以前、「健康な糞便を提供したら年に150万円稼げる」とのニュースをお伝えしたことがあったが、思った以上に人糞は宝の山のようだ。

 というのも、ある調査によって100万人の人糞には、約16億円相当の希少金属が含まれていることが判明したのである! 

 人糞から金属成分を分離することができれば、経済的な価値も生み出せて自然環境も保護できると、海外で話題になっているのだ。

・下水汚泥から希少金属が発見される

 海外サイトが報じたところによると、アメリカの下水道から川や土壌へ排出される物質の成分を分析したのは、米地質調査所のキャサリーン・スミス博士が率いる研究チームだ。

 その結果、土壌から抽出された金と銀、パラジウムやバナジウムといった希少金属は、下水汚泥から来ていることが判明した。

・100万人の人糞に16億円相当の希少金属!!

 いくつかの希少金属は、シャンプーや洗剤、衣類などの日用品に使用されており、これらの物質を含んだ汚泥が下水処理された後も、その残骸が土壌に染み出しているのだ。

 特に、携帯電話やパソコンに使用されるバナジウムと銅は価値が大きく、金銀に亜鉛、鉄などの貴重な金属を下水汚泥から分離できれば、経済的効果を期待できる。

 米アリゾナ州立大学の別の研究では、100万人分の人糞には、1300万ドル(約16億円)相当の希少金属が含まれているとの結果が出ている。

・有害な金属を排除すれば自然環境にも恩恵が!

 また、鉛などの環境に害を及ぼす金属が、川や土壌に排出される前に取り除くことができれば自然環境を保護することもできる。

 経済的な価値も生み出せて環境保護にも役立つとなれば、利益は大きい。

・汚泥から金属を分離して有用することの必要性

 毎年、アメリカの下水には700万トン以上の人糞が流れ込んでくるとのこと。

 そして、下水処理場で処理された汚泥の半分は埋立地に使われ、残り半分は野原や森林に肥料として散布されている。

 研究チームは、汚泥を自然に散布する前に有害な金属を取り除き、希少金属を分離して経済的に有用する必要性を説いている。

 人糞に、それだけの金属が含まれているという事実に驚いてしまったが、排泄物はバイオ燃料としても使用されているだけに、汚泥は都会の鉱脈と言えるかもしれない。