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古賀茂明 正義なき「ウクライナ停戦」で米国が得る“3重の利益” 追従する日本は「戦争で儲ける国」になりたいのか

2025年03月18日 | 戦争と平和

AERAdot 2025/03/18

 今、世界中を大津波が襲っている。国際安全保障の大前提が崩壊しているのだ。

 2022年2月、独裁国家ロシアが小国ウクライナに対して一方的に侵略を開始した。米欧諸国などが正義のためにウクライナ支援を始めた。この戦いは、明白な「善と悪の戦い」だった。少なくとも、西側諸国においては。日本でも同じだ(私自身は、このような単純な見方に賛成ではないが)。

 しかし、トランプ米大統領の登場で、この「常識」は簡単に覆された。同大統領は、ウクライナに対して、安全の保証なしのまま、とにかく停戦すること及びウクライナの鉱物資源の権益の半分を米国によこせと言うかの如き要求を行った。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、これまでの常識、「ロシアが悪でウクライナが善」に則り、公然と反旗を翻したが、米国に武器支援と情報共有を止められて、なすすべなく降参した。

 米国は、欧州を守る責任を放棄しようとしている。バンス米副大統領は、EUが民主主義の敵であるかのような演説を行い、英国を含めた欧州諸国は、米国を信頼することはできないと明確に悟った。

 その帰結は、米国からの軍事的自立である。欧州の安全は欧州が守るという、考えてみればある意味当たり前のことが、新たな常識となった。

 トランプ大統領の動きは急だったが、これに対する欧州の動きも迅速だ。EUのフォンデアライエン欧州委員長は、欧州の抜本的な防衛力強化のために約8000億ユーロ(約125兆円)の確保をめざす「再軍備計画」を発表した。

 なぜ、「再」軍備なのかというと、1991年のソビエト連邦崩壊による冷戦終結を受けて、もはや、東西対立による軍拡競争の時代は終わったという認識が広がり、NATO諸国など多くの国が、兵器の生産を縮小し、軍需工場を閉鎖した歴史があるからだ。これにより軍事予算を削減し、その分を他の福祉予算などに回すことが可能になった。これは「平和の配当」として歓迎された。

 ウクライナ戦争が始まると、この認識は急激に変化した。ロシアに対抗するために、ウクライナへの武器支援が急務となり、各国は、閉鎖した兵器工場の再開や軍事予算の拡大に舵を切った。ドイツのショルツ首相が2022年に「時代の転換点」と宣言して軍事費を大幅に拡大する路線に転換したのはその象徴だった。

「再軍備」を進める欧州市場の株価が上昇

 そして、その路線転換をさらに決定的にしたのが、「米国の裏切り」である。米国を信用することができなくなったことにより、欧州諸国は、もはや迷うことなく、新たな道に進まざるを得なくなったのだ。

 欧州経済は停滞が続き、この先の見通しも明るくないが、それにもかかわらず、各国は軍事予算を拡大する。そのために財源が必要になるが、ドイツが憲法に定められた債務ブレーキ条項をこれから改正してまで国債を増発する構えを見せるなど、なりふり構わぬ「再軍備」戦略を実行しつつある。

 ここまでの話を聞くと、何とも嫌な、暗い気持ちになる。将来不安が高まり、国民は財布の紐を締め、景気は悪化し、マーケットも停滞ないし下落に向かいそうだ。

 しかし、意外にも、欧州市場では株価が上がった。ほんの一例だが、日本経済新聞によれば、戦車や軍用車両や弾薬などのメーカー、独ラインメタルの株価はロシアのウクライナ侵略前の21年末から24年末までに7倍強となっていたが、25年に入ってさらに9割高となる場面があった。フランスのラファール戦闘機などを製造するダッソー・アビアシオンやスウェーデンのサーブなども大きく値を上げた。

 こうなる理由は簡単だ。

 ドイツが債務ブレーキを変更してまで、国債を出して軍事予算を大盤振る舞いする。フランスも同様だ。EUでは、各国の防空システムや弾薬、無人機(ドローン)の購入を支援するため、EUレベルの大規模基金の創設案も浮上している。さらに、欧州投資銀行(EIB)による融資、民間投資の促進などを通じて防衛産業を振興することになる。

 加盟国が防衛費を増やせば、財政赤字をGDP比3%以下とするEUの財政ルールを一時的に緩和して各国の財政赤字の拡大を容認する可能性も高い。

 そもそも、ウクライナ支援を目的とした武器弾薬の製造のために、各国では兵器工場が活況を呈していた。しかし、ウクライナ戦争が終われば、その特需はなくなる。したがって、大規模な投資には踏み切りにくい。

 今回のEUや加盟各国の方針転換は、ウクライナ支援という短期的な目的ではなく、米国からの軍事面での独立という構造転換である。米国の肩代わりを実現するためには長期間を要し、現在の倍以上の軍備を維持していくだけでも、兵器への需要は長期的に高止まりすることが確実だ。兵器産業は長期的な成長産業になることが確実になった。

 市場では、こうした臆測により、昨年から武器産業の株価が上昇していたが、今や、欧州中でそうした動きが顕著になったわけだ。

米国が手に入れる「3つの利益」

 さらに重要なのは、こうした軍事予算拡大が、数ある政策課題の中でも、最優先されることになっている点だ。EUの財政ルールの緩和については、軍事費拡大による債務増加のみは対象になるが、それ以外の社会保障費や教育費、インフラ投資などの増加には適用されない。太平洋戦争中の日本では、「欲しがりません勝つまでは」という標語があったが、まさにそれがEUの哲学になりつつあるということだ。

 「戦争を前提とする国づくり」は、庶民の考え方にも大きな影響を与える。

 先日目にしたフランスのニュースでは、地方の兵器工場城下町を紹介していた。冷戦終結後、大幅な需要減少で人員を大幅に削減し、細々と事業を継続していた工場が、今やウクライナ向け弾薬の製造で活況を呈している。その経営者がインタビューで、ウクライナ戦争が始まってから急に政府から注文が入り、慌てて古い設備を動かし、雇用も増やしたと笑顔で語る。従業員も、それまで失業していたのに、ここで職を得て人生が変わったと喜び、レストランの女性店主が、工場の雇用増加で客が増えたと語り、老婦人が、昔の賑やかさが戻ってきたと喜んでいた。

 要するに、「戦争のおかげで」武器工場が儲かり、経営者も労働者も関連する事業者も街の住人もみんな喜んでいるという図式だ。そこに罪悪感というものはない。

 今回の欧州再軍備計画により武器産業の長期的な発展が約束されることで、戦争を前提とした経済構造が出来上がっていく。口に出すかどうかは別として、潜在的には、戦争や戦争に備えなければならない状況を待ち望む人が出てくるだろう。

 戦争は、権力者が起こすものだ。市民は常にその犠牲になるというのが歴史の教訓である。それを知る市民が増えれば、いざ戦争という時に、市民がそれを止める役割を果たせるかもしれない。しかし、もし、多くの人々が、戦争で大きな利益を得る側に立っていたらどうだろう。戦争反対の声は小さくなり、市民が権力者の暴走を止めることができなくなる。最後の歯止め役がいなくなるのだ。

 ちなみに、このような変化は米国に2重の意味で利益を与える。

 一つは、これまでの世界の警察官としての役割を正式に終えることによる財政負担の軽減だ。その分を減税や国民へのサービス拡大に振り向けることができる。

 もう一つは、世界の武器需要の高まりによる米国武器産業への需要の拡大だ。世界が不安定化すれば、本来必要な水準を超えた超過需要も見込める。

 ウクライナ戦争に限って言えば、ウクライナの鉱物資源に対する利権確保というおまけがついてきた。3重の利益である。

 実は、フランスは米国に次いで2位、ドイツはロシア、中国に次いで5位の兵器輸出国だ(20~24年)。仏独両国もまた再軍備による利益を得る立場にいる。

日本人も「戦争特需」を喜ぶようになるのか

 ここまで、欧州の話をしてきたが、賢明な読者はすでにお気づきのとおり、日本も今同じ道を歩もうとしている。欧州のウクライナは明日の台湾、明日の日本だというような言説が流布している。ロシアの横暴を見て、北朝鮮のミサイル発射のニュースを聞き、中国が危ないという自民党や米国の政治家、米軍関係者の宣伝に日々晒されたことで、戦争を望まなくとも軍備を増強した方が良いと考える国民は増えている。

 トランプ大統領になり、日本を本当に守ってもらえるのかという疑問の声は自民党の中にもある。それを口実として、日本の防衛力の強化による対米依存からの脱却という声も強まっている。

 さらに、自動車への追加関税を避けるための有効なカードを持たない日本政府が、唯一差し出せるカードは、武器の爆買いとアジアにおける米軍の負担の肩代わりである。もちろん、いずれも防衛費拡大につながり、現在の政府目標、GDP比2%への倍増計画の先の3%が視野に入っている。米国防総省の政策担当次官に指名されているエルブリッジ・コルビー氏はそれを打ち出しているが、日本から先に差し出すことの方が有効だと日本政府は考えるであろう。

 日本では、日の丸ジェットの大失敗などで将来に不安があった三菱重工業の株が、信じられないことに暴騰している。防衛関連株は、軒並み他の銘柄を遥かに超える上昇を見せている。欧州と全く同じ現象だ。こうなると、武器製造やその下請け、防衛関連のシステムを納入するIT関連企業などを含め、かなり広い範囲で、軍拡で恩恵を受ける企業が増えていくだろう。

 日本の国民が、戦争による武器産業の活況を見て手放しで喜ぶとは思えない。批判する声も出るだろう。極めて健全なことだ。しかし、昨今の風潮を見れば、そうした声は、戦争に備えるために軍拡が必要だという大きな声にかき消されてしまう可能性の方が高い。欧州を手本とするように、日本人もまた、戦争特需を喜ぶようになるのは時間の問題だ。

 将来、「戦争だ!」と政府が叫んだ時、果たして、「やめろ!」という大きな声が国民の間から上がるのかどうか。

 戦争を始めるのは権力者で、犠牲になるのは市民だと前述した。市民の大事な使命は、戦争を始めようとする権力者に対して、それを止めることだ。戦争は始めたら、市民にとっては、負けが確定する。

 今、私たちが重大な岐路に立っていることに気づいている人がどれほどいるのか。

 空襲警報が鳴る前に、最大級の警鐘を鳴らさなければならない。


「平和憲法」を持つ日本。
別な道を模索してほしい。
世界の「平和」勢力の頂と成って欲しい。


雪が解けたら、どんな模様になるのやら…


富裕層への資産課税を 参院委で小池氏 経団連も提言

2025年03月17日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2025年3月16日

 日本共産党の小池晃書記局長は13日、参院財政金融委員会で、昨年12月に経団連が政策提言で富裕層への課税強化を打ち出したことを示し、世界でも採用されている富裕層への資産課税を日本でも検討するよう求めました。

 小池氏は、経団連の提言「フューチャー・デザイン2040」を引いて、「日本の可処分所得の格差を示すジニ係数はイタリアや韓国よりも高い」と指摘し、「日本が国際的にみて格差が大きいという認識はあるか」と追及。加藤勝信財務相は「格差拡大への指摘は認識している」と答えました。

 小池氏は「税によるジニ係数の改善率はG7(主要7カ国)で最も低い。所得税の累進構造を弱めて消費税を10%に増税したことで所得再分配効果が弱まったことは事実だ。税と社会保障による改善率もG7平均を下回っている」と強調しました。

 小池氏は、経団連が経済的格差の広がりの事実認識に基づき、富裕税への課税強化を提案したと指摘。「『消費増税への理解を得るため』という位置づけには合意しないが、重要な提案だ。わが党も富裕層への資産課税として富裕税を提案している」と述べ、「今後の方向性として検討すべきだ」と要求。加藤財務相は「格差是正の重要性は否定しないが、再分配機能をどの程度発揮させるか検討が必要」と述べるにとどまりました。

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NY市民「富裕層に課税せよ」

支出削減に抗議

「しんぶん赤旗」2025年3月17日

 米ニューヨークで15日、トランプ政権が政府機関の職員の解雇や支出の削減を強権的に進めていることに抗議して、市民がデモ行進しました。写真(ロイター)は、「富裕層に課税せよ」「われわれの健康を守れ」と書いたプラカードを掲げて、金融機関が集まるウォール街を歩く人たちです。(写真は省略)

 実業家で大富豪のイーロン・マスク氏が率いる政府効率化省が進めている支出削減を巡っては、高齢者や障害者を対象とした公的扶助も対象にされる可能性があるとして、市民に不安が広がっています。

 ロイター通信によると、デモ行進に参加した人たちは「政府効率化省に殺される」「(富裕層や大企業の)利益よりも人間を優先しろ」などと訴えました。

 ニューヨーク市内では同日、マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める電気自動車大手テスラの店舗前でも市民が抗議しました。

 参加者は、テスラが莫大(ばくだい)な利益を上げているにもかかわらず、税金をまともに払っていないと批判。財政赤字のつけを国民にしわ寄せするのではなく、マスク氏のような富裕層や利益を上げている大企業に公平な負担を求めるよう訴えました。


「再分配機能」ー低所得者がせっせと積み上げた「税金」で自分たちへする「再分配」(支援給付金)では意味がない。
 NYデモ、日本も同じです。
医療・福祉・教育を削るな!


