時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

沖縄とギリシャ

2015-07-06 23:36:56 | 浅学なる道(コラム)
宗主国に理不尽な要求をされる。反対する首長や現地民が否定的に報道される。
似てるなぁと思うのは私だけだろうか?


観光が主な収入源になっている点も似ている。
米軍基地が駐留し、侵略の拠点にされた点も似ている。



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アメリカの軍事基地は、ギリシャの人々に政治的な圧力をかけて
彼らの民族的独立に損害を与えるために使われてきたし、今なおそうなっている。



(中略)

これらの基地群はしばしば隣接する諸人民に対して用いられる。


ギリシャの大地に置かれた基地群は、
1983年にはアメリカの第六艦隊がベイルートを爆撃するのに使われ、

1986年にはリビアに対する米国の攻撃を、
そして1990年にはイラクに対する攻撃を容易にするために使われた。



ギリシャに置かれた米軍基地はまたスエズ運河をめぐる
六日間戦争のときイギリスによって用いられ、また最近ではボスニアに対し、
また続いてユーゴスラビアに対するNATOの爆撃に使われた。


これらの基地群が土台となって、
コソボの占領を狙ったNATO軍がギリシャ経由で出撃することが可能になった。


この場合、民間港湾や空港その他のような非軍事的な民間施設も彼らは使用した。

また基地群はNATO軍の演習がバルカン半島や東地中海地域全域での
将来の干渉のために為されるのにも便益を与えている。

最近こうした種類の二つの演習がギリシャの大地で実施された。

http://www.heiwataikai.info/past_rally/00_nago/simpo/bunsyo_05.html
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これは2000年に書かれた文章だが、
状況は変わっていないのではないだろうか?



現に、ギリシャには未だにクレタ島とソウダ・ベイに米軍基地がある。
http://www.cnic.navy.mil/regions/cnreurafswa/installations/nsa_souda_bay.html



沖縄は基地の受け入れが、ギリシャは緊縮策の受け入れが問題になっているが、
本質的な部分、すなわち、欧米の植民地主義の被害を未だに受けている点では、
両者は兄弟とでも言うべき間柄ではないだろうか?



そう考えると、ここ最近のギリシャ債務危機に関して、
別に反日国家でもなんでもない同国に対して日本のメディアが
冷酷な主張(金は借りたら返すのが当たり前)をするのも納得がいくのだが……


参考記事 池上彰氏のギリシャ債務危機の説明について

ギリシャ国民投票:緊縮反対が6割を占める

2015-07-06 23:11:14 | 国際政治
ギリシャの債務危機について前々回の記事で解説したが、
このたび、EU・IMFが提起した緊縮財政案の受諾を問う国民投票が実施された。
(http://rt.com/news/271828-greece-referendum-no-vote/)


結果として、緊縮策の受け入れに反対する人間が60%、賛成する人間が39%を占めたが、
今後、EUが譲歩するかどうかは定かではない。予断を許さない状況になっている。



気になるのがギリシャの反対行動を否定的に扱うメディアの存在だ。


池上彰氏のニュース解説番組もそうだが、
毎日新聞でも、幾分、中立ながらも同様の姿勢を見せている。
(http://mainichi.jp/shimen/news/20150703ddm003020044000c.html)


「チプラス首相は民衆扇動とポピュリズム(大衆迎合主義)にとらわれている」

「首相が自分の信念にこだわればギリシャは他のEU諸国から孤立してしまう」

「態度がころころ変わる。何を考えているのか理解不能だ」



このように、ツィプラス首相への批判の言葉を何度も取り上げる一方で、
親ツィプラス派の人間は一人しか取り上げていない。しかも次のような評価付で。



「EUとの交渉で「ギリシャの尊厳を取り戻す」と
 宣言する弁舌は一部の国民の自尊心をくすぐる。」



他にも、緊縮策の譲歩はないという
EU側の言葉をそのまま受け止め、絶対の真実であるかのように語っている。


「「ノー」ならEU側は対応に苦慮する。チプラス首相は現行の
 緊縮策の大幅な緩和を求めることになるが、EU側に譲歩の余地はないからだ。」

「「信頼関係が壊れた」(ショイブレ独財務相)中で
  全加盟国の議会から承認を得るのは困難を極める。

 ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は
 2日、「(国民投票の結果が『ノー』なら)極めて困難な状況になる」と警告した。」


なぜ譲歩の余地がないのか?なぜ極めて困難な状況になるのか?
上の毎日新聞の解説記事には、その答えが書かれていない。



要は、緊縮を強いる人間の言葉をそっくりそのまま伝えている記事であり、
結果的にはEU側の意向に影響された内容になってしまっている。



こういう記事に、どれだけ意味があるのか、ちょっとわからない。

私たちに必要なのは「緊縮の結果、ギリシャ社会がどうなったのか」、
「これ以上の緊縮策にギリシャ国民が耐えられるのか」といった情報であるはずだ。


上の記事からは、それを伺い知ることが出来ない。



加えて、ツィプラス首相の描写は、イランやシリア、北朝鮮、中国・・・
要するに日本の保守派にとって気に入らない国々の主導者に対するそれと同じで、
頑迷な独裁者(あるいは扇動者)として描かれている。



こういうセンセーショナリズムな記事が全うな解説記事として
押し出されるのは如何なものかと思うのだが……どうだろう?



少なくとも「一部の人間を鼓舞させるだけ」と評価した数日後に、
国民の6割が反対派になったわけで、現実と乖離した報道だったように感じるのだが……