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時事解説「ディストピア」

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感想・安倍談話 (右からの批判)

2015-08-15 23:47:04 | 浅学なる道(コラム)
あちこちで文句をつけられている安倍談話。

全文を読んだ感想としては、これは右翼も左翼も不満が残る内容だったのではと感じた。




……と思っていたら、保守速報を見る限り、これで満足しちゃったのね(汗
すっげーな、誇り高き日本人。安倍の言うことなら何でも褒めるのか…


私は一応、レフトの人間だと思うが、
ここはあえて極右になったつもりで安倍談話にケチをつけてみようと思う。




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世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、
それまでの植民地化にブレーキがかかりました。


この戦争は、一千万人もの戦死者を出す、悲惨な戦争でありました。
人々は「平和」を強く願い、国際連盟を創設し、不戦条約を生み出しました。


戦争自体を違法化する、新たな国際社会の潮流が生まれました。

当初は、日本も足並みを揃えました。


しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、
経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。

その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、
力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、
その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。

満州事変、そして国際連盟からの脱退。

日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした
「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。

進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。

そして七十年前。日本は、敗戦しました。
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ここで重要なのは、「戦争自体が違法だ」という発言である。


右翼が日ごろからブーたれている東京裁判は、
まさにこの戦争を仕掛けた罪を問うものだった。




一応、欧米諸国のせいにしてはいるが、安倍談話は
日本が当時でも違法とみなされた戦争を他国にもたらしたと語られている。


つまり、東京裁判の内容を受け入れた形式を取っているのだが、
これは東京裁判・勝者の裁き!ぜってー許せねーマンにとっては不快な内容ではないのか?



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戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が、数知れず失われました。


中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、
戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜の民が苦しみ、犠牲となりました。

戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません。

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ここの記述で、韓国に言及されていないことで
「安倍首相、すげー!」とほざいているアホが結構いるが、
当時の韓国は併合されて日本の国土になっているのだから、書かなくて当然である。



むしろ、ここの記述では太平洋戦争で日本が侵攻した地域全域において、
現地の民間人に犠牲をもたらしたこと、特に慰安婦の存在を認めたことが重要だろう。


婉曲的とはいえ、慰安婦をはじめ、日本軍が現地人を苦しめたことが記されている。
これも、日本の戦争、絶対正しいマンにしてみれば、気に入らない文面だ。



前の箇所とあわせて読めば、
日本は国際秩序に逆らって戦争を仕掛け、相手国の民を死なせた」と述べているのである。


これは右翼にとっては噴飯モノのはずだ。



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何の罪もない人々に、
計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。



歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。

一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。
この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。

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つくる会やWAC、文春、草思社、PHP等々が涙ぐましく続けている
無駄な努力正しい歴史を教える運動(笑)を否定する言葉だ。

これは、右翼としては許すわけにはいくまい。



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事変、侵略、戦争。

いかなる武力の威嚇や行使も、
国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。

植民地支配から永遠に訣別し
すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。
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「もう二度と」ということは、以前は行ったということ。
「訣別」ということは、以前は訣別していなかったということ。


文脈上、「いかなる武力の威嚇や行使」の具体例として挙げられている
事変、侵略、戦争を日本が行ったことを認めている箇所である。




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戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、
日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、
それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、
いかほどの努力が必要であったか。

そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。


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もはや決定的である。安部は我が誇り高き日本人(笑)が
捕虜虐待をしたという中国の主張を受け入れてしまったと言えよう。




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日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。


あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、
そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。


しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、
過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。

謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。

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保守速報では、「あの戦争~背負わせてはなりません」の箇所を
赤文字で表記し、安倍首相、すげー!と褒めちぎっているのだが、

すぐ後ろに過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません
と書かれているのを無視している。



つまり、日ごろから自虐史観だの何だのとぬかして現実逃避をしている
連中に注意をしているのだが、これはネトウヨにとっては、
許しがたい屈辱的な発言ではないだろうか?私がネトウヨならキレる。




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私たちの親、そのまた親の世代が、
戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命をつなぐことができた。
そして、現在の私たちの世代、さらに次の世代へと、未来をつないでいくことができる。


それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈に戦った、
米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、
恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。

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ここからは真面目に語ることにしたいと思う。

この談話は日本がアメリカに向けて語られたものだろう。


言うまでもなく、ここ数年の安倍をはじめとする日本の右翼どもの言動は、
欧米諸国に不信感と反発を抱かせた。特にアメリカの非難は顕著だった。



アメリカとしては日本が軍拡を進めるためにも、周辺諸国に警戒されないように、
先の大戦で大日本帝国が侵略戦争をしたという自覚と反省をきちんとしてほしいのである。


この意思は大使をはじめとして、色々な形で日本に伝えられたが、
今回の談話は、そのアメリカの意向を汲んで書かれたのではないかと思う。



談話では慰安婦に関する言及も多くされているが、
これはアメリカ下院議会で可決された慰安婦に対する決議を意識したものだろう。



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私たちは、二十世紀において、
戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。


だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。
二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、
世界をリードしてまいります。

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問題の決議(アメリカ合衆国下院121号決議)の一部を抜粋すると、



「1930年代から第2次世界大戦までの間、
 日本政府は、「慰安婦」と呼ばれる若い女性たちを
 日本軍に性的サービスを提供する目的で動員させた。

 日本政府による強制的な軍隊売春制度慰安婦は、
 集団強姦や強制流産、恥辱、身体切断、死亡、自殺を招いた性的暴行など、
 残虐性と規模において前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつである。

