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古賀茂明  次の総選挙で迫られる「究極の選択」 石破大敗なら「高市首相・立憲野田」コンビで“右翼政治”の恐怖も…

2024年10月09日 | 社会・経済

AERAdot2024/10/08

 今、リベラル系の有識者の間で共通の悩みが語られている。今月27日に投開票が行われる予定の衆議院選挙で石破茂首相攻撃をして自民の大幅議席減少を狙うのか、それとも少し手加減して、自民の大敗を避ける方向に動くべきなのかという、今までになかった悩みである。

 今回はその「悩み」について解説したい。

 自民党の総裁は所詮自民議員なのだから、誰がなっても同じ。だから関心を持っても仕方ないという考え方がある。それはそれで真実ではあるのだが、今回の総裁選ばかりは、そんなことを言っていられる状況ではなかった。なぜなら、石破茂元自民党幹事長と高市早苗前経済安全保障相の接戦が予想され、高市氏が自民党総裁になる可能性がかなりあったからだ。

 高市氏が総裁選に勝ち、日本の首相になることの恐ろしさについては、9月21日配信の本コラム「高市早苗氏の恐るべき“居直り体質”と“軍拡主義” もし首相になったら『日本は終わる』」で解説したとおりだが、一言で言えば、安倍晋三元首相の地に落ちた倫理観を受け継ぎ金権嘘つき政治が蔓延するとともに、戦争を前提とした超右翼的軍拡政治が無限定に推進されるリスクがあったのだ。

 したがって、リベラル系の人のみならずまともな人々は、高市氏だけは避けて欲しいという切実な気持ちになった。

 総裁選では、2回目の投票で、石破氏の大逆転勝利となったので、アンチ高市氏の人たちは、心の底から「良かった!」と安堵した。

 そもそも、石破氏が選ばれた最大の理由は、国民人気が高く単に自民支持層や無党派の保守層だけでなく、無党派の反自民・リベラル層や立憲民主党や共産党の支持者にまで支持する人がいるということだった。裏金問題などで地に落ちた国民の信頼を保守層からリベラル層まで幅広く回復するための切り札になるのではという期待があったからこそ、石破嫌いの議員まで、ここは選挙のために石破氏に投票しようということになったのだ。

 しかし、その期待は、あっという間に裏切られることになった。

 石破氏が新首相になってみると、­党役員や閣僚人事において、防衛相経験者の重用が目立ち、また、アジア版NATO構想など、「立憲支持層から見れば」驚くほど「危険な」政策構想を持つことが明らかになった。

 さらに、衆参の予算委員会の審議を経て国民に判断材料を提供してから衆議院を解散すると言っていたはずの石破氏は、首相就任前に、解散を予算委員会開催をせずに行うと表明した。立憲支持層などに「この人はとんでもない嘘つきなのではないか」という疑念が広まり、「人柄が信頼できる」という石破人気の基礎が音を立てて崩れかねない事態となっている。

石破氏への「嘘つき」「敵前逃亡」という批判

 こうした事態を見れば、立憲支持者を含め反自民層は、アンチ安倍晋三のシンボルだった石破氏といえども、所詮は自民党議員だから、高市氏が首相にならなかったのは良かったが、ここから先は、反自民で戦い、政権交代を実現するのが最も重要な課題だということになりそうである。その意味では、立憲にとっては、陣営をまとめる良い材料を石破氏が提供してくれたと言えるかもしれない。

 一方、立憲では、9月23日に野田佳彦元首相が泉健太前代表や枝野幸男元官房長官などを破って新代表に就任した。世論調査などでも野田氏に期待するという回答が比較的高い数字で出ている。裏金問題などで自民に強い逆風が吹く中で、立憲は何もしなくても支持率が上がるという期待をする向きもある。

 仮に総裁選での20人の推薦人のうち13人が裏金議員という「高市首相」が相手の総選挙になっていれば、当然、高市氏の極右的言動とともに格好の攻撃材料となり、立憲への追い風になるはずだった。

