一部の専門家も含め、日本では中国の貧困について語られる際に、
実態にのみ言及し、その対策について語らないことがしばしばある。
2014年の報告によると、中国の貧困人口は約7000万(!)で、
貧困率に換算すると5~6%ということになる。
日本の総人口の半分以上が貧困だと思えば、これは忌々しき事態であり、
それゆえに国内外の研究者もジャーナリストもこの問題について取り組んでいるのだろう。
ただ、日本の場合、得てして「いかに中国の民衆が苦しんでいるか」が強調され、
実は貧困率で比べると日本(16%)のほうが高いことは忘れられている気がする。
ついでに言えば、中国は2007年時点では貧困率が26%(!)だったが、
2012年で7%までに減らしたということも本業の研究者はともかく、
いわゆる保守系のメディア(つまり書店に行けば必ず売ってる中国批判本)は触れていない。
加えて中国は年々、貧困ラインを上げている。
貧困とみなされる人間の1人当たり年間純所得が2007年までは200元未満だったが、
2008年以降は1196元未満、2011年以降は2300元未満となった。
つまり、貧困層にカウントされる人間は増えたはずなのに実際には減少したのである。
この原因として、中国政府が継続して熱心に貧困対策に取り組んでいたことが挙げられる。
中国政府は今、次のようなプランを立てている。
------------------------------------------------------
1.国家レベルでの貧困扶助関連ビッグデータを完備し、
貧困人口約7千人の居住地、居住エリア、貧困に陥った原因、
彼らの需要、扶助の方法などを具体化かつ明確化する。
2.12万8千ある貧困村に対し、現地駐在業務チームを派遣、
第1書記を選抜・派遣、貧困扶養対象者をめぐる業務体制を確立する。
3. 所得の増加、貧困扶助・転居、医療・健康、職業教育、生活保護などの分野で、
住民をめぐる生産生活環境や環境条件の改善という基本的課題を解決する。
4.住民の生産発展、労働発展、外地での就業を計画・奨励する。
5.貧困地区において手本となる自力更生モデルを発揚し、
貧困扶助・協力体制の優良モデルを制定し、トップからダウンまでが一致団結した、
全国統一的な総力戦を繰り広げる。
http://j.people.com.cn/n/2015/1016/c94475-8963101-2.html
-------------------------------------------------------
これに加えて、習近平が政権に就いて以降、
経済発展至上主義から所得分配を重視する動きへと変化した。
格差を承知で発展に勤しむ路線から、
発展を鈍らせてでも貧困層を減らすという動きにシフトした。
(それゆえに、2014年の成長率が7%にダウンしたのは、ある意味当然の帰結である)
こういう動きを知った上で7000万の貧困者がいると知る場合と、
何も知らずに7000万の貧困者がいると教えられる場合では中国に対する印象が全く異なってくる。
先日、さる中国研究者の方と会う機会があったのだが、
その人の話を聞いても、中国の負の部分はよくしゃべるのだが、
彼らが貧困問題についてどのように奮闘しているのかについては言及が全くなかった。
そういう理解の仕方ってどうなのかなと思うのだが、自分に当てはめてみれば
EUやアメリカのイスラム差別についてこれでもかと書く一方で、
その差別を解消しようとする動きには触れていないわけで、他人のことは言えない気がする。
とはいえ、中国のことを私たちがあまりよく知らないのは、
とりあえず中国をブっ叩いておけばそれで良いじゃんという雰囲気が
一部の学者(と信じたい)を含めた全体に漂っているからなんじゃないかとは思う。
実態にのみ言及し、その対策について語らないことがしばしばある。
2014年の報告によると、中国の貧困人口は約7000万(!)で、
貧困率に換算すると5~6%ということになる。
日本の総人口の半分以上が貧困だと思えば、これは忌々しき事態であり、
それゆえに国内外の研究者もジャーナリストもこの問題について取り組んでいるのだろう。
ただ、日本の場合、得てして「いかに中国の民衆が苦しんでいるか」が強調され、
実は貧困率で比べると日本(16%)のほうが高いことは忘れられている気がする。
ついでに言えば、中国は2007年時点では貧困率が26%(!)だったが、
2012年で7%までに減らしたということも本業の研究者はともかく、
いわゆる保守系のメディア(つまり書店に行けば必ず売ってる中国批判本)は触れていない。
加えて中国は年々、貧困ラインを上げている。
貧困とみなされる人間の1人当たり年間純所得が2007年までは200元未満だったが、
2008年以降は1196元未満、2011年以降は2300元未満となった。
つまり、貧困層にカウントされる人間は増えたはずなのに実際には減少したのである。
この原因として、中国政府が継続して熱心に貧困対策に取り組んでいたことが挙げられる。
中国政府は今、次のようなプランを立てている。
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1.国家レベルでの貧困扶助関連ビッグデータを完備し、
貧困人口約7千人の居住地、居住エリア、貧困に陥った原因、
彼らの需要、扶助の方法などを具体化かつ明確化する。
2.12万8千ある貧困村に対し、現地駐在業務チームを派遣、
第1書記を選抜・派遣、貧困扶養対象者をめぐる業務体制を確立する。
3. 所得の増加、貧困扶助・転居、医療・健康、職業教育、生活保護などの分野で、
住民をめぐる生産生活環境や環境条件の改善という基本的課題を解決する。
4.住民の生産発展、労働発展、外地での就業を計画・奨励する。
5.貧困地区において手本となる自力更生モデルを発揚し、
貧困扶助・協力体制の優良モデルを制定し、トップからダウンまでが一致団結した、
全国統一的な総力戦を繰り広げる。
http://j.people.com.cn/n/2015/1016/c94475-8963101-2.html
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これに加えて、習近平が政権に就いて以降、
経済発展至上主義から所得分配を重視する動きへと変化した。
格差を承知で発展に勤しむ路線から、
発展を鈍らせてでも貧困層を減らすという動きにシフトした。
(それゆえに、2014年の成長率が7%にダウンしたのは、ある意味当然の帰結である)
こういう動きを知った上で7000万の貧困者がいると知る場合と、
何も知らずに7000万の貧困者がいると教えられる場合では中国に対する印象が全く異なってくる。
先日、さる中国研究者の方と会う機会があったのだが、
その人の話を聞いても、中国の負の部分はよくしゃべるのだが、
彼らが貧困問題についてどのように奮闘しているのかについては言及が全くなかった。
そういう理解の仕方ってどうなのかなと思うのだが、自分に当てはめてみれば
EUやアメリカのイスラム差別についてこれでもかと書く一方で、
その差別を解消しようとする動きには触れていないわけで、他人のことは言えない気がする。
とはいえ、中国のことを私たちがあまりよく知らないのは、
とりあえず中国をブっ叩いておけばそれで良いじゃんという雰囲気が
一部の学者(と信じたい)を含めた全体に漂っているからなんじゃないかとは思う。