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2015年に入って、耐震リフォーム工事を都内で行っています。
入居しながらの工事の場合は、耐震リフォームでは外壁を壊します。
ですが、この場合、正しく断熱材を入れることはできません。
古い住宅の場合は、断熱材があってないようなものですから
本当は、内部の壁を壊して断熱材を入れた方が良いですね。
しかし、そのためには、入居しながらというのは難しいです。
部分的に耐震補強という場合は、可能ですが、
かなりの壁を補強するとなると、通常は引っ越してということになります。
例外として1階の耐震補強がほとんどだったので
不便でも住まいながら可能な箇所の工事を行い
1週間だけ旅行にいって頂き、その間に
キッチン部分の壁を耐震補強
床を壊して基礎補強、2階部分の壁を補強した工事例もあります。
ご自身で1階の壁や床、天井を壊し、2階におひとりで住みながら
「このあと、どう耐震補強すれば良いか?」
とご相談にいらしゃった行動派の方の例もあります。
ですが、今回はバリアフリーや断熱材工事も兼ねており、
内部のほとんどを解体しましたので、住めません。
リフォームや耐震補強で
壁や床、天井を壊していくと、必ず想定外のことが起こります。
そのため想定外が起こるということは、想定していますので
大体のことは経験済みです。
それでも、これは考えていなかったな、という箇所がありました。
それは、以下のどれだかわかりますか?
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▲2階部分の解体後、このあと結局、
天井の野縁という骨組み、床材の合板もやり直しとなりました。
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▲1階部分の解体後
基礎が部分的にブロック基礎となっていました。
基礎補強は当初の計画にあり、その部分は基礎補強を行いましたが、
ブロック基礎の部分は、すべて耐震強度がゼロとして再計算し、
それでも、耐震性能が確保できるように、
コンピューターで再度耐震設計を考え直しました。
余裕があるよう過剰に設計していたので成り立ちましたが
ギリギリだと、成り立たないところでした。
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▲風呂場を解体すると腐っていることは、よくあります。
必ずといってもいいです。
奥の壁が風呂場です。ここ以外にも、雨漏れで腐っている箇所がありました。
それらは、手直しを行って、雨漏れが今後しないように工事を行いました。
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▲ガス管が、筋交いを貫通しています。
エアコンの穴が筋交いに穴を開けていたというのもよくあります。
水道管が筋交いを切ってしまっているというケースもありました。
中には、大工さんが筋交いを切っていた、というケースもありました。
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▲既存の断熱材は、こんな感じで入っている場合が多いです。
入れ方も間違っていますし、もう断熱材としての性能はあまりありませんね。
▼これは、あるはずの梁がないのです。
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このあるはずの梁がないという箇所が4個所ありました。
これらは、耐震強度が無いものとして計算すると
耐震設計がなりたちません。
結局すべて梁を入れて補強することにしました。
私が予想もしていなかったのは、どれだかわかりましたか?
最後の「梁がない」でした。最初の写真の意味もこれです。
不安定だったり、強度的に持ちそうに無いので
梁を入れ替えたり、補強し直すことは過去にもありましたが
4個所も、あるべき梁が入っていないというのは想像もしていませんでした。
それ以外の項目は、有り得ることですので驚きませんが
正しく工事を行うには、余分に工事費や工事期間が掛かります。
業者によっては、無視して工事を進めて終わらせる
ということもあります。
新築時でもこうなのですから、
自分達に責任のないリフォーム時には、なおさら面倒なことをしない、
または、これ幸いと高額金額を追加請求してくる場合もあります。
こういったケースに遭遇し、
助成金を申請していても、もらうことを断念して工事を進める、
というケースがあります。
理由は、耐震設計をやり直して承認を受けてから
再度工事をスタートすることになり、工事期間が長くなりすぎて断念、
または、助成金以上に費用がかかり、助成金をもらう意味が無い
予算オーバーでそこまでできない、といった理由です。
古い家屋の耐震設計や大規模リフォームは
正しく行うには、期間も工事費も余裕が必要です。
ギリギリで行うと、正しくという部分が
知らない間に犠牲になっていることもあります。
想定外のことは、必ず起こっているからです。
続きは、後日アップします。
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ご意見があれば、お気軽にどうぞ!
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