。


いわば、人工的な経済圏であり、自然発生的な経済圏ではなかったのである。
案の定、維持費がかかり、このシステムはまもなく崩壊してしまう。


さて、他国と貿易するさい、明は朝貢貿易という形式をとった、

これは、周辺国の君主が貢物を捧げ、皇帝側が恩賜を与えるというもので、
中国が格上であることを前提にしたものだった



ここで、再び池上氏の主張を読んでみよう。

「私に言わせれば中国こそ鄭和を見習えと言いたい」


……鄭和個人がどういう考えだったかは知らないが、
少なくとも鄭和が行ったのは朝貢貿易であり、
それは中国が他国より遥かに優れていること、
自分が皇帝であり、他国は臣下なのだという思想に基づいたものだった。



ちなみに、鄭和の艦隊には多くの兵士が同乗しており、
場合によっては現地勢力と交戦することもあった



それを見習えと池上氏は主張するのである。

中国がご主人さまで、アジア・アフリカ諸国が家来であるという前提で
他国と臨み、場合によっては、武力行使をした鄭和の大遠征を?



正気かよ……

かなり、調子に乗って語気を荒げて話していたので、
おそらくギャグでなく、本心で語っていたのだろう。


靖国参拝や慰安婦否定を断固として行う日本版ネオナチ団体「日本会議」の
メンバーが閣僚19人の中に15人も存在する安倍政権の歴史隠ぺい工作に苦言を呈し、
歴史を学べと話したのだが、「お前こそ学べ」と自分の頭の中にしか存在しない
鄭和のイメージ像を押し付けて、得意げな顔をする池上氏。

どう考えたって、こいつは安倍の飼い犬だろう。

同氏の中国嫌いは前から知っていたが、
こんないい加減な批判で良いのだろうか?



増田ユリヤ氏も高校で世界史を教えているなら、
池上氏の勘違いを指摘できるはずなのに、なぜ止めないのだろう。

こういう女史が歴史を子供に教えているかと思うと恐ろしい。


一応、言っておくが、私は中国のシンパではない。

中国の知識人の著書(いわゆる嫌中本ではないマトモな本)を読むと、
同国が近年展開している新自由主義的経済政策の弊害が嫌でもわかる。

しかし、批判というのは、あくまで正確な知識に裏打ちされて
はじめて批判になるのであって、池上氏のそれは唯の洗脳である。


中国をバッシングしたいために、鄭和の遠征を見習えなどという
アホな(としか言いようがない)コメントをしてしまう。要するに中身がない。


こういう中国に嫌悪感を抱かせるものでしかない洗脳番組が
昼も夜も文化の日に流されているというのはすさまじいことだ。


正直、筆者は在特会よりも池上氏のほうが危険だと考えている。
なぜなら、在特会は右翼からも敬遠されることが多いのに対して、
池上氏は危険だと誰も思っていないからである。


それも在特会は極右をターゲットに持論を展開しているが、
池上氏は普通の家庭を対象にプロパガンダを流しているからである。