STOP学術会議法人化 署名提出会見・院内集会 自分事として廃案へ

2025年03月16日 | 戦争と平和

「しんぶん赤旗」2025年3月15日

 石破茂政権が学術会議法人化法案が閣議決定されたもとで、13日に国会内で開催された「STOP 日本学術会議の『法人化』署名提出記者会見・院内集会」。会見での発言とメッセージの要旨と集会での各団体の発言を紹介します。

軍事研究 従事しない

東京大学名誉教授 広渡清吾さん

 学術会議について市民運動で署名を集めることは歴史的にかつてなく、大きな意味があると思います。同時に、歴代会長が3回連名で声明を出しました。これも学会の歴史上かつてないことです。学術会議は、創設の志として科学者は二度と軍事研究に従事しないと宣言し、今日にまで至っています。

 今回集めた2万を超える署名は、日本学術会議がこれまで果たしてきた役割、創設の志がとても大切であることを、市民と科学者が日本社会の中で明確に意思表示するものです。通常国会は6月22日まで。後に参院選が控えています。審議未了で廃案に追い込みたいと思います。

国立大法人化と同じ

東京大学教授 本田由紀さん

 政府が閣議決定した法案では、現行法の前文にある「わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献」という文言は削除され、それらは設立の目的ではなくなりました。

 2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金が削られ、国立大学法人法「改正」による、大学運営の主要方針の決定権限を持つ「運営方針会議(合議体)」の設置義務など外部からの介入が可能にされてきました。政府の方針に従わない限り、どんどん交付金が絞られるような仕組みがつくられています。それは結果的に国立大学の学術を衰退させる方向に向かっています。それと同じことを、いま日本学術会議にも行おうとしているのです。

民主主義を壊すもの

京都大学教授 駒込武さん

 今回の法案は、学術会議だけではなく大学全体の問題であり、日本の民主主義を破壊するものです。内閣府に全ての重要な権限が集まる仕組みがつくられているのです。

 日本は議院内閣制で、内閣に権限が集まるようになっています。内閣が学術会議の会長を決定するようになれば、文部科学省に蓄積されてきた専門性すら無視されます。内閣府に集まる公務員は、全体の奉仕者ではなく現内閣の奉仕者になります。国会の機能もどんどん無意味化されています。学術政策だけではなく、経済政策でも市民の統制の及ばないところで重要な意思決定がなされている。その総仕上げが今回の学術会議のなし崩し的従属だと思います。

理系研究者は危機感を

科学ジャーナリスト 榎木英介さん

 今回の法案に理系の研究者があまり危機感を持っていないように思います。米トランプ政権がやっていることを見てほしいのですが、NASA(米航空宇宙局)やNIH(米国立衛生研究所)の職員が首にされたり、予算を大幅に減らされたりしています。法案が通ってしまえばそういう事態がやってくる可能性が高いのです。

 特に「デュアルユース(軍民両用)」研究と称して、それどころか“大学に軍事研究をさせることになるのでは”との大きな危機感があります。日本学術会議だけでなく、アカデミア全体の問題として、そして理系の研究者も含めた問題として、ぜひ自分事として捉えてほしいと思います。

ガリレオ時代戻さない

新潟大学名誉教授 赤井純治さん

 法案のすべてにおいて道理が通っていません。任命拒否は違法で、学問の自由、学問の独立、自立性のすべて踏みにじっています。

 結局は、最終的に何が正しいかを政府が判断することになる、あるいは「地動説」は駄目で「天動説」だと言いかねないと思います。ガリレオが生きた時代に、500年も歴史の歯車を逆に回すのが学術会議の法人化なのだろうと思います。これは民主主義のかけらもない独裁ではないか、これを強行するならばガリレオを裁判したローマ教皇庁に等しいことになるのではないかと訴えていきたい。ガリレオ時代には戻してはならないと皆さんと一緒に力を合わせたい。

75年以上対等な関係

「パグウォッシュ会議」元評議員 小沼通二さんメッセージ

 これまで学術会議は、日本の科学者を代表するボトムアップ(下からの積み上げ型)の組織として役割を果たしてきました。政府の政策に対して有識者の意見や見解を求める諮問権を持つ学術会議は、独立した科学者の組織として、政府に強い勧告権を持つという75年以上にわたる対等な関係のもとで、すべての質問に誠実に回答し、無数の協力をしてきました。その一方で、意見が合わないこともありました。これは、独立した活動が法律上保証された組織としては当然あり得たことでした。

 国会は、提出された法案が科学者の代表としての科学アカデミーの役割を根本から否定していることを明確に議論して廃案にしてください。

 

戦争準備 協力させない

呼びかけ団体が連帯表明

 会見後に開かれた院内集会では、学術会議法人化に反対する署名に賛同した団体の関係者が連帯を表明しました。

 改憲問題対策法律家6団体連絡会の大江京子事務局長は「一番危惧している」こととして、政府が2022年に閣議決定した安保3文書に沿って進む「戦争準備」の問題を告発しました。米国からの要請で日本が兵器を開発して中国と戦争できるようにするため、「邪魔な学術会議を排除して、アカデミズムを協力させようとしている」と指摘。「憲法9条を持つ日本でこんなことは許されない。市民にもっと伝えよう」と呼びかけました。

 東大名誉教授で安全保障関連法に反対する学者の会の大沢真理さんは、社会保障などを議論する自民党のプロジェクトチームや有識者懇談会で繰り返し使われる言葉「政府と問題意識や時間軸を共有した政策のための学術」に言及。安倍晋三元首相が国会で100回以上虚偽答弁したことなどを挙げ、「こんな政治家と問題意識の共有なんかできるのか」と指摘。学術会議法には「人類社会の福祉に貢献し」と書かれているとして「変な法律に改変されないように取り組んでいきたい」と表明しました。

 日本民主法律家協会の大山勇一事務局長は、最高裁が東京電力福島第1原発事故の国の賠償責任を否定する判決(22年6月)を出すなど「政府による司法の統制によって、最高裁でひどい判決が出ている」と強調。学術会議法人化も、人事などへの国の介入が目的だとして「共通点があると訴えていきたい」と述べました。

 

政府の介入 意図が露骨

新婦人が声明

 新日本婦人の会は12日、石破茂政権が閣議決定した日本学術会議法人化法案に強く抗議し、撤回を求める声明を発表しました。「2020年の会員候補6人の任命拒否に続き、学術会議つぶしをねらうもので、戦争国家につながる危険な動き」だと批判しています。

 日本学術会議は、戦争協力の反省のうえに創設された「科学者の内外に対する代表機関」だと指摘。政府に対し259件の勧告をおこない、耳を傾けるべき多くの提言・宣言を出していると述べ、活動の根幹に「学問の自由」「独立性」があるとしています。

 今回の法人化案は、政府による介入の意図が露骨だとして、法案の撤回に向けて署名などで運動を一気に広げようと訴えています。


https://www.change.org/p/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%AD%A6%E8%A1%93%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E3%81%AE-%E7%89%B9%E6%AE%8A%E6%B3%95%E4%BA%BA-%E5%8C%96%E3%81%AB%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E7%BD%B2%E5%90%8D%E3%81%AB%E3%81%94%E5%8D%94%E5%8A%9B%E3%82%92?signed=true

署名活動は上記より参加できます。

三権分立が形骸化され、学問の自由が脅かされています。
これは「独裁政治」であり、「戦争できる国造り」を目指すものです。
絶対に許してはなりません。

 

 


コメ需要減を改めず 農政審部会・基本計画案 輸出拡大狙う

2025年03月15日 | 自然・農業・環境問題

「しんぶん赤旗」2025年3月15日

 農林水産省は14日、農林水産相の諮問機関である食料・農業・農村政策審議会の企画部会を開き、5年に1度策定される「食料・農業・農村基本計画」案を示しました。農地の大区画化と集約化を推し進めると明記。2023年に791万トンだった米生産量を30年には818万トンを目指す一方で、米生産量のうち米輸出目標として、23年で4・4万トンだった輸出量を30年には39・6万トンを目指すとしました。現在進行する米不足・高騰の下でも、国内の米需要が減るとの見通しは改めていません。政府は3~4月ごろの閣議決定を目指しています。

 食料自給率について、これまで指標としていた供給カロリーベースでの目標は30年に45%(23年は38%)とすると同時に、新たに摂取カロリーベースで30年に53%(23年は45%)とする目標を設定。平時における1人1日当たりの平均摂取カロリーの最低値(10年で1849キロカロリー)を参考に設定したとしています。

 部会では「農地の大区画化に向けたKPI(中間目標)を設定すべきだ」(浅井雄一郎・浅井農園代表取締役)などの発言が続きました。一方、「国内需要よりも輸出が優先されることを懸念している」(二村睦子・日本生活協同組合連合会常務理事)、「米が消費者に届かない事態の中で、相変わらず需要が減るとの見通しを立てていることには現場から疑問の声が出ている」(齋藤一志・日本農業法人協会会長)などの意見がありました。


このような認識ではまだ数年は米不足・高騰が続くでしょう。

昨日はほぼ一日雪でした。
今日は曇り空、時々雪。
月曜日の昼過ぎまでは⛄マークが優勢です。
融雪剤(木灰)を撒くのはその後にします。

退院してすぐに畑へ。
自然な小川が無残なトラフに変えられてしまっていました。
前前年に草刈りをしていたので工事が始まるのかと思っていましたが着工せず、昨年も全く手が加えられず、このまま中止を望んでいましたが、入院中にやられてしまいました。
わたしは反対だと地主さんに喧嘩までして掛け合ってきたのですが残念です。
太い栗の木とそれに絡むツルアジサイ、白樺に絡むツタ、ヤマブキ、小川のセリなどが犠牲になりました。

こんな小川だったのです。
それがこんな姿に。


地主さんは沼まで埋め立てようとしているのか、残土を沼に。
うっそうとした小川が、明るくなってデビューです。
明るく、桜並木にするか?
実のなる木にするか?

