何を血迷ったか、サウジアラビアが突然イランとの外交断絶を宣言してきた。
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サウジアラビアは3日深夜、地域の最大のライバル国であるイランとの外交関係の断絶を宣言。
サウジアラビアのアデリ・アリ・ジュベイル外相は次のような声明を表した。
「サウジアラビアはイランとの外交関係を断絶し、
イラン人外交官が48時間以内に出国することを要請する。」
「我々はイランが我々の安全および安定に脅威を与え、
我々の国ないし連合諸国の領域にテロの温床を作ることを許さない。
我々は外交関係を断絶することが我々にとって最良であると決定した。
なぜならばイランはテロの拡散を促し続けているからだ。」
外交断絶の原因と前提条件
2日、サウジアラビアは急進主義グループに関与し、
テロを実行したとして多数の死刑を執行した。死刑が執行されたのは47人。
大多数が国際テロ組織「アルカイダ」(ロシアで活動が禁止)と関与しており、
2003年から2006年にかけてサウジアラビア領内で発生した襲撃の実行犯。
ところが最大の反響を呼んだのはシーア派の有名な指導者であったニムル師の死刑だった。
ニムル師は2012年7月、大規模抗議行動を扇動した罪で逮捕されていた。
イランはニムル師の死刑に対し、迅速に反応した。
2日、イラン外務省のホセイン・ジャベル・アンサリ報道官は声明を表し、
「サウジアラビアが支持するテロリストが平穏と安全を壊し、
この地域に暮らす市民に脅威を与えている間に、サウジアラビア政権は
アン=ニムル師のようなシャイフ(イスラム教の知識人)を自国の政敵として処刑している」
と抗議した。
これに対しサウジアラビア外務省はイラン大使を呼び出し、抗議の通牒を渡している。
処刑のニュースはイラン社会に大きな不満の波を呼び、
テヘランにあるサウジアラビア大使館、メシェヘドの総領事館周辺では大規模なデモ、
襲撃が展開されたため、イラン政府は沈静化を余儀なくされた。
イランの反応
イランはサウジアラビアが外交断絶を宣言したことに対し、
「サウジアラビアはシーア派の神学者の死刑という戦略的な誤算を単に深刻化させている」
と警告し、イラン外務省中東アフリカ問題担当ホセイン・アミル・アブドラヒア次官は
「サウジアラビアはイランとの外交関係断絶の決定を宣言することでは、
宗教活動家を死刑に処して犯した大きな間違いを隠すことはできない。」という声明を表した。
アブドラヒア外務次官はさらに、サウジアラビアの行為は
「この地域の安全の脅威を一層深刻化させ、テロや急進主義の一層の拡大を招く」と警告している。
続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20160104/1401987.html#ixzz3wHvddJij
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ニムル師の処刑に対しては、イラン人だけでなく他のムスリムも抗議している。
インドネシアが、サウジによるシーア派指導者の死刑を強く非難
米・ニューヨークで、活動家やイスラム教徒数百名が対サウジ集会を実施
ニューヨークのデモでは、サウジを無制限に支持するアメリカ政府への非難も行われている。
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ドイツ紙、「サウジは石油とテロ以外に世界に輸出するものはない」
サウジアラビアでの集団処刑と、同国政府に対する強い非難を受け、ドイツの新聞ビルドが、
「ドイツの旧来からの同盟国サウジは、石油やナツメヤシ、テロ以外に世界に輸出するものはない」
と報じました。
ビルト紙は4日月曜、最近ドイツのガブリエル副首相のサウジ訪問と、
同国政府関係者との会談の様子を撮影した写真付きの詳細な記事の中で、
サウジとの関係継続に努めるドイツ政府を批判しています。
ドイツの左派や緑の党、社会民主党といった野党はしばらく前から、
ドイツ政府とサウジアラビアとの武器取引の発覚を受け、
現在のメルケル政権を強く批判していましたが、最近の出来事に注目し、
批判の高まりとともにサウジとの武器取引の見直しを求めています。
緑の党や左派勢力は、こうした立場表明に加えて、サウジの政策を対ISIS政策と比較しています。
また、ドイツ社会民主党も同国政府に対し、
サウジとの政治的な関係を経済的な利益よりも優先させるよう求めています。
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61216
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豪外相、サウジでの集団処刑に懸念を表明
オーストラリアのビショップ外務大臣が、
サウジアラビアのシーア派の有力な指導者ナムル師が処刑されたことに懸念を表明しました。
イルナー通信によりますと、ビショップ大臣は4日月曜、オーストラリア政府は、
