津市一志町井関、県道久居美杉線の交差点脇にある
「太一」の常夜燈です。
この場所は急な坂道の頂上にあたり、
坂の名前から「谷戸坂の常夜燈」と呼ばれていたようです。
「太一」の文字が刻まれた常夜燈は、
津市の美杉、白山、一志、久居の各地域の旧街道沿いに見られます。
「太一」は伊勢神宮を意味し、
伊勢神宮へ奉納する品々を運ぶ時には「太一」と書いた旗を荷車に立てたことから、
伊勢神宮への道筋に奉納された常夜燈にも「太一」と彫るようになったようです。
榊原の「太一」常夜燈
こちらの常夜燈が建てられたのは、明治29年1月ですので、
比較的新しい年代のものですが、
それでも「太一」と刻む風習を大事にしていたようですね。
常夜燈の北側(県道に向かっている面)には、「常夜燈」と刻まれています。
同じく北側の基部には「谷戸中」と刻まれています。
谷戸坂の途中に設置した、という意味でしょうか。
「常夜燈」の文字の反対側(南向きの面)には
「松本長七」と刻まれています。
これは、この常夜燈を建てるに当たって、
寄進者を募ったりした世話人の名前だそうです。
「太一」と同じ東向きの基部には、
寄附をした商店の所在地と屋号が刻まれています。