時事解説「ディストピア」

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米軍ヘリ墜落事故と邦人救出作戦

2015-08-15 00:13:22 | 軍拡
NHKをはじめ、他のメディアでも報道されておきながら、
詳細が明らかにされていない今回の米軍ヘリ墜落事故。



米陸軍参謀総長のオディエルノ大将は12日の記者会見で、
この墜落事故が他国との合同訓練中に起きたと述べている。


とはいえ、その訓練がどのような事態を想定したものなのかは明らかにされていない。


事故にあったヘリは、アメリカ陸軍第160特殊作戦航空連隊、
通称「ナイト・ストーカーズ」に所属するものであることが判明された。


このナイト・ストーカーズは、夜間急襲用の特殊支援部隊で、
一応、要人・米国人救出のために1981年に設立されたということになっているが、
実際には、グレナダ征服作戦をはじめ、イラン・イラク、湾岸、
ユーゴ、アフガン・イラク戦争と
アメリカの戦争に必ず参加している部隊である。



そもそも、彼らの初陣たるグレナダ征服作戦(一般的にはグレナダ侵攻と呼ばれる)は、
宣戦布告なしにアメリカが仕掛けた戦争だった。


当時のグレナダは1975年(!)にイギリスから独立したグレナダが
海外資本と癒着した政府を抵抗勢力が打倒し、革命政権が樹立されるも、
内ゲバ(経済復興に失敗したのが原因)により、内乱が発生していた。


これに対して、民主主義と米国人を守るためというお決まりの台詞
レーガンが先述の通り、宣戦布告なしで約7千の大軍を派兵、占領に成功する。



その後、治安維持の名のもと、
カリブ平和軍(笑)が監視する中、親米政権が樹立された。



一時は、イギリスから独立できたグレナダだが、
現在は、イギリス国王が国家元首になっている。



グレナダの首相は、イギリス国王の代理人であるグレナダ総督によって任命される。
「総督っていつの時代だよ!」という話だが、事実である(汗

与党代表を任命するという慣わしになっているので、
ウィキペディアには、わざわざ「表面的なもの」と書かれているが、
この政治体制は、植民地体制からグレナダが脱却できなかったことの何よりの証左である。



去年、スコットランドの独立運動がニュースになったが、
グレナダもまた、独立に失敗したイギリスの衛星国家になった。


この発端になった戦争に参加したのがナイト・ストーカーズだった。

その後もソマリア内戦でモハメド・アイディド将軍とその側近の捕獲を試みたり、
ハイチの紛争では、攻撃部隊を主要な政府施設に輸送する任務を負っていたり、
ユーゴ紛争では、デルタフォースらによる戦争犯罪者追跡捕獲作戦を支援したり、


パナマ.侵攻直前に現地の刑務所に捕らわれていた米ビジネスマン
(CIA要員だったという説あり)を救出するためにデルタフォースを輸送したり、
その後にマニュエル・ノリエガ将軍の捕獲を試みた作戦を実行したり、


1998年、イラクが 国連の核査察団を拒否した制裁として
米軍が空爆を実施したさいに、撃墜された味方機の捜索救難を担当したり、



思いっきりアメリカの侵略戦争に加担している。



米軍ヘリに同乗していた陸自隊員2名は、いずれも中央即応集団所属の2等陸曹だったらしい。
防衛省は、2人が米陸軍の訓練に「研修」として参加し、訓練を「見学」していたと説明している。

安保法案の一部である自衛隊法改定では、日本人が海外でテロなどに巻き込まれた場合、
自衛隊がその国まで出かけて「救出」活動ができるようになるとあるが、


ナイト・ストーカーズの訓練に参加しているあたり、これは
アメリカが仕掛けた戦争によって混乱した地帯から日本人を救出するための改定
だと見てもさしつかえないのではなかろうか?



少なくとも、安倍がしつっこく主張する日本人救出作戦とやらは、
米英仏侵略トリオが仕掛けた戦争とリンクしたものだと考えて間違いあるまい。


余談だが、ナイト・ストーカーズのアメリカ人救出作戦を見ると、
ノルマントン号事件(英国人だけ救出されて日本人が見殺しにされた海難事故)を思い出す。


大切なのは自国の人間だけ、侵攻を受けるパナマやイラクの民間人は決して助けない。
安倍が述べる「邦人」救出作戦とは、しょせん、この枠内のものだ。


日本人だけさっさと救出して、後はお好きに爆弾を落としてくださいませということ。
米英仏は悪さをしすぎてテロから狙われているが、日本ではまだテロ事件は起きていない。
(地下鉄サリン事件などの例外はあるものの)


しかし、上記のようにアメリカやNATOの侵攻作戦を支援するようになれば、
日本もまた、国内で同様の事件が発生することから逃れられない
だろう。


で、あとは「私はシャルリー」(笑)である。

悪いのはテロリストで、紛争をけしかけている自分たちではないというわけだ。

予言するが、仮に集団的自衛権を行使できるようになり、
その結果、軍や政府に恨みを持つ外国人に国内で事件を起こされた場合、
同権利の容認を主張していた連中は間違いなく自分の責任を問うことなく、
テロに復讐するため、軍を派兵せよと主張するだろう。


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