 


古賀茂明 自民&国民民主による「原発推進」は日本を壊滅させる“愚行” ウクライナの「再エネ加速」に日本が学ぶべきこと

2025年03月14日 | 戦争と平和

AERAdot 2025/03/04

 

 2月18日、7次エネルギー基本計画が閣議決定された。最大のポイントは「可能な限り原発依存度を低減する」というこれまでの大方針を放棄して、原発を「最大限活用する」という正反対の方針に切り替え、廃炉した原発基数分の建て替えをこれまでのように廃炉した原発の敷地内に限らず、同じ電力会社の別の原発敷地内でもできるようにしたことだ。

 そもそも原発はあってはならない電源である。その理由はいくつもある。

 第一に、日本に建設されている原発は安全ではない。「日本に」と限定するのは、日本は他の原発立地国と異なり、世界で最も多くの巨大地震が生じる地域の一つにあるからだ。他の国と異なり、特に厳格な耐震性が求められることを意味する。

 しかし、実際には、原発ごとに定められた基準地震動(その数値が示す強度の地震までは耐えられるという数字。それ以上の地震が起きることはないとされている)を上回る強い地震に何回も見舞われている。

 2011年の東日本大震災における最大の揺れは、2933ガルであった。日本で観測された過去最大の揺れは、08年の岩手宮城内陸地震の4022ガルである。民間のハウスメーカーは、「耐震住宅」の販売に力を入れている。そこで採用されている耐震設計基準は、例えば、三井ホームで5115ガル、住友林業で3406ガルである。

 それを知れば、原発が採用する基準地震動はこれらを超えると考えるのが当然だが、実際には、稼働中の原発の中で最も高い東北電力の女川原発2号機でも、たったの1000ガルである。民間耐震住宅の足元にも及ばない。

 それでも、電力会社は、自社の原発の敷地の中だけは、決して強大な揺れは生じないと言い続けている。しかし、どこでどれだけの強さの地震が起きるかについて予見できないのに、どうして、自社の敷地内だけは大きな揺れが来ないと予知できるのだろうか。この一事だけでも、日本の原発が危ないことは明らかだ。

 日本の原発について、もう一つの問題は、事故が起きた場合の損害賠償額が異常に低く設定されていることだ。

 国が提供する原発事故に備える損害賠償責任保険のようなものがあるが、その限度額は原発1基あたりわずか1200億円。一度事故が起きれば、数十兆円単位のコストがかかることは、東京電力福島第一原発の事故で実証済みだが、それより2桁小さい。

 また、昨年の能登半島地震でも露呈したが、原発の事故に備えた避難計画では、複合災害(原発事故と同時に地震や風雪水害が生じること)が考慮されていない。実際には実行不可能な計画になっているのだ。そうなる原因は、避難計画が原子力規制委員会の審査の対象外だからだ。

原発は「あってはならない電源」

 そして、使用済み核燃料や廃炉後の放射性廃棄物等の最終処分の場所や方法について、まだ何も決まっておらず、いつ決まるかも全く目処が立たないという大問題もある。「トイレなきマンション」と揶揄されるが、笑い事ではない。

 しかも、原発は再生可能エネルギーとは正反対で、時間とともにコストが上がる。すでに、他のどの電源に比べても高いことは世界共通の認識だ。

 これから有望だと言われているSMR(小型モジュール炉)でも当初の予想は大きく外れ、経済的にペイしないことがはっきりした。米国では、すでに計画を中止した企業も出たが、それでもこれを導入したい経済産業省は、原発のコストが割高になる分を電力料金に上乗せする仕組みを作ろうと画策している。

 以上のとおり、普通に考えると、原発は使えない電源であるだけでなく、あってはならない電源であることははっきりしている。

 これらのことは言い尽くされた感があるが、今回はそうした原発についてのこれまでの議論を離れて、少し別の視点から見た原発推進論の「愚かさ」について指摘してみたい。

 自民党の保守派は、「台湾や日本は明日のウクライナだ!」と声高に叫んでいる。ロシアが武力でウクライナを侵略し、領土を奪った。それが今や正当化されそうになっている。

 仮に台湾有事が起きた場合、中国は台湾を攻撃し、沖縄も攻撃対象になる。さらには日本本土も危ない。

 それが彼らの主張だ。愚かな戦争プロパガンダでしかないが、もし仮にそれが正しいのであれば、私たちは、ウクライナで起きたことを検証して教訓を得るべきだ。

 その意味で参考になる記事が、2月26日の日本経済新聞朝刊に出ていた。その見出しには、「ウクライナ 発電能力分散 再エネ加速、攻撃被害最小化」とある。

 その要旨は、「ウクライナが発電システムを再生可能エネルギーや蓄電池を組み合わせた分散型に転換している」ということだ。ウクライナでは、24年夏までに、発電能力ベースで火力の9割以上、水力の6割が破壊された。「再エネを重視するのは脱炭素が狙いではない。それぞれが離れて設置されるため、攻撃の的を絞られにくく、修理しやすい利点が大きい」からだという。同国最大の国営電力会社のCEOは、「大規模なミサイル攻撃から電力システムを守る唯一の持続可能な方法は発電能力を分散させることだ」と断言する。

 この話は、火力や水力など大型の発電所にも当てはまるが、原発にも当然当てはまる。「明日のウクライナ」になりたくなければ、同国が得た貴重な教訓をなぜ生かさないのか。

 ウクライナにある欧州最大のザポリージャ原発がロシアに攻撃されたという情報が流れて、世界中が肝を冷やしたことも思い出すべきだ。原発を攻撃されることは、核攻撃されることと同じリスクがあることもまた我々は思い知らされた。

 戦争になれば軍事基地やレーダー施設は最初に狙われる。日本で言えば、米軍基地や自衛隊の基地、最近立て続けに設置された沖縄・奄美地方のレーダー施設は一番危険である。武器工場なども攻撃対象になるはずだ。その次に狙われやすいのが発電所などの重要なインフラ設備である。

 国際法上原発については、被害の甚大性の観点から、一般の民間施設以上に特別な保護を与えることになっている(ジュネーブ諸条約追加議定書第56条)が、それでも、原発が軍事目的に利用されているとして攻撃される可能性は残る。相手がロシアや北朝鮮のように国際法を破ることをためらわない無法国家であるならなおさらだ。しかも、両国はともに、自国を守るためとは言いながらも、核兵器の使用を示唆している。こうしたことを日本の安全保障環境が著しく危険な状況になっていると強調する自民党右派はどう考えているのか。

 彼らが言うとおりいつ戦争が起きるかわからないのだとすれば、原発に対するミサイルなどによる攻撃を100%防御する対策を講じることが、何よりも優先すべき課題になるはずだ。原発への攻撃は、他のどの対象への攻撃よりも被害が甚大で、まさに日本が崩壊するリスクさえあるからだ。

 では、原発への攻撃を100%確実に防ぐ方法とは何か。

 瞬時に全ての原発を廃炉にできれば良いが、それは物理的に不可能。だが、被害を大きく減少させる方法はある。それは、原発の稼働をすぐに止めて、使用済み核燃料を現在のようにほぼ無防備な使用済み核燃料プールに置き続けるのではなく、乾式貯蔵を含めた方法で地下深い貯蔵場所で保管することだ。これにより、大規模放射能汚染は防ぐことができる。

 これくらいのことは、私がここに書くまでもなく、中学生でも考えつくことだ。

 原発を新たにつくろうというのがいかに愚かなことかは、ウクライナを見ることによって、より明らかになったと言って良いだろう。

能天気な自民党右派と国民民主党

 しかし、こんなに簡単なこともわからない人々がいる。それが自民党右派や国民民主党などにいる能天気な原発推進論者である。

 先月アメリカにいたときに聞いた言葉だが、まさに「a fool’s folly」(愚か者の愚行)というのがぴったりではないか。

 もう一つ違った意味でまた「a fool’s folly」だと言える話がある。それは、「生成AIの普及に伴い電力需要が急増するので、それに対応するために新たな原発をつくる」という議論だ。

 確かに生成AIの普及に伴い電力需要は急増するであろう。省エネ半導体やさまざまな省エネ技術の発展もあるが、かなりの規模の需要拡大になるのは避けられない可能性が高い。

 世界は今、生成AI用データセンター(DC)ブームだ。日本でも国内企業のみならず、米テック企業も含めてDC建設計画が目白押しで、そのためのファンドやREIT(不動産投資信託)の組成まで始まった。

 すでに稼働中のものもあるが、今後建設される大規模なDCの稼働が集中し、大きな電力需要が生まれるのが、26~27年ごろになると予想され、電力需給は逼迫する。特に、脱炭素の要請が高まっているため、グリーン電力の確保は死活問題となる。

 日本経済新聞の「社長100人アンケート」(1月9日朝刊)で政権への要望を聞いたところ、期待する政策として最も多かったのは「再生可能エネルギー拡大」だった。一方、原発新増設は要望のトップ10にも入っていない。

 なぜそうなるかというと、生成AIなどによる電力需要の増大はもうすぐ目の前に迫っているのに、原発を新たにつくるとなると、完成するのは早くても15年以上先になるからだ。

 原発新設は40年代の電力需要に対応するという話だが、それだけ先の話なら、コストが高い原発にかける巨額の建設費や補助金の分を洋上風力を含めた再エネの拡大に投資すれば、はるかに安全で安価な分散電源ができる。

 生成AIの電力需要の爆発で今にも停電が起きるかのような騒ぎを起こし、そのために原発をつくろうというのは、はっきり言って、完全にピント外れの話なのだ。それは経済界もよく理解していることがわかる。

 以上述べたとおり、原発新増設は、軍事・安全保障面から見ても、また、産業・エネルギー政策面から見ても愚行でしかない。「a fool’s double folly」というところか。

 3.11を前に「愚か者の二重の愚行は止めろ!」と強く訴えたい。


すでに、プロブスカイト太陽電池は発売を開始している。
プロペラではない風力発電も開発されている。
海流・水流、地熱、温度差などを利用した発電も実用化されている。
こんな危ないものを列島に並べて何が防衛費だ!
国民の命と生活を守ることこそ「防衛」の柱であろう。


GPIF理事の癒着疑惑 大臣へ報告 7カ月せず

2025年03月13日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2025年3月13日

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国債取引をめぐり、植田栄治理事・最高投資責任者(元ゴールドマン・サックス証券取締役)と特定の証券会社との癒着が疑われたにもかかわらず、所管大臣の厚生労働相に報告が上がったのは疑惑発覚から7カ月後だったことが、本紙の情報開示請求で分かりました。GPIFの隠ぺい体質とともに厚労省の監督体制が問われます。(佐久間亮)

 GPIFは約250兆円に上る公的年金積立金を金融市場で運用する公的機関。原資は年金保険料です。

 GPIFをめぐっては、内規の原則から逸脱して、国債取引を長期にわたって特定の2証券会社に独占させていたことが、2023年12月の内部通報を契機に明らかになっています。GPIFから調査を委嘱された法律事務所は24年3月、2社の選定を植田氏が主導し、うち1社については同氏が証券会社時代に築いた「人的な関係性」の有無を選定の判断材料とし、投資情報まで伝えていたとする調査報告書をまとめています。(本紙1月26日付で報道)

 今回、本紙が情報開示請求で入手したのは、厚労省の24年7月23日付の「厚生労働大臣説明資料」。同月26日の同省審議会でGPIFの国債取引をめぐる問題が議題となるのを前に、厚労相に調査結果を説明する資料です。同省は同資料以前に厚労相に問題を報告した記録はないといいます。

 報告の遅れに加え、報告の中身も問題です。同資料に記載された経過説明は、植田氏が過去の取引実績などをもとに2社を選定したが、癒着や法令違反は認められなかったとするのみで、植田氏が自らの「人的な関係性」で企業を選定したという調査報告書の核心に触れていません。厚労省は、資料作成時点では調査報告書に目を通さず、GPIFから口頭で調査結果の説明を受けていたといいます。GPIFが調査結果の核心を隠した疑いもあります。

 厚労省とGPIFは調査で癒着の証拠が見つからなかったことから、植田氏を理事に再任し、最高投資責任者の地位に置き続けています。

 

 

GPIF疑惑 大臣報告7カ月後 厚労省に当事者意識欠如

証券関係者も「驚き」

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国債取引をめぐる疑惑の報告が遅れたことについて、厚労省の担当者は「所管する組織の内部通報を大臣にいちいち報告することはない。法律事務所の調査を待った」といいます。

 しかし、今回疑惑の中心にいる植田栄治氏は、独法の職員や大勢いる役員の1人ではありません。250兆円という巨額の国民の資産を預かり、世界最大級の機関投資家と呼ばれるGPIFの最高投資責任者です。そのうえ内部通報で発覚した疑惑の中身は、植田氏が自らの「人的な関係性」で企業を選定していたという、「外形的に癒着が疑われるケース」(宮園雅敬GPIF理事長、2024年3月25日)です。

 理事長の宮園氏でさえ、内部通報まで国債取引の2社独占を知らなかったことが取材の過程で明らかになっており、植田氏の独断専行の異様さが際立っています。

 特定企業との癒着は不正常な資産運用の温床となり、年金積立金という国民の財産の棄損につながりかねません。法律事務所の調査を待っていたという厚労省の回答からは、事態の重大性に対する緊張感も、自身が問題の渦中にいるという当事者意識も全く感じられません。市場のクジラと呼ばれるGPIFの監督官庁として無責任と言わざるを得ません。GPIFに対する同省の統治不全が、植田氏の独走を許す土壌となった疑いもあります。

 GPIFから調査を委嘱された法律事務所は、植田氏らの携帯電話やパソコンのデータなども調査し、癒着を裏付ける証拠は「発見されなかった」としています。しかし、厚労省によれば、今回の調査の対象は業務用の携帯電話とパソコンだけ。近年、証券会社などで癒着の疑いが生じた際は、私物の携帯電話やパソコンにも調査が及ぶことが一般化しているとされています。今回の法律事務所の調査が十分だったと言えるのかは疑問が残ります。

 ある証券業界関係者は、GPIFは公的金融機関のなかでも厳格なルールに基づいて取引企業を選定している印象を持っていたとし、「植田氏が人的関係で選定したのが事実だとすれば驚きだ」と語ります。「証券会社で担当者が人的関係で取引企業を選定すれば必ず問題になります。人的関係は選定の入り口になることはあっても、ゴールになることはあり得ません」

 証券業界からも異常さが指摘される企業選定が、なぜ植田氏のもとで可能になったのか、癒着は本当になかったのか―。疑惑を解明し、国民に対して説明する重い責任が、厚労省には課されているはずです。

 

発覚時に報告すべきだ

元経済産業省官僚 古賀茂明さん

 官僚からすると、大臣に報告すると自分の責任が問われかねないので、なるべく問題を隠そうとする傾向があります。「赤旗」などが調査し報じなければ、国民に知らせないままひそかに問題を処理してしまう。法律事務所の調査も、往々にして問題はなかったというお墨付きを与えるものになっています。

 本来は問題が発覚した時点で大臣に報告し、指示を仰ぐべきです。国民の資産の運用には一点の曇りもあってはいけません。GPIFの運用に疑いが生じたのであれば、所管する厚労省にとっても非常に大きな問題だと捉えるべきです。

 疑われること自体が大問題で、癒着の証拠が見つからなかったから問題なしというのはおかしい。厚労省が調査報告書を読んでいなかったというのも、官僚の常識からいって考えられません。


苦しい生活の中で払い続ける「年金」。
この「年金」で「遊ぶ」上級国民。
そんな感じか!

