一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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耐震リフォーム工事中(1)

2015年03月24日 15時31分32秒 | 住宅リフォーム・耐震
▲この写真の意味は? 


2015年に入って、耐震リフォーム工事を都内で行っています。

入居しながらの工事の場合は、耐震リフォームでは外壁を壊します。
ですが、この場合、正しく断熱材を入れることはできません。

古い住宅の場合は、断熱材があってないようなものですから
本当は、内部の壁を壊して断熱材を入れた方が良いですね。

しかし、そのためには、入居しながらというのは難しいです。

部分的に耐震補強という場合は、可能ですが、
かなりの壁を補強するとなると、通常は引っ越してということになります。

例外として1階の耐震補強がほとんどだったので
不便でも住まいながら可能な箇所の工事を行い

1週間だけ旅行にいって頂き、その間に

キッチン部分の壁を耐震補強
床を壊して基礎補強、2階部分の壁を補強した工事例もあります。

ご自身で1階の壁や床、天井を壊し、2階におひとりで住みながら

「このあと、どう耐震補強すれば良いか?」
とご相談にいらしゃった行動派の方の例もあります。

ですが、今回はバリアフリーや断熱材工事も兼ねており、
内部のほとんどを解体しましたので、住めません。

リフォームや耐震補強で
壁や床、天井を壊していくと、必ず想定外のことが起こります。

そのため想定外が起こるということは、想定していますので
大体のことは経験済みです。


それでも、これは考えていなかったな、という箇所がありました。

それは、以下のどれだかわかりますか?


 

▲2階部分の解体後、このあと結局、
天井の野縁という骨組み、床材の合板もやり直しとなりました。



▲1階部分の解体後
基礎が部分的にブロック基礎となっていました。

基礎補強は当初の計画にあり、その部分は基礎補強を行いましたが、

ブロック基礎の部分は、すべて耐震強度がゼロとして再計算し、
それでも、耐震性能が確保できるように、
コンピューターで再度耐震設計を考え直しました。

余裕があるよう過剰に設計していたので成り立ちましたが
ギリギリだと、成り立たないところでした。



▲風呂場を解体すると腐っていることは、よくあります。
必ずといってもいいです。

奥の壁が風呂場です。ここ以外にも、雨漏れで腐っている箇所がありました。
それらは、手直しを行って、雨漏れが今後しないように工事を行いました。



▲ガス管が、筋交いを貫通しています。

エアコンの穴が筋交いに穴を開けていたというのもよくあります。
水道管が筋交いを切ってしまっているというケースもありました。

中には、大工さんが筋交いを切っていた、というケースもありました。



▲既存の断熱材は、こんな感じで入っている場合が多いです。
入れ方も間違っていますし、もう断熱材としての性能はあまりありませんね。


▼これは、あるはずの梁がないのです。


このあるはずの梁がないという箇所が4個所ありました。

これらは、耐震強度が無いものとして計算すると
耐震設計がなりたちません。

結局すべて梁を入れて補強することにしました。



私が予想もしていなかったのは、どれだかわかりましたか?

最後の「梁がない」でした。最初の写真の意味もこれです。

不安定だったり、強度的に持ちそうに無いので
梁を入れ替えたり、補強し直すことは過去にもありましたが

4個所も、あるべき梁が入っていないというのは想像もしていませんでした。

それ以外の項目は、有り得ることですので驚きませんが
正しく工事を行うには、余分に工事費や工事期間が掛かります。

業者によっては、無視して工事を進めて終わらせる
ということもあります。

新築時でもこうなのですから、
自分達に責任のないリフォーム時には、なおさら面倒なことをしない、

または、これ幸いと高額金額を追加請求してくる場合もあります。

こういったケースに遭遇し、
助成金を申請していても、もらうことを断念して工事を進める、
というケースがあります。

理由は、耐震設計をやり直して承認を受けてから
再度工事をスタートすることになり、工事期間が長くなりすぎて断念、

または、助成金以上に費用がかかり、助成金をもらう意味が無い
予算オーバーでそこまでできない、といった理由です。

古い家屋の耐震設計や大規模リフォームは
正しく行うには、期間も工事費も余裕が必要です。

ギリギリで行うと、正しくという部分が
知らない間に犠牲になっていることもあります。
想定外のことは、必ず起こっているからです。

続きは、後日アップします。



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