時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

沖縄知事選、爺長氏が当選する

2014-11-16 22:15:12 | 軍拡
順当な結果と言えるだろう。

ところで、爺長氏は普天間基地県内移設に反対して受かったようなものだが、
同氏が反対姿勢を取ろうとも自民党政権は移設決定の意思を変えないらしい。


こういうのが本当の独裁なのだと私は思う。

選挙結果にお構いなく、反対しようがしなかろうが中央政府が全部決めてしまう。

よその国の独裁を嘆いているヒマがあったら、
なぜ現行の法体系や政治制度で、このような民衆の意思を無視する
強硬策が取られてしまい、そのことについてこれといった批判が
テレビや新聞でされないのかについて考えてみるべきだろう。

日本がアジアで台頭できない理由

2014-11-16 21:56:34 | 国際政治
前の記事の補足。シンガポール国立大学の教授の投稿文。


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ジアの平和的発展という主流を大切に



世界反ファシズム戦争の勝利から今年で69年になる。

アジアにとってこの偉大な勝利の歴史的意義は、
戦後のアジアおよびアジア太平洋の国際秩序の基礎を打ち固めたことにある。

(文:黄靖・シンガポール国立大学リー・クァンユー公共政策大学院教授、
   アジアとグローバル化研究所所長)


反ファシズム戦争の勝利はアジアにおける植民地主義と帝国主義の終焉を告げた。

第2次大戦前のアジアは帝国主義列強にさんざん虐げられ、
多くの国々が植民地や半植民地に成り果て、ほぼ壊滅的な災禍に直面していた。

第2次大戦中、日本帝国主義はさらに植民地支配を残酷の極みにまで強化した。


中国はアジアの反ファシズム戦争の主戦場だった。
中国人民は日本帝国主義に屈服せず、死をも恐れず抗戦し、
反ファシズム戦争の最終的勝利に重大な貢献を果たした。

反ファシズム戦争の勝利に励まされ、
アジアでは半植民地主義独立運動が怒濤のごとく巻き起こった。

新中国は成立後、アジア各国の民族解放と国家独立の運動をなおさらに全力で支持した。
この時代的転換によって、今日のアジアの国際秩序の構築と発展の重要な基礎が打ち固められた。


アジア諸国の独立は自らの苦しい闘争によって獲得したものだ


したがってアジア各国は一様に国家の主権と独立の維持を外交の基準点とし、
鮮明なアジアの特色を持つ外交政策構造を形成した。

インドやインドネシアは非同盟運動を積極的に主張。

新中国は他国に先駆けて平和共存五原則を打ち出し、遂行し続けてきた。

ASEAN諸国は武力の相互不使用、内政への相互不干渉という「ASEAN路線」を打ち出した。

アジアの特色あるこうした外交政策・方針は、力の強弱によって席次を決め、
同盟と対抗によって均衡を図る欧米諸国の外交的伝統と鮮明なコントラストを成し
アジア諸国間の交流の主流となっただけでなく、欧米大国主導の国際関係という
伝統的構造を変える後押しともなり、発展途上国は国際問題で不可欠の影響力を勝ち取った。


反ファシズム戦争勝利以降の歴史を振り返ると、朝鮮戦争とベトナム戦争という、
第2次大戦後にアジアで起きた2つの大規模な戦争は、いずれも冷戦という大きな環境の下、
当事国の独立と主権の完全性が域外の覇権国家の干渉と侵入によって深刻に害され、
さらには地域の安全が危機にさらされたために引き起こされたものであることがはっきりと分かる。


また、この2つの戦争を最終的に終結させたのも、アジアの人々の流血の奮闘と犠牲だ。

歴史的経験が物語るように、反ファシズム戦争の勝利がアジアに残した最も貴重な遺産は、
アジア各国は国家の独立維持を基礎に、主権の完全性を断固として守り、
平和共存五原則を堅持し、内政への相互不干渉を堅持することで、
政治、経済、文化など各方面でアジア各国の多元的発展を促進・保障し、
平和と発展をアジアの主流にしなければならない
ということだ。

今日、アジアおよび世界の経済統合という大勢を前に、
アジア各国はなおさらに独立自主、平等、非対抗という基本原則を大切にし、
自国だけの利益のためにアジア各国間で派閥を組み、
対立さらには対抗を煽り立てる一部の国の良からぬ行動を断固阻止すべきだ。