今日、無事に退院してきました。
更新もない中、大勢の方に訪問いただきありがとうございました。
「術後が痛くて大変だ」と、脅かされてきたのですがそれほどでもありませんでしたよ。
手術後の飯も普通食だった。
(後で聞いたら間違ったそうで、本当はお粥)
でも、食べ物を飲み込む時は痛くないけど、空気を飲む時の方が痛い。
この間、ほとんど運動していないのでこれから少しづつ慣らしていきます。

4Fの病室から、退院直前に。ここは旭川市。


医療崩壊許さない 「どれだけの痛みもたらすか」

2025年03月04日 | 健康・病気

衆院予算委 辰巳氏が自公維合意4兆円削減批判

「しんぶん赤旗」2025年3月4日

 日本共産党の辰巳孝太郎議員は3日の衆院予算委員会で、自民、公明、維新の3党が国民医療費の「最低4兆円削減」などを念頭に置いた社会保障削減のための協議体設置で合意した問題を取り上げ、「医療崩壊が起こるのは間違いない。絶対に許してはならない」と批判しました。

 辰巳氏は、石破茂首相も自民党総裁として合意文書に署名したと指摘。2025年度までに国民医療費を最低4兆円削減することを念頭に検討し、早期に実現可能なものを「26年度予算に盛り込んで実行に移すのか」と質問すると、石破首相は削減を念頭に議論することを認めました。辰巳氏は「とんでもない合意だ。年間で最低4兆円削減とは、この間の医療費抑制に照らしても途方もない数字だ」と批判しました。

 辰巳氏は、高額療養費の負担上限引き上げで医療費が5330億円削減されることを示し、「がんなど重い病気にかかり、多額の医療費を長期にわたって負担して治療を続ける患者に深刻な影響をもたらす」と強調。00年度以降の医療費抑制を狙った医療制度見直しで、自己負担と保険給付を合わせた医療費ベースでの財政影響が年額1兆円を超えるような例があったのかとただすと、福岡資麿厚生労働相は「06年の診療報酬改定は医療費を1兆円をやや超える削減額の規模だった」と答えました。

 辰巳氏は、08年に出産間近の妊婦が七つの医療機関に受け入れを拒否され死亡した事件を挙げ、「06年の1兆円削減が現場の心を折って医療崩壊をもたらした」と指摘。「1兆円で医療崩壊だ。4兆円の削減が一体どれだけの痛みをもたらすのか」と追及しました。石破首相は「(医療)崩壊しないようにやっている。これから先、考えていくものだ」などと強弁しました。


医療費削って防衛費暴騰。
日本国民よりアメリカ!
創価学会の支持者よ、もう離れるべき時だ!

さて、以前にも書いたと思うけれど、わたしの皮膚病がアトピーだけではなく「掌蹠膿疱症」という皮膚病も併存しているようで、これは扁桃除去で70%以上の確率で改善するという。
もう10年以上にわたり苦しめられてきました。
これで解放されるのならとの想いで明日入院、翌日手術です。
退院まで1週間前後というのですが、子どもは比較的簡単なようですが、高齢者にはきついようです。
そんな事情ですのでブログの更新は休みます。
携帯で訪問できるところは訪問する予定です。

お!「プレビュー」が復活いたしましたね。
ありがたい。


禁止会議控えサーローさん 核兵器「自分事と考えて」

2025年03月03日 | 戦争と平和

2025年3月3日 (共同通信)

 【ニューヨーク共同】核兵器禁止条約の第3回締約国会議開幕を3日に控え、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が2日、ニューヨークで核の脅威などを話し合うイベントを開いた。カナダ在住の被爆者サーロー節子さん(93)も出席し、記者団に「核兵器を自分に関係あることだと考えてほしい」と語った。

 イベントには支援者ら約300人が参加。ICANのパーク事務局長は冒頭のあいさつで、広島、長崎への原爆投下とパレスチナ自治区ガザでの戦闘の被害を重ね「爆弾で多くの命を奪ってもいいという暴力に基づく考え方にわれわれは立ち向かっている」と活動の意義を強調した。

 サーローさんは「核兵器は戦争に使うものじゃない。皆殺しにする道具だ」と非人道性を訴えた。若者らに向け「一緒に学び、語り合う仲間を見つけて多くの人の思いとして政治家に伝えてほしい」と呼びかけた。


今日は舗装道路も真っ白になってしまった。
予報では今週中は真冬日です。


米・ウクライナ決裂 首脳会談 対ロ姿勢めぐり

2025年03月02日 | 戦争と平和

「しんぶん赤旗」2025年3月2日

 トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は2月28日、ワシントンのホワイトハウスで会談しました。トランプ政権が侵略国ロシアに融和的な姿勢をとっていることにゼレンスキー氏が不信感を表明したところ、トランプ氏らが激怒。激しい口論となって会談は決裂し、当初の目的だったウクライナの鉱物資源を巡る合意文書の署名には至りませんでした。

 1月の第2次トランプ政権発足後、両首脳が対面で会談したのは初めてです。トランプ氏は冒頭に「ロシアとは非常に良い議論ができた。(戦闘の)停止を実現させるつもりだ」と語りました。ゼレンスキー氏は「今回の文書が安全の保証の最初の一歩となることを願う」と述べ、米国からの支援継続に期待を表明しました。

 同席したバンス米副大統領は「平和への道は外交に取り組むことだ」と発言。ゼレンスキー氏はロシア側が停戦合意を破りウクライナ国民を殺害してきた経緯に触れ、「どんな外交だ?」と応じました。

 これをきっかけにトランプ氏やバンス氏は「米国に対し敬意がない」とゼレンスキー氏に反発。トランプ氏は「あなたは何百万人もの命を使って賭けをしている。第3次世界大戦を巡って賭けをしている」と述べて、侵略国と侵略被害国をあべこべに描きました。

 会談後に予定されていた共同記者会見は中止になりました。ゼレンスキー氏が研究所で行う予定だった講演も中止されました。

 ノルウェーのストーレ首相は、第3次世界大戦に関するトランプ氏の言い分について「まったく筋が通らず、私は距離をとる」と語りました。

 トランプ政権の幹部らは「米国のために勇気を持って立ち上がってくれた」(ルビオ国務長官)などとトランプ氏を絶賛しています。一方、野党民主党からは「(トランプ氏の振る舞いは)不名誉で危険だ。敵を助け、友人を傷つけ、安全保障を弱めている」(ベイヤー下院議員)などの批判が出ています。

 

⁂     ⁂     ⁂

ウクライナ 根深い欧米不信

トランプ氏は個人的な恨みも

 【ワシントン=時事】トランプ米大統領のウクライナ停戦への取り組みに同国のゼレンスキー大統領が疑問を呈して激しい言い合いとなり、2月28日のホワイトハウスでの首脳会談は物別れに終わりました。背景には、ウクライナ側が求める「安全の保証」を巡って、根深い欧米への不信があります。

 ウクライナが独立を宣言したのは1991年8月。同国は94年、旧ソ連時代に配備された大量の核兵器の放棄に同意しました。これを受けて米ロ英の核保有3カ国はウクライナの「安全の保証」を約束。その20年後の2014年、3カ国のうちのロシアのプーチン大統領がクリミア半島を一方的に併合しました。

 ゼレンスキー氏はこの日、トランプ氏の前で「誰も彼(プーチン氏)を阻止しなかった」と指摘。その後、ドイツとフランスを交えてロシア側と停戦合意(ミンスク合意)を結んだものの「(プーチン氏は)停戦を破り、仲間を殺し、捕虜交換も行わなかった」と糾弾しました。

 プーチン氏が今後も約束をほごにするとの疑念は、トランプ氏と今週会談した英仏首脳もあらわにしています。一方、トランプ氏はウクライナの鉱物資源の権益を巡り合意を迫り、「安全の保証について話す必要はない」と取り合いませんでした。

 トランプ氏の一方的な振る舞いは、19年にゼレンスキー氏に対して軍事支援などを行うことを条件として、ウクライナと関係のあったバイデン前大統領(当時は前副大統領)の醜聞を捜査するよう要求した事件をほうふつさせます。

 ゼレンスキー氏はこの時、トランプ氏の求めに応じず、米下院はトランプ氏を弾劾訴追(上院で無罪判決)しました。米外交関係者の多くは、トランプ氏がゼレンスキー氏を恨み、嫌っているのは明白だとみています。


さてさて、日本の石破氏はどのような態度に出るのでしょう。
「何もしない」でしょうね。

今日はまた冬に戻りです。
しばらく天氣は良くないようです。


石破政権どこまで冷血 高額療養費引き上げ「予定通り」強行…患者団体や野党が求める「凍結」突っぱねる

2025年03月01日 | 社会・経済

日刊ゲンダイDIGITAL 2025/03/01

「一時凍結へ」──。石破政権が負担上限額の引き上げを予定している高額療養費制度の見直しについて、そんな見出しのニュースが27日、駆け巡った。ところが、一夜明けた28日の衆院予算委員会で石破首相が表明したのは、問題先送りの弥縫策。がん・難病患者に負担増を強いる愚策の強行だった。

■来年8月以降は「検討」の弥縫策

「高額療養費制度の見直し自体は実施させていただきたい」

 衆院予算委で立憲民主党の野田代表から「見直し凍結」の英断を迫られた石破首相は、開口一番、こう答弁。今年8月からの負担上限の引き上げを予定通り実施すると宣言した。

 当初計画では、療養費制度の負担上限は年収700万円の場合、現行の8万100円から今年8月に8万8200円に引き上げられ、年収区分の細分化に応じて2026年8月には11万3400円、翌27年8月以降は13万8600円に3段階で跳ね上がる算段だった。あまりに非情な負担増に批判が集まり、石破政権は26年以降の見直しの再検討を余儀なくされた。

 しかし、患者団体や立憲を中心とする野党が求めているのは、あくまでも「凍結」。8月からの引き上げを白紙に戻し、当事者を含めた議論のやり直しだ。これに対し、石破政権は見直し実施の既定路線を崩さず、来年8月以降については、予算委で「本年秋までに決定したい」と時間稼ぎをし始めた。

 そもそも、療養費制度の負担上限引き上げは厚労省の社会保障審議会(医療保険部会)で昨年11月から約1カ月間のわずか4回の議論で決まった経緯がある。がん・難病患者をなおざりにした結果、非難ゴウゴウの事態を招いているのに、それでも引き上げ強行とは血も涙もない。

■「この間の物価上昇分だ」答弁のマヤカシ

 なぜ、そこまでかたくななのか。石破首相は予算委で、引き上げが約10年ぶりだとして「この間の物価上昇分だ」と言い繕った。そうであれば行うべきは、患者の負担減だろう。

 総務省はきのう、全国の先行指標とされる東京都区部の小売物価統計調査を発表。2月はコシヒカリが5キロ当たり4363円。前年同月から8割近くも上昇し、過去最高を更新した。主食たるコメもしかり、あらゆる食料品、ひいてはモノの値段が上がっているというのに、難病治療の負担増も強いるとは理屈が通らない。

「物価上昇に負けないほど賃金が伸びて可処分所得が増えているならまだしも、そうではありません。物価は上がり続け、家計は圧迫されています。大病すれば収入減は避けられません。本来なら、物価上昇分を考慮して難病患者の負担を減らすべきです。政府は一体、何重苦を強いるつもりでしょうか」(全国保険医団体連合会事務局次長・本並省吾氏)

 場当たりでは墓穴を掘るだけだ。引き上げ凍結の再考しかない。

  ◇  ◇  ◇

 自公維で合意した「高校無償化」は5000億円かかるのに、200億円で可能な高額療養費「見直し凍結」は拒否…関連記事【もっと読む】で詳しく報じている


国民の命も生活も眼中にない、ただ裏金欲しさの偶作が続く。
「高校無償化」も必要。
必要のないものは、突出した「軍事費」だ。
「軍事費」によって国民が見殺しにされる事態は避けなければならない。

今日もプラス氣温の良い天氣。
家の前の舗装道路の氷割り、好きなんです。
これから札幌へ行ってきます。
帰りは遅くなりますので、今のうち更新です。


仁藤夢乃 「トー横」支援施設や団体で相次ぐ性暴力 〜事件は本当に「避けられないこと」なのか?