 ところが、石破氏が首相になって、早期解散総選挙に持ち込まれれば、石破氏の国民人気により、無党派層やリベラル層まで支持が広がり、当初期待していたほど簡単に立憲の議席増につなげられないかもしれない恐れがあるという見立てもあった。

 結果的には、そうした心配が杞憂に終わり、裏金や旧統一教会問題の追及に加え、石破氏のおかげで、解散総選挙時期に関する「嘘つき」「敵前逃亡」という攻撃材料が増えたという状況だ。

 一方、立憲支持者の中には、野田新代表が、石破氏以上に「危険な右翼」であり、また石破氏とは比較にならない「厚顔無恥な嘘つき」であると考えている人たちが多数いる。

 どういうことか。

 野田氏は、代表選の議論やその後の記者会見などで、集団的自衛権の行使を認めるいわゆる安保法制には違憲部分があるという立憲の公式の立場を踏襲すると述べた。しかし、その一方で、アメリカとの関係もあるので、直ちにその廃止をすることはしないという立場を明らかにしている。

 もちろん、法律の改廃には、それなりの時間はかかるが、それは、日本の国会との関係であって、アメリカとの関係ではない。仮に、アメリカが怒るから違憲の法律を変えられないということになれば、憲法よりもアメリカの意向が優先されるという由々しき事態になる。これは立憲主義の否定だから、そんな党の代表がいること自体が「立憲」民主党の自己矛盾であり、どう考えても許されない「厚顔無恥な嘘つき」そのものではないかと驚くかもしれない。

立憲・野田代表は「集団的自衛権」行使容認派

 しかし、私から見れば、驚きでもなんでもない。

 なぜなら、多くの人は知らないかもしれないが、集団的自衛権行使容認に道を開いたのは、他の誰でもない、野田氏だからだ。

 そもそも、集団的自衛権については、自民党政権も一貫して「憲法違反」であるという立場を堅持していた。憲法学会でも違憲説は絶対的通説であり、私なども含めて、霞が関の官僚の間でも、これに異論を唱える人はいなかった。

 したがって、集団的自衛権について解釈を変えることによって合憲とすることについては、およそ議論の余地などなかったのである。

 日本国憲法では、首相はもちろん、すべての公務員は憲法を擁護する義務がある(憲法第99条)。従って、憲法上認められないとされていた集団的自衛権を認めるように解釈を変更しようと企図すること自体が憲法違反である。

 ところが、閣議決定で設置された「国家戦略会議」の下におかれた「フロンティア分科会」は、2012年夏の報告書で、「集団的自衛権に関する解釈など旧来の制度慣行を見直すことも検討されるべきである」と提言した。このようなことは、その時の首相の意向に反して行われることはないというのが、永田町・霞が関の常識だ。つまり、解釈改憲の提言は、野田首相(当時)の意思を表したものであった

 野田氏は、このようにして、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に日本で初めて道を開いた首相として名を残したわけだ。

 こうした思想を持った野田氏だから、集団的自衛権は違憲だという立憲の党としての立場を心の底では馬鹿にして嘲笑っているだろう。アメリカの意向かどうかを問わず、彼が、安保法制を修正して、集団的自衛権の行使を否定することなどあり得ないと考えるべきである。

 野田氏が代表である限り、共産党が選挙協力に否定的な態度を取るのは極めて正しい。なぜなら、仮に立憲民主党が中心の政権が成立しても、戦争に向かい、アメリカの意向に沿って、集団的自衛権の行使容認は継続し、戦争に向かった軍拡もさらに強化されると考えるのが自然だからだ。

 仮に政権交代しても、「野田首相」の下では、自民党政治と軍事政策が変わることはあり得ないのだ。

 野田氏が「嘘つき」だという話は、裏金問題をめぐる、政治資金改革の議論にも明確に表れている。

 この点は、9月10日配信の本コラム「立憲民主党代表選で見るべきは『政治資金改革』の中身 仮に枝野氏、野田氏になれば『後退』は確実だ」を読んでいただければわかる。

 一言で言えば、野田氏は立憲の公式な政治資金改革で提案された、個人向けを含めた政治資金パーティーの全面禁止を反故にすることを企図している。ただし、非常に巧みな騙しのテクニックを使っているので、ほとんどの人は気づいていないだけだ。

総選挙後には「石破おろし」が始まる?

