時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

アフガニスタン 治安悪化の中、大統領選

2014-04-03 21:24:55 | リビア・ウクライナ・南米・中東
しんぶん赤旗より

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アフガニスタン大統領選挙の投票が5日に行われます。
憲法の3選禁止規定でカルザイ大統領が退任するのに伴う
今回の選挙では、米軍の駐留を定める安全保障協定や、
反政府武装勢力タリバンとの対話などで重要な判断を下す次期大統領を選出します。

反政府勢力タリバンによるテロが後を絶たず、
選挙の正統性を脅かしかねない情勢不安のなかで、
有権者は治安改善の強い願いを一票に託します。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-03/2014040307_01_1.html
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「反政府勢力」も何も、もともと統治していたのはタリバンで、
それを銃と爆撃によって物理的に排除してできたのが今の政権
です。

向こうにとってみれば、カルザイ政権こそ
アメリカの傀儡政権に見えると思うのですが……



タリバンは確かに極端なイスラム原理主義者の集団ではありましたが、
彼らが民衆に支持され台頭したのは、暴力や強姦が日常茶飯事だった
ソ連軍撤退後の社会から地方軍閥を一掃し、治安を維持してきたからです。

翻ってアフガン戦争後の現在のカルザイ政権では、
日常的にテロが発生し、それへの弾圧や空爆が行われています。


特に、タリバンが潜伏しているとみなして隣国パキスタンにも
無人戦闘機を飛ばして民間人を殺している事態は看過することはできません。


アメリカは治外法権を得た上で作戦を行っています。

つまり、アメリカ軍が向こうで犯罪を犯しても、
裁くのはアメリカ本国であってアフガニスタンではない。
やりたい放題というわけです。これにはカルザイ大統領も非難しています。

私としては、タリバンを合法の政党として迎え入れ、
連立を組むなり総選挙をするなりするしかないように思えるのですが、
タリバンを絶対悪として排除しようとするのが現政権であり、
アメリカ軍であるので、この線はまず実現不可能でしょう。

アメリカは12年(もうすぐ13年)にかけて他国で暴力を働いているのですが、
普段は中東やアフリカ、アジアといった第3世界で起きている「人権侵害」に
ヒステリックになって騒いでいる国連や国際規模の人権団体も、
ことアフガンに関しては声が小さい。これは何故なのでしょうか?

袴田事件について

2014-04-01 21:45:50 | 文学
他ブログで書いたコメントを加筆修正して掲載します。

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数年前の足利事件の冤罪発覚の折もそうでしたが、当時から検察と一緒に
彼を犯人扱いしていたメディアの皆さんは袴田さんにちゃんと謝ったのでしょうか?

(ちなみに足利事件で被疑者にされた菅谷さんは謝罪されていないようです。)

光市の母子殺人事件の時にも感じましたが、殺人犯というのは
捕まった瞬間から究極の弱者になる
という認識が足りない気がします。


私は、死刑の話を読んだり聞いたりするたびに、有島武郎の『一房の葡萄』を思い出します。

裕福な西洋人の少年への羨望や嫉妬の気持ちもないまぜになって
絵具を盗んだ主人公に対する同級生たちの情け容赦ない侮蔑。

>あんなことをなぜしてしまったんだろう。
取りかえしのつかないことになってしまった。もう僕は駄目だ。
そんなに思うと弱虫だった僕は淋しく悲しくなって来て、
しくしくと泣き出してしまいました。

>「泣いておどかしたって駄目だよ」とよく出来る大きな子が
馬鹿にするような憎みきったような声で言って、
動くまいとする僕をみんなで寄ってたかって
二階に引張って行こうとしました。
僕は出来るだけ行くまいとしたけれども
とうとう力まかせに引きずられて階子段を登らせられてしまいました。
そこに僕の好きな受持ちの先生の部屋があるのです。



自分が一番好きな人に、自分の目の前で、自分が最低な人間だとバラされる。
これほど残酷なことを正義感に満ちた人間が平然とやってのけてしまう矛盾。

間違った人間には何をやっても構わない
という風潮があるように思えるのです。


今回は未だ再審が決まったのみで、冤罪を勝ち取ったわけではありません。
仮に再び有罪と判決された場合、メディアや大衆は彼を守ってくれるでしょうか?
私にはそうは思えません。

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有島武郎は特に好きな作家で、奔放な生き方にあこがれながらも
常に許しを求めて生きた作家だったと思っています。


『一房の葡萄』は小学生でも読破できる分量と文体で書かれた短編ですが、
そこで問われているテーマは非常に重い。青空文庫でも読めますので、
興味を持った方はぜひ読んでみてください。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000025/files/211_20472.html