相互協力に基づく発展、平等な協議を通じた問題解決を堅持してのみ、
アジアは平和的発展を確保し、共通の安全保障を高めることができる。

http://japanese.beijingreview.com.cn/yzds/txt/2014-08/13/content_634815.htm

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なお、上の文章で触れているように、
中国は善隣外交をモットーに外交を行っており、
今年の3月にあった全国人民代表大会では、次のような報告がされた。


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第12期全国人民代表大会第2回会議が5日午前9時に
人民大会堂で開幕し、李克強総理が新指導部初の政府活動報告を行った。

中国網特約論説員の暁岸氏は、李総理の政府活動報告は
外交政策に360字余りしか割いていないが、揺るぎない明確なメッセージを発しており、
広範で深い含意を備えると指摘した。中国網が伝えた。


外交に関する部分は、継承と堅持の重要性を強調。


「平和共存五原則を打ち出してから今年で60年」との書き出しから始まり、
引き続き平和・発展・協力・ウィンウィンの旗を高く掲げ、
終始変らず平和的発展の道を歩み、終始変らず
互恵・ウィンウィンの開放戦略を遂行する方針を重ねて表明した。

報告は中国外交の6大重点として以下を挙げた。

(1)国家の主権、安全、発展上の権益を断固として守り、
   中国国民と中国法人の海外での合法権益をしっかりと守る。

(2)周辺外交を全面的に推進し、善隣友好を揺るぎないものにし、互恵協力を深化する。

(3)長期的、安定的、健全に発展する大国間関係の構築を推進する。

(4)アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を成功させる。

(5)発展途上国との団結・協力を強化し、発展途上国共通の利益を守る。

(6)国際・多国間の事柄に積極的に参画し、
   グローバルな問題や焦点となっている問題の解決に積極的役割を発揮する。



李克強総理の初の政府活動報告は強い憂患意識と鮮明な国際的視野を備えている。
外交関連の部分で主に強調したのは実は、中国の発展には
平和で安定した国際環境が不可欠であり、中国の改革は
ハイレベルの対外開放の新局面を切り開かねばならないということだ。


中国はすでに世界的大国であり、
その内外政策の世界に対する直接的影響力が高まり続けている。

外国メディアが毎年開催される両会を強く注目していることから、
その一端がうかがえる。今年の両会に対する外国の関心の最たるものは、
次の3つを置いて他にない。

第1に、中国経済が持続可能な成長の動力を示し、
引き続き世界のエンジンとしての役割を発揮できるか否か。

第2に、中国の汚職取締りが順調に推進し、清廉な国家を確立できるか否か。

第3に、中国の対外政策が自信過剰の強硬路線に転じるか否か、
米国への挑戦、世界への脅威になるか否かだ。


第3の問題に関して、中国の国防費の増加、
領土問題による隣国との関係の緊張に故意に焦点を合わせて、
「中国の脅威」は間近と囃し立てる者が少なからずいる。

李総理は政府活動報告でこうした疑問に明確に回答した。
つまり中国は平和と発展の追求という志を変えないということだ。

http://japanese.beijingreview.com.cn/zt/txt/2014-03/11/content_605185_3.htm
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日本がアジアで台頭できない最大の原因は、
他のアジア国と共通の歴史と外交スタイルを所有していないことが言えよう。

中国が台頭し、日本が衰退する本当の理由

2014-11-16 20:03:51 | 国際政治
ゴードン・チャンという中国評論家が2001年に
『やがて中国の崩壊が始まる』という本を世に送り出した。


詳細は、右翼サイトの書評にお任せするとして
(http://www.mars.dti.ne.jp/~saitota/book1207.htm)、
私がこの本を読んで素晴らしいと思ったのは、

中国は後5年以内に崩壊する
2001年に発言していたことである。



さて、2014年11月現在、13年の月日が流れたわけだが、
今の中国ははたして崩壊したのだろうか……



うん、してないな!

