前の記事の補足。シンガポール国立大学の教授の投稿文。
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ジアの平和的発展という主流を大切に
世界反ファシズム戦争の勝利から今年で69年になる。
アジアにとってこの偉大な勝利の歴史的意義は、
戦後のアジアおよびアジア太平洋の国際秩序の基礎を打ち固めたことにある。
(文:黄靖・シンガポール国立大学リー・クァンユー公共政策大学院教授、
アジアとグローバル化研究所所長)
反ファシズム戦争の勝利はアジアにおける植民地主義と帝国主義の終焉を告げた。
第2次大戦前のアジアは帝国主義列強にさんざん虐げられ、
多くの国々が植民地や半植民地に成り果て、ほぼ壊滅的な災禍に直面していた。
第2次大戦中、日本帝国主義はさらに植民地支配を残酷の極みにまで強化した。
中国はアジアの反ファシズム戦争の主戦場だった。
中国人民は日本帝国主義に屈服せず、死をも恐れず抗戦し、
反ファシズム戦争の最終的勝利に重大な貢献を果たした。
反ファシズム戦争の勝利に励まされ、
アジアでは半植民地主義独立運動が怒濤のごとく巻き起こった。
新中国は成立後、アジア各国の民族解放と国家独立の運動をなおさらに全力で支持した。
この時代的転換によって、今日のアジアの国際秩序の構築と発展の重要な基礎が打ち固められた。
アジア諸国の独立は自らの苦しい闘争によって獲得したものだ。
したがってアジア各国は一様に国家の主権と独立の維持を外交の基準点とし、
鮮明なアジアの特色を持つ外交政策構造を形成した。
インドやインドネシアは非同盟運動を積極的に主張。
新中国は他国に先駆けて平和共存五原則を打ち出し、遂行し続けてきた。
ASEAN諸国は武力の相互不使用、内政への相互不干渉という「ASEAN路線」を打ち出した。
アジアの特色あるこうした外交政策・方針は、力の強弱によって席次を決め、
同盟と対抗によって均衡を図る欧米諸国の外交的伝統と鮮明なコントラストを成し、
アジア諸国間の交流の主流となっただけでなく、欧米大国主導の国際関係という
伝統的構造を変える後押しともなり、発展途上国は国際問題で不可欠の影響力を勝ち取った。
反ファシズム戦争勝利以降の歴史を振り返ると、朝鮮戦争とベトナム戦争という、
第2次大戦後にアジアで起きた2つの大規模な戦争は、いずれも冷戦という大きな環境の下、
当事国の独立と主権の完全性が域外の覇権国家の干渉と侵入によって深刻に害され、
さらには地域の安全が危機にさらされたために引き起こされたものであることがはっきりと分かる。
また、この2つの戦争を最終的に終結させたのも、アジアの人々の流血の奮闘と犠牲だ。
歴史的経験が物語るように、反ファシズム戦争の勝利がアジアに残した最も貴重な遺産は、
アジア各国は国家の独立維持を基礎に、主権の完全性を断固として守り、
平和共存五原則を堅持し、内政への相互不干渉を堅持することで、
政治、経済、文化など各方面でアジア各国の多元的発展を促進・保障し、
平和と発展をアジアの主流にしなければならないということだ。
今日、アジアおよび世界の経済統合という大勢を前に、
アジア各国はなおさらに独立自主、平等、非対抗という基本原則を大切にし、
自国だけの利益のためにアジア各国間で派閥を組み、
対立さらには対抗を煽り立てる一部の国の良からぬ行動を断固阻止すべきだ。
相互協力に基づく発展、平等な協議を通じた問題解決を堅持してのみ、
アジアは平和的発展を確保し、共通の安全保障を高めることができる。
http://japanese.beijingreview.com.cn/yzds/txt/2014-08/13/content_634815.htm
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なお、上の文章で触れているように、
中国は善隣外交をモットーに外交を行っており、
今年の3月にあった全国人民代表大会では、次のような報告がされた。
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第12期全国人民代表大会第2回会議が5日午前9時に
人民大会堂で開幕し、李克強総理が新指導部初の政府活動報告を行った。
中国網特約論説員の暁岸氏は、李総理の政府活動報告は
外交政策に360字余りしか割いていないが、揺るぎない明確なメッセージを発しており、
広範で深い含意を備えると指摘した。中国網が伝えた。
外交に関する部分は、継承と堅持の重要性を強調。
「平和共存五原則を打ち出してから今年で60年」との書き出しから始まり、
引き続き平和・発展・協力・ウィンウィンの旗を高く掲げ、
終始変らず平和的発展の道を歩み、終始変らず
互恵・ウィンウィンの開放戦略を遂行する方針を重ねて表明した。
報告は中国外交の6大重点として以下を挙げた。
(1)国家の主権、安全、発展上の権益を断固として守り、
中国国民と中国法人の海外での合法権益をしっかりと守る。
(2)周辺外交を全面的に推進し、善隣友好を揺るぎないものにし、互恵協力を深化する。
(3)長期的、安定的、健全に発展する大国間関係の構築を推進する。
(4)アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を成功させる。
(5)発展途上国との団結・協力を強化し、発展途上国共通の利益を守る。
(6)国際・多国間の事柄に積極的に参画し、
グローバルな問題や焦点となっている問題の解決に積極的役割を発揮する。
李克強総理の初の政府活動報告は強い憂患意識と鮮明な国際的視野を備えている。
外交関連の部分で主に強調したのは実は、中国の発展には
平和で安定した国際環境が不可欠であり、中国の改革は
ハイレベルの対外開放の新局面を切り開かねばならないということだ。
中国はすでに世界的大国であり、
その内外政策の世界に対する直接的影響力が高まり続けている。
外国メディアが毎年開催される両会を強く注目していることから、
その一端がうかがえる。今年の両会に対する外国の関心の最たるものは、
次の3つを置いて他にない。
第1に、中国経済が持続可能な成長の動力を示し、
引き続き世界のエンジンとしての役割を発揮できるか否か。
第2に、中国の汚職取締りが順調に推進し、清廉な国家を確立できるか否か。
第3に、中国の対外政策が自信過剰の強硬路線に転じるか否か、
米国への挑戦、世界への脅威になるか否かだ。
第3の問題に関して、中国の国防費の増加、
領土問題による隣国との関係の緊張に故意に焦点を合わせて、
「中国の脅威」は間近と囃し立てる者が少なからずいる。
李総理は政府活動報告でこうした疑問に明確に回答した。
つまり中国は平和と発展の追求という志を変えないということだ。
http://japanese.beijingreview.com.cn/zt/txt/2014-03/11/content_605185_3.htm
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日本がアジアで台頭できない最大の原因は、
他のアジア国と共通の歴史と外交スタイルを所有していないことが言えよう。