「東京新聞」社説・コラム ぎろんの森
2021年9月25日
社説を担当する私たち論説室と、日々のニュースを報じる編集局は同じ会社でありながら、それぞれ独立した存在です。ただ、編集局の問題意識に論説室が共感し、社説であらためて主張を展開することもあります。
二十二日付朝刊1面「自民 憲法よりも党利」がその一例です。記事は、菅義偉首相の後任を選出する臨時国会を十月四日に召集する政府の閣議決定により、次期衆院選が初めて議員任期満了後に行われることが確実になったと指摘し、「自民党の党利党略によって、憲法を軽視するような異例の事態」と、論点を明示して報じるものでした。
野党側は憲法五三条に基づく正規の手続きで、新型コロナウイルス対応のための臨時国会召集を七月から求めていたにもかかわらず、菅政権は要求を無視し続けた揚げ句、自民党総裁選で後任が決まるから、臨時国会を開いて首相を指名するというのです。
論説室でも、二十四日付社説「衆院選先送り 任期満了後の身勝手さ」で、憲法を軽んじ、自民党の都合で臨時国会の開閉会や衆院選の時期を決める姿勢を、厳しく批判することにしました。
読者から早速「まさにその通り。身勝手な自民党には飽き飽き。これからも政権批判して」との励ましをいただきました。心強い限りです。
四候補が争う自民党総裁選には、論説室もそれなりの関心はありますが、総裁選一色のテレビや他紙の報道には違和感も覚えます。
自民党は現在、衆院第一党ですから総裁が首相に就くのは常道としても、直後に衆院選を控える政治状況では「首相候補」を選ぶ身内の手続きにすぎません。衆院選を任期満了後にまで先送りして行うほどのことでしょうか。「総裁選に時間をかけすぎだ」との読者の意見に同感です。
これ以上の政治空白は国民の不利益となります。新総裁選出後、速やかに衆院を解散して国民に判断を仰いだらどうでしょう。首相を選ぶのは結局、自民党議員や党員でなく国民なのですから。 (と)
党利党略、問答無用、絶対主義的自民党政治。いやはや、早く交代してもらいましょう!
今日の散歩道。
ツリバナとコスモス。
ノブドウ。
園地の草刈り。