自民党支部から「後援会」に 厳しい情報公開基準を逃れる「抜け道」が横行
「東京新聞」2024年3月16日
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で政治とカネの問題に国民の厳しい視線が注がれる中、自民幹部や閣僚らが多額の資金を公開基準の緩い後援会に移し替え、使い道を隠すような脱法的な行為が次々と表面化している。茂木敏充幹事長や棚橋泰文元国家公安委員長、新藤義孝経済再生担当相に同様の手法が発覚。カネの流れの透明性確保が目的の政治資金規正法の趣旨に反するような「抜け道」の実態を追った。(我那覇圭)
◆2580万円を移した新藤義孝経済再生担当相のケース
新藤氏の秘書が会計責任者の政党支部「自民党埼玉県第2選挙区支部」は2022年、同じ秘書が会計責任者を務める「新藤義孝後援会」に約2580万円を寄付。後援会は約1270万円を政治資金規正法の分類で鉛筆や封筒などを指す「備品・消耗品費」に充てたとしているが、政党支部と比べて公開基準が緩いため、具体的に何に使ったか分からず、うやむやだ。
新藤氏は12日の参院内閣委員会で、備品・消耗品費には、事務所職員7〜8人のガソリン代のほか、コピー機のリースや事務用品の購入費などが含まれていると主張。「法律に基づいて対応している」として、野党が求める会計帳簿の提出に否定的な姿勢を示した。
約1270万円の使途の疑問は消えず、後援会に直接、事情を尋ねようと、埼玉県川口市にある新藤氏の後援会兼支部事務所を12日に訪れた。だが、事務所での取材は断られ、その後、事務所の代理人弁護士からの文書回答でも「備品・消耗品費や光熱水費については、新藤議員が国会でお答えしている通り」と具体的な説明はなかった。
◆茂木敏充幹事長、小泉龍司法相、棚橋泰文元国家公安委員長も発覚
なぜ、使い道を明かさなくても許されるのか。後援会は「その他の政治団体」に分類され、収支報告書に記載する経常経費は備品・消耗品費や事務所費、光熱水費など、項目ごとの総額の記載だけでよく、領収書や会計帳簿の公開も求められていないためだ。
それに対して「国会議員関係政治団体」に当たる政党支部は、人件費を除いて1万円を超える支出があれば、収支報告書に1件ごとの明細を載せる義務がある。1円以上の領収書の写しを保存する必要があり、有権者らが請求すれば公開される。
国会議員関係政治団体は、相次ぐ政治とカネの問題を受け、07年の法改正で公開基準を厳しくした。政治資金の透明性を高める狙いだったが、後援会に寄付してカネを移す「抜け道」が横行して骨抜き状態だ。茂木氏や棚橋氏に加え、小泉龍司法相も同様の資金移動の問題が指摘されている。
裏金事件を告発した神戸学院大の上脇博之教授は、後援会への資金移動の手法について「会計責任者も事務所も同じなのになぜ移すのか。表に出したくない使い方があると疑われても仕方ない」と述べ、新藤氏らが会計帳簿を公開すべきだと指摘。後援会も政党支部と同等の公開基準にする法改正の必要性を訴える。
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昼頃には雪が強く降ってきました。
それでもプラス氣温と陽射しには勝てず、すぐに消えてしまいました。
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