今日ようやくミニトマトの定植を終わらせた。手と足が思わしくないので随分と日にちがかかってしまった。明日はズッキーニを植えよう、食用ホーズキもたくさんある。
カッコーが鳴いていた。そろそろ旅立つ頃だろうか。
国民から集めた消費税を大企業の法人税ひきさげに向けていることは既に明らかになっている。それなのに、さらに内部留保を高め格差を広げている。働く者の実質賃金はマイナスである。それでも租税回避にあくせくする奴らをこのまま見逃してなるものか!何が消費税だ、何が法人税軽減だ!。消費税は即刻廃止せよ!
ダイヤモンド・オンライン2016.6.29
広く、浅く、取り易い徴税の惰性から脱却し「強い者に強い徴税」へ
6月冒頭、安倍首相は2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを、2019年10月へと再度延期することを決めた。安倍首相は記者会見で「財政健全化の旗は降ろさない」と明言し、改めて「19年10月には必ず引き上げる」ことを強調した。
安倍首相は2年半、30ヵ月間の再々延長で、引き続き消費税増税への執念を見せている。しかし、それよりも最優先すべき政策課題は富裕層の野放図な「税金逃れ」の実態にメスを入れることではないか。「税金逃れ」には厳罰をもって重税を課すなど、富裕層の「税金逃れ」を徹底的に封じて、それを税収の新たな有力財源に育て上げていく発想の転換により、懸案の租税負担の公正化とともに、平準化を期するための法整備を急ぐことが先決ではないのか。
先に公表された「パナマ文書」で、富裕層の「税金逃れ」の呆れた実態と共に、歴代の行政府が中長期にわたって税金のかからない海外のタックスヘイブン(租税回避地)の大がかりなからくりの存在を知りながら、有効な対抗策を打てずに結果として放置してきたという事実は、この機にもう一度検証されるべきであろう。行政府のそうした怠慢が、皮肉にも日本に発想の転換を迫り、その緊急性を示唆しているとも言える状況だ。
増税延期に伴い、ならば代わる財源を何に求めるべきかの議論が本来あって然るべきであったが、その後に続いた舛添要一・前東京都知事の辞任騒動、世界の金融市場を混乱に陥れた英国のEU離脱騒動、そして目前に迫っている参院選といった重大ニュースの陰に隠れて、素通りしてしまったかのように見える。今回は、改めてこの点に焦点を当てて考えたい。
考えてみれば、これまで税務当局が見逃してきた富裕層の「税金逃れ」封じを徹底し、とりわけ目にあまる相続税の捕捉率の低水準を抜本的に改善し、向上策を図るだけでも、日本の税収は一挙に、大幅に潤うはずだ。そうすれば、消費増税はもとより中長期的には消費税そのものが不要になる、ということも決して夢物語ではなく、不可能ではない。
長年の懸案であった「社会保障と税の一体」改革が目指す恒久財源の確保が期待できるだけでなく、租税負担の不公正、悪平等に伴う深刻な格差拡大の是正にも大いに貢献できるため、行政府は不退転の決意で直ちに取り組んでほしい。
税務当局をはじめ、行政府が中長期にわたり、「パナマ文書」が公表したような富裕層の「税金逃れ」の呆れた実態を掌握していながら、手を拱くだけで、ほとんど放置してきた社会的な責任は重大である。これを機会に、行政府は国家百年の計に立って、安易に取り易い非富裕層から広く浅く徴税する、現行の「弱い者いじめ徴税」の惰性から脱却すべきだ。
富裕層の「税金逃れ」を決して見逃さない、強い者にも強い徴税を行う体系を根本的に組み直し、本来の所得再分配機能を取り戻せるよう、租税負担の公正化と平準化へ向けた抜本改革に、真剣に取り組んでほしい。
富裕層の「税金逃れ」を封じれば消費増税は不要になる
富裕層の税金逃れを炙り出せば消費増税の数倍の効果が出る?
