そんなことがあったね

カクテルパーティが流行っていた　と思っていた

パン作りが流行っていた　と思ってた

貯蔵庫には、手作りの瓶詰めや乾燥ハーブや越冬野菜があるものだと　思っていた

あの頃のテクニカルカラーのようなお料理本にあったカクテルグラスは　

ホテル旧館のバーにあった

キッチンシンクの戸だなには、パーティ料理の盛り付けを描いた紙が貼ってあった

幾種類の卵立てやデミタスカップも付いた食器が１２一組2セット。

特別なときだけ使うんだ。

いつもは、絶対に割れないガラスのお皿

オレンジや黄色や曇りいろで好きだったのに、割れた。


コンベックは、３段同時にクッキーを焼き、６キロのお肉をローストした

クロックポットは、硬いすね肉をトロトロのスープにしたし

妹の誕生日には、お人形のパンを焼いた

挽肉機を取り付けて、廻すのはパパの役だった

ヌードルマシーンでパスタを打たないで　長い長いプレッツェルを焼いた

階段下の棚には、色々なケーキ型やクリームの金口セットの箱、パイ用ののし棒や

パイレックスの計量カップが入っていて、毎週木曜には生クリームが届き、

金曜にはモモのケーキを焼いた


ダイニングには　大きな黒板。黒板用のペンキが買えることをはじめて知った

吊るされた植物は、いく鉢にも増えて、お祭りのキンギョはどんどん大きくなった

大きくなったキンギョは、皮膚病になって、赤チンを塗られて泳いだ

タイル貼りのバスルームで　私はタップの練習やヨーデルの練習をした


お留守番の日は、お兄ちゃんと家中にスキーのワックスをぬった

ワックスは、赤と青。銀色は使わなかったね。

つるつるの床は、毛糸の靴下をはくと　よりいっそう楽しい

いつも急いでいるお兄ちゃんは、ツルツルになった階段をよく転がり落ちていた

私は、転ばないように　いつしかすり足で歩くのがクセになって

靴底が減るんだ


夜には　みんなそれぞれらしいガウンを着てた

ママのは、ヘチマ襟のコバルトグリーンペール　足首まですっぽりと隠れていたよ


そんなことがあったねぇ

だから、ぜったい　ひるね　したくなかったんだ。



大きくなりすきたのかな？

シエスタは　夢のようなお話になっちゃった

さんかくのシエスタ

ごはんに　三角のトーストを作ってもらって

小さな三角だから4つ食べました

ごはんがすむと　お昼寝の時間だといわれて

ベッドに連れて行かれました

ボクは　夜でもないのに眠りたくないといいました

ママは　白夜だといいながら　ビャクヤの話をしました

ボクは　それを聞きながらなんとかベッドから抜け出そうと考えました

なのに・・・

なのに・・・・・

ボクは　眠ってしまった

まだ　夜じゃなくって　すごいことがあったかもしれないのに

眠ってしまったボクは　おきて　すぐ　泣きました


ボクは　一刻もはやく　お兄さんになりたいと思いました







*画像　シエスタ後の関係・部分　2013WAVE展