聖職者ナムル師を含む数十名の活動家の集団処刑に動揺していると語りました。
こうした中、オーストラリアのニューイングランド大学で
サウジアラビアの政治を研究するベン・リッチ氏は、
「オーストラリアはサウジでの人権侵害に目をつぶるべきではない。
なぜなら、サウジにおける人権の侵害は、長期間にわたり無視されているからだ」と述べています。
サウジは2日土曜、同国のシーア派の指導者ナムル師の処刑執行を発表しました。
サウジアラビアが、有名なイスラムの有名の聖職者を不公平に処刑した一方で、
イエメンを攻撃し、バーレーンの国民を激しく弾圧、殺害しており、また、
シリアやイラクでISISとヌスラ戦線といったテロ組織を支援していることは誰の目にも明らかです。
サウジによるナムル師の処刑は、世界のイスラム教徒の怒りを引き起こしています。
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61217-
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アメリカ大統領選の共和党候補、「中東危機の責任者はサウジ」
2016年アメリカ大統領選挙のロン・ポール共和党候補が、
「中東地域での緊張や戦争の発生の責任はサウジアラビアにある」と語りました。
イスナー通信によりますと、ロン・ポール候補はあるテレビ局のインタビューで、
「中東における緊張や戦火の責任がサウジにありながら、我々は同国に武器を売却している」
と述べています。
また、アメリカのオバマ政権や、民主党候補のクリントン前国務長官に責任があるとし、
「これらの人物は、シリアの反体制派の武装化を支援している」としました。
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61220-
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どうもサウジはイランの脅威を煽れば何とかなるだろうと考えていたらしいが、
さすがに今回の処刑は、今までサウジの悪行を黙認していた国からも非難されている。
上に列挙した記事を読む限り、ドイツやアメリカ、イギリスなどの国にも
サウジが文字通りのテロ支援国家であることに気づいていた人間がいたようで安心した。
とはいえ、彼ら批判者が向こうの論壇でどのようなポジションを占めているかはわからない。
案外、日本と同じで発言権を事実上剥奪されている人間なのかもしれない。
日本に目を向ければ、サウジアラビアに対する知識人の腰が引けた姿勢に驚きを隠しえない。
私の知る限りでは日本の中東研究者もサウジアラビアがどういう国かは理解しているはずなのだが、
そのわりには、まるでサウジアラビア政府がテロ支援に関与していないかのような書き方をする。
「なぜサウジからビンラディンや9・11の実行犯が多数生まれたか、にある。
政治の矛盾に敏感な若者が、その「不満や不安をどう表現していいかわからない」環境に
長く置かれてきたサウジ。国内の改革運動もあるが、その歩みは遅い。
政治参加の術(すべ)のない怒れる若者たちは、国外に出て世界に刃(やいば)を突きつけるのだ。」
(http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011072700624.html)
下線部の言葉は素直に読めば、サウジ出身のテロはサウジ政府とは無関係だという意味だろう。
しかし、実際にはサウジの国教であるワッハーブ派はイギリスやアメリカの支援を受けながら
パキスタンにイスラム原理主義者のための学校を建設し、アルカイダなどのテロ集団を育ててきた。
ダーイシュ(ISIS、イスラム国)にしてもサウジが前から支援してきた集団で、事実、
彼らがシリアやイラクで占領した地域の宗教学校ではサウジの教科書が使われている。
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残念ながら、偉大なる神の預言者たちの信者は、預言者が亡くなった後、
次第に神の教えの代わりに、自らの個人的な解釈を据え、その宗教の歴史を捻じ曲げました。
ムーサー、イーサー、その他の神の預言者の道はこうした信者たちによって逸れていってしまいました。
こうした逸脱がなければ、人類は違った運命をたどっていたことでしょう。
イスラム教も、その例外ではありません。
預言者ムハンマドが亡くなった後、イスラムも個人や集団に都合のよい解釈や逸脱に陥りました。
預言者ムハンマドの後継者として、シーア派初代イマーム、アリーが為政者となったとき、
イスラム社会の3つのグループが、アリーとの戦いに立ち上がりました。
そうしたグループの一つが、ナフラヴァーンという戦いで出てきたハワーリジュ派です。
彼らは預言者と聖典コーランに関する勝手な解釈によりイマームアリーに対して反乱を起こしました。
現在の一連の過激派の流れは、このハワーリジュ派として捉えることができます。
ハワーリジュ派やタクフィール主義の根には、彼らが宗教を暴力的に解釈していることがあり、