行政府の試算によると、消費税率を8%から10%へ増税するのに伴い、期待されている税収の増額分はわずか5.8兆円に過ぎない。元国税調査官の証言によると、「海外に資産や所得を移せるレベルの富裕層の『税金逃れ』の実態は計り知れず、行政府のやる気次第では、それを炙り出す効果は5.8兆円の数倍に及ぶ」という。
そんな宝の山を見逃がしたままで、その穴埋めをより安易に一網打尽で捕捉できる消費税とその増税に求めることは、「経国済民」の根幹であり社会基盤でもある徴税体系の本来の趣旨と狙いに相反する、反社会的な愚策であると言わざるを得ない。
国内外の経済情勢はなお不透明で、2年半となる30ヵ月先であれば、日本が懸案のデフレを脱却し、消費税の増税を受け入れるだけの客観情勢が整ってくると思うのは単なる願望であり、その保証は何もない。そんななかで近い将来、消費増税を断行する政治的な判断は決して「新しい判断」とは言えず、無謀な蛮勇に過ぎない。GDP(国内総生産)の屋台骨である個人消費が伸び悩むなかでの消費増税は、より多くの善良な国民を委縮させ、国力を劣化させて、アベノミクスの第3の矢である成長戦略に水を差し、足を引っ張るだけで、経済の歯車を悪循環させかねない。
パナマ文書によると、「海外に資産や所得を移せる」レベルの富裕層は税金のかからない海外のタックスヘイブン(租税回避地)を利用して「払うべき税金を払わずに、いわゆる税金逃れ」をするだけではない。各国の税務当局が富裕層の「税金逃れ」を未然に防ぐためとして、富裕層に課税する税率を大幅に引き下げ、租税の負担は「税金逃れ」のできないレベルの非富裕層に押し付け、しわ寄せを強いているという、二重、三重に不公正で悪平等な徴税実態が、同文書から明らかになってきた。
パナマ文書とは、パナマの法律事務所であるモサック・フォンセカの膨大なデータが、南ドイツ新聞社に持ち込まれたもの。同新聞社がデータを分析するため、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)に協力を呼びかけ、世界76ヵ国、107の報道機関から約400人の新聞記者が参加して、1年前から調査、分析を進めている秘密文書である。日本からも共同通信と朝日新聞の記者が各1名ずつ参加して、分析作業は今も続いている。
ファイル数にして1150万件に及ぶ膨大なデータには、過去40年間にわたる21万件のタックスヘイブンでの取引データが記録されている。その中には、ロシアのプーチン大統領をはじめ、英国のキャメロン首相ら現役の政治家や経済人、アスリート、芸能人など、世界中の著名人が含まれている。アイスランドのグンロイグソン首相が辞任に追い込まれるなど、パナマ文書の公表に伴う波紋も広がっている。
パナマ文書で暴き出された合法的な「租税回避指南」の実態
そもそも、タックスヘイブンとは何か。税金がかからないか、ほとんどかからない国や地域のことであり、一般に「租税回避地」と訳されている。登録された口座情報などを秘匿して、他国には開示しない「秘匿性」が利用する者にとっては大きな利点になっている。このため、法人であれ個人であれ、その区別なくタックスヘイブンに住所さえ登記すれば、誰にも知られずにその恩恵を享受できる仕組みである。
各国に子会社を置く多国籍企業をはじめ、ヘッジファンドなど国際金融市場で活躍する投資会社の多くは、タックスヘイブンに本籍を置いて、法人税の節税やその回避に布石を打っている。個人にしても今や「資産や所得を海外に移せる」レベルの富裕層は「税金逃れ」のため、タックスヘイブンの積極的な利活用が常態化しつつある。
ただ、情報の秘匿性を悪用すれば、法人、個人を問わず、誰もが租税回避のための資産隠しや所得隠しがいとも簡単にできるため、合法的に租税を回避、脱税することが可能で、乱用されないとも限らない。その意味で、各国の税務当局としては誠にありがた迷惑であり、見過ごすことができない抜け穴であるため、対策に頭を痛めており、手を拱いている。
