ブルックナー/交響曲第8番
クナッパーツブッシュ&ミュンヘン・フィル、
ブルックナーと言えば、交響曲作家といわれていた。
習作を入れれば10曲以上の作品を書いている。
夏場、大阪フィルが朝比奈さんの生存中、上野の
文化会館でこの曲を演奏したのを聴きに行ったこと
がある。
プログラムはこの曲1曲のみなのだ。
途中休憩もない。
本来の音楽鑑賞なら、日常の邪魔が入らずベストだろう。
そんなプログラムも現在ではかなわない。
宇野氏という指揮者・音楽評論家がいた。この方も故人。
この方が生前、ブルックナーとハンス・クナッパーツブッシュ
という指揮者の演奏を好まれていた。
宇野氏の評価はあまり個人的には読んだ事がない。結構歯に衣着せぬ
物言いの方だったが、ファンもアンチも作られていた。
ブルックナー自体もそれほど多く聴いたわけでもない。
当時は朝比奈とか、ヴァントとか、チェリビダッケとかそのあたりが
評価点だった。
クナッパーツブッシュ(以下クナと略称)については、50年代からの
というように、ひと世代前の指揮者として知られていた。
彼の録音にウエストミンスター盤で、ブルックナーの8番の録音がある。
私は寡聞にして聴いたことがなかった。
60年代の録音。ミュンヘンフィルが付き合っている。
宇野氏の事を思い出して、クナのブルックナーはどうだろうと思い、
ネットにつないだ。
NMLに、スタジオ収録盤があった。それを聴く。
深い呼吸。
宇宙とか自然とかそういう言葉が出てきてしまう。
音楽が自然に作られてくるような感じ。
譜面を追っているのだろうけれど、そこで生まれてくるような
自然の呼吸がある。
今時はこのような演奏をする方はいないかもしれないけど、
逆にできないかもしれない。歌は世につれ、世は歌につれ・・・。
この指揮者だからできる技がある。だから音楽再生は面白い。
一気に聴きとおしてしまった。
夏の日の朝比奈さんより、最後は熱かった。
まさに大演奏。