歴史的に見れば、逆に2001年以降、中国経済は目に見えて発展し、
ついに2010年にはGDP第2位の経済大国へと変貌したのだった。


もちろん、この間、幾人……というより中国評論家のほぼ全員が
中国経済の破綻を一生懸命に説明してきたが、こりゃまたどうだ、一向にその気配がない。
これで金を取るのだから中国ウォッチャーとは気楽な稼業である。


最近では通貨にまで中国のパワーは影響を及ぼすようになってきた。
次の記事は、元大蔵省副大臣で、ミスター円と評された榊原英資が
上海の銀行関係者によって開かれた国際会議において発言した人民元への
悲観的な見解が出席者にスルーされたことについて書かれている。


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日本の元大蔵副大臣の榊原英資氏は10月に上海で開かれた
銀行関係者による会議に出席した際に、中国国内の関係者に対して、

アジアは人民元を国際通貨にするかもしれないが、
 日本と韓国がそうすることは永遠にない。
 私の一生涯、皆さんの一生涯にもそれは起こりえない
」と述べた。


15年前であれば、人呼んで「ミスター円」の榊原氏によるこの発言は
銀行を混乱に陥れ、ドル円指数を数百ポイント変動させたかもしれない。
しかし残念ながら、日本と榊原氏にとって、時代はすでに変化している。


中国の世界経済および金融の舞台における台頭は、
日本のアジアナンバーワンの大国としての地位を揺るがした。


これは日本が長期的な措置を講じ、
地域の覇者としての地位を維持しようとしなかったことが、
一部の原因となっている。




対照的に中国は、3つの戦略により地位を固めている。

まず、中国は人民元国際化の推進に力を注いでいる。
中国は初めにシンガポール、マレーシア、香港、台湾、イギリスに
人民元オフショアセンターを設立し、ドイツ、ロシア、韓国に人民元決済センターを設立した。

これらの経済体は、中国の重要な貿易相手国だ。

世界の人民元流動資金プールの拡大に伴い、中国とパートナーの取引は、
遅かれ早かれオフショア人民元決済の使用に転じる。

日本は自国通貨の世界的な普及に興味を持っておらず、
米ドル決済に依存する現状に満足している。



中国がアジアにおける指導的地位を固めるための二つ目の措置は、
上海の地域金融センターとしての地位の構築だ。

日本はこの点で、再びミスを犯した。

東京は1990年代、紛れもなくアジアで主要な金融センターだった。
しかし2000年代中盤になると、シンガポールと香港が
アジア金融センターの玉座を巡り競争を開始した。


それから、中国は意識的に
隣国を抱き込もうとしているが、
日本は西側にばかり注目している。



日本の外交・投資政策は、米国との密接な関係の維持を目標としている。
日本は中国の急速な台頭、その地域に対する潜在的な影響について考えたこともない。

対照的に、中国は西側の影響力への対抗を目指し、
各地の提議の中でリーダーシップを発揮している。


上述した会議のティータイムの時に、
筆者は中国系銀行の高官に対して、榊原氏の挑発的な発言をどう思うかと聞いた。

この高官は、
「申し訳ないが、当行のシンガポール事務所とテレビ会議をしていた」と答えた。
これは地域のリーダーである中国とアジアの交流がすでに始まっており、
日本がこれを喜ぶか否かについてはそれほど気にしないことを意味している。

http://japanese.beijingreview.com.cn/zxnew/txt/2014-11/15/content_653156.htm

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この記事を通して私が言いたいことは、
日本のアジア蔑視が自国の政治的経済的立場を危うくさせたということである。


故・村井吉敬氏らのODA研究から明らかになっているが、
日本はアジア諸国を単純に原料を調達するための場所か、
あるいは新規開拓の可能性がある市場としてしか見てこなかった。


これに対して中国は自国の通貨を普及させることを念頭に、
地道にアジア諸国との政治・経済的パートナーシップの結び付きに専念してきた。

要するに中国がアジア外交に力を入れ、
同じアジアの一員として共に歩むよう友好関係を構築してきたのに対して、
日本は、せいぜい木材やバナナを売ってる国としか認識せず、
日米の関係さえ良好であればどうにでもなるという時代錯誤な考えから脱却できず、
歴史問題をみればお分かりのように、どこまで言っても下の存在として舐めてきた。

榊原氏の発言からお分かりのように、
アメリカ政治・経済圏の維持・発展しか考えてこなかった。

アジアの視点からヨーロッパやアメリカ(要するにNATO)に
対抗する政治・経済・軍事地域を築こうとする意気込みが皆無だったのだ。

(むしろその逆だった)


(もちろん、この期間、日本の識者は
 中国と他国との間に生じた個別的問題を取り上げ、
 中国は孤立しているのだという丸っきり間違ったイメージを得意げに広めていた)



日本と中国。衰退途上国と発展途上国。
その差は、両国の間でアジアを見る視点が、
根本的な部分で異なっていたからだとしか言いようがない。


中国やロシアは自国をアジアの国として認識し、
欧米諸国からの政治的経済的パワーに対抗するよう努力してきた。

日本は逆に自国を欧米圏の中に位置づけ、
先進諸国への対抗どころか逆に推進・支持を行ってきたのではないだろうか?