2025年02月28日 | 事件

Imidas連載コラム 2025/02/28

 

子どもたちを守るはずの施設で何が?

 2024年9月、新宿区歌舞伎町の「トー横」(新宿東宝ビル横)に集まる子どもたちを支援する名目で東京都が開設した「きみまも」という施設内で、利用者の少女に対し下半身を触るなどのわいせつ行為をしたとして20代の男2人が逮捕された。男の一人は「時間つぶしで施設に行ってふざけあっていただけ」などと供述し、もう一人は容疑を認めていたと報じられたが、のちに不起訴となった。不起訴になった理由は明かされていない。

 この施設は24年5月に開設され、専門の相談員を配置しており、名前や住所を明かさなくても気軽に利用できるフリースペースになっていた。相談員がいる施設で子どもたちが過ごせて「悪意ある大人」から距離をとれると期待されたが、不特定多数の大人が出入りして脱法行為が行われていた疑いが通報で発覚。防犯カメラの映像などから、利用者に「売春」を促すようなケースが確認されているとも報じられた。

 この事件について都は「多い時は50人以上が利用しており、相談員の位置から見えなかった」などと弁明したが、50人の利用者がいたから気づけないなんてこと、現場で支援活動をしている者の経験や感覚としてはあり得ない。意図的に見ないようにしていたか、関与しようとしていなかったとしか思えない。

 逮捕された一人は、遡ること5月に「トー横」で暴力団組員の男と共にトラブルを起こし現行犯逮捕された人物で、地元をよく知っていれば彼らがどんなつながりをもち、歌舞伎町で何をしているのかわかる相手だ。なぜ、そういう人たちが入り込めたのか。

あたかも女衒(ぜげん)の休憩所となり

「きみまも」に関しては、私たちは24年1月のプレオープン時から警戒していた。開設当時、大々的にメディアで報じられ「支援者による相談もOK」とあったため、私もすぐに現地を訪れた。まず入り口で驚いたのが、女性の相談員から「お名前をこちらに書いてください。ニックネームでも大丈夫です」と言われたことだ。私は40代の男性と2人連れで、さすがに青少年には見えなかったはずだが、何も言わず名前を書いていたら利用者として入れてしまうところだった。気まずさを感じつつ「歌舞伎町を拠点に支援活動をしている者で、見学させてほしい」と申し出ると快く案内してくれた。

 そこでさらにショックを受けたのは、普段から「トー横」に集まる少女たちを狙って声をかけ、「売春」を斡旋することで生活している男たちが入場していたことだ。中にいたのは10人ほどだが、全員男性だった。未成年と思われるのは1人か2人で、あとは成人。それも25歳以上と思われる男性がほとんどで、とても少女たちが利用できる雰囲気ではない。

 6人ほどの男性はテーブルを囲み、スマホを充電しながらゲームをしていて、椅子やソファに寝転ぶ男性たちもいた。奥にはパーテーションで仕切られたスペースがあり、相談室として案内されたが、そこにも男性が寝ていた。少女を人身売買にかけることで生活している男たちに丸聞こえな空間で、相談などできるはずないだろう。

 案内してくれた人に女性の利用者について聞くと、「ほぼなくって……私たちも思っていたのと違うんです」と残念そうに言った。都は専門の相談員を配置していると宣伝していたが、この日いた3人の相談員はColabo(コラボ)の活動も知らず、同行した40代男性を青少年と勘違いしてしまう有様で、「トー横」に関わる人物や少女を性搾取する構造も理解していないようだった。だから施設にいる男性らが誰なのかも分からなかったのだろう。

 私は「きみまも」が少女を性搾取する男たちの「休憩所」になっていることに強い危機感をおぼえ、すぐに与野党の都議やメディアにも視察や取材をするよう伝えたが、議員はSNSで「視察に行ってきました!」と成果をアピールし、メディアもその実態を報じることなく都の広報のような報道ばかりが続いた。

「きみまも」が開いている時間、「トー横」に来た少女を「売春」に送り出した男たちは施設内で暖かく過ごし、21時に閉館すると少女が体を売って確保した宿に向かう――。そうした状況が放置されたまま、5月の正式オープン後も性売買業者とつながる男たちや少女を搾取している男たちが出入りし続けていた。さらに、ここに来れば家出した若い女の子たちと話せるからと、「トー横」に縁がなかった成人男性たちもゲームをしに日参するようになった。

事件を認識しながらも施設利用を呼びかけ

 24年9月、施設内での性加害が報じられる1週間前に、「きみまも」の実績をアピールする記事が大手メディアに複数掲載された。都は事件を認識しながらも、明るみに出る前に世間に実績を印象づけようとしたのだろう。

 例えば「東京都開設の『トー横』相談窓口 2か月で延べ1600人近くが利用 最年少は男女ともに12歳 想定超える利用者数で、相談員の増員も検討」(24年8月29日)というTBSのニュースでは、「当初の想定を超える人数が相談窓口を利用していることから、都は相談員を増員することも検討している」「都の担当者は、『相談窓口には専門の知見を持ったスタッフがいるので、安心して訪れてほしい』と呼びかけている」と報じられた。

「最年少12歳」というのが複数のメディアで見出しとなり、衝撃を受けた人も多いのではないかと思うが、歌舞伎町で活動していれば当たり前のことだ。12歳の少女が虐待から逃れるために来て性搾取の被害に遭う、それが日常であり問題なのだから。少なくとも10年前からそうした状況をColaboは発信していたし、だからこそ支援活動をしてきた。

 また、どの報道にも「利用者数が2か月で延べ1600人近く」とあったが、詳細な内訳までは報じられなかった。実際には10代の少女の利用者が少ないことや、毎日利用する男性が多いことから、都は多くを明かしたくなかったのではと勘繰ってしまう。

 支援は質こそが大事であるから、利用者数はさして問題ではないが、Colaboが都の委託を受けて新宿区役所前でバスカフェの活動をしていた際、10代の少女だけで1晩(4時間)40人は普通に利用していた。さらに私たちはその場での関わりで終わるのではなく、数年〜十数年の単位で一人一人と継続的に関わり、行政や病院等への同行、シェルターでの一時保護、中長期的な住まいの提供、生活支援や修学・就労支援等あらゆる支援を行っている。

 対して「きみまも」の利用者数は2か月間で延べ1600人で、1日あたり35人ほどが利用した計算になるが、開設時間もバスカフェより長く、成人や男性も含めてこの数である。ものすごく利用者が多いかのように印象操作されているが、居場所がなく街をさまよう少女たちの数に比べると、決して多いとは言えないことが青少年支援に関わっていれば容易に想像できる。

性暴力事件は「避けられない」と開き直る

 24年8月、東京都知事は新宿区長と一緒に「トー横」を視察し、都のSNS広報で「行き場のない人が悪意のある大人に騙されないような警告を出す体制が整ってきた。どうしたらいいかわからない子どもたちや女性、若者に、居場所を提供し相談に乗ってあげることが効果に繋がれば」といった内容のコメントを流した。

 9月に性暴力事件が明るみに出ると、区長は「困難な課題を抱えている若年層の受け皿での事件は避けられないことだと考えています」「屋外で起きていれば泣き寝入りになった可能性もあります」「純粋に少年少女の立直りを考えているなら居場所事業を攻撃するのは間違っています」とSNSに投稿した。

 区長は「事件は避けられない」と堂々と言い放つが、そのようなことが起きないようにするのが支援者の責任ではないか。そうした被害から子どもたちを守る名目で始めたのではなかったのか。あまりにもひどい言い分だ。入り口に「もし施設内で性被害に遭っても、それは避けられないことです」と注意書きをするべきだ。しかも当の区長は、かつてColaboが行ってきた支援への妨害、デマ拡散に乗じてバスカフェと少女たちを追い出しておきながら「居場所事業への攻撃は間違い」とは、どの口がいうのかと思った。

 さらには施設があったことで事件が発覚したようにも語っていたが、この事件は施設の体制や利用者への無理解、専門性の欠如などが招いた性暴力事件である。まずは被害者にお詫びし、利用者のケアを徹底し、実態調査と再発防止を都に求めるべき立場にあるのではないか。そして「純粋に少年少女の立直りを考えているなら」というのも気持ち悪い。自分たちは善とか、純粋に青少年支援を考えているとかと言うが、少女たちの人権を尊重し、歌舞伎町を中心とする少女性搾取の構造を変えようという姿勢が全く感じられない。

 虐待などを背景に家に帰れなかったり、傷ついている子どもたちを支えたりするには、場所をただ開放すればいいわけではない。これでは「トー横に屋根を付けただけ」なのだ。SNSで「きみまも」を「公営トー横」と表現する人もいて、その通りだなと思った。

本末転倒な東京都の改善策

 事件後、都は「きみまも」について一度に利用できる人数を20人ほどに絞ったほか、身分証の提示を求めたり、相談員の他に警察OBを配置したりなど管理体制を見直したと報じられた。しかし実は、事件が明るみに出る少し前には、ホームページ上で利用を登録制にすると発表していた。それによると利用登録には本人が確認できるものや連絡先(携帯電話番号、住所など)の提出が必要とあり、都はそうすることで再発防止ができると説明しようと考えたのだろうが、これでは本末転倒だ。

 

 なぜなら開設当初に匿名利用可としたのは、公的支援に拒否感をおぼえる青少年とつながるためだったからだ。家に帰れず性搾取の被害に遭っている少女たちは、そもそも身分証を持っていないことが多いし、個人情報を知られることに強い警戒心を持っている子がほとんどである。そうした状況を行政もようやく理解したからこそ「名前や住所を明かさなくても気軽に利用できる」とし、Colaboのバスカフェのようにスマホの充電ができたり、軽食が食べられたりする休憩場所を開設したはずではなかったか。

 警察に補導されることを恐れて、人目につかないところを転々として生き延びている子どもたちが、警察OBが配置された監視カメラ付きの施設に行くわけがない。それでも利用したい人はいるかもしれないから、やればいいと思う。しかし、これでは決して虐待や性搾取の中にいる少女の支援にはならないことを、理解する必要があるだろう。

怪しい男たちによる「支援団体」が急増

 若年女性支援事業は、Colaboのような女性主体の民間支援団体が活動を通して実態を示し、必要性を訴え続けたことで制度化された。22年には日本で初めて――世界的に見ると遅すぎるが、女性支援の根拠法「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(女性支援新法)」が成立し、しかしそれに伴いColaboに対するデマ拡散や妨害はこれまでにないほど深刻化した。背後には性売買業者やそれにつながる権力者たちがいる。24年の新法施行を前に、私たちの社会的信用を落とそうと必死だったのだろうと思う。

 残念ながらその攻撃は成功している。若年女性支援が注目され、予算化される見通しが立ったころから、怪しい男性たちによる団体が複数立ち上がった。歌舞伎町だけでも片手で数えきれないほどにはある。半グレ組織とつながる人物が関わる団体も多く、彼らは「女性支援団体」を名乗り始めた。少女たちに声をかけたり、食事を与えたりしながら、彼女たちをコントロールし、そこで被害に遭った少女たちからの相談を受けることもあった。

 つい最近も「トー横」に集まる少年少女の「支援団体」を名乗る団体の元代表の男が、17歳の少女にホテルでみだらな行為をした疑いで逮捕された。被害に遭った少女とは歌舞伎町で出会い、食事を提供したり、交通費として現金を渡したりしていたという。

