オケラ(朮)・ウケラ(古名:宇家良) キク科オケラ属
花を包むように魚の骨が絡み合ったようにな苞葉がある。花自体は華やかではないが、清楚なせいか、万葉にも詠われている。山菜、薬草、行事の草としても名高い。
雌雄異株。葉は下のものは、対になるが上のものは単葉。日当たりのよい林縁。
花期 :9月10月
花の色 :白からピンク
《名前の由来≫ 万葉時代のウケラがオケラに転じた。
ウケラ(宇家良)は、
①葉が蓑(みの)、花が漁具の筌(うけ)に似ていることからとする説。
②軟毛をまとった若芽を、昔の雨具である朮〈うけら〉に見立てた説。
(秋田では蓑のことをウケラという)
③葉が物を受けるのに良い、さじのような形をしているので「ウケラ」の説。
2007.4.28庭
・-:☆:-・ ≪山菜としてのオケラ≫ ・-:☆:-・
信州の里謡には「山でうまいはオケラとトトキ。里でうまいはウリ、ナスビ嫁に食わすも、惜しゅうござる」と、歌われるくらい、美味さでは代表格の山菜。
私の食べた山菜の中では、ビック3に入る美味しさです。新芽を天ぷらに、湯がいたものはおひたし、和え物、汁の実。
また根茎香りがよいので、屠蘇酒の材料の一つにする。(ぜひ、一度試してみたい)
2007.9.12庭
・-:☆:-・≪万葉のウケラ≫・-:☆:-・
花の美しさではなく、比喩として使われていたようです。
地味で、目立たない花を、「思いを人に知られるようには出さない」「人目を偲ぶ恋を顔に出すな」ということの、比喩として使われています。
「うけらの花」と詠むより、「うけらが花」と読んだ方が、ずーっと歌らしくなるのが、「言の葉」の魅力の不思議な力では?
・恋しけば 袖も振らむを武蔵野の うけらが花の 色に出なゆめ
※「いかにして 恋ひかば妹に武蔵野の うけらが花の色に出ずあらむ」の別歌もあるようですが、上記の歌が、もっとも有名。
・我が背子を あどかもいはむ武蔵野の うけらが花の時無きものを
・あせか潟 潮干のゆたに思へらば うけらが花の色に出でめやも
・-:☆:-・ ≪薬草としてのオケラ≫・-:☆:-・
オケラ属の根茎は、東洋医学では古来重要な薬品
秋の終わりに採集し、コルク質の皮をはぎ取り、乾燥させる。生薬「白朮(ビャクジュツ)」と呼ばれ、胃液の分泌を盛んにさせる「アトラクチン」が含まれている。
健胃、整腸、利尿、鎮痛の目的で、胃腸病、神経痛、動悸、息切れなどに使われる。
http://www.e-yakusou.com/yakusou/074.htm
除湿の目的で根茎を室内でいぶすと、湿気を払ってカビの発生を防ぎ、蚊取りにも効果があるとされています。
「昔は呉服屋が反物の土用干しをする際、おけらの根茎を火にくべ、煙でいぶし、カビを防いだ」(薬用植物園)記述もあります。
≪行事に使われるウケラ≫転載させていただきました
http://www.nippon-shinyaku.co.jp/herb/syokubutsu/0003/03_22.htm
毎年、大晦日から元旦にかけて、京都祇園の八坂神社において、「朮祭り(おけらまつり)」という神事が行われる。それに参拝することを「朮参り」と呼ばれ、京都の人たちの年中行事である。
そこでは、鑽火(きりび)で朮を交えたかがり火が焚かれる。参拝者はその火を火縄(吉祥縄)に移して、火が消えないように、縄を打ち振って持ち帰る。この火を火種にして雑煮を炊く。その雑煮で家族一同が新年を祝う。そうすると、家族全員が、一年中、流行病にかかることもなく健康に過ごすことができる、と言い伝えられている。この朮火に焚かれるのが、本植物の根茎である。
オケラは、また、屠蘇散の主薬でもある。正月元旦に、屠蘇散を入れた酒を、無病、息災を祈って一家全員で飲む風習は今も残っている。また、オケラを焼いた煙に浴すると、その人から邪気が払われるとも言われている。大晦日の夜、悪鬼を追い払い、疫病を除く行事である追儺(ついな)に供える餅にオケラの根茎が入れられたりする。
このようにオケラという薬草は、その薬効から派生して人々の無病息災を祈願するのに用いられたようである。
(「プランタ」研成社発行より)
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近くの造成中の山でで見つけた時は、これがあの「おけら」だとは分からず、花が変わっているので、庭の裏にとりあえず植えてみました。
「ハグマ草」に似た花ですが、「ハグマ草」より、主張があり、歌に詠われるだけの、清楚な美しさは在ると思います。
「うけらが花」という、言葉の響きも、万葉の香りがして、気に入っています。
こんな美味しい山菜ならと、種を取り蒔きしたら、翌々年に発芽しました。
オケラ 見たことあるんですが 食べたことは
ありません。
それに オケラなどの 植物 すくなくなりましたね。
いつも いい勉強 させて もらっています。
これからも よろしく。