イスラム教徒が彼らと同じ考えを持たないことを、不信心の罪と見なし、殺害します。
また、ハワーリジュ派とタクフィール主義に存在する民族的な偏った考え方では、
彼らに近い人々でさえ敵対されます。そのため、過激派の模範は
全てのイスラムのすべての宗派を非難するハワーリジュ派の行動にあると言えるでしょう。
現代の暴力的で偏った行動は、イスラム初期のハワーリジュ派の行動の結果と同じように、
イスラム教徒の弱体化につながることでしょう。
ISISは、サラフィー主義のタクフィール思想を持つグループであり、
彼らの思想は、ムハンマド・イブン・アブドルワッハーブらの思想に根差したもので、
その最大の支持者は、中東地域やそれ以外の地域の一部の政府、
つまり、現在、中東でISISとの戦いを謳っている政府です。
ISISの誕生の経緯を見れば、サウジアラビアと
一部のアラブ・西側諸国の政府の関与が、より明らかになるでしょう。
http://japanese.irib.ir/component/k2/item/
52348-%E3%83%86%E3%83%AD%E7%B5%84%E7%B9%94isis%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F
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サウジアラビアは2015年3月から継続してイエメンに空爆を行っており、
また、例の処刑後には国内のシーア派居住区を包囲、3日には抗議者に銃撃を加え、
1名が死亡、数名が負傷している。この中には8歳の児童も含まれる。
欧米のメディアを見る限り、今回のサウジの処刑と理解不能な反応は、
今まで黙認されてきた同国の悪行が国際社会で非難される契機になるかもしれない。
あくまで「かもしれない」ではあるが。
日ごろ、中国やシリアに対して烈火のごとく怒る日本の知識人は今後、どう反応するのだろうか?
当然、出版社と協力してサウジをテーマにした新書や雑誌、単行本を出版すべきだろうが、
果たして、イスラム国に対してあそこまで熱心に批判していた連中が、
それに劣らぬ情熱を持ってサウジアラビアのテロ支援とシーア派弾圧を非難できるのだろうか?
どうも怪しいなと思えてならない。むしろ、連中は今回の国交断絶や
サウジのイエメン・シリアへの干渉政策をイランとサウジアラビアの二国家間の争いとして語り、
「イランもサウジもどっちも悪い!」という解釈をして済ませてしまうのではないだろうか?
(少なくとも冷戦に関しては「アメリカもソ連もどっちも悪い!」という解釈が主流である)
イランが未だに実質的な悪の枢軸国扱いを受けている国際情勢を鑑みるに、
どうもそういう「中立的な」受け止め方をするような気がするのだが・・・
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サウジアラビアは3日深夜、地域の最大のライバル国であるイランとの外交関係の断絶を宣言。
サウジアラビアのアデリ・アリ・ジュベイル外相は次のような声明を表した。
「サウジアラビアはイランとの外交関係を断絶し、
イラン人外交官が48時間以内に出国することを要請する。」
「我々はイランが我々の安全および安定に脅威を与え、
我々の国ないし連合諸国の領域にテロの温床を作ることを許さない。
我々は外交関係を断絶することが我々にとって最良であると決定した。
なぜならばイランはテロの拡散を促し続けているからだ。」
外交断絶の原因と前提条件
2日、サウジアラビアは急進主義グループに関与し、
テロを実行したとして多数の死刑を執行した。死刑が執行されたのは47人。
大多数が国際テロ組織「アルカイダ」(ロシアで活動が禁止)と関与しており、
2003年から2006年にかけてサウジアラビア領内で発生した襲撃の実行犯。
ところが最大の反響を呼んだのはシーア派の有名な指導者であったニムル師の死刑だった。
ニムル師は2012年7月、大規模抗議行動を扇動した罪で逮捕されていた。
イランはニムル師の死刑に対し、迅速に反応した。
2日、イラン外務省のホセイン・ジャベル・アンサリ報道官は声明を表し、
「サウジアラビアが支持するテロリストが平穏と安全を壊し、
この地域に暮らす市民に脅威を与えている間に、サウジアラビア政権は
アン=ニムル師のようなシャイフ(イスラム教の知識人)を自国の政敵として処刑している」
と抗議した。
これに対しサウジアラビア外務省はイラン大使を呼び出し、抗議の通牒を渡している。
処刑のニュースはイラン社会に大きな不満の波を呼び、
テヘランにあるサウジアラビア大使館、メシェヘドの総領事館周辺では大規模なデモ、
襲撃が展開されたため、イラン政府は沈静化を余儀なくされた。
イランの反応
イランはサウジアラビアが外交断絶を宣言したことに対し、
「サウジアラビアはシーア派の神学者の死刑という戦略的な誤算を単に深刻化させている」
と警告し、イラン外務省中東アフリカ問題担当ホセイン・アミル・アブドラヒア次官は
「サウジアラビアはイランとの外交関係断絶の決定を宣言することでは、