 現場に行けば、誰がどのような活動をしているか、どのような目線で少女たちのことを見て、どのような関係性を作り、どのような支援をしているのかがわかるはずだ――と私は思うが、それがわからない人が大半なのだろう。実際に、そうした団体を取材した人や、視察をした議員らが、そのような団体を持ち上げていることが被害を温存・拡大させてきた。

 それだけ、若年女性支援とは何かが日本社会は理解されていないのだ。少女たちの置かれている現状や抱えているもの、性売買業者やその周辺の関係者たちの巧妙な動きや、それを支える搾取の構造、背景にある女性差別の問題への深い理解、さらには女性たちがどのような暴力の中で生きてきて、どれだけの傷を抱え、回復にどのような時間と支援が必要なのか――。今起きている問題や構造への理解がない、知らない、「専門家」を名乗る人たちに専門性がない状況がある。そうしたことを見抜いている性売買業者らが、「支援」の名を借りて福祉にも入り込んでいる。それに気づかず行政が誤った支援をすることも繰り返されている。そして善意の民間団体も、彼らのことを見抜けずに連携を始めている。これがトー横キッズ「支援団体」での性暴力事件が相次いでいる背景だ。

 今、日本で何が起きているのか。なぜ若年女性支援が必要なのか。公的支援の在り方や支援現場の実態はどうなっていて、どのような議論がされてきたのかを知り、これからの社会を共に考えてほしい。


宇宙船トランプ号の目的地

2025年02月27日 | 社会・経済

氣になる記事を見たので紹介しておこう。
でも、長い記事なので興味のない方はスルーしてください。

 

【寄稿】宇宙船トランプ号の目的地(北丸雄二)

マガジン9 https://maga9.jp/250226-8/

米国・トランプ大統領が2期目の政権をスタートさせてから1カ月あまり。この間、70本を超える大統領令に署名しています。なかでも、就任後すぐに、連邦政府のDEI(多様性、公平性、包括性)プログラムの廃止と、「性別は男と女の2つだけ」とする大統領令に署名したことは大きな波紋と動揺を広げました。こうしたトランプ政権の姿勢から見えてくるものは何か。ジャーナリストの北丸雄二さんにご寄稿いただきました。

救命ボートの倫理とは

 「救命ボート倫理(lifeboat ethics)」と称して提示される問いがあります。60人乗りの救命ボートにはすでに50人が乗っている。そこにさらに波間を漂う100人もの遭難者がいる。さてその場合、何をどうするのが倫理的か、あるいは最適解か?

 1974年にアメリカの生態学者ギャレット・ハーディン Garrett Hardin が持ち出したこの倫理上の難題は古代ギリシャの「カルネアデスの舟板」(※)の逸話にも似ていますが、カルネアデスが個人の行為として刑法上の緊急避難に敷衍されるのに対し、ハーディンの方は集団の行動規範をどこに求めるかの問題として豊かな先進国と貧しい途上国の関係に置き換えられました。

 残った空間に10人だけを乗せるか、あるいは全員の救命を試みて舟もろとも沈没するか、それとも安全を確保するために10人分の余裕を残したまま波間の全ての遭難者を見捨てるか。

 地球の生態系(人命)を維持するための資源(救命ボート)には限界があります。したがって全員の救命を図るという「完璧な正義」の実現は、実は「完璧な破局」に結びつく。だから生態系維持のためには現状を危険にさらす要素(他の遭難者)は排除しなければならない。すなわち未来を守るためには、途上国を見捨てて先進国の安全を確保することは、倫理的とは言えないまでも必要悪なのだとハーディンは結論づけるのです。

 ハーディンのこの主張は当然の帰結として途上国への援助の停止、共有資源の独占的管理、厳格な移民政策などの政策に結びついていきます。もちろんこれは「反人道的」で「再分配の正義に反している」として強い反発を浴びました。

 もうお分かりでしょう。その批判から半世紀以上が過ぎ、私たちがいま目撃しているのはまさにこの「救命ボートの倫理」の再来です。トランプ政権が、第一次から4年間の周到な準備期間を経た第二次の今回、さらに徹底させているのが、「完璧な正義」を廃棄することで「完璧な破局」から逃れるという道筋の確立です。

 例を取ります。

 完璧な正義とは何か? 少数者を含め、全ての弱者・遭難者を救おうという「DEI(多様性、公平性、包摂性)」の思想に染まる「WOKE(意識高い系)」の理想と目標がそれです。

 なぜトランピズムがそれを徹底排除するのか? 救命ボートもろともの沈没=完璧な破局を避けて、自分たちが生き残るためです。

 その「自分たち」をトランプ政権は「アメリカ・ファースト」という大きな言葉で代用しています。しかしこの「アメリカ」をよく見てみれば、それは未申請・無届け移民やLGBTQ+、およびBLM(Black Lives Matter)の黒人や先住民たちを含まない「普通のアメリカ人」、つまり白人系のアメリカ人に象徴されるアメリカのことです。

※カルネアデスの舟板:船が難破し、船員たちが海に投げ出されたとき、小さな板が流れてきた。一人しかつかまれない板を、自分が生き延びるため他者から奪って相手を水死させたら罪に問えるかという問題

エコファシズムとの関係

 ところでハーディンの生態学(エコロジー)は、1960年代の先進国の工業化に伴う化学農法の拡大や公害の激化を背景にしています。地球の生態系が危機に直面している。1962年にレイチェル・カーソンの『沈黙の春 Silent Spring』が出版され、ジェイムズ・ラヴロックが地球全体を一つの巨大生態系と見る「ガイア理論」を打ち出したのもこのころでした。やがて1973年には、それはノルウェーの哲学者アルネ・ネスの「ディープ・エコロジー」という概念に”深化”します。

 従来の環境保護活動は「シャロー(浅い)」、もっとディープに(深く)徹底しなければならない、というこの考えは、ガイア生態系の中で全ての生命存在が人間と同等の価値づけをされます。そうじゃなければ地球は救えない。人間の利益だけを考えていてはダメなのです。そこではガイアを保護すること自体が目的であって、人間存在の利益は結果的に付与される付随物に過ぎない。

 そしてこの価値観が、実は40年前のナチスの「エコファシズム」と共通する。

 これが本稿の本題である性的少数者排除とどう結びつくのか──トランプ政権の「アメリカ」第一主義が、エコロジーとファシズムの結託によってもたらされるということを示すには、かなり複雑な論理の道筋を辿らねばなりません。

 ナチス・ドイツは発足直後の1933年に動物保護法、1934年に国家狩猟法、1935年に帝国自然保護法を制定しました。動物虐待の禁止、麻酔なしの生体解剖の禁止、野生生物の保護のための森林保護などはまさに地球の生態系の保護、つまり環境保護の先駆け政策です。人間のことだけを考えていてはダメ、人間中心主義から脱却して、全体のバランスを優先しなければダメ。これは、生態系の保護のためには人間の排除もやむなしというJ・ベアード・キャリコットの生態系中心主義に辿り着きます。そこでは人間も動物も同じ要素です。「同じように守られるべき」という主張は同時に、「同じように切り捨ててもやむなし」という結論にも等しく反転します。

 こうして人間と動物の境界線が薄れます。動物の屠殺と、人間に対する殺人が同じレベルで論じられるようになる。

 先進国では19世紀末からフランシス・ゴールトンの提唱した優生思想が受け入れられるようになっていました。ダーウィンの進化論と遺伝学を、人間集団の遺伝的な質を向上させるより良き未来のために使おうという思想です。

 優れた者を優先させるこの考えは、ハーディンのあの「救命ボートの倫理」です。劣っている者=遅れてきた遭難者は見捨てても良い。むしろ人口は積極的に減らした方が持続可能な未来のためには効率が良いとまで言う、マルサスの人口論の発展系。あと10人が乗れるのに、その10人をも乗せずに60人乗り救命ボートに50人のままで行った方が生存率は高まるのですから(あるいはその50人すら40人、30人に減らした方が……)。

 ナチスはそうしてドイツのために「劣等民族」であるユダヤ人の”浄化”に踏み出します。それは動物を屠殺するのと倫理的に違いはない。優秀なアーリア人こそが「ドイツ」です。ちょうど「アメリカ・ファースト」の「アメリカ」が「自分たち」だけのアメリカであるように。

 こうしてディープ・エコロジーは実はナチスによって都合よく使われたエコファシズムにも繋がってしまう。それは「救命ボートの倫理」なのです。トランプを熱狂的に支持するMAGA(※)の人たちは、「自分たち」はその救命ボートに初めから乗り込んでいるのだと信じて疑わない人たちです。本当にそうなのかは、これからのトランプ統治の数年でわかることですが。

 そうやって見直してみると、トランプ政権が矢継ぎ早に打ち出す行政上の大統領令や外交における新基軸──”不法”移民の即時強制退去、高関税の脅し、法人減税、ウクライナとガザにおける「力による現状変更」の容認、グリーンランドやパナマ運河への覇権宣告、51番目の州としてのカナダ構想、行政省庁の縮小解体、DEIの排除、人種および性的多様性の否定、メディアやジャーナリズムの封じ込め、そしてイーロン・マスクの偏重──も、巷間言われる「支離滅裂」「何をやるか予測不能」ではなく、全てがこの「救命ボートの倫理」に則っていることがわかります。そしてこれらの背後には現在、トランプを盾にトランプ以上にトランプ的な政治を体現している、下野の4年間を臥薪嘗胆に周到に準備した、法理論に長けた多数の若手政治戦略家たちが控えているわけです。

※MAGA:Make America Great Againの頭文字をとった造語。トランプの選挙スローガンであり、熱狂的な支持者のこともMAGAと呼ぶ

「キャンセル」される「T」の存在

 その中で、あたかも「自分たち」以外の象徴のように消し去られようとしているのがトランスジェンダーの人たちの権利です。これまで米国政府サイトで使われていた性的マイノリティを列記する言葉「LGBTQI(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・クイア・インターセックス)」が、トランプの再就任直後にすべて「LGB」に変わりました。「LGBTQI旅行者 」のための情報を提供していた国務省のサイトは現在、「LGB旅行者」に、LGBTQI+の養子縁組希望者のための情報ページも「LGB」向けになりました。コロナやエイズ禍で活躍したCDC(疾病管理予防センター)のサイトからも、司法省、労働省、商務省などのサイトからも、LGBTQ+関連の健康資料や性的指向に基づく差別回避の指針などが軒並み消え去りました。「T」だけでなく「LGBTQ+」全部がなくなりつつある……。

 実はトランプが最初にアメリカの政治土壌に足を下ろした2017年1月20日のその初日にも、ホワイトハウスのウェブサイトからエイズやLGBTQ+関連のページが跡形もなく消えました。その4年後にバイデン民主党が政権を取り戻して、同時に関連サイトも復活するのですが、さらに4年後の今回、2025年1月20日に再びそれらが(より大規模に)「存在しないもの」になったというわけです。

 前回は騒がなかった日本のメディアも「性別は『生物学的な男女のみ』トランプ氏、多様な性認めぬ大統領令」(朝日)、「『性別は男性と女性だけ』 トランプ氏、大統領令でDEI施策縮小」(毎日)、「性別は『男性と女性だけ』、『ドリル、ベイビー、ドリル』…トランプ第2次政権は前政権否定から」(東京)=いずれも2025年1月21日付=と大きく取り上げました。日本のジャーナリズムにおいてもやっと性的多様性を含む「DEI」問題が”旬”のテーマになったことの証左ですが、本家アメリカが逆方向に向かって日本の方が人権意識に覚醒するというのは皮肉な話です。

“予告”されていた大統領令

 おさらいしましょう。

 トランプの前のオバマ政権は教育や社会保障といった分野で「性別」の定義を個人の選択とする考えを打ち出し、トランスジェンダーの児童生徒に自らが選んだ「性」のトイレの利用を認めました。米軍へのトランスジェンダーの入隊も2016年に受け入れることを決めました。

 ところが第一次トランプ政権は発足1カ月余の2017年2月22日、生徒が性自認に則してトイレを使用できるとしたオバマのトランスジェンダー生徒保護ガイドラインを撤回。同7月には「米軍は圧倒的な勝利のために集中しなければならず、トランスジェンダーの受け入れに伴う医学的コストや混乱の負担は受け入れられない」などとして米軍へのトランスジェンダー新規入隊の停止措置を執ったのです。

 当時すでに米軍全体の0.7%ほどに当たる約9,000人のトランスジェンダーが軍務に就いていました。その当時の連邦裁判所は流石にトランプのこの措置を混乱が大きいとして阻止し、入隊手続きは再開されましたが、トランプ政権は諦めません。発足2年目、2018年の中間選挙を控えて、保守派の票固めをしたいトランプはさらなる攻撃に出ます。

 選挙直前の同年10月、ニューヨーク・タイムズはトランプ政権が「性別」の定義を「男性か女性かのいずれか一方」であり「生まれた時または生まれる前に確認された不変の生物学的特徴に基づく」と規定し、また「出生証明書の原本に記載された性別は、信頼できる遺伝的証拠による反証がない限り変更できない」とする方向で統一することを検討している、と報じました。

 それまでの小手先のトランス排除措置ではなく、性別に違和感を持つトランスジェンダーの存在自体を全否定しようとしたのです。

 ね、今回の大統領令と全く同じ文言でしょう?