こういう記事もある。

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大半のアメリカ国民は、
経済マスコミでない限り、量的緩和(紙幣印刷の遠回しな言い方)が、
アメリカ経済を復活させることに失敗したことに気がついている。

すると、日本は一体なぜこの政策を採用したのだろう?

2013年に、大量の紙幣印刷が始まって以来、
日本円は、アメリカ・ドルに対して、35%下落したが、
エネルギー輸入に依存している国にとっては、大変な負担だ。

しかも、日本経済は、輸入品価格の上昇を正当化できるような、
量的緩和という刺激策に対する成長を示していないのだ。



経済が刺激策に反応していないのに、先月、日本銀行は、
年間、50兆円から80兆円へと、量的緩和を60%増やすと発表した。

ソシエテ・ジュネラルの専門家、アルバート・エドワーズは、
日本の紙幣印刷機が、円を、一ドル、115円から、145円に押し下げるだろうと予測している。


これは予測だが、一体なぜ危険なことをするのだろう?
通貨価値下落から、日本は一体何が得られるのだろう?
この政策の背後にある考え方は一体何だろう?


簡単な説明は、日本は、印刷しすぎたアメリカ・ドルを守るために、
自国通貨を破壊するよう命じられているということだ。

属国として、日本は、アメリカの政治的、金融的な覇権の下で苦しんでおり、
ワシントンの圧力に抵抗することが出来ないのだ。


公式説明では、連邦準備金制度理事会と同様、日本銀行は、
経済成長と、インフレを関連付けるフィリップス曲線を信じているのだと公言している。

レーガン政権によって実施されたサプライ・サイド・エコノミック政策は、
フィリップス曲線信仰を反証し、経済成長は、下落、あるいは安定した率の
インフレとの一貫性がないことを示した。ところが体制派経済学者連中は
それに気づくのを拒み、自分達にとって快い定説を奉じ続けている。


アメリカでは、量的緩和は、生み出された大半の流動性が、
消費者のポケットではなく、金融市場に流れ込んだ為に、
株価と債券価格インフレを引き起こした。

公式インフレ報告より、消費者価格インフレは高い。
インフレ率は、生計費調整用の資金を削減すべく、
インフレを過少報告するよう加工されているが、
量的緩和の主要効果は、非現実的な株価と債券価格だ。


日本銀行が願っているのは、円交換価値が下落するにつれ、
原材料とエネルギー輸入価格が上昇し、こうしたより高いコストが
消費者価格に転嫁され、インフレを押し上げ、経済成長を刺激することだ。

日本は、自国経済を、信ぴょう性のない理論に賭けている。

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-5e76.html
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アベノミクスが信奉するトリプルダウンという理論は、
全くもって破たんしていることをノーベル経済学者にして
グローバリズム批判者のスティグリッツはアメリカ経済を例に主張している。


彼の著書『世界の99%を貧困にする経済』によると、
金持ちが富めば、その分、下々の人間にも利益が下りてくるという理論が
神話であること、実際には格差が拡大した時期に経済成長率が鈍化しているそうだ。


じゃー、なんでそれを安倍はやるの?
マスコミは絶賛しているの?


という問題がここに浮上する。

答えは簡単で、中間以下の市民を犠牲にしてでも株価を上昇させ、
輸出企業を中心とした多国籍企業の利益をアップさせたいからだ。

TPP推進の根本的な動機としては、自動車などの輸出製品をもっと売りたい意図がある。


自国そのものの国際社会における政治・経済的台頭を目標にする中国と、
国内の一部企業の利益のみを考え、場当たり的な策しか練れない日本。


国益というものを考えても、日本と中国には大きなビジョンの違いがある。




2014年11月10日、北京APECサミット時の世界指導者集合写真。
習近平(中国)とプーチン(ロシア)が上座に立っている。

日本?
・・・どこかにいるのでしょう。たぶん。


いい加減、日本の中国ウォッチャー様は
日本がアジアで孤立していることに気づくべきだろう。


中国もロシアもアジアに目を向けている一方で、
日本は逆にアジアに背を向け軍拡とアジア人差別に熱中している。


日米同盟で何とかなると未だに信じ込んでいる。
そういうアジア軽視が続く限り、いつまで経っても、
日本はアジアというエリアにおいて政治的にも経済的にも
ロシア・中国に勝てないのではないだろうか……