 このような野田代表の下にある立憲に、反自民の追い風が強まれば、一気に政権交代まで行かなくても、自民の議席大幅減となる可能性は十分にある。日本維新の会や国民民主党の出方によっては、政権交代が実現する可能性も皆無とは言えない。

 しかし、それは本当に日本にとって望ましいことなのかというと極めて疑問である。

 なぜなら、自民が政権から転落すれば、選挙後に「高市新総裁」になる可能性が高く、その場合、「野田首相の立憲」と「野党第1党の自民」とがともに右翼的政党になる。両者が共鳴しあって、とんでもない戦争内閣になっていくリスクは高い。とりわけ、立憲が政権を取る場合、維新と国民の協力が必要だから、両党の右翼的性格もあって、さらに右翼化は加速する。

 また、自公過半数割れになっても、自公が維新と国民を取り込んで超右翼政権を作ってしまう可能性は十分にある。野田立憲が野党第一党になるので、これもまた恐怖の右翼政治に突入するだろう。

 与党過半数割れまでは行かない場合でも、自民の議席減少は避けられず、それを受けて、自民内では、石破おろしの動きが強まる。遅くとも来年夏の参院選前までには石破おろしになり、「高市首相」の下で来夏の参院選となる可能性が高い。その場合も、高市自民と野田立憲、維新、国民が共同で右翼戦争政策が推し進められることになる。

 高市氏が首相や自民総裁にならないようにするためには、立憲が選挙でほどほどの躍進にとどまり、結果として石破氏の首相の座を守ることが必要だが、石破首相でこれまでの自民党政治よりはマシになるとしても、直近の石破氏の言動を見ていると限界がありそうで、結局は自民党政治は変わらないのではないか。もう石破氏を完全に見限るべきではないのか。

 そう思っていたら、6日になって、裏金議員の公認問題について、比例重複立候補は認めずなどという予想よりも厳しい方針が示された。やはり、石破氏は信頼できるのかもしれない……。

 以上が立憲支持層の中で、かなり有力な人々の間の悩みである。

 ある友人と話しているうちに、高市氏が自民総裁になるのを止めたのは良かったが、野田氏が立憲代表になるのを止めなかったのが致命傷だという話になった。

 そうであれば、野田代表を交代させれば良いのではという話も出たが、総選挙で野田氏が落選でもしない限りそれは起こらない。選挙区情勢を見ると、現状では野田氏が優勢なようだ。

「高市首相」になったときの歯止め

 そんな話をしていると、7日に新しいニュースが入ってきた。野田氏の選挙区でれいわ新選組が首都圏反原発連合の生みの親であるミサオ・レッドウルフ氏を公認候補として立てるというのだ。野田氏に勝てる可能性は現時点では低いが、選挙は何が起きるかわからない。仮に、れいわと共産が協力できれば、野田批判票を集めてかなり健闘するかもしれない。

 ここに限らず、立憲をまともな政党に戻らせるために、野田代表と現執行部の問題議員だけ落選させて、その他の立憲、共産、れいわなどの平和勢力を伸ばすことができれば、仮に「高市首相」になった時の歯止めになるかもしれない。

 その上で、来夏の参院選で、まともな野党による参院過半数を実現して衆参のねじれ状況になれば、戦争に進むことを止めるさらなる「抑止力」になる。

……というような頭の体操が延々と続くのだが、野田新代表が就任したことによって、本当の意味での望ましい政権交代を実現するには、次の次の衆院選でということになってしまったということのようだ。今回の立憲代表選の失敗がかえすがえすも悔やまれる。


ながい記事だが、面白く読ませていただいた。
あり得る話で恐ろしい。

園のようす。
初霜。

被害はなかった。

野葡萄がきれいに色付いた。

ジュンサイ。



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