 全米で推定140万人(0.4%)と言われたトランスジェンダーの人々の存在を「無」にする動きは7年前のそのときは後が続かず拡大しませんでしたが、すでに十分に予告されていたわけです。

トランスジェンダー抜きに語れぬ歴史

 「性別は男女の2つだけ」という今回の大統領令は、ややこしいトランス差別のあれこれをまとめて一気に吹き飛ばす論理です。

 トランスジェンダーの存在が社会一般に認知されるようになったのは1969年の「ストーンウォールの暴動/反乱」が契機です。当時は性的少数者の内実に関する認識はそう解像度が高くはなく、外部の人間にとっては十把一絡げに「ヘンタイ」であり「オカマ」でした。英語ではいずれも侮蔑語や卑称の「ソドマイト(ソドムの住民)」だったり「ファゴット」「クイア」そして「ゲイ」だったわけです。

 ニューヨーク・マンハッタンのダウンタウン、グリニッジ・ヴィレッジにある「ストーンウォール・イン」はいわゆる「ゲイバー」として伝えられますが、この「ゲイ」は当時は今で言う「LGBTQ+」の人たちを網羅的に示す言葉でもありました。そしてその「暴動/反乱」の主体は、警察の暴力や摘発の最大の標的だった男性相手の街娼たち、つまりドラァグ・クイーンあるいはトランス女性、そして警官隊への反撃を呼びかける第一声を挙げたレズビアンだったというのが定説です。

 つまり現在に続く「ゲイ」の人権運動・解放運動は、ゲイ男性というよりむしろ(今で言うノンバイナリーやトランス女性をも少なからず含んでいただろう)ドラァグ・クィーンや、(今で言うノンバイナリーやトランス男性をも少なからず含んでいただろう)レズビアンの闘士たちが動いたからという起点抜きには語れない。

ちゃぶ台返しの「男女二元論」

 しかし、トランプ政権は当初からすでに同性婚も合法化され可視化や理解も定着したゲイやレズビアンへの攻撃を諦め、より政治問題化しやすく一般の理解も浅いトランスジェンダーを標的にします。

 政治問題化とは、新たな政治資金を集めるためのネタにするということです。また同時に、トランスジェンダーの人たちを、「普通のアメリカ人」にとっての脅威として恐怖を煽ることです。敵を作り、それに打ち勝つための資金を募る、という古典的な政治手法です。

 最初は女性トイレや女性更衣室へのトランス女性の”侵入”を性暴力的脅威だと訴えました。それはやがて女性の競技スポーツの分野でトランス女性が「男性の肉体で思いのままにメダルを獲得している」という話になります。しかし前者はトランス女性による性加害の危険性ではなく、性犯罪者による性加害の問題です。後者は、トランス女性のスポーツ選手にトップ選手はほとんどいないという事実を挙げて包摂的な参加方法を模索する研究者と、わずかな差で勝敗の分かれるトップクラスのスポーツではトランス女性の参加禁止は必須とする研究者で議論が分かれます。

 ところが「性別は男女の2つ」と断じた今回の大統領令は、上記の論争に簡単に片をつける──女性スペースにおけるトランス女性の、性犯罪とか脅威とかの可能性の真偽を論じる面倒くさい議論よりも、「人間には男か女かしかいないのだから出生時の性別で男なら女性スペースには入れない。それが常識だろう」というものです。

 女性競技スポーツにおける議論も同じ。「テストステロンがどうだ、筋肉量がどうだという面倒な話はどうでもいい。男なら男、女なら女。話は簡単」

 トランプが第二期の就任演説で「常識の革命 the revolution of common sense が始まる。コモンセンスこそが全てだ」とブチ上げたのはそういう「常識」のことです。19世紀末からコツコツと積み上げ、人間の性とジェンダーの在り方の不思議を解像度を上げることで「新たな常識」として更新してきた性科学や精神医学の成果が、最大の支持母体であるキリスト教福音派的な「常識」の一言でまるでなかったことにされる。人智の基盤を「宗教から科学へ」シフトしてきた人間の歴史が否定されるわけです。MAGAの人たちが批判する「キャンセル・カルチャー」とはまさにこちらの方ではないか?

吹き荒れるトランス排除の嵐

 このスタンスで、トランプは「化学療法・外科手術による性器除去から子どもを守る」とする別の大統領令にも署名しました。19歳未満を対象とした性適合治療への連邦資金援助を停止する措置です。

 これにも伏線があります。第一次トランプからバイデンに政権が変わった2021年から、主にトランスジェンダーを標的にした反LGBTQ+政治の戦場は連邦から州や地方自治体に移りました。トランス敵対法案の提出は2023年には全米で合わせて年間604本に積み上がり、うち87本が成立。2024年には43州672本に増えました。うち可決は50本で、他613本は否決されたものの、2025年には大統領令のお墨付きもあって激増する恐れがあります。

 現時点では全米50州中26州で青少年を対象とした投薬、手術、メンタルヘルスなどの性適合治療が制限されるようになっています。うち25州は共和党主導の州です。

 「賢いトランプ」として一時はトランプに代わる大統領候補として売り出したフロリダ州知事のロン・デサンティスは2022年7月に州議会共和党と結託して、ゲイなどの性的少数者について公の場で話すことを禁ずるいわゆる「Don’t Say Gay(ゲイと言うな)法」を施行し、現在は高校までのすべての公教育でジェンダー・アイデンティティや性的指向などに関して教えることを禁止しています。もちろんLGBTQ+に関する書籍は図書館から取り除かれてしまいました。これはロシアのプーチン政権が2013年に成立させた「同性愛宣伝禁止法」と同じ考え方です。その思想が全米に拡大しつつあります。

 まだあります。一時はトランプの政敵だったマルコ・ルビオが長官に任命された国務省は、バイデン時代に導入された性別欄「X」付きのパスポートの発行申請を認めなくなりました。『ユーフォリア』や『ハンガーゲーム 0』に出演したトランス女性俳優兼モデルのハンター・シェイファーが、再発行パスポートの性別欄が「F(女性)」から「M(男性)」に変更されたとTikTokで抗議したニュースが流れたのも最近のことです。

 また、連邦刑務所に収監中のトランス女性の受刑者の一部はすでに隔離用施設に移送され、男性用刑務所への移送を告げられている事例も始まりました。

 このほかにも「ドラァグ(異性装)の禁止」「トランス学生のカミングアウトの強制」「出生証明書の性別変更の禁止」「運転免許証の性別変更の禁止」などの法案があり、中にはインターセックス(男女いずれの典型的な身体的特徴=染色体・生殖腺・性器などに当てはまらない性別未分化)の子どもに性別決定手術を強制する流れも生まれそうなのです。

 こうした反トランスの空気が濃くなる中では、反トランス法の制定後にトランスの若者の自殺企図が前年比最大で72%増加した州もありました。トランプ二期目のアメリカ社会で、マイノリティ全般への差別加害がどれだけ拡大するか心配です。

「ノアの方舟」のアナロジー

 さて、再び「救命ボートの倫理」です。

 ここからの結論はなんとも突飛なものです。でも、就任1カ月で前代未聞の約70本もの大統領令を出し、それらが多方向に実に突飛に突出するように見える政権の狙いを見極めるには、こちらも論理を繋ぎながら突飛な分析にならざるを得ない。

 現時点でわかっているトランプ政権の政策では、まず高関税貿易と無届け移民労働の排除でさらなるインフレが誘導されることになります。次に同じく高関税貿易と法人税減税と行政省庁の縮小解体による規制解除で国内企業活動が活性化します。ウクライナ、ガザ、グリーンランド、パナマ運河などにおけるアメリカの覇権拡張で国家の権益も増大する。

 その流れで登場するのは超格差社会です。一般国民の所得も伸びる一方で、企業や富裕層の収益は比較にならないほどに増大します。ちょうど、イーロン・マスクの個人資産が2024年春の時点で約2000億ドル(30兆円)だったのが、同年末には人類史上初の約4000億ドル(60兆円)に倍増したように。

 4000億ドルというのは、韓国、オランダ、ブラジルの国家予算に匹敵します。マスクの所有するスペースXなどは米国政府から200億ドル(3兆円)もの連邦資金を得てロケット開発を進行中ですが、そのマスクがDOGE(政府効率化省)のトップとしてNASA(アメリカ航空宇宙局)を潰そうとしているのはまさに利益相反、つまり「NASAの宇宙開発は効率が悪いから是非うちのスペースXのロケットに転換を」と言っているようなものなのです。

 超格差社会の出現で、何をするのか? 超富裕層向けの救命ボートを作ることです。

 「救命ボートの倫理」はナチスのエコファシズムと通底していると書きました。人減らしを目論むマルサスの先の「超」人口論とも。ゴールトンの優生思想とも。

 地球は、もう人類を支えるだけの環境を持ち得なくなっている。気候変動は(「神の意思なのだから」と福音派支持者には説明するが)もはや人間がどうこうできるものではない。しかし民主主義とは、WOKEとは、DEIとは、現在の77億人から2050年には97億人にもなる全ての人類を救おうとする非効率な試みだ。完璧な正義は完璧な破局をもたらす。我々は世界全体を救うことなどできない。ならば、生き延びられる者、優秀な者、選ばれし者が生き延びる道こそが人類の選択すべき最も倫理的な道である。

 まさに福音派の好きそうな「ノアの方舟」のアナロジー。実に古典的な白人至上主義、男性優位主義の復活です。

 ベルリン自由大学グローバル思想史大学院の博士研究員ベン・ミラーは、ローリングストーン誌の「ARE TRUMP’S ACTIONS ‘UNPRECEDENTED’? HERE’S WHAT SEVEN HISTORIANS SAY(トランプの行動は先例なきものか? 7人の歴史家は語る)」(2025年2月22日)の記事でこう指摘しています──トランスジェンダーの人々に向けていま飛んでいる攻撃は「the front of a flying wedge which is really going after the bodily autonomy of absolutely everybody, cis women included(トランス女性とシス女性を分断させる楔(くさび)の先端に見えるが、実はそれはシス女性を含む本当に全ての人間の身体的自律を対象とした攻撃なのである)」。

 トランス女性でもシス女性でもない誰かが、この楔を投げつけている。そしてその誰かは、他の全ての人間の自律を蔑ろにして、自分たちだけは別の世界にいる。

 かつて「宇宙船地球号 Spaceship Earth」という言葉がもてはやされました。地球という運命共同体の乗組員の一員として、国家間の争いはもうやめようという意味でも使われました。

 いまイーロン・マスクの画策する「宇宙船トランプ号」は、そんな地球を見捨てて「自分たちだけ」で火星へ向かおうとしています(いま何か起きた時の当座の避難場所は太平洋のシェルター付きの孤島だったりしますが)。その「陰謀」の目眩しに、地球上に取り残されることになる私たちにはトランスジェンダーや異人種や移民や難民の「問題」にボウボウと放火して騒がせている。トランス抹消の目論見は、そういう大きな青写真の中で考えなければならない──私のこの「突飛な」「突拍子もない」分析が、トランプ嫌いの癇癪持ちの妄想に過ぎない「陰謀論」であればよいのですが。

 


国連総会が決議 ロシア軍即時撤退求める ウクライナ侵略3年 

2025年02月26日 | 戦争と平和

「しんぶん赤旗 2025年2月26日

米国は自らの決議案に棄権

 【ワシントン=洞口昇幸】ロシアによるウクライナ侵略の開始から3年にあたり、国連総会(193カ国)は24日に緊急特別会合を開き、ロシア軍のウクライナからの即時撤退や同国の領土保全を求めた欧州主導の決議案を賛成多数で採択しました。総会は、これとは別に、ロシア非難を避けた米国の独自決議案を修正した上で、賛成多数で採択しました。修正では国連憲章に沿った解決を求める欧州諸国の文言が盛り込まれ、米国は自ら提出した決議案に棄権する事態に追い込まれました。