特に、タックスヘイブンが合法的な租税回避を指南し、ほう助するコンサルティング機能を備えているため、お手上げ状態である。当然のことながら、犯罪がらみや汚職がらみの資金、さらにはロンダリング狙いのアングラマネーなどの逃げ場としても利活用され、いわばダーティマネーの吹き溜まりとも言われている。
世界中の富が吸い寄せられ出口の見えない私的な「埋蔵金」
しかも、公表されたパナマ文書は、氷山のごく一角に過ぎない。タックスヘイブンは今や主な国・地域だけでもケイマン諸島、ヴァージン諸島、香港、シンガポール、ルクセンブルグなど、国際金融市場の隅々へ浸透し、深く根を下ろしている。そのため、世界中の大企業をはじめ、個人でも「資産や所得を海外に移せる」レベル以上の富裕層にとっては、決して非合法ではなく、合法的な節税スキームとして利活用されている。
しかし、「非合法ではなく、合法的」であるからこそ、問題なのである。企業が大きくなり、本社をタックスヘイブンに移すと、母国では税金が取れなくなるため、それだけ母国の税収は減り、不足する。所得や資産が増えた個人についても、タックスヘイブンにそれらを移して隠されると、母国での課税が難しくなる。世界経済の成長と発展とともに、国際社会はどれだけの大企業や富裕層を次々と誕生させてきたか、その数は計り知れないが、その多くがタックスヘイブンを直接的・間接的に利活用してきたことは間違いなかろう。
本来は母国の税収を潤沢にするはずであった莫大な所得や資産の多くが雪崩を打ってタックスヘイブンに流れ、隠されて、そのほとんどが出口の見えない私的な「埋蔵金」と化して、迷宮入りしていく実態は看過できず、公益に反する反社会的な経済行為と言える。
タックスヘイブンの起源は古く、19世紀にまで遡るが、国際社会の中でその存在と利活用が世界各国の税収を圧迫し、世界経済に悪影響を広げ、直接の被害が表面化してから半世紀余。IMF(国際通貨基金)によると、今や世界の銀行資産のうち半分以上が、また多国籍企業の海外投資のうち3分の1以上が、タックスヘイブンを経由していると見られている。
IMFの2010年の発表では、南太平洋の島嶼地域におけるタックスヘイブンに限っても約18兆ドル(当時の円換算で1944兆円)もの資金が吸い寄せられていた、と見られている。これは、世界のGDP(国内総生産)のおよそ3分の1に相当する巨額な資金量である。国際NGO(非政府組織)の税公正ネットワークは、全世界のタックスヘイブンには2010年末時点で、およそ21兆ドル(同2270兆円)から32兆ドル(同3450兆円)もの金融資産が保有されていると分析している。
さらに、欧州の大企業の99%がタックスヘイブンに子会社を保有している、とも報告している。米会計検査院も、アメリカの大企業の83%がタックスヘイブンに子会社を保有している、と発表している。世界経済にいかに多大な影響を与えていることか、想像に難くない。
海外資産保有申告者はわずか約8000人、相続総資産に対する相続税はたった2%
パナマ文書に登場する日本の企業や富裕層の個人名はわずか400余に過ぎないが、これは日本の企業や富裕層の多くが、タックスヘイブンとしては免税の面で「最強」であり、秘匿性の面で「本丸」とされているカリブ海上のケイマン諸島を利活用しているためである。BIS(国際決済銀行)の発表によると、2015年の時点で同諸島に投じられた日本の資金量は63兆円に及んでいるが、これは日本の国税総収入にも匹敵する巨額な資金量であり、無視はできない。
日本には、億万長者がおよそ100万人以上はいるとされており、5000万円以上の海外資産を保有する者には申告する義務を負わせているが、正直に毎年申告している者は、今のところわずかに約8000人しかいない、とされている。仮に、100万人の億万長者が全員海外資産を保有していたとして、申告者がそのうちの約8000人なら1%以下だ。これはあまりにも少なく、非現実的な数字である。実際には、申告者のおおよそ10倍から数十倍はいるものと見られている。しかし、これらの富裕層の海外資産には、タックスヘイブンの秘匿性の厚い壁に阻まれて、日本の税務当局が接近し、介入できる余地はない。