宗教活動家を死刑に処して犯した大きな間違いを隠すことはできない。」という声明を表した。
アブドラヒア外務次官はさらに、サウジアラビアの行為は
「この地域の安全の脅威を一層深刻化させ、テロや急進主義の一層の拡大を招く」と警告している。
続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20160104/1401987.html#ixzz3wHvddJij
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ニムル師の処刑に対しては、イラン人だけでなく他のムスリムも抗議している。
インドネシアが、サウジによるシーア派指導者の死刑を強く非難
米・ニューヨークで、活動家やイスラム教徒数百名が対サウジ集会を実施
ニューヨークのデモでは、サウジを無制限に支持するアメリカ政府への非難も行われている。
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ドイツ紙、「サウジは石油とテロ以外に世界に輸出するものはない」
サウジアラビアでの集団処刑と、同国政府に対する強い非難を受け、ドイツの新聞ビルドが、
「ドイツの旧来からの同盟国サウジは、石油やナツメヤシ、テロ以外に世界に輸出するものはない」
と報じました。
ビルト紙は4日月曜、最近ドイツのガブリエル副首相のサウジ訪問と、
同国政府関係者との会談の様子を撮影した写真付きの詳細な記事の中で、
サウジとの関係継続に努めるドイツ政府を批判しています。
ドイツの左派や緑の党、社会民主党といった野党はしばらく前から、
ドイツ政府とサウジアラビアとの武器取引の発覚を受け、
現在のメルケル政権を強く批判していましたが、最近の出来事に注目し、
批判の高まりとともにサウジとの武器取引の見直しを求めています。
緑の党や左派勢力は、こうした立場表明に加えて、サウジの政策を対ISIS政策と比較しています。
また、ドイツ社会民主党も同国政府に対し、
サウジとの政治的な関係を経済的な利益よりも優先させるよう求めています。
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61216
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豪外相、サウジでの集団処刑に懸念を表明
オーストラリアのビショップ外務大臣が、
サウジアラビアのシーア派の有力な指導者ナムル師が処刑されたことに懸念を表明しました。
イルナー通信によりますと、ビショップ大臣は4日月曜、オーストラリア政府は、
聖職者ナムル師を含む数十名の活動家の集団処刑に動揺していると語りました。
こうした中、オーストラリアのニューイングランド大学で
サウジアラビアの政治を研究するベン・リッチ氏は、
「オーストラリアはサウジでの人権侵害に目をつぶるべきではない。
なぜなら、サウジにおける人権の侵害は、長期間にわたり無視されているからだ」と述べています。
サウジは2日土曜、同国のシーア派の指導者ナムル師の処刑執行を発表しました。
サウジアラビアが、有名なイスラムの有名の聖職者を不公平に処刑した一方で、
イエメンを攻撃し、バーレーンの国民を激しく弾圧、殺害しており、また、
シリアやイラクでISISとヌスラ戦線といったテロ組織を支援していることは誰の目にも明らかです。
サウジによるナムル師の処刑は、世界のイスラム教徒の怒りを引き起こしています。
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アメリカ大統領選の共和党候補、「中東危機の責任者はサウジ」
2016年アメリカ大統領選挙のロン・ポール共和党候補が、
「中東地域での緊張や戦争の発生の責任はサウジアラビアにある」と語りました。
イスナー通信によりますと、ロン・ポール候補はあるテレビ局のインタビューで、
「中東における緊張や戦火の責任がサウジにありながら、我々は同国に武器を売却している」
と述べています。
また、アメリカのオバマ政権や、民主党候補のクリントン前国務長官に責任があるとし、
「これらの人物は、シリアの反体制派の武装化を支援している」としました。
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61220-
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どうもサウジはイランの脅威を煽れば何とかなるだろうと考えていたらしいが、
さすがに今回の処刑は、今までサウジの悪行を黙認していた国からも非難されている。
上に列挙した記事を読む限り、ドイツやアメリカ、イギリスなどの国にも
サウジが文字通りのテロ支援国家であることに気づいていた人間がいたようで安心した。
とはいえ、彼ら批判者が向こうの論壇でどのようなポジションを占めているかはわからない。
案外、日本と同じで発言権を事実上剥奪されている人間なのかもしれない。