 ウクライナと欧州諸国が共同提案した決議には、日本を含む93カ国が賛成しました。米国やロシア、北朝鮮など18カ国が反対、65カ国が棄権しました。

 同決議はロシア軍の「即時無条件の完全撤退」を改めて要求しました。「武力による威嚇または武力行使から生じた、いかなる領土の獲得も合法とは認められない」と明言しています。

 また「敵対行為の早期の終結と平和的解決」を求めるとともに「主権の平等や領土保全の原則を含む国連憲章に合致したウクライナでの包括的、公正で、永続する和平」を求めています。

 一方、修正された米国案は、賛成93、反対8、棄権73で採択されました。米国のもともとの案は▽ロシアとウクライナの紛争による人命の損失を悼む▽紛争の早期終結を求める―などの内容ですが、ロシアを非難していません。

 フランスは欧州諸国を代表して、▽ロシアによる侵略の非難▽ウクライナの主権と領土保全の尊重▽国連憲章に沿った公正で包括的な和平―などの文言を追加する修正案を提案しました。フランスの代表は「これは国際法のための投票だ」「ウクライナと欧州諸国抜きでの紛争解決は、武力が法に勝る原則をつくる」と訴えて、修正案への賛同を呼び掛けました。総会は賛成多数でフランスの修正案を可決しました。

 米国は同日開かれた国連安全保障理事会(15カ国)に、総会に当初出した決議案と同じ決議案を提出しました。ロシアや中国など10カ国の賛成多数で採択されました。

 安保理で発言したディカルロ国連事務次長は、ウクライナ和平に関して、「国連憲章や国際法、きょう国連総会で採択された決議を含む過去の総会決議に沿ったものでなければならない」と指摘。安保理で米国の決議案が採択されたものの、国連総会が示した意思を無視しないようくぎを刺しました。


世界はアメリカを中心に動いてはいない。
日本も「賛同」したのは評価したい。
今こそ「日米安保条約」な見直しを!


玉木氏の排外主義 分断持ち込み社会保障を壊す

2025年02月25日 | 生活

「しんぶん赤旗」主張 2025年2月25日

 排外主義をあおる、トランプ米大統領ばりの発言は看過できません。国民民主党の玉木雄一郎氏の発言です。

 高額療養費制度の改悪にかかわって、自身のXで「外国人やその扶養家族が、わずか90日の滞在で数千万円相当の高額療養費制度を受けられる現在の仕組みは、より厳格な適用となるよう、制度を見直すべき」だとし、社会保険料について「原則、日本人の病気や怪我(けが)のために使われるべき」だとのべました。

 「生活が苦しい」「負担が重い」という国民感情の矛先を外国人排斥に向けるもので、政治家として許されません。

■国際人権規約無視

 外国人でも健康保険・国民健康保険など公的医療保険に加入して保険料を払っている人が高額療養費制度の適用を受けるのは当然です。外国人が特別に優遇されているわけではありません。

 日本政府は1979年に批准した国際人権規約のもと、「内外人平等」の原則に立って「国籍の別なく、所要の負担の下に、国民と同様の社会保障の実施」に努めるとしています(国連への報告書)

 81年に批准した難民条約でも、公的扶助・公的援助について難民に「自国民に与える待遇と同一の待遇を与える」とされています。

 玉木氏の発言は人権意識の決定的遅れを表しています。

 今回の発言には、外国人排斥とともに、保険料を短期間しか納めていない人が制度の“恩恵”を受けるのはおかしいという意味がふくまれていると考えられます。

 こうした考え方は、保険料納付期間や納付額が少ない人には少ない給付をとなりかねず、果てしない分断をもたらします。加入期間が短く低所得で納付額が少ない若い人は少ない給付でよいともなりかねません。「自己責任論」を強め、憲法が保障する生存権にもとづき、すべての人の生活を公的に支えるという社会保障を否定するものです。

■国庫負担増額こそ

 国民民主党は「現役世代の保険料負担を下げる」として医療費の削減を求めています。玉木氏は、がん患者などの命を脅かす政府の高額療養費制度の改悪案を「社会保険料を抑える方向での改革」と評価し「一定程度(患者負担を)上げていくのはやむを得ない」とのべ反対しません。

 昨年の総選挙公約でも重点政策に高額療養費制度の自己負担上限の見直しを掲げ、医療費削減のためとして尊厳死の法制化まで主張しました。医療費削減のために命を顧みない姿勢があらわです。

 高齢者の窓口負担引き上げも求め、15日のテレビ番組では「(高齢者で)病院がサロン化している」と根拠なく世代分断論をあおりました。世代分断論は「医者にかかるのも金次第」という「自己責任」論を強め、結局、全世代の社会保障への公的負担の抑制・削減をもたらします。それを狙う自民党は大喜びでしょう。

 重すぎる社会保険料を下げるには財界・大富裕層への優遇税制を改め、大軍拡を中止して社会保障への国庫負担を増やすことが不可欠です。外国人や高齢者をやり玉にして分断を持ち込むのは、そこから目をそらすものです。


良い天気になりました。
+3℃まで上がり、積雪は10㎝ほど下がりました。


北原みのり おんなの話はありがたい 伊藤詩織さんの映画を巡る記者会見 「恩を仇で返してはいけない」という弁護士の言葉が印象に残った

2025年02月24日 | 事件

 AERAdot 2025/02/24

 伊藤詩織さん監督の映画「Black Box Diaries」を巡る議論が、3月2日の米国アカデミー賞授賞式前に、大きくなりつつある。きっかけは伊藤さんの元代理人弁護士らが、許諾や同意のない映像が使われていることを問題視したことだ。それに対し伊藤さんは「底知れぬ悪意を感じる」と強い言葉で非難し、両者は真っ向から対立していた。

 2月20日、伊藤さんの元代理人である弁護士らの記者会見が日本外国特派員協会(FCCJ)で行われた。同日に伊藤さんも会見する予定だったが、直前に「ドクターストップがかかった」という理由で会見自体がキャンセルになってしまった。それでも、事前申し込みしていた国内外の多くの記者たちで会場は埋め尽くされ、立ち見が出るほどだった。

 記者会見場には知人のジャーナリストが何人もいた。多くは性被害者としての伊藤さんの闘いを書くことによって支えてきた人たちである。「元気?」などと声をかけながら、私たちは互いに複雑な顔をしていたと思う。前代未聞の事態に直面して誰もが困惑をしており、慎重にならざるを得ず、思考を整理しきれていないのだ。

 それでも今回の記者会見で、私自身は新しい気づきや視点の整理ができた。特に、日英バイリンガルとして、「Black Box Diaries」を巡る英語/日本語の報道を分析してきたというライターの蓮実里菜氏の指摘は刺激的だった。

 蓮実氏が言うには、日本と英語圏では、映画を巡ってまったく違う「語り」があるというのである。

 昨年1月から「Black Box Diaries」は世界57の国と地域の映画祭などで上映され、伊藤さんは数多くのインタビューを受けてきた。そこで伊藤さんは、「日本で上映されない理由」について、「政治的にセンシティブなテーマであること」「日本は性暴力について語る文化がない」など、政治、文化、国民性の問題として語ってきた。たとえばアメリカのメディアに対して「日本では映画を観ていない人が、防犯カメラ使用をプライバシー侵害と言っていますが、私はホテルに約4000USD支払って映像を入手しました」などと語ってもいる。

 そのような語りは日本語で語られる「問題」と、ちぐはぐにずれている。ホテルの防犯カメラ映像を使ったことは、プライバシーの問題ではなく、許諾を取ってないことが問題であることが日本語では語られている。また、ホテルに支払った4000USDは映像の使用権ではなく、防犯カメラに映っている第三者にモザイクをかけるためにホテル側が要求した実費だ。何より「日本で公開されない」のは政治的な問題や国民性の問題というのは、事実なのだろうか。

 また伊藤さんは、防犯カメラの映像を手に入れたことを、様々な映画祭で純粋に称賛されている。入手が難しい動画を手に入れることは、ドキュメンタリー作品への評価の対象になるからだ。そのことに対し伊藤さんは日本では「許諾がない映像を使った」ことを認めているが、英語でのインタビューには「(動画取得は)難しかったがなんとかして手に入れた」と語ってきた。

 蓮実氏は英語と日本語でのインタビューや記事を紹介しつつ、「グローバルに流通している作品に対する監督の説明が言語によって違うのは問題ではないか」と話した。バイリンガルならではの貴重な指摘だろう。

 蓮見氏の話を聞き、今回、私が感じ続けているモヤモヤは、許諾がない映像が使われていることに加え、日本と海外の情報ギャップによる温度差、というものもあるのではないかと気がつかされる。いわゆる民主主義先進国とされる欧米から、「日本って男尊女卑だよね」「日本の民主主義ってヤバイよね」という、「既にある日本のダメなイメージ」が濫用されているような空気を感じるのだ。たとえば映画の配給権を持っているMTVドキュメンタリーフィルムズはXに「最も必要とされている日本で、上映禁止になっている」(2/14)と英語で投稿しているのだが、伊藤さんの映画が「上映禁止」された事実はない。でもこう英語で記すと、法的に禁止されているヤバイ国としての印象がどうしても際立つ。日本で上映できないことが、この映画の価値を高める効果もあるだろう。日本が男尊女卑な国で、性暴力問題に鈍感で、政治的な話題を忌避しがちで、どうしようもない国だ……というのはその通りだと思いつつモヤモヤするではないか。

 当初1時間を予定していた記者会見は2時間を超える長丁場になった。印象的だったのは、性暴力問題に長年関わり続けてきた角田由紀子弁護士の発言だ。角田弁護士は今回の伊藤さんの対応に倫理的な問題があると抗議したうえで、こう切り出した。

「私は80歳を超えた老人ですが、今でも子ども時代に聞かされた言葉を思い出さずにはいられません」

 ドキドキした。角田弁護士は日本の性被害事件の裁判を、女性の視点に立って塗り替えてきた偉大な方である。どんな言葉を語るのか……と思っていたのだが、角田弁護士はこう言ったのであった。

「恩を仇で返してはいけない」

 え! それ!? と驚きつつその言葉がストンと胸に落ちた。英語が飛び交うFCCJで臆せずに「恩を仇で返してはいけない」など、なかなか言えることではない。そしてそれは、「弁護士に感謝しろ」という意味ではなく、角田弁護士はシンプルに日本語話者のやり方で、倫理を問うたのだった。伊藤さんの闘いに寄り添ってきた西廣陽子弁護士との会話を無断で録音し、事実と違う印象を与える切り取りで作品に使用したことを「恩を仇で返した」と批判したのだ。

興味深かったのは、会場からは「【仇】は英語で何というのか」という質問があったことだ。本筋とは関係ない質問かもしれないが、実はこれが本筋なのではないかと思われるような「言葉の壁のある世界」に私たちは生きているのだと意識させられた。

 私たちは、日本語の中で生きている。日本語の中で傷ついている。日本語の中で怒っている。日本語の中で闘っている。それなのに「英語で発信しなければなかったことにされるかもしれない」というグローバリゼーションを生きている。今回の議論はその葛藤を私たちに意識させるものでもあったのだ。

 記者会見後、知り合いの男性ジャーナリストと話す機会があった。彼は伊藤さんに同情的で、「小学校の学級委員みたいな指摘だ。ジャーナリストが権力と闘わないでどうする」と憤っていた。なるほど、と思う。左翼的な男性たちにとって伊藤さんの事件は「当時、現職の総理大臣の『お友だち』が起こした性加害事件だが不起訴になった事件」であり続けているのだ。反権力という大義名分の前に、個人の同意や許諾などたいしたことないと考えられるらしい。でも……と思う。伊藤さんを身近で支え、共に涙し、裁判を勝利に導いたのは、西廣弁護士をはじめ、記者会見に青ざめた顔で集まった女性記者たち、思想信条と関係なく同意のない性交を許してはいけないと憤った「学級委員みたいな」女たちだったのだ。女性への暴力を許さない、不正義を許さないと、伊藤さんと共にあろうと誓った女たちだったのだ。そんな女たちの「恩を仇で返してはいけない」という「学級委員」みたいな倫理は、バカにされるような価値ではないと私は思う。

 記者会見が終わると、伊藤さんの声明が印刷されてFCCJの入り口に届いていた。そこには許諾や同意が「抜け落ちた」として謝罪が記され、作品を一部編集すると記されていた。記者会見のキャンセルは残念だったが、いつか伊藤さんの声で、日本語で語られる日を待ちたい。