日本の学校で使われている新しい教科書は、
こうした慰安婦の悲劇や太平洋戦争中の 日本の戦争犯罪を矮小化している。

また、最近日本には、慰安婦の苦痛に対する政府の真摯な謝罪を含む
河野洋平官房長官による1993年の「慰安婦関連談話」を弱めようとしたり、
撤回させようとしている者がいる。」


「以下は米下院の共通した意見である。

 1・日本政府は1930年代から第2次世界大戦終戦に至るまで
   アジア諸国と太平洋諸島を植民地化したり戦時占領する過程で、
   日本軍が強制的に若い女性を「慰安婦」と呼ばれる性の奴隷にした事実を、
   明確な態度で公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負わなければならない。

 2・日本の首相が公式声明によって謝罪するなら、これまで発表した声明の真実性と
   水準に対し繰り返されている疑惑を解消するのに役立つだろう。


 3・日本政府は「日本軍が慰安婦を性の奴隷にし、人身売買した事実は絶対にない」
   といういかなる主張に対しても、明確かつ公式に反論しなければならない。

 4・日本政府は、国際社会が提示した慰安婦に関する勧告に従い、
   現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育をしなければならない。」


とまぁ、談話が見事に
この決議の内容(特に要求2の部分)に反映されたものである
ことがわかる。



東京裁判で日本を裁いたアメリカとしては、
東京裁判&ポツダム宣言の内容を認めさせ、かつ、日米同盟の強化を進めたい。


そのため、「太平洋戦争は間違っていたけれど、
この間違いを償うために積極的平和主義(米国との軍事作戦への参加)に取り組むね!」
というメッセージは喉から手が出るほど欲しかったはずだ。


実際、アメリカ政府は安倍談話を肯定的に評価している。


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米ホワイトハウスは14日、安倍晋三首相が発表した
戦後70年談話が痛切な反省の念を表明したとして歓迎する声明を発表した。


安倍首相が、戦後50年の村山富市首相談話、
60年の小泉純一郎首相談話などの歴代内閣の立場を
「今後も揺るぎない」としたことについても歓迎した


声明は、米国家安全保障会議(NSC)のプライス報道官が発表。
安倍首相が今後、世界の平和と繁栄に貢献すると述べたことを「評価する」とし、
日本が戦後70年、平和、民主主義、法の支配を尊重してきたことは「他国の模範となる」と強調した。


http://www.sankei.com/world/news/150815/wor1508150006-n1.html
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NSCは名前の通り、アメリカの戦争に深く関わる……というより、
最高決定権を持つ機関であり、悪名高いCIAはNSCの直轄機関だ。




アメリカの外交や戦争を決定する機関から褒められた。
それも、「国際貢献」(安倍が言うところの積極的平和主義)の箇所が歓迎された。

このことが何を意味するかは問うまでもない。



冷静に読み返せば、アメリカの原爆投下や東京大空襲について、
一言も言及していない
ことに気がつくだろう。



安倍談話は、あくまでもアメリカの歴史観を認め、アメリカに対して謝罪し、
今後はアメリカの陣営につき、尽力するという表明だった。




アメリカが第一次世界大戦後に主導して構築した国際秩序を乱し、
愚かな日本が太平洋戦争をしかけてしまいました、すみません、もうしません、
アメリカの戦争は正義の戦争でした、日本は悪い国でした、
これからはアメリカに逆らわずアメリカ側について働きます。


こういうものである。


これだけアメリカの戦争犯罪を無視し、日本が全面的に悪かったと
ひたすらペコペコしている談話は、誇りとやらを気にしているつもりに
なっている者どもにしてみれば、さぞかし屈辱的なものになるはずだ。


ここまでアメリカにナメられて良いのか、安倍しっかりしろとキレてもいいはずである。



ところが、我が誇り高き日本人は、安倍の言うことなら何でもかんでも絶賛である。

「さっと読んだが、予想外に結構いい文章だな。 」
「読んだけどいい文章だった 中身もよいと思う 」
「全文(・∀・)イイネ!! 」
「お、いいこと言ってんじゃん100点! 」
「これ作ったの誰?こんだけのもん作れる官僚がまだ日本に残ってたことに驚愕したわ
 まだまだ捨てたもんじゃないわ」

「先日のアメリカでの講演も今回の談話も日本人として、とても誇らしく感じました。
 この談話に恥じない国民でありたいと思います。 」



どんだけ信者なんだよwwwとツッコミを入れさせて頂こう。




反米を自称する小林よしのりあたりの右翼が
私の期待に応えてくれるものだと思っていたが、微妙な意見を言っている。
安倍談話のわしの評価


私としては「なぜアメリカの戦争犯罪を問わないのだ!ウキー!」と
暴れて欲しかったのだが、所詮は信者が離れてしまった元教祖様といったところか。


他にもネットでたまたま見つけた
「行動保守の最右翼 尊皇攘夷派 『侍蟻 SamuraiAri』」というサイトでも
 安倍談話において、アメリカの歴史観を受忍させられたことについて
 なーんにも文句が言われていない。それでも保守かっつー話だ。



前々から気になっていたのだが、連中にとっての誇りと言うやつは
中国人や韓国人に対して俺のほうが上だと威張りくさるためにだけ存在するもので、
アメリカの言いようにこき使われている現状に対して
怒りを覚えるためのものになっていないんじゃないだろうか?




オバマ大統領が来日したときの歓迎ムードが物凄かった時にも
薄ら寒い何かを感じたが、このままアメリカのペットとして
可愛がられる国家にし続けるのが誇りある日本人の態度というものなのか?


だとしたら、その誇りとやらは
俗に言う奴隷の鎖自慢というものだろう。




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