日本に目を向ければ、サウジアラビアに対する知識人の腰が引けた姿勢に驚きを隠しえない。
私の知る限りでは日本の中東研究者もサウジアラビアがどういう国かは理解しているはずなのだが、
そのわりには、まるでサウジアラビア政府がテロ支援に関与していないかのような書き方をする。
「なぜサウジからビンラディンや9・11の実行犯が多数生まれたか、にある。
政治の矛盾に敏感な若者が、その「不満や不安をどう表現していいかわからない」環境に
長く置かれてきたサウジ。国内の改革運動もあるが、その歩みは遅い。
政治参加の術(すべ)のない怒れる若者たちは、国外に出て世界に刃(やいば)を突きつけるのだ。」
(http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011072700624.html)
下線部の言葉は素直に読めば、サウジ出身のテロはサウジ政府とは無関係だという意味だろう。
しかし、実際にはサウジの国教であるワッハーブ派はイギリスやアメリカの支援を受けながら
パキスタンにイスラム原理主義者のための学校を建設し、アルカイダなどのテロ集団を育ててきた。
ダーイシュ(ISIS、イスラム国)にしてもサウジが前から支援してきた集団で、事実、
彼らがシリアやイラクで占領した地域の宗教学校ではサウジの教科書が使われている。
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残念ながら、偉大なる神の預言者たちの信者は、預言者が亡くなった後、
次第に神の教えの代わりに、自らの個人的な解釈を据え、その宗教の歴史を捻じ曲げました。
ムーサー、イーサー、その他の神の預言者の道はこうした信者たちによって逸れていってしまいました。
こうした逸脱がなければ、人類は違った運命をたどっていたことでしょう。
イスラム教も、その例外ではありません。
預言者ムハンマドが亡くなった後、イスラムも個人や集団に都合のよい解釈や逸脱に陥りました。
預言者ムハンマドの後継者として、シーア派初代イマーム、アリーが為政者となったとき、
イスラム社会の3つのグループが、アリーとの戦いに立ち上がりました。
そうしたグループの一つが、ナフラヴァーンという戦いで出てきたハワーリジュ派です。
彼らは預言者と聖典コーランに関する勝手な解釈によりイマームアリーに対して反乱を起こしました。
現在の一連の過激派の流れは、このハワーリジュ派として捉えることができます。
ハワーリジュ派やタクフィール主義の根には、彼らが宗教を暴力的に解釈していることがあり、
イスラム教徒が彼らと同じ考えを持たないことを、不信心の罪と見なし、殺害します。
また、ハワーリジュ派とタクフィール主義に存在する民族的な偏った考え方では、
彼らに近い人々でさえ敵対されます。そのため、過激派の模範は
全てのイスラムのすべての宗派を非難するハワーリジュ派の行動にあると言えるでしょう。
現代の暴力的で偏った行動は、イスラム初期のハワーリジュ派の行動の結果と同じように、
イスラム教徒の弱体化につながることでしょう。
ISISは、サラフィー主義のタクフィール思想を持つグループであり、
彼らの思想は、ムハンマド・イブン・アブドルワッハーブらの思想に根差したもので、
その最大の支持者は、中東地域やそれ以外の地域の一部の政府、
つまり、現在、中東でISISとの戦いを謳っている政府です。
ISISの誕生の経緯を見れば、サウジアラビアと
一部のアラブ・西側諸国の政府の関与が、より明らかになるでしょう。
http://japanese.irib.ir/component/k2/item/
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サウジアラビアは2015年3月から継続してイエメンに空爆を行っており、
また、例の処刑後には国内のシーア派居住区を包囲、3日には抗議者に銃撃を加え、
1名が死亡、数名が負傷している。この中には8歳の児童も含まれる。
欧米のメディアを見る限り、今回のサウジの処刑と理解不能な反応は、
今まで黙認されてきた同国の悪行が国際社会で非難される契機になるかもしれない。
あくまで「かもしれない」ではあるが。
日ごろ、中国やシリアに対して烈火のごとく怒る日本の知識人は今後、どう反応するのだろうか?
当然、出版社と協力してサウジをテーマにした新書や雑誌、単行本を出版すべきだろうが、
果たして、イスラム国に対してあそこまで熱心に批判していた連中が、
それに劣らぬ情熱を持ってサウジアラビアのテロ支援とシーア派弾圧を非難できるのだろうか?
どうも怪しいなと思えてならない。むしろ、連中は今回の国交断絶や
サウジのイエメン・シリアへの干渉政策をイランとサウジアラビアの二国家間の争いとして語り、
「イランもサウジもどっちも悪い!」という解釈をして済ませてしまうのではないだろうか?
(少なくとも冷戦に関しては「アメリカもソ連もどっちも悪い!」という解釈が主流である)
イランが未だに実質的な悪の枢軸国扱いを受けている国際情勢を鑑みるに、
どうもそういう「中立的な」受け止め方をするような気がするのだが・・・