このため、所得や資産を海外に移せるレベルの富裕層の99%以上がまともに税金を払わずに済んでおり、それができないレベルの非富裕層に租税の負担が押し付けられ、しわ寄せが起きているのが現実である。日本の徴税体系が長い間、国際的な大がかりなからくりに絡め取られ、ほとんど野放し状態で続いてきていることの方が不思議ではないか。
相続税逃れがその典型例である。パナマ文書で明かされた安全保障会社セコムの創業者・飯田亮最高顧問とその親族をはじめ、5年前にマスコミを賑わせた消費者金融の武富士の創業者・武井保雄元会長夫妻などは、タックスヘイブンを利活用して、相続税などの「税金逃れ」に成功した億万長者の事例である。武富士に至っては、当時の贈与に関する「海外の財産は、海外在住の人に贈与する場合は贈与税がかからない」という特例の抜け道を利活用して、無税ですり抜けた強者である。長男へ贈与した株式の時価総額は、推定2600億円。普通に贈与していれば、1300億円の贈与税を支払わなければならないところを無税で済まされては、税務当局としても無念であったに違いない。
タックスヘイブンによる相続税逃れがいかに急増しているか。その実態はおおよそ把握できていないが、相続税の税収が全く伸びず、年間で総額1兆円がやっとのペースで低迷しているとは驚きである。日本には現在、およそ1700兆円に及ぶ個人資産があり、少子高齢化の下で相続は引きも切らずに続いているにもかかわらず、だ。全国の相続資産に対する相続税の割合はわずか2%に過ぎず、98%はそのまま相続した遺族の手に渡ることになる。その主因がタックスヘイブンにあることは、言うまでもない。
「焼石に水」では意味がないOECDの制裁ルール導入は奏功するか?
OECD(経済協力開発機構)が国際的な「税金逃れ」を防ぐため、悪質なタックスヘイブンに対する制裁を検討することになったが、これは一歩前進とはいえ、どこまで国際的な連携体制を組めるか、課題は多い。
タックスヘイブンに開いた口座などの情報提供に非協力的な国や地域を「悪質」と認定するルールを構築して、各国が制裁措置を発動できる体制を整えることが狙いで、差し当たり20ヵ国・地域が対象になる見込みである。
OECDでは、悪質かどうかを判断するため、複数の基準を設ける予定である。1つには、各国の税務当局が富裕層らの口座情報を年に1回ずつ自動的に交換する国際ルールを構築し、2017年から運用・実施するが、これに参加しない場合は悪質と認定する。
2つには、海外の税務当局から特定の講座情報の提供を要請された際、非協力的な場合も悪質と認定する。これは、税の透明性を審査する国際組織の評価基準を満たせるかどうかで判断する。2015年の評価では、パナマをはじめミクロネシア連邦、インドネシアなどが悪質とされている。
事業実態のないペーパーカンパニーの取り扱いも焦点の1つであるが、当初は実質的な所有者の情報開示は努力義務にするなど、個人情報の保護に配慮しながら開示方法を検討し、数年後には制裁基準に含める予定である。すでに欧州には、富裕層がタックスヘイブンに資産や所得を移しても母国並みの税金を課すなど、未然の防止策で独自の制裁を設定している国・地域もあるが、これらの取り組みも国際連携を強化して、効果を上げていく必要がある。
OECDでは、6月30日から京都で開催する租税委員会で悪質行為を認定するルールづくりの協議に入る。7月には中国・成都で開催するG20(20ヵ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)でも採りあげ、さしあたり日米欧や中国など40を超える国・地域でタックスヘイブンのブラックリストの共有を目指すとしている。
果たして、効果のほどはどうか。これらの取り組みを「焼け石に水」で終わらせてはならない。日本国民は、消費増税延期騒動の陰に隠れてしまった富裕層の「税金逃れ」封じの是非を、国を挙